最後の一行ですが Iaそのとき(仮定) hi'o見る vau私 ia〜を 'oeあなた 「私があなたを見るとき」 最初の「Ia」は、仮定を表す動詞マーカーです。 さびからの二行目・三行目が 「あなたのそのときのすべての所作」 「心がとても乱れる」 となっていますが、最後の一行で、そうなるときの前提条件を示しているということです。 「hi'o」は「見る」なので、「Ia hi'o」なら、「見たとするならば」「見るときに」になります。 「vau」は、主語で「私は・私が」です。「vau」と「au」は、どちらも「私は・私が」ですが、直前の単語の末尾が「eまたはi 」なら「au」、「a・u・o」なら「vau」になります。日本語に訳するときは、区別のしようがありません。 後ろの方の「ia」は、前置詞で「〜を」という意味ですので、「ia 'oe」なら、「あなたを」になります。「hi'o(見る)」は、他動詞なので、「直接目的語」が必要です。 例えば、「立つ」「目覚める」「歩く」などは、自分が勝手にやることで、対象になる他人や物が無くても動作が完結します。このような動詞を「自動詞」と呼びます。しかし、「殴る」「食べる」「愛する」「見る」などは、動作の及ぶ対象がないと成り立ちません。このような動詞を「他動詞」と言います。 「hi'o(見る)」は、他動詞で「対象=オブジェクト(直接目的語)」が必要なので、それが「'oe(あなた)」になります。そして、そのオブジェクトの目印として、直前に「ia」が置かれ、これを「オブジェクトマーカー」と呼びます。オブジェクトマーカーは、「人(人称代名詞)」のときには「ia」ですが、「物」のときには「i」になります。「物」のときには「冠詞」が付くので、実際は「i te」の形となります。「i te i'a(その魚を)」「i te 'uri(その犬を)」という具合です。 この最後の一行が、タヒチ語の構文でもっとも重要なもので、基本中の基本と呼べるものです。この型から倒置があったり省略があったり装飾があったりで、様々な表現がなされます。 タヒチ語の基本文型は 「動詞+主語+i te+目的語」です。目的語が人の場合は「動詞+主語+ia+目的語」となります。 通常、動詞にはアスペクトマーカーが付きます。「E(未来形)」「'Ua(完了形)」「A(命令形)」「Ia(仮定形)」などです。 主語は、動作の主で、多くは人称代名詞「au(私は)」「'oe(あなたは)」「tauaあなたたちは」などです。 目的語は、あらゆるものが対象となります。 「E 'amu 'oe i i'a」(あなたは魚を食べる)'amu食べる、i'a魚 「E here au ia 'oe」(私はあなたを愛します)here愛する
Iaそのとき(仮定) hi'o見る vau私 ia〜を 'oeあなた 「私があなたを見るとき」
以上です。 以下に全曲の翻訳例を挙げておきます。 「E poti'i」 (若い娘よ)
E, e poti'i tapiri mai na e aparau taua 「若い娘よ、こっちにおいで、そして 私たち二人はお話をしましょう」 I ni'a i te one i taha tai motu maru 「静かな島の、浜辺の砂の上で」 (さび) To 'oe hoho'a haviti 「あなたの美しい姿」 Ta 'oe ra mau peu 'ato'a 「あなたのそのときのすべての所作」 E taviri roa te ferurira'a 「心がとても乱れる」 Ia hi'o vau ia 'oe 「私があなたを見るとき」