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めがね または数学コミュの〇線型代数

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理系の大学生が初年級で学ぶ「線型代数」では、まず連立一次方程式を「行列を使って解こう」というのが話の端緒になることが多いと思います。

まず2つの未知数 x, y についての連立方程式は

 ax + by = e
 cx + dy = f  (*)

ここで a, b, c, d, e, f が(具体的に与えられている)定数だとすると
これは中学の数学で出てくる「連立方程式」となります。
ただし中学校で出題される連立方程式の問題は、解 x, y の値が「ただ1つに求められるもの」にほぼ限られるのではないかと思います。

しかし定数 a, b, c, d の取り方によっては(*)の解は存在しなかったり、存在しても一通りに定まらないことがあります。こうした問題では、(*)の2式の左辺から定数の係数を正方形にならべ

[ a b ]
[ c d ]

のように表し、A で表す。これは 2×2の行列と呼ばれ
そして未知数 x, y を縦に並べて

[ x ]
[ y ]

と「列ベクトル」の形に表したものを v で表し、
(*)の両式の右辺に現われている e, f を縦に並べた

[ e ]
[ f ]

と「列ベクトル」の形に表したものを w で表す。すると連立方程式(*)は単に

 Av = w

と表される。ここで「連立方程式(*)の解がはただ1組に定まる」
⇔「 det A = ad -bc ≠ 0 」
この場合は未知数 x, y の値を機械的に解くことができる。
det A を A の行列式と呼ぶ。

次に3つの未知数 x, y, z についての連立方程式は

 ax + by + cz = j
 dx + ey + fz = k
 gx + hy + iz = l (**)

ここで a, b, c, d, e, f, g, h, i, j, k, l は与えられた定数とする。ここで9個の定数を

[ a b c ]
[ d e f ]
[ g h i ]

のように並べた3×3行列を A, そして
そして未知数 x, y, z を縦に並べて

[ x ]
[ y ]
[ z ]

と列ベクトルの形に表したものを v で表し
同様に定数 j, k, l を縦に並べて

[ j ]
[ k ]
[ l ]

と列ベクトルの形に表したものを w で表すと連立方程式(**)は先程と同じく

 Av = w

と表されここで「連立方程式(*)の解がはただ1組に定まる」
⇔「 det A ≠ 0 」

だが、3×3行列の行列式 det A はやや複雑であって、今の場合

  det A = aei + bfg + cdh - afh - bdi - ceg .

そして det A ≠ 0 の場合は未知数 x, y, z の値を機械的に解くことができる。

ここまで来ると、未知数の個数がいくつであっても、連立一次方程式が一意的に解けるか否かの判定法を見つけたくなる。
n 個の未知数 x_1, x_2, x_3, ... , x_n
を列ベクトル

[ x_1 ]
[ x_2 ]
[ .... ]
[ x_n ]

で表したものを v , n×n 個の定数を正方形に並べた行列 A を

[ a_11 a_12 a_13 ・・・ a_1n ]
[ a_21 a_22 a_23 ・・・ a_2n ]
[ ・・・・・・・・・・・・・・ ]
[ a_n1 a_n2 a_n3 ・・・ a_nn ]

とし、n 個の定数を列ベクトル

[ b_1 ]
[ b_2 ]
[ .... ]
[ b_n ]

で表したものを w とするとき、考えている n 元連立一次方程式は

 Av = w

である。(n×n行列の行列式を日本の関孝和は世界で最も早い段階で発見している。)
ともかくも n×n行列 A の行列式 det A が計算出来て

 n 元連立一次方程式 Av = w が一意的に解ける ⇔ det A ≠ 0 .



