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芝田進午の人類生存思想と現実コミュの【転載】新型コロナウイルス感染症流行問題に関するアピール

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バイオハザード予防市民センター 共同代表 新井秀雄
                     臼田篤伸 
http://www.biohazards.jp/



1.政府の対応は、感染症法、観光立国推進基本法・同計画に反する

❶ 14年前の2006年に改正された感染症法は、その「基本理念」(第2条)について、        「感染症の発生の予防及びそのまん延の防止を目的として国及び地方公共団体が講ずる施策は、保健医療を取り巻く環境の変化、国際交流の進展等に即応し、新感染症その他の感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権に配慮しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とする」としている。                                        さらに、「国及び地方公共団体の責務」(第3条)には、                 「国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じた感染症に関する正しい知識の普及、感染症に関する情報の収集、整理、分析及び提供、感染症に関する研究の推進、感染症の病原体等の検査能力の向上並びに感染症の予防に係る人材の養成及び資質の向上を図るとともに、感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。この場合において、国及び地方公共団体は、感染症の患者等の人権の保護に配慮しなければならない」とある。                          すなわち、感染症法では、今回の新型コロナウイルス感染症のような海外からの未知な感染症に対して、患者らの人権に配慮しつつ迅速かつ適切に対応できるよう総合的かつ計画的に施策を推進する、としている。

❷ 一方、政府は2006年の観光立国推進基本法に基づき、2017年、「観光立国推進基本計画」(2017〜2020年)を閣議決定し、その中で、観光を日本の成長戦略の柱と位置づけている。         
 基本計画の中では、「クルーズ船受け入れの更なる拡充」があるとともに、「災害、事故等のリスクへの備え」として「・・災害のリスクは常に存在する。また、 災害だけでなく、テロや伝染病等様々な外的要因が、観光に影響を及ぼし得る。(中略) このため、普段から、災害等へのハード・ソフト両面における備えを万全なものとするとともに、災害時等において、正確な情報を国内外に迅速に発信し、旅行者の身を守り、風評被害の発生を防ぐ。(中略)また、訪日外国人旅行者の医療機関における受入体制の整備、保険サービスの充実等、旅行における様々なリスクに対応する。これにより、国内 外の旅行者が安全・安心に観光を楽しめる環境をつくり上げる」としている。                                     すなわち、クルーズ船の大量の観光客を受け入れを目指すとともに、感染症への対応にも備えた医療機関の受け入れ環境を整備することを挙げている。

❸ 今回の新型コロナウイルスはホテルが「待機」場所として利用されている。集団感染が起きたクルーズ船では、船内で「待機」状態に置かれた乗船者に多数の感染者(2/19までで乗船者3711人中、621人で約17%)がでた。無菌室など感染防止のハード・ソフトが整備されていないクルーズ船で、感染が拡大するのは当然予測できたことである。ホテルについても同様である。上記で紹介した感染症法、観光立国推進基本法及び同計画に従えば、政府はクルーズ船の乗船者を港に到着後直ちに下船させ、検疫後、症状に応じて乗船者の健康状態と人権に配慮した対応(隔離を含めて)をしなければならない。しかし、それを政府は実行しなかった。これは、感染症法及び観光立国推進法に反する。その大きな要因の一つは、安倍政権が新型コロナウイルス感染症問題で、感染症の専門家を集めた対策会議の初会合を開いたのが発生から2か月以上後の2月16日だったということに象徴される。つまり政権による危機管理体制の機能不全である。原子力緊急事態宣言が解除されない事態が放置されたままであること、昨年の台風襲来での河川の氾濫や土砂崩れなどで露呈した脆弱な防災体制と大震災のたびごとに指摘される劣悪な避難環境と関連死、「後追い」の被災者支援制度に共通する課題である。私たちの「生命の権利」がないがしろにされている。

2.SARSコロナウイルス感染症問題の教訓をなぜ生かさないのか?!

