象眼３ｒｄコミュの０１６－２＃心のお話し諸々、２／３

前
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ヒマでググっていたらオモシロイのがあった。

ラカン精神科学研究所
「Ｗｅｂﾏｶﾞｼﾞﾝ月刊精神分析シリーズ」
http://agency-inc.com/lacan/#2355

色々な事例があるが、今回、関係する話しをひとつ。

「探偵ナイトスクープ」
おまけ：①レイテ島からのハガキ（承認と賞賛）
http://agency-inc.com/knight-scoop/#1542

【承認と賞賛はなぜ必要か？】

　「自己愛」を高めることだから。
　様々な悩みや不安は、その問題の解決方法が見いだせ
　なかったりするだけではなく、それらに向き合ってゆく
　意欲、所謂、心的エネルギーが不足している事が大きな
　一因。その心的エネルギーはどこから湧いてくるか？

　それは「自己愛」を高めることから。
　自己愛には三つの要素がある。
　「自己肯定感」「自己価値観」「自信」
　自己肯定感は自分で自分を肯定できる（良しと思える）こと。
　自己価値観は自分は生きるに値する存在であると思えること。
　自信は自分を信じられること。

　では、自己愛はどのようにして作られるのか？
　それは対象恒常性と基本的信頼感から。
　対象恒常性は、常に側にいて、まなざしとスキンシップを要求
　に応じて与えてくれるただ一人の人が居ることから、人の精神
　内界に作られる（＝内在化）。
　ただ側にいるだけではなく、要求に対して敏速に的確に行動で
　応えられることがその条件となる。
　基本的信頼感は対象恒常性を基礎に「どんな私でも受け入れて
　くれる（＝オールOK）体験」によって培われる。
　つまり、承認と賞賛から作り上げられる。

　ここでいう承認とは要求を聞き入れることを意味する。
　要求に対する是非は持ち込まないことが前提となる。
　その要求は正しいか、間違っているかの判断は持ち込まないこと。
　要求の内容と、要求するその人自体とは別だと認識する視点が大切。
　もし、その要求が良くない内容だとしても、要求するその人が悪い
　とは限らないということであり、
　言い換えれば、要求の内容に対しては反対だが、あなたが嫌いと
　いう訳ではないということである。
　基本的にその要求の是非は要求する本人が一番知っているものである。

　では、なぜ悪いと知っているのに要求するのか？
　それは、相手を試していると言える。
　つまり「これでも私を受け入れてくれる？愛してくれる？見捨てない？」
　これを受け入れられたなら、それからは不必要な要求はしなくなる。
　なぜなら、もう試さなくても私を見捨てない、肯定してくれるという
　基本的信頼感が持てたから。

　そして、褒めるに価する言動に対しては適切な賞賛を与えること。
　過剰な賞賛、あるいは交換条件付きな賞賛はしないこと。
　たとえば
　頑張ったからこれを買ってあげるとか、言う事聞いてあげるなどなど。
　よく頑張ったね！良かったね！など共に喜び、分かち合い賞賛すること。
　これを共感するという。
　決して上から目線での物言いはしないこと。

　これらの対象恒常性と基本的信頼感を持てたなら、人はより自己愛を
　高められるであろう。
　人は、何よりも自己愛を傷つけられることを一番恐れ、ひいては自己
　肯定感、自己価値観や自信がゆらぎ、生きるエネルギーが枯渇する一因
　となる。
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＜問いが間違い＞

この精神分析の説明だが、
大筋については特に反対はしないし、セラピーなどで、こういう分析で
クライアントを治療する事も間違いとの断言はしないのだが・・・。

この精神分析の説明は因果律において因果が、ほぼ、すべて間違っている。
「因」問題の立て方は大筋で良いと思うのだが、どうして、ここまで「果」
をハズせるか？が不思議である。しかし、得心する事はある。

Ｑ、承認と賞賛はなぜ必要か？
Ａ、「自己愛」を高めることだから

この話しのすべての出発点である、この因果が間違っているからだ。
さて師匠として、この問いを修正しよう。

Ｑ、承認と賞賛はなぜ必要か？
Ａ、ドチラも必要ない

それは思索としても瞑想としても現実生活の実体験としても、
「自己愛を高めること」において「承認と賞賛は何ら関係なかった」
という事実を小生自身が理解／体験済みだからである。

