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MAYDAY メーデー!ナショジオコミュのFALLING FROM THE SKY 英国航空 9便 全エンジン喪失事故

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1992年6月24日、British Airways 9便(B747-236B型機、G-BDXH、登録機番G-BDXH)は英国LondonからNew ZealandのAucklandへ向かう長距離便で、Eric Moody機長、Roger Greaves副操縦士、Barry Townley-Freeman航空機関士を含む乗員15名と乗客248名が搭乗して、第3レグのMalaysiaのKuala Lumpur空港から豪州Perth空港へ夜間飛行中であった。
当該機はJakartaを南下し、HARIMウェイポイントをFL370で通過した辺りから、操縦席の風防に針のような白い光が当たるのを感じた。ちょうど機長はトイレに中座しており、他の乗員はセントエルモの火であろうかと話していたが、そのうち機内に煙が充満してきた。機内に火災が発生していないか、客室乗務員が見て回ったが、異常は見当たらなかった。そのうち#2エンジンが40ftに達する長い火柱を吹き、#4エンジンがFlame-out、他のエンジンも次々に停止した。副操縦士はJakarta ControlへMayday!を宣言し、エンジン4基全てが停止したことを伝えた。
この状況でAuto-pilotはOFFにならず、IASも50ktほど誤差があることが分かったが、エンジンを再スタートしなければ30分で墜落するため、乗員は何回もエンジンの再スタートを試みたが成功しなかった。機長はJakartaへ引き返して緊急着陸することを決心し、Jakarta Controlへ通報しようとしたが、無線が良好に到達せず、トランスポンダの7700の受診されない状況であった。
ここで機長は思い切った賭けに出て、Auto-pilotをOFFにし、機首を大きく下げて高度を落とした。その理由は煙で呼吸が苦しくなってきて、客室へ酸素マスクが展開したが酸素が出てこなかったことや、副操縦士の酸素マスクのチューブが外れたため呼吸が出来なくなるという事だった。FL160ほどまで降下させたが、そうなるとJakartaの南手前に山脈があり超えられない。機長はJava島南の海へ不時着水することも考えた。その間エンジンの再スタートは50回ほど繰り返され、#4エンジンが再始動に成功。その後、#3、#1、#2も始動した。乗員は喜んで"We're back in business!"とATCへ伝えたが、FL154で#4が再び火柱を伸ばして停止。Jakarta空港が近づいてきたがWind shieldが曇って前方が見えず、たまたまGlide Slopeが不作動であった。機長は窓枠に沿った端から外を見て、副操縦士に高度や速度を読み上げさせて、同機を無事に着陸させた。機長はその時の安堵と喜びを"We're kissing the earth!"と述べている。
翌日、BA9便の機体を見ると、Skinはサンドペーパーで磨かれたように塗装が剥がれ、エンジン内には泥が固まって出来た石のようなものがエンジンBladesなどにこびり付いていた。BAはこれらエンジンを取り外し、WalesにあるRolls Royceの検査室へ送付した。分析すると、これはJakarta南西160kmで活発に噴火活動を起こしていたMr.Galunggungの火山灰と分かった。BA9便はJava島をPerthに向けて南東へ飛行する際にGalunggung山の風下を通過したため、火山灰の中へ突入していた。この火山灰は角が尖った形をしていて、機体表面をやすりに掛けたように傷つけ、更に1,300-1,400℃で溶けるため、2,000℃に達するエンジン内で溶けて石のように詰まってエンジンを停止させたことが分かった。エンジンが再始動できたのは、エンジン内部が空冷されて詰まった火山灰が剥がれ落ちたための思われた。
Radarには水気のない火山灰は映らないため、航空管制でこのような事故を防止することは難しい。この事件を契機に、安全運航に向けて世界各地の活火山の監視と火山灰情報が重要であるとの認識が広まった。

コメント(3)

ETOPSの普及で、近年3-4発の多発機は稀になったが、そんな多発機でもエンジン全喪失することがあり得る一例として、本事故は歴史に残る。もちろん最後まで諦めなかった乗員の努力で263名全員が生還したことが大きい。エンジン推力を全て喪失したら、Best Glide Speedで滑空して、最寄りの滑走へ滑り込もうとするのが凡人の考えだが、Mody機長はpitch-downさせて機体をdivingさせた。高度を大きくロスする訳だが、結果的にこれでエンジンが冷やされ、石のように固まった火山灰がエンジン部品から剥がれてくれたのかも知れない。火山灰がFL160以下には漂っていなかったのは、実に幸いだった。
今では航空気象で当たり前のように付記されるようになった火山噴火情報が、この事件が大きなきっかけになったのだ。今日の日本列島悪天候図には、諏訪之瀬島の火山灰情報が掲載されている。
全エンジン推力を喪失した時に乗員が取った必死の行動は、機長役のDavid Rosser, 副操縦士役のAdam Weiner, それに航空機関士役のDarren Hynesが好演している。中でも#4のRolls Royceエンジンが低いRumbling音を上げて動き始めた時のHynesの感激した様子が印象的だ。本当に皆嬉しかっただろうし、これで助かったと思ったことだろう。
1か所残念だったのは、Wind shieldが傷だらけで前方が見えないときの様子で、B747のワイパーが自家用車のみたいにノンビリ調和して動いていた。
この番組内でとても上品なBritish英語を話す御婦人が乗客におり、その方Betty Tootell女史の証言は実に冷静で客観的だった。何と事故後に"All four engines have failed -The true and triumphant story of Flight BA009 and the "Jakarta Incident#-"という本にまとめて出版されている。更に驚きは、Tootell女史は当時乗り合わせた男性と結婚したそうで、番組内の実像ではChief StewardのMr.Skinnerのように見えた。

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