2-------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 【定冠詞「te」】 「te」は、定冠詞であり、英語の「the」に相当します。 例えば te fare「(その)家」 te vahine「(その)女性」 te tiare「(その)花」 定冠詞「te」は、まれに「ta」に代えられている場合があります。 その場合、続く単語が「t・e・a・o」以外の文字で始まる場合に限られますが、極まれに見る程度です。 「te」は、名詞のマーカーとしては、定冠詞ですが、タヒチ語の単語は使い回しが多く、同じ単語なのに名詞であったり、動詞であったりします。 上の三例は、動詞には成り得ない単語ですが、下の三例は名詞にも動詞にもなります。 here「愛(名詞)」「愛する(動詞)」 himene 「歌(名詞)」「歌う(動詞)」 'ori 「踊り(名詞)」「踊る(動詞)」
これらの単語の直前に「te」がある場合、続く単語が名詞であることを表すマーカー(定冠詞)とするならば te here 「(その)愛」 te himene 「(その)歌」 te 'ori 「(その)踊り」 となりますが、面倒なことに「te」は、動詞のマーカーになる場合もあります。 例 te here「愛する」 te himene 「歌う」 te 'ori 「踊る」 この場合、「te」は英語の「do」のように「する」というような意味に使われます。 特に、「Te 動詞 nei」などの用法は、頻繁に出てきますが、これは、その動詞が現在進行形であることを意味し、「Te hopu nei」なら「いま、泳いでいる」になります。Te(-ing) hopu泳ぐneiいま=「いま、泳いでいる」
【複数冠詞「te mau」】 「te mau」は、「te」の複数形で、分解すると「te」=(定冠詞)、「mau」=(多くの)ということですが、場合に応じて、「te mau」に対しては「それらの」と翻訳し、そのうえで、続く名詞も必要に応じて複数形にして日本語らしく整えます。 例えば te fare「(その)家」 te mau fare「それらの家々」あるいは「それらの多くの家」 te vahine「(その)女性」 te mau vahine「それらの女性たち」あるいは「それらの多くの女性」 te tiare「(その)花」 te mau pua「それらの花々」あるいは「それらの多くの花」
【不定冠詞「e」】 「e」は、不定冠詞で、英語の「a」あるいは「an」に相当します。 e fare「家」 e vahine「女性」 e tiare「花」
不定冠詞の場合でも、やはりmauを続けて複数冠詞とする場合が時々あります e mau fare「多くの家」 e mau vahine「多くの女性」 e mau tiare「多くの花」
【強調冠詞(唯一の〜、ある〜)「te ho'e」】 te ho'eは、存在を強調したいとき、特別なもの、了解されたもの(あの例のもの)、など、特別なひとつのものに使う冠詞です。「ho'e」は、数字の「1 」のことです。 te ho'e fare「あの家」「ある家」 te ho'e vahine「あの女性」「ある女性」 te ho'e tiare「あの花」「ある花」
【両数冠詞(双数冠詞)「na」】 「na」は、両数または双数のときのみ使われる冠詞で、「両」「双」共に「二つの」という意味です。 例 na mata 「両方の目」 na metua 「両親」 「na」には、「〜に向かって」「〜の上で」など方向・状態を示す前置詞として使われる場合もあります。 「Na te moana」(海に向って)あるいは(海の上で) この場合も、海に向っているのか、海の上で何かしているのかは、「Na te moana」だけでは判断できません。正しい判断をするためには文章全体を見る必要があります。「rava」(出発する)などの単語があれば、「海に向って」であり、「moe」(眠る)とか「herehere」(いちゃつく)などの単語があれば、「海の上で」という訳が正しいと判断できます。このようにタヒチ語の単語は、「文章全体に依存する」ということを頭に入れておく必要があります。単語の絶対数が少ないので、必然的に使い回しが多くなった結果です。
【固有名詞・代名詞強調冠詞「'o」】 'oは、固有名詞と代名詞にのみ使用され、それの強調、あるいはそれが主語になることを示します。 'O Tahiti 「それはタヒチです」「タヒチである」 'o matou 「それは私たちです」「私たちは」 'o が「 ' 」の無いo であれば、「〜の」(英語のof)という意味の所有前置詞になるので注意して下さい。また、「 ' 」の付け忘れなどもあるので、文章全体を見て判断してください。
【人称代名詞・単数の用例】 一人称単数「auまたはvau 」(私は・私が)直前の単語の末尾がi、eのときは「au」 直前の単語の末尾がa、o、uのときには「vau」になります。 'Ua 'amu vau i te i'a 「私はその魚を食べた」 'Ua(動詞完了形マーカー) 'amu食べる(他動詞) vau私は i〜を(オブジェクトマーカー)te(冠詞) i'a 魚 te i'a(魚)は直接目的語です。
E haere au i te farehaapi'ira ānānahi 「私は、明日学校へ行きます」 E(動詞原形マーカー) haere行く(自動詞) au私は i〜に(オブジェクトマーカー) te (冠詞)farehaapi'ira学校 ānānahi 明日 te farehaapi'ira(学校)は間接目的語です。
【二人称単数「'Oe」(あなたは、あなたが)】 'Ua 'amu 'oe i te i'a 「あなたは、魚を食べた」 'Ua(動詞完了形マーカー) 'amu食べる 'oeあなた i〜を(オブジェクトマーカー) te (冠詞)i'a 魚 te i'a(魚)は、直接目的語です。