2002年〜03年に流行した「SARS」(当時「新型肺炎」と呼ばれた)問題は、未知の病原体出現に関わる様々な問題を投げかけた。SARSウイルスが遺伝子工学の産物である可能性も指摘され、またWHO(世界保健機構)の制圧宣言後に各地(シンガポール、北京など)で実験室感染が相次いだ。

病原体やバイオテクノロジー関係の実験・検査をしている施設が新たな感染源となる可能性とともに、科学的根拠の欠如とリスク情報の非開示の中で、社会的パニックの発生、関係者に対する差別や排除、患者の人権を無視した強制的隔離政策などの問題が指摘された。



当時、当センターはこうした問題を深刻に受け止め、声明「病原体の取り扱いとバイオ施設に関する徹底した情報開示と法規制を求める〜SARS問題をバイオハザード予防の観点から」(2003年7月)を発表し「健康被害と社会的混乱の防止、関係者の人権尊重など公衆衛生対策の充実の観点から、政府並びに関係機関に対し、以下のことを求めた。



❶ SARSウイルスはバイオテクノロジーの産物であるとする説についても十分な調査・検討を行うこと。

❷ 感染症指定医療施設や病原体の分離・検査や研究する施設が新たな感染源とならないための予防措置(施設の立地への配慮、教育・訓練など)を徹底すること。

❸ 施設内環境や外部環境への病原体の漏出を常時監視(モニタリング)する体制を確立し、監視状況を公表すること。

❹ 以上を国家的に保障するものとして、無法状態にある病原体の取り扱いとバイオ施設に対する法規制(立地規制、安全情報開示、耐震性など非常時対応)を行うこと。 

なお、今回の新型コロナウイルス感染では、ヒトからヒトへの感染伝播は主として患者のくしゃみ、咳による飛沫を介してなされるとされ、インフルエンザのような空気感染による猛烈な伝播はないという前提で対応されている。しかし、SARSコロナウイルス感染では、300人に上る患者発生をみたアパート(アモイガーデン)での流行伝播がみられ、排出物由来の空気感染の可能性も否定できなかった。                               一方、中国政府は2月19日、「密閉された環境下で、長時間にわたり高濃度のエーロゾルに暴露した場合は感染があり得る」と空気感染を認めたことが報じられている。((注)エーロゾル:空気中に浮遊する微粒子一般)(2/21「毎日新聞」朝刊) 空気感染の可能性も考慮して対応すべきである。

3.バイオテロ対策を主要目的の一つとする感染症法の見直しを

 現在の感染症法は2006年に改正された。この改正感染症法のプラス面については本声明の第1項で触れた通りである。

 しかしながら、当センターは、改正案がバイオハザード(生物災害)とは異なる非倫理的・意図的・計画的本性のバイオテロ(時に国家による生物戦争)への対策を主要な目的としたものであることから、戦前の公衆衛生対策(=伝染病対策)が警察権力による人権無視の強制執行であったと同様の事態が再現される恐れがあるとして、2回にわたり改正案について反対の声明(注)を出し、衆議院厚生労働委員会(2006年11月)で改正案に反対する意見陳述をした。

 その趣旨は、そもそもバイオテロ対策は、治安行政・警察行政さらには防衛行政の一環であり、公衆衛生行政の一環である感染症対策に組み込まれるものではない。強行された場合、戦前の公衆衛生対策(=伝染病対策)が警察権力による人権無視の強制執行であったと同様な事態が再現されることになるのは必定であること、地方自治体との情報共有の視点もないこと、人権保護の観点から過去のエイズ予防法、ハンセン病予防法の歴史を顧みても、改正案には反対せざるを得ない、というものだった。

 今回の新型コロナウイルス感染症問題での政府対応は、目先のカネもうけ(観光収入、東京五輪開催など)のための「治安」を人命・人権より優先したものであり、その根源にあるのが、人権より治安を優先する感染症法である。感染症法の根本的な見直しを求める。

以上

注:www.biohazards.jp/ 

「バイオテロ対策に名を借りた情報の国家秘密化、監視社会化、基本的人権の侵害に反対する」

2005年10月20日

「感染症法改正案についての見解」2006年4月

「「感染症法改正案」は警察国家化への露払いになる」2006年11月

 

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