質問を変えよう
この精神分析なら、
Ｑ、「自己愛」を高めるにはどうするか？
Ａ、承認と賞賛を与える
となる。この問いにすれば、直感的に「おや？」と引っかかるハズだ。
では師匠が修正しよう。
Ｑ、「自己愛」を高めるにはどうするか？
Ａ、自己が自己を愛する、しかない

「アホ！自己が自己を愛する為にこそ承認と賞賛だろ！」ってか。
この点は微妙である。
自己愛が内発から来るのか、外部から来るのか？という点において
小生は「内発からしか起こり得ない」と言っているのだ。
もっと詳細緻密に言うと、
内発から来る自己愛、その為にこそ、呼び水としての外発性＝承認と
賞賛は必要だ！
という論点は確かにある事はある、ソレは否定しない。
しかし「自己愛獲得＝承認と賞賛」と断言すれば、やはり間違う＝
因果を見落とす。
妥協できる表現なら「自己愛獲得＝承認と賞賛という場合もある」
なら賛成だ。
「しかし、自己愛獲得の本質／本義は、自己＝内発である」
ソレを言ってから補足として
「自己愛獲得＝承認と賞賛という場合もある」
を述べるべきである。そうしないと、「自己愛獲得＝承認と賞賛」
部分だけを愚直にマジメに履行する善意の者が、失敗して、最後に
泣きをみるからだ。

師匠として「自己愛獲得」の経緯を述べる。

・自己愛獲得、したい。
・しかし、出来ない。
・出来た／出来ないの日々の連続が始まる。
・自己葛藤を生む。
　（この自然発露による自己葛藤の形成は相当、重要である）
・満足ばかりではない、不満足ばかりでもない
・そういう五感＝感性を、まず形成しておいてから、
・その主体が現実世界（両親／他人／人間でないモノ）と接して行く
　（この因果、順番が重要である）、その過程で、
・自己投影ばかりでなく、自己否定ばかりでなく、
・そういう主体で関係性を確立していく
ココで最重要！
・その主体を、常に｢受容｣で支える環境
・それらが揃えば自己は誰も言わずとも、手法を講じずとも、
　それまで形成してきた土台に従って自己によって自己愛を獲得
　していく＝自己愛を内発的に獲得する
のであ～る。ホントかね？ってか。

前述で、本精神分析を批判的に言っているが、実は、諸々個別の
分析／手法は何ら間違っておらず、個別個別においては、小生が示した
「自己愛獲得の経緯」の因果＝順番の中に位置付ける事は可能だ。
しかし、それら局所局所をトータル的にみれば、最大命題が間違って
いれば、局所局所での正しさも結果的（因果の果）には間違うのだ。
（だから因果律は重要なのである）

幼児の魂は無垢である。アナタが想像／イメージする以上に広大な
海のような｢無・性｣を持っている。その広さは何でも投入可能である。
幼児は（オトナが数十年かかって理解する様な）この世の不条理すら
受け入れる事ができる。
アナタが幼児を信頼するなら、アナタが数十年生きてきて知り得た事
のすべてを託すべきだ。但し、受容を実践した上で、ね・・・。
その時、幼児は｢豊穣な生｣を生きる事ができる、｢豊穣な生｣を生きる
作法、というかセンスを得る。後は本人次第、運次第、本人の能力の
問題で、ソレは他人でも両親ですらも、どうする事もできない。

だってヒトは何からも自由なのだから・・・。

心配はいらない。ヒトは、そうなる様にできている。
ある程度の堆肥と、ある程度の水と、ある程度の太陽があれば、
ひまわりは例外なく、あの元気のよい、美しい花を咲かす。
ひまわりにとって美しい花を咲かす事は苦でも何でもない。
ひまわりは美しい花を咲かす事しかできない。