'Ua tu'ino 'oe i te pere'o'o 「あなたは、その車を損傷した」 'Ua(動詞完了形マーカー) tu'ino損傷する(他動詞) 'oeあなたは i(オブジェクトマーカー) te その(冠詞)pere'o'o自動車 te pere'o'o(自動車)は、直接目的語です。
【三人称単数「'oia、 'ona」(彼・彼女・それ)〜は、〜が】 'Ua 'amu 'ōna i te i'a 「彼・彼女は魚を食べた」 'Ua(動詞完了形マーカー) 'amu食べる 'ōna彼・彼女は i〜を(オブジェクトマーカー) teその(冠詞) i'a 魚
【人称代名詞双数(両数)の用例】 【一人称双数 (包括形)「Tāua」私達二人】 'Ua 'amu tāua i te i'a「私達(私達2人)はその魚を食べた」(話し手と聞き手の二人で魚を食べた) 'Ua(動詞完了形マーカー) 'amu食べる tāua私達二人は i〜を(オブジェクトマーカー) teその(冠詞) i'a魚
E haere tāua「私達は行きましょう」 E(動詞勧誘マーカー) haere行く tāua私達は
【一人称双数(除外形)「māua」私達(二人)】 'Ua 'amu māua i te i'a 「私達(私達2人)はその魚を食べた」 'Ua(動詞完了形マーカー) 'amu食べる māua私達二人は i〜を(オブジェクトマーカー) teその(冠詞) i'a魚(聞き手を除き、話し手と誰かの二人で魚を食べた)
E ho'i māua 'o Hina i te fare「私とヒナは家に帰ります」 E(動詞原形マーカー) ho'i帰る māua私達は 'o(冠詞) Hinaヒナ(人名) i〜に te(冠詞) fare家
【二人称双数「'Ōrua」 あなた達二人 】 'Ua 'amu 'ōrua i te i'a 「あなた達2人が魚を食べた」 'Ua(動詞完了形マーカー) 'amu食べる 'ōruaあなた達二人が i(オブジェクトマーカー) te (冠詞)i'a魚
'A haere 'ōrua「あなた達二人は行きなさい」 'A(動詞命令形マーカー) haere行く 'ōruaあなた達二人
【三人称双数「Rāua」彼ら二人・彼女ら二人・それら二個】 'Ua 'amu rāua i te i'a「彼ら二人が魚を食べた」 'Ua(動詞完了形マーカー) 'amu食べる rāua彼ら二人が i〜を(オブジェクトマーカー) te(冠詞) i'a魚
【【人称代名詞複数の用例】】 【一人称(包括形)「tātou」私達(聞き手を含む私達3人以上)】 'O vai tā tātou e tīa'i nei? 「私達は誰を待っているのか?」 'O vai誰? tā tātou私達 e(ing) tīa'i待つ neiいま?
E 'ore tā tātou mā'a e toe 「これ以上私達の食べ物は残っていない」 E 'ore否定tā〜の tātou私達 mā'a食べ物 e(動詞原形マーカー) toe残す
【一人称(除外形)「mātou」私たち、彼らと私(聞き手を除外した私達3人以上)】 'O mātou 'o Hina tei haere mai「私達は、ヒナと共に来ました」 'O(代名詞冠詞) mātou私達 'o(固有名詞冠詞) Hinaヒナ teiいま haere来る maiこちらに
'Ua 'ite mai 'oe ia mātou 「あなたは私たちを見た」 'Ua(動詞完了形マーカー) 'ite見る maiこちら 'oeあなた ia〜を(オブジェクトマーカー) mātou 私達
【二人称「'Outou」あなた達(三人以上)】 'A haere atu 'outou「あなた達は行きなさい」 'A(動詞命令形マーカー) haere行く atuあちらに 'outouあなた達は
'O 'outou 'o vai mā tei haere i te tautai?「誰があなた達(3人以上)と釣りに行きましたか?」 'O(代名詞冠詞) 'outouあなた達 'o vai誰? mā一緒に tei haere行く i〜に(オブジェクトマーカー) te(冠詞) tautai釣り?
【三人称「Rātou」彼ら・彼女ら(三人以上)】 'Ua mārō rātou ia Hina「彼らはヒナと口論した」 'Ua(動詞完了形マーカー) mārō口論 rātou彼ら ia〜と(オブジェクトマーカー) Hinaヒナ (目的語が、物でなく人の場合は、オブジェクトマーカーが「 i 」ではなく「ia」になる)
【近称「teie」これ、ここ、この】 teie fare「この家」、複数冠詞を使うこともできるteie mau fare「これらの家々」 teie nei、ua nei、 tau nei、は、どれも「ここ」という意味です。 特にteie neiは、とてもよく出てきますが、多くは、「ここ」よりも「いま」という意味に使われています。更に「いまここに」という意味に使われている場合もあります。 Nā 'ōrua teie puta 「この本はあなた達のものです」(Nā 'ōrua=あなた達の )(puta=本) Eaha teie?「これは、何ですか?」(eaha=何ですか?) また、歌詞によく出てくるteiは、teieの短縮形で、同じ意味です。更に短縮されたものとしてはtiもあります。
【中称「tena」それ、そこ、その(teie と teraの両方の意味でも使われる中間的な距離感)】 tena fare「その家」、複数冠詞を使うこともできるtena mau fare「それらの家々」 Nō māua tena fare That is our house「それは私たちの家です」(Nō māua=私達の) tena na は「そこ」。 te reira は「それ」。すでに話題に上って了解されていること「そのとおり」 te reira ra は「それ」。時、場所についてすでに話題に上がって了解されていること 「以上のとおり」 Eaha tena?「それは、何ですか?」(eaha=何ですか?)