ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

タヒチ語の文法コミュの実践編1「E poti'i」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
一言で、「タヒチの歌」と言っても、童謡レベルから演歌、その土地を知っていないと解らない御当地ソング、更には神話や伝説に基づくものから宗教歌まで多種多様ですが、その中から文法的に解り易いものを選んで詳しく説明してみます。

「E poti'i」
(若い娘)

E, e poti'i, tapiri mai na e a parau taua
「若い娘よ、こっちにおいで、そして 私たち二人はお話をしましょう」

「e」の用法
この歌には、「e」の異なる用法が4つ出てきます。
冒頭の「E,」は呼びかけです「ねぇ」とか「お〜い」ですが、この歌は島影でのデートを歌ったものなので、「ねぇ」と呼びかけたと致しましょう。
次に続く「e」は不定冠詞、すなわち名詞のマーカーです。英語の「a」に相当します。
「e」は、「動詞の未来形マーカー」の場合もありますが、「poti'i」は「女の子、若い娘」であり、動詞に変わりようが無いので、この「e」は、「名詞のマーカーである不定冠詞」以外の選択はありません。
動詞に変わることのできる名詞とは、例えば、名詞「here(愛、愛人)」は、動詞「here(愛する)」にそのまま用途変更される場合があります。

「tapiri」は、動詞で、「くっつける」という意味ですが、注目すべきは続く「mai」です。「mai」は、「その動詞が話者に向かっての動作である」ことを示す働きをしています。
「tapiri」は、「くっつける」なので、そもそも話者から離れる動作はあり得ませんので、「mai」は、あってもなくても良いようなもので、念のためとか動作の強調というような働きしかしていません。
しかし、たとえば「haere」は、「動くこと」なので、話者に対して「離れて行く」のか「近づいて来る」のか判りません。そこで、話者に近寄って来るのならmaiを付けて「haere mai」、逆に遠ざかるのなら「atu」を付けて「haere atu」と表現します。
単に「Haere!」なら、目の前の人に言う「出て行け!」「さっさと行け」ということになります。「haere」のデフォルト用法は、「話者から離れていく動作」です。
「rava」は、「出発する」ですが、話者が日本にいるとして、誰かが日本から出発してアメリカに向かうのなら、「rava」または「rava atu」ですが、アメリカを出発して日本に向かうのなら「rava mai」となります。
*「mai」の他の用法は、「〜と共に」「〜のように」があります。

「na」は、命令文の命令口調を弱めてお願い(嘆願)や、お誘い(勧誘)にする働きをしています。
実は、「tapiri mai na」は、お願いの文章です。
この文章は、元々は、「A tapiri mai」です。
冒頭の「A」は、「動詞命令形マーカー」と言って、その文章を命令文にする働きがあります。しかし、往々にして省略されます。省略されると、いきなり動詞で始まる不自然な文章になるので、命令文であることが判ります。
命令文は、その文章全体の場面に依存して「命令」「勧誘」「嘆願」に変わります。
相手が、目下なら「命令」、同僚・同輩なら「勧誘」、目上なら「嘆願」になります。
この分の場合、「na」があるので、命令ではなく、「嘆願」が「勧誘」ですが、初対面ならともかく、何回目かのデートという場面なら「勧誘」と思ってよいでしょう。
*「na」には、前置詞として「〜を目指して」「〜によって」「〜のため」など多くの意味があります。そのほか「たったいま」とか「ふたつの」などの意味もあり、文全体や前後の単語で判断します。

続く「e」は、「&」すなわち、「そして」です。
続く語が、動詞でもなければ名詞でもないのであれば、「動詞マーカー」「名詞マーカー(冠詞)」ではないので、その場合は「接続詞(&)」か「関係詞」ということになりますが、たいていは接続詞「そして(&)」です。
「そして」どうするのかが「a parau taua」 ということになりますが、
「a」は、先ほど説明した「動詞命令形マーカー」です。
「parau」は、「話す(動詞)」または「話(名詞)」ですが、動詞マーカーである「A」があるので、「parau」は、動詞の「話す」であり、かつ、文章としては命令文です。しかし、命令されるのが「'oe(あなた)」ではなく「taua(私たち二人)」なので、話者が「私たち二人」に命令することは不可能であり、かつ「私たち二人に」お願いすることも不可能です。そうするとこの文章は「勧誘」であることがわかります。

