芝田進午の人類生存思想と現実コミュの【旧統一教会と自民党「草の根」で結びついている】毎日新聞

旧統一教会と自民党「草の根」で結びついている
宮本徹・衆院議員

2022年12月8日毎日新聞
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20221207/pol/00m/010/003000c?cx_fm=mailpol&cx_ml=article&cx_mdate=20221211
写真：

衆院予算委員会で質問をする共産党の宮本徹氏＝国会内で2022年10月18日、竹内幹撮影

党所属国会議員と旧統一教会との関わりについての記者会見を終え、一礼する自民党の茂木敏充幹事長＝東京都千代田区の同党本部で2022年9月8日、吉田航太撮影

二つの側面
　世界平和統一家庭連合（旧統一教会）と自民党の主張は重なり合う部分が多いが、旧統一教会が自民党の政策全般を左右しているという見方は旧統一教会を過大評価することになりかねない。自民党に取り入るために、保守派の主張を掲げて運動している部分もあるからだ。

　たとえば選択的夫婦別姓に反対しているが、韓国は別姓の国だ。教祖の文鮮明（ムン・ソンミョン、故人）と、妻だった韓鶴子（ハン・ハクチャ）総裁は別姓だ。つじつまが合わない。

　一方で、同性婚については教義の核心に関わるため、敵視は徹底している。彼らの教義は、「文鮮明に清められた女性が文鮮明に指定された男性と結婚することで無原罪の子供が生まれて人類は救済される」というもので、同性婚を認めれば成り立たない。教団内でも同性愛敵視は徹底している。同性愛者の「宗教2世」の方からも苦しんだ話を聞いたことがある。

　同性婚反対のように教義から出てくるコアな主張と、保守派に取り入るために便宜的に掲げている主張の二つの側面がある。

組織を守るために必要な「お墨付き」

　保守派に取り入るための主張を掲げるのはなぜか。旧統一教会は、自民党の別動隊として、長年、草の根の国民運動を展開してきた。憲法を変える、スパイ防止法を作ろう、家庭教育支援条例を作れという働きかけを全国の地方自治体で行ってきた。

　統一教会はそもそも「世界の政治家をはべらせる」という大目標があるが、日本の場合、霊感商法や高額献金などの反社会的な活動を行っているために世論の風当たりが強い。

　組織を守るために、政治家のお墨付きを得ることを重視してきた。だからこそ自民党の政治家の選挙を必死で戦い、保守派の望む運動に草の根から取り組んでいる。結果として自民党の別動隊、自民党の政策のための草の根の実動部隊として果たしてきた役割は小さくない。

「ほとぼりが冷めれば」

　私の地元にも安倍晋三元首相の銃撃事件後に脱会した元信者の方がいて、話を聞いた。選挙があれば、国政選挙であろうと地方選挙であろうと、日曜礼拝の後に必ず「今度の選挙は誰々さんです」と徹底される。選挙のはがきがどんと積んであって、礼拝堂で宛名書きをする。自民党の調査（9月8日、茂木敏充自民党幹事長発表）では「組織的支援を受けた」（「旧統一教会及び関連団体への選挙支援の依頼、及び組織的支援、動員等の受け入れがあった」）のは2人とされているが、実態は国会議員も地方議員もそんなものではない。

党所属国会議員と旧統一教会との関わりについての記者会見を終え、一礼する自民党の茂木敏充幹事長＝東京都千代田区の同党本部で2022年9月8日、吉田航太撮影
党所属国会議員と旧統一教会との関わりについての記者会見を終え、一礼する自民党の茂木敏充幹事長＝東京都千代田区の同党本部で2022年9月8日、吉田航太撮影
　岸田文雄首相は旧統一教会との関係を絶つと言っているが、旧統一教会の側はほとぼりが冷めれば復活すると思っている。これまで選挙の支援で築いてきた関係をそう簡単に断ち切られてたまるかという思いも強い。切れるものか、とたかをくくっている部分もある。

　自民党の調査も不十分だ。特に地方議員については関係が深く、徹底した調査と公表をやらなければ隠れた関係が続いていく危険がある。