コメント(11)

疲れた。
ここをご覧になっているかたは、何か書いて話を広げてくださっても構いません。
すみません。話を広げるのではなく、オチャラケ話になってしまいますが。
僕は線形代数は、ただ数を並べ替えたり、何が面白いのかサッパリ解りませんでした。でも、後になって量子力学を習ったらベクトルと行列そのままじゃないですか!線形代数の先生が、これは量子力学の基礎になるよと一言言ってくれたらもっと本気で勉強したんですけど。
数学の先生って、ほとんど物理など興味なさそうな方が多いですね。逆に物理屋さんは数学は道具としか思ってないし。
>>[2]

 たしかに大学の数学科の先生は物理などには関心が薄いのが普通ですね・・正直私もPickyさんのこの書き込みを見るまで、線型代数が量子力学と関係が深いなんて知りませんでした・・
 数学専攻者以外に向けての講義なら、そうした物理などへの応用についても話すべきなんでしょうね。ただ数学科の先生方は数学以外の理系すべてをひっくるめて「関係ない所」と言ったり、講義に当たって数学以外のことを頭に思い浮かべるのも難しい、というかたも多いかも知れません。

 ただ最近は大学数学の内容を一般向けにわかりやすく伝える本が増えてきていますし、学生を退屈させない工夫をされている先生もきっと増えてきていると思うんです。
 
>>[2] 線形代数は「有限次元ベクトル空間」か「線型写像」のどちらかさえ出てくればどこでも応用が効くので、物理だろうが工学だろうが情報系だろうか化学だろうがどこでも使えるんですよね。

数学の人ならともかく、他ジャンルの人に講義をする時はそういったアウトラインから話すべきだと思うんですけどね…なかなかそういう講義はないみたいで。
>>[4]

おっしゃる通りですね。
僕は工学部の出身ですが、やはり教養科目であっても専門分野との関連を示されると学生の興味も深まると思います。教員自身が興味のあるなしにかかわらず、学生の勉学の目的に沿った配慮があるべきかと思います。
>>[3]

量子力学もシュレーディンガーの波動関数で考えているうちは古典物理の世界観を引きずっていますが、
ハイゼンベルクが行列力学を提唱したことで世界観が全く変わってしまいました。
にもかかわらず、後に両者は理論的に等価であることが証明されたのですから、面白いです。

それと、ハイゼンベルクは線形代数学の知識がなかったらしいです。量子力学的な現象をマトリックスを使って表現するアイデアは彼が独自に思いつき、後に線形代数学というが分野あることを人から教えられたということですから、すごい独創力ですね。
>>[7]

自分も初めて学んだのが『線型代数学』(佐藤正次、永井治)という本だったので「線型」のほうがしっくり来ますね・・
関数は中学高校では「関数」で定着してますが、本来のブラックボックス的な意味合いからすれば「函(はこ)」という字が相応しいのかも?
私の数学の知識は、表現論という線形代数と関わりが深く
ここで線型代数について、もう少し書いてみたい欲求にかられました。線型代数の教科書で周知のことですし、興味のないかたはスルーしてください。

ベクトル空間とは:

体 K (後で説明。初学のうちは実数体 R または複素数体 C を指すことが多い)と加群 V があって
( a, v ) |→ av と表される写像 φ:K×V → V があり次の8つの規則を満たすとき
 V を K上のベクトル空間という:

(i) どんな u, v, w ∈ V に対しても ( u + v ) + w = u + ( v + w ) ,
(ii) 0 と呼ばれる V の要素がただ1つ存在し
どんな v ∈ V に対しても v + 0 = 0 + v = v.
(iii) どんな v ∈ V に対しても v + v' = v' + v = 0 となる v' ∈ V がある。
 ( v' は v の逆元と呼ばれ、v' = - v と表す )
(iv) どんな u, v ∈ V に対しても u + v = v + u.
(v) a, b ∈ K , v ∈ V に対し ( ab ) v = a ( bv ),
(vi) a, b ∈ K , v ∈ V に対し ( a+b ) v = av + bv,
(vii) a ∈ K , u, v ∈ V に対し a( u + v) = au + av,
(viii) 1∈ K に対しては、どんな v ∈ V に対しても 1v = v ■