ヒトもまったく同じだ。
只、ある程度の堆肥と、ある程度の水と、ある程度の太陽、その
｢ある程度｣が、ひどく難しくなっている。
｢ある程度｣なのに｢すべては堆肥だ｣｢すべては水だ｣｢すべては太陽だ｣
となる。
｢ある程度｣だからこそ「堆肥も水も太陽も」与えられる。
「すべては」だから「堆肥も水も太陽も」与えられない。
或いは「太陽を与えたら」「次に水を与え」「最後に堆肥を用意せよ」
と因果を滅茶苦茶にする。

こんな不可思議かつ難解な事をやって、ひまわりの様な簡単な事が
できない事が不思議である。
象眼テッパン「正しい事はすべからく簡単な事」である。
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さて、その上で本精神分析だが。

自己愛３要素。「自己肯定感」「自己価値観」「自信」
　自己肯定感は自分で自分を肯定できる（良しと思える）こと。
　自己価値観は自分は生きるに値する存在であると思えること。
　自信は自分を信じられること。

これも因果で間違い。
自己愛３要素はすべて同じ事だ。
・自己肯定を得れば瞬時に自己価値／自信を得る。
・自己価値を得れば瞬時に自己肯定／自信を得る。
・自信を得れば瞬時に自己肯定／自己価値を得る。
自己愛３要素は自己愛を、単に表現を変えて言っているだけで、
「自己愛の要素」ではなく自己愛そのものである。

その後の「自己愛はどのようにして作られるのか？」以降のくだり
は局所局所としてはまったく間違っていないが、危険性がある。
これは「言葉の恣意性」に依拠する危険である。

「スキンシップ～人の精神内界に作られる（＝内在化）」は明確に
間違い。内在化は起こらない（どういう意図で内在と表現しているか？
が不明だが）。
スキンシップは徹頭徹尾、信頼に足る外在化を強化する。外在化が信頼
で強化されるから内在＝精神内界が強化されるという因果である。
そういう意味で内在が強化されるという意味での内在化ならよいが、
だとすればやはり言葉足らずである。

　「承認とは要求を聞き入れることを意味する・・・」

このくだりは個別個別を詳細に説明してはいるが、やはり事実としては
「承認は要求を聞き入れる事とは因果しない」が正解である。
正解は「承認は、要求云々抜きに、まさに、ただ、承認」である。
だって、本分でも「是非は持ち込まない」と言っている。己で言って
己で外しているという器用である。
「是非は持ち込まない」のであれば、そういう者に対して要求する事は
そもそも出来ない。「要求という質」が既に消滅している。
この精神分析の真の焦点は、
・「是非は持ち込まない」という主体によって
・要求する者の要求性が消される
・要求している者から要求するという必然性がなくなる
・つまり要求不要＝信頼の形成
という事が要点なのである。
この精神分析は、この点も、
・悪いと知っているのに要求するのか？
・相手を試している
・もう試さなくても私を見捨てない、肯定してくれる
・基本的信頼感が持てたから
という因果を提示するが、実際に起こっている事は前述のとおりだ。
いずれも信頼形成という果だが、その過程が違う。

「悪いと知って試す→試す必要がなくなり信頼する」
こういう損得的な信頼形成の説明はヒトの魂を矮小化するものだ。
勿論、こういう局面もたまにはあろう。しかし、コレが全てではない、
というか、ほとんど、コレではない。

褒めるに価する言動に対しては適切な賞賛を与える＝共感

としているが、まあ、ソレも善き事だとは思う。否定はしない。
しかし、もっと善き、もっと大きな信頼／共感獲得の経緯がある。
例）
・父は、私がどんな善行をしても世間に褒められても、
　私を褒める事は決してなかった。
・幼少期から私は、その事でずっと父に不満／不信だった
・私は家族を持ち、それでも老いた父は褒めなかった
・そんな父が病気入院のベッドで私に言った
・たった一言「オマエは大したもんだ・・・」と
・生涯でたった一言、褒めた言葉。そして父は逝った
・私は○十年の父への不満／不信が、一瞬で父への信頼に変わった

ある種理想的な美談であるが、多くの者はコチラに近いのではないか？
言いたいポイントはこうだ。

・この美談の親子は
・実はずっと信頼があって
・子供も実は潜在的にはそのベースを感じていて
・だからこそ、己が家族を持てたのであり
・父の生涯一度の褒め言葉が子供のすべてを反転させたのであり
　（子供は己が創作した夢から覚めた）
・そういう父と子にはずっと共感があったのである