代名詞「taua」は、「私たち(包括形・双数)」ですが、ハワイ、タヒチなど南太平洋の島々の言語では「私たち」という代名詞は、四種類あります。
まず「二人(双数・または両数)」の場合、そして「三人以上(複数)」の場合。
一方で、「聞き手を含む場合(包括形)」、そして「聞き手を含まない場合(除外形)」があり、この組み合わせで四種類があるのです。
例えば、父親(聞き手)に対して、若い二人が「私たちは結婚します」という場合、「聞き手を除外した(除外形)」「二人(双数)」なので「maua(私たち)」。
その後、父親を誘って「私たちは食事に行きましょう」という場合は、「聞き手を含んだ(包括形)」「三人以上(複数)」なので、「tatou(私たち)」。
さらに、留守番をする母親に向かって「私たち(父親と若い二人の合計三人)は食事に行きます」は「三人以上(複数)」「聞き手除外形」なので、「matou(私たち)」。
一人だけお留守番と言われた母親が怒ったとき、父親が母親に「じゃあ留守番は私たち夫婦二人でしよう」言ったとすると「二人(双数)」「聞き手包括形」なので「taua(私たち)」。
なだめに入った息子が、「じゃあ、食事はみんなで行きましょう」と言ったのなら、父か、母か、全員に対してか、誰に言ったかにかかわらず、「聞き手を含む(包括形)」「三人以上(複数)」なので、「tatou(私たち)」となります。
 繫雑なようですが、南の島の大家族で、単に「私たち」と言うと、誰と誰を含むのか混乱するので、厳密な四種類の「私たち」になったのだと思われます。
しかし、タヒチ語を日本語に翻訳する場合は、どの場合でも「私たち」としておけばよいので楽なのですが、「私たち二人は」とか「私たちみんなが」くらいの書き分けはしておいても良いと思います。

一行目のまとめ
E〜よ(呼び掛け), e(冠詞) poti'i若い娘, tapiriくっつく、寄る maiこちら(直前の動詞が、話者への方向に向かう動作であることを示す小辞) na(命令文を柔らかくする小辞) eそして(接続詞=&) a(動詞命令形マーカー) parau話す taua私たち二人(聞き手包括形)
「若い娘よ、ここちらにおいで、そして 二人でお話をしましょう」

二行目
I ni'a i te one i tahatai motu maru
「静かな島の、浜辺の砂の上で」

この文は、この物語の場面設定を伝える一行となっています。
「motu」は、名詞で「島」
その後ろの「maru」は、形容詞で「静かな」「穏やかな」「温和な」「優しい」など、平和的な意味があります。
タヒチ語の形容は「形容されるもの」+「形容詞」という語順で、日本語と逆になります。日本語や英語は「形容詞」+「形容されるもの」という語順、例えば「きれいな花」「静かな午後」ですが、タヒチ語は逆に並びます。
「motu maru」は「静かな島」という意味になります。
「i tahatai」の「i」は、「中に・中で」「上に・上で」などのときの「〜に・〜で」という意味の「場所を示す前置詞」ですが、翻訳する場合は、まず「〜において」という言葉を当てはめてみます。
「tahatai」は、「岸辺」「浜辺」という意味なので、「i tahatai」なら「浜辺において」と訳しておきます。
先に「motu maru」「静かな島」という場所が示されていますが、これが、「どのような浜辺か?どこの浜辺か?」という疑問に対する答えとなっています。
この物語の場所の説明としては「i tahatai(浜辺において)」だけでもよいのですが、詳しい説明と言う意味で「motu maru(静かな島)」が追加されているということです。
その前の「i te one」ですが、「one」は「砂」、「te」は定冠詞ですので、翻訳しないか、「その」という訳語をあてるかのどちらかです。英語の「the」だと思えば大体よいのですが、限定的な意味の定冠詞というよりも「そのようなもの」という、漠然としたニュアンスのほうが、解釈には適切である場合もあります。
「i」は、「〜に・〜で(場所を示す前置詞)」ですが、先ほどと同じく「〜において」としておきます。「i te one」「砂において」
冒頭の「I ni'a」ですが、「I」は、「〜に・〜で」「〜において」ですが、次に「ni'a(上)」が来るので、「I ni'a」は「上に・上で」あるいは「上において」となります。
「i」+「場所」は、熟語で「〜に」ですので、覚えておく必要があります。
「場所」を示す語としては「raro(下)」「mua(前)」「roto(内)」「vaho(外)」「reira(そこ)」「nei(ここ)」など、たくさんありますが、「i」とセットになっている場合が大半で「i」を「〜に・〜で」または「〜において」と翻訳すると意味がとおります。
そうしますと、「I ni'a i te one i tahatai motu maru」は「静かな島の浜辺における、砂の上において」ということになるので、これを歌詞らしく整えると「静かな島の砂浜の上で」となります。タヒチ語の文章は、今回の例の様に、うしろから前へと訳していくと意味が把握しやすい場合が多いです。
I〜で ni'a上 i〜における te(冠詞) one砂 i〜における tahatai浜辺 motu島 maru静かな
「静かな島の、浜辺の砂の上で」

