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テレビの中の熱き人々コミュの「馬鹿一代」テレビの中の熱き人々 その2

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「馬鹿一代」テレビの中の熱き人々 その2

馬鹿一代とは、清原のことである。西武から、巨人へ、そしてオリックスバッファローズのユニフォームを着た野球馬鹿のことである。昨年の巨人在籍中に度重なる故障。だれもが清原の引退を予感した年であった。その清原が、イチローの前で笑っていた。イチローは清原のことを「清原さん」と先輩を呼ぶための「さん」ではなく、大いなる敬愛をこめて「清原さん」とテレビの中で連呼していた。
昨年も、その前の年も、つまり巨人に在籍している清原は嫌いだった。『番長』とか言われ、ただただイカツイ風貌だけで、球場を、街中を闊歩するその姿は、野球馬鹿にほど遠い馬鹿だった。巨人という巨大なモナカ饅頭に押しつぶされそうになっていた。巨人という砂でできた勲章を胸に、巨人らしく、巨人の頂点としてあり続ける蝉の脱け殻だった。
組織の軋轢に翻弄され、時に反旗を翻し、時に巨人という暗黒大星雲に飲み込まれて、もがいていた。その反動を清原は、白球をスタンドにたたき込むことで払拭し、ある意味正当化しようとしていた。
私はテレビの中の清原を、そんな野球選手として見続けていた。
その男の頬がこけていた。腰まわりも、太股も。まるで全身が小さくなったような、そんな清原をテレビの中に見た。それは、清原が小さくなったのではない。彼に憑依していたメレンゲのようなプライドが体内に蘇った熱き情熱によって全て溶け出してしまったのだ。そして、彼は笑っていた。その笑顔は、口を斜めに歪めた去年までの笑顔とはちがう。
まるでキャッチボールが大好きな野球少年のように、屈託なく笑っていた。数カ月前、入団を決意した夜。清原はテレビの中で、「仰木監督」という言葉を、涙を飲み込んだ震える口で何度も言った。私は、テレビの中で、日に焼けた頬に光るものを確かに見た。そのテレビをみている私の目もゆっくりとかすれていった。胸が熱かった。リモコンを握りしめた手が熱かった。
その数日後の入団記者会見。清原は、笑っていた。白い歯が報道陣のフラッシュに輝いて見えた。テレビは、そんな清原のデカイ顔を大写しにする。いい顔をしていた。
馬鹿がパリーグに戻ってきた。馬鹿が関西に戻ってきた。
そこは、彼の野球の聖地なのだ。馬鹿一代。熱く燃え尽きる清原を、私は瞬きもせず見続けたい。発光するブラウン管に、本物の馬鹿一代を見届けるのだ。
打て清原。たたき込めスタンドに。蹴りあげろ、ホームベースを。
お願いだ、喉がからからに乾く、ビールの美味い戦いを見せてくれ。

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