賞賛が与えられずとも共感は会得できる。
更には
賞賛も何らも与えられずとも＝何らの理由なく共感を会得する事はできる。
そして
理由なき共感を可能にするモノ、それは受容であり慈悲である。
となる。
逆に言えば
理由によって与えられる共感であるなら、理由が消失した時、理由に疑義が
生じた時、瞬時に容易に共感が崩壊する。
という事。

・何事も、
・「ソレ」について「理由」があるなら、
・それは「ソレ」が大切なのではなく
・「ソレ」の「理由」の方が大切になっている、
・という自己倒錯が起こっている。

父親修行中の弟子ならドンピシャな問いだが、
Ｑ、己の子供がいとおしい、ソレに理由などあるのか？
である。答えは「言わずもがな」だろう。
親が子をいとおしいと愛する事に理由などない。

森羅万象、すべからく。
最も強固なモノは、すべて理由がない。故に強固である。

・・・という事が腑に落ちるなら

「人は、何よりも自己愛を傷つけられることを一番恐れる」

これが明確に間違いである事を理解するのは容易だろう。
ヒトはあらゆるモノ／事を恐れる資質・本質がある。
「自己愛喪失が一番」などという現実はまったく無い。そういうヒトも
いる、という程度。

では、師匠が修正しよう。
・ヒトが己を知る聡明さを保持しているなら
・会得した自己愛を失う事はない
　（まあ、疑念や不安、程度のゆらぎはあろうが）
・それでも多くの者が自己愛喪失を実感する事はある
・ソレは自己愛喪失ではなく、自己エゴ喪失である
・ヒトはエゴを愛と錯覚して、エゴ喪失を恐れる
これが、自己愛喪失で恐い！と主張する者に起こっている事である。
そもそも、そう主張するヒトは前述のとおり、
・その自己愛に理由があったのであり、
・理由ある自己愛はエセ自己愛＝己のエゴであり、
・そういうヒトでも実はしっかり自己愛はあって
・己で己の事に気付いていない
という事。

昔・・・
小生に対して好意を持つ女性がいた（実話）。
小生は彼女に好意は無かった。
女性は小生に対して己の幼少期を告白した。
「私は幼少の頃、母親に抱かれた事が一度もない」
彼女は精神分析の知識を有しており、己の現状の不満を幼少期の
母によるトラウマだ、とのストーリーを押し出していた。
小生は詳細は何も聞かず、即答で、
「ソレはウソだ！」
と返した。
「母はアナタを何度も抱きしめていたハズだ」
「それを覚えていない、忘れた、忘れたい、とするアナタの事情は
　知らんが、母は絶対にアナタを抱いている」
と。
この女性は自己愛を喪失していたのだろうか？
まったく逆である。
自己愛のかたまりだったのだ。そして、その自己愛も理由のある自己愛
エセ自己愛、つまり単に自己中＝己のエゴである。
そういう意味でなら、女性は真の自己愛を見失っていたとも言える。
しかし、女性は「真の自己愛を見失っている・・・という自分」を演じて
いたのであり、実は真の自己愛は潜在的無自覚ではあるが、保持していた
事は、一緒に仕事をする日常の中で、ハッキリしていた。
まあ「悲劇のヒロインを演じていた」のである。そういう女性性を否定
するつもりはない。そういう感性／想像力ができる人という点は、ある種
魅力的といえる。しかし、だからと言って、ウソのトラウマ話しを相談
されても困る。好意も無いヒトから・・・。

話しを戻す。
本精神分析は、すべて部分部分については、間違いでもないが、
「そこまで分析できていながら、どうして大枠の因果を外すかな？」と
いう程、すべての因果律が間違っている。
だから、
こういうケースにドンピシャの人なら、この分析で悩みが解消する可能性
はあるが、この分析で悩みが解消しない人の方が多いだろう。

精神分析って、こういうモンなのかね。
仮に、こういう知識者が仏門に入って修行したら、間違いなく日々の修行で
「このバカ者め！オマエはどこを観ているのだ！」と喝だろうな。
（ヒマなので禅問答集をググっているところ）

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