16世紀の中頃から、このカットワークや後のレティチェラを制作する人々に図案を提供する目的で出版されたパターンブックの発刊が始まりますが、その多くはイタリアにおいて為されたことを見ても、そのことを理解することが出来ると思います。1542年にマティオ・パガン(Matio PAGAN)によって刊行された“Giardinetto novo di punti tagliati et gropposi”を嚆矢として、1557年にはイゼッポ・フォレスト(Iseppo FORESTO)とジョヴァンニ・アントニオ・ビンドーニ(Giovanni Antonio BINDONI)によって同様の図案集が出版され、これには後にカットワークから発展し、より複雑な刺繍を伴うIntagliatela(インタリアテラ)の図案も含まれていました。その後、ボローニャのアウレリィオ・パッセロッティ(Aurelio PASSEROTTI)やヴェネツィアのジョヴァンニ・オスタウス(Giovanni OSTAUS)やフェデリコ・デ・ヴィンチオロ(Federico de VINCIOLO)などによっても図案集は刊行され、どれほど当時ヨーロッパでこの手芸技法が流行したかを窺い知ることが出来ます。