【1】V の部分集合 S が次の性質を満たすとき、S は V を生成する、または V を張るという:
V のどんな要素 u に対しても S の要素 u_1, u_2, ... , u_m 、K の要素 a_1, a_2, ... , a_m があって u = a_1 u_1 + a_2 u_2 + ... + a_m u_m と書ける。
【2】V の部分集合 S が次の性質を満たすとき、S は1次独立であるという:
 S からどんな有限個の異なる w_1, w_2, ... ,w_s を取っても
 K の要素 c_1, c_2, .... , c_s をとって
  c_1 w_1 + c_2 w_2 + ... + c_s w_s = 0 となるなら c_1 = c_2 = ... = c_s = 0.
【1】,【2】両方を満たす S の各要素を「V の基底」という。
このとき S が有限集合なら Vは有限次元ベクトル空間と呼ばれ、とくに
♯S = n ならば、V は n 次元ベクトル空間んと呼ぶ
集合 K が加群であって、K - {0} が乗法群でもあるとき、K を体という。
φ : K × K → K , ( a, b ) |→ a + b
ψ : K × K → K , ( a, b ) |→ ab

つまりまず K は加群として φ は [9] のベクトル空間の公理のうち (i)〜(iv)と同様の性質を持つ:

(i) どんな a, b, c ∈ K に対しても ( a + b )+ c = a +( b + c ) ,
(ii) 0 と呼ばれる K の要素がただ1つ存在し
 どんな a ∈ K に対しても a + 0 = 0 + a = a ,
(iii) どんな a ∈ K に対しても
 a + a' = a' + a = 0 となる a' ∈ K が存在する
 ( この a' を -a で表す)
(iv) どんな a, b ∈ K に対しても a + b = b + a .

そして K は乗法 ψ について次の性質 (v)〜(vii) を持つ:

(v) どんな a, b, c ∈ K に対しても ( ab )c = a( bc ) ,
(vi) 1 と呼ばれる K の要素がただ1つ存在し
 どんな a ∈ K に対しても a1 = 1a = a ,
(vii) どんな a ∈ K - { 0 } に対しても
 aa' = a'a = 1 となる a' ∈ K が存在する
 ( この a' を a^(-1) と表す)

以上の (i) 〜(vii) を満たすとき K を斜体という。これに加え K が

(viii) どんな a , b ∈ K に対しても ab = ba

をも満たすとき、K を可換体、または単に体という。

有限体
要素が有限個であるような体を有限体という。
実数の全体 R や複素数全体の集合 C は体だが無限に要素を含む。
有限体の場合、
 1 + 1 + ... + 1 を有限回加えれば 0 になり「最低何回 1 を加えると 0 になるか」という回数のことをその体の標数という。

 要素を無限に持つ「無限体」の標数は 0 と定める。
 有限体の標数は素数である。
(∵)有限体 K の標数が c = mn ( m, n は > 1 である整数)のように合成数だったとする。
 1 を m 回加えたものを m' , 1 を n 回加えたものを n' とすると
 1 < m < c , 1 < n < c だから m' ≠ 0 , n' ≠ 0 
 m' n' は 1 を c 回加えたものだから m' n' = 0 .
この式の右から n' ^(-1) をかけると m' = 0 となって矛盾する。

 素数 p に対し、標数が p であるような体は次に述べるような p 元体 F_p である。
 0≦ k ≦ p-1 なる整数 k について、p で割ったときの余りが k であるような整数全体を
 k* で表すと
  m* + n* = ( m+n )* ,
  m* + 0* = 0* + m* = m* ,
  m*n* = ( mn )*,
  m*1* = 1*m* = m*,
  m* ≠ 0* ならば m*^(-1) が存在すること、
などが確かめられ、F_p = { 0*, 1*, 2*, ... , (p-1)* } が p 個の要素を持つ体であることが分かる。

 一般に有限体 F の標数が p であるとき、F は有限体 F_p を含み、[9]の意味で F を F_p 上のベクトル空間と見なすことができる。[9]では基底が必ず存在することの証明はしなかったけれども、存在することを認めてもらって F の F_p 上の基底を v_1, v_2, ... , v_n とすると、F の要素は

 a_1 v_1 + a_2 v_2 + ... + a_n v_n

の形にかけ a_1, a_2, ... , a_n はそれぞれ 0*, 1*, 2* , ... , (p-1)* の p 通りになりうるから
F の要素は p^n 個あることになる。

つまり有限体は、つねに素数べきの個数だけ要素を持っている。

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