(さび)
To 'oe hoho'a haviti
「あなたの美しい姿」

「To」は、「所有を示す前置詞」で「〜の」と翻訳します。「'oe」は、「あなた」なので、「To 'oe」なら「あなたの」となります。また「To」だけでも「あなたの」という意味があるので、「To 'oe hoho'a」でも、'oe無しの「To hoho'a」でも「あなたの姿」になります。「to tino(あなたの体)」「to mata(あなたの目)」などは、よく出てきます。「tou tino(あなたの体)」「tou mata(あなたの目)」のように、「to」が「tou(あなたの)」になっている場合も同じですが、「tou」でなく「to'u」なら「私の」になりますので、要注意です。「to'u fare(私の家)」「to'u fenua(私の祖国)」などは、よく出てきますね。「'」の有る・無しで意味が間逆(私の・あなたの)になるので要注意です。
「hoho'a」は、「写真、画像、姿、外観、形態、図」などの意味です。
さきほどの「motu maru(静かな島)」と同じ構文「形容される名詞+形容詞」として、「hoho'a haviti(美しい姿)」が出てきます。「Haviti」は、「美しい」という意味の形容詞です。
To〜の 'oeあなた hoho'a姿 haviti美しい」
「あなたの美しい姿」簡単ですね。

(さびの二行目)
Ta〜の 'oeあなた raそのときの mau多くの peu所作 'ato'aすべて
「あなたのそのときのすべての所作」

「Ta」は、前項の「To」とまったく同じ意味ですが、「Ta」と「To」は、所有する対象によって使い分けられます。例外はあるのですが、原則として、自分が自分の意思で選べないもの、例えば「身体」「顔」「親」などは「To」で、自分の意思で、選んだり所有したり出来るものは「Ta」例えば、「本」「食べ物」「習慣」「衣服」などです。これは、所有に関しての「Oクラス(Oグループ)(強い所有)」、「Aクラス(Aグループ)(弱い所有)」と呼ばれるものの原則ですので、覚えておくとよいのですが、日本語に翻訳するときは、「A」「O」にかかわらず、「〜の」と翻訳するだけのことです。例えば、同じ「私の〜」でも、「To'u fenua(私の祖国)」は「Oクラス」、「Ta'u here(私の愛人)」は「Aクラス」ですが、日本語ではどちらも「私の」であり、翻訳するときには「A/O」をの違いを書き分けることはできません。「Ta'u」「To'u」の一文字の違いはお解かりですね。
「Ta 'oe」は、「あなたの」ですが、それを受けるのが、「ra mau peu」です。これは、熟語で「習慣」と言う意味ですが、分解すると「ra(そのとき)」「mau(多くの)」「peu(仕草、行儀、動作)」ということになり、これは自分で選べるものなので、所有小辞は「To」でなく「Ta」になっているということです。
「'ato'a」は、「各々、すべて」という意味です。
Ta〜の 'oeあなた raそのときの mau多くの peu所作、動作 'ato'aすべて
「あなたのそのときのすべての所作」

