今回の展覧会「UKAWA NAOHIRO - A Series of Interpreted Catharsis episode2 - earthquake」は、自然災害が人間の心理に及ぼす様々な影響について、宇川直宏が進めている研究の一環です。京都大学防災研究所が運営する"日本自然災害学会"会員でもある宇川直宏は、今後「A Series of Interpreted Catharsis」として、自然災害をテーマとした連作のアート作品を、現代美術の領域から発表していきます。今回展示される作品は、大地震が発生し、その揺れが収まるまでの様子を収めたハイビジョン映像と連続写真のシリーズ、そして日用品などが破壊された瞬間を収めた立体作品のシリーズです。台風、地震、津波、火山噴火などの自然災害は、人々に物質的、経済的、精神的なダメージを与えます。しかし、それらは時として、人々や社会に新たな再出発を促す大きな契機となったりもします。Nanzuka Undergroundに今回展示される作品は、人類の過去と未来に常に付きまとう予測不可能な自然災害への潜在的な恐怖と、人智の及ばない強大なエネルギーに対する畏怖の念、あるいはそれによってリセットされるであろう現状への密かな批判と期待を、鑑賞者に想起させようという試みです。
宇川直宏は、今回の作品について次のように語っています。 「自然災害科学の分野では先進国とされるわが国の防災科学技術を駆使して描き出した今回の展示は、今年10月に森美術館で発表する予定の人工台風作品「A Series of Interpreted Catharsis episode1 - typhoon」に続く、ディザスター・サーガの第2章に位置づけられる作品である。第一章は「予測可能な自然災害(台風)がもたらす意識の高揚と壊滅後のクリエイティブ」がテーマであるが、今回考察する地震については、特にその前者の主題が当てはまらない。台風がもたらす"意識の高揚"は、少しずつ景色が荒れ、徐々に暴風雨に変化するそのグラデーションを帯びた前戯=見慣れた日常風景を歪ませるエフェクティブなフランジャー効果にあるが、地震災害には全くそれがないのだ!!。地震とはサウンドチェックもプレリュードもない大爆音のハーシュノイズなのである!!!!!。この絶対的不可抗力に対して我々人間には一体何が出来るというのか.....。そして、傍若無人に猛威を震うこの"エネルギー体"の正体は、地殻内に生息する活断層の大呻きなのか?それともこれは"天災"の言葉どおり神々が演出したカタルシスなのであろうか?この展示は地震大国日本から世界に鳴らすアースクエイク・アドバイザリーである!!!!!!!」