(さびの三行目)
E(動詞未来形マーカー) taviriねじる、よじる roa大変、とても、非常に te(冠詞) ferurira'a心の中の思考、頭の中の考え、
「心がとても乱れる」
この「E」は、続く動詞が未来形であることを示すマーカーです。「未来形」というのは、動詞の原形で、辞書を引くときに、あるいは引いたときに使われる形です。
「taviri」は、「ねじる」ですが、直後に「roa」があるので、「非常にねじる」という意味になります。
「roa」は、タヒチ語における「比較級」を表す小辞で、英語における「more」「−er」の役目をします。直前の単語を増幅・増長・増量させるということです。
「te」は、定冠詞で「名詞のマーカー」とも言えます。英語の「the」にあたるとされています。「ferurira'a」は、「思考、考え」という名詞ですが、末尾の「−ra'a」は、形容詞や動詞に接尾して、その単語を名詞に変化させる働きをします。「feruri」は、「考える」という意味の動詞ですが「ra'a」が付くことによって名詞化されています。
E(動詞未来形マーカー) taviriねじる、よじる roa大変、とても、非常に te(冠詞) ferurira'a心の中の思考、頭の中の考え、
直訳では「思考が非常によじれる」ですので、詩的にすると「心がとても乱れる」となります。

最後の一行ですが
Iaそのとき(仮定) hi'o見る vau私 ia〜を 'oeあなた
「私があなたを見るとき」
最初の「Ia」は、仮定を表す動詞マーカーです。
さびからの二行目・三行目が
「あなたのそのときのすべての所作」
「心がとても乱れる」
となっていますが、最後の一行で、そうなるときの前提条件を示しているということです。
「hi'o」は「見る」なので、「Ia hi'o」なら、「見たとするならば」「見るときに」になります。
「vau」は、主語で「私は・私が」です。「vau」と「au」は、どちらも「私は・私が」ですが、直前の単語の末尾が「eまたはi 」なら「au」、「a・u・o」なら「vau」になります。日本語に訳するときは、区別のしようがありません。
後ろの方の「ia」は、前置詞で「〜を」という意味ですので、「ia 'oe」なら、「あなたを」になります。「hi'o(見る)」は、他動詞なので、「直接目的語」が必要です。
例えば、「立つ」「目覚める」「歩く」などは、自分が勝手にやることで、対象になる他人や物が無くても動作が完結します。このような動詞を「自動詞」と呼びます。しかし、「殴る」「食べる」「愛する」「見る」などは、動作の及ぶ対象がないと成り立ちません。このような動詞を「他動詞」と言います。
「hi'o(見る)」は、他動詞で「対象=オブジェクト(直接目的語)」が必要なので、それが「'oe(あなた)」になります。そして、そのオブジェクトの目印として、直前に「ia」が置かれ、これを「オブジェクトマーカー」と呼びます。オブジェクトマーカーは、「人(人称代名詞)」のときには「ia」ですが、「物」のときには「i」になります。「物」のときには「冠詞」が付くので、実際は「i te」の形となります。「i te i'a(その魚を)」「i te 'uri(その犬を)」という具合です。
この最後の一行が、タヒチ語の構文でもっとも重要なもので、基本中の基本と呼べるものです。この型から倒置があったり省略があったり装飾があったりで、様々な表現がなされます。
タヒチ語の基本文型は
「動詞+主語+i te+目的語」です。目的語が人の場合は「動詞+主語+ia+目的語」となります。
通常、動詞にはアスペクトマーカーが付きます。「E(未来形)」「'Ua(完了形)」「A(命令形)」「Ia(仮定形)」などです。
主語は、動作の主で、多くは人称代名詞「au(私は)」「'oe(あなたは)」「tauaあなたたちは」などです。
目的語は、あらゆるものが対象となります。
「E 'amu 'oe i i'a」(あなたは魚を食べる)'amu食べる、i'a魚
「E here au ia 'oe」(私はあなたを愛します)here愛する

Iaそのとき(仮定) hi'o見る vau私 ia〜を 'oeあなた
「私があなたを見るとき」

以上です。
以下に全曲の翻訳例を挙げておきます。
「E poti'i」
(若い娘よ)

E, e poti'i tapiri mai na e aparau taua
「若い娘よ、こっちにおいで、そして 私たち二人はお話をしましょう」
I ni'a i te one i taha tai motu maru
「静かな島の、浜辺の砂の上で」
(さび)
To 'oe hoho'a haviti
「あなたの美しい姿」
Ta 'oe ra mau peu 'ato'a
「あなたのそのときのすべての所作」
E taviri roa te ferurira'a
「心がとても乱れる」
Ia hi'o vau ia 'oe
「私があなたを見るとき」

参考動画 歌詞に忠実な振り付けになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZO5YdMmVM1Q

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

タヒチ語の文法 更新情報

タヒチ語の文法のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。