ﾓｰﾂｧﾙﾄ狂信者が嫌い！コミュのｶｰﾙ･ﾌﾚｯｼｭの言葉

　ある音楽家の教養の程度は､
　彼のﾓｰﾂｧﾙﾄに対する関係で
　分かる。相当の歳にならね
　ばﾓｰﾂｧﾙﾄを理解することが
　できない、というのは、よ
　く知られた事実である。若
　い人たちは、ﾓｰﾂｧﾙﾄを単純､
　単調、冗漫だと思う。人生
　という嵐によって純化され
　た人だけが、単純さの崇高
　な要素と、霊感の直接性を
　理解するのである｡

是はﾊﾞｲｵﾘﾆｽﾄで優れた教育家
で有ったCarl Fleschの言葉だ
が、此短い文章を見ただけで､
此人が経験論者で有る事が判
る。善く知られた事実が正し
いとは限ら無いし、歳を取れ
ば取る程、人間は賢く成る訳
でも無い。一向に賢く成ら無
い人、逆にどんどん馬鹿に成
って行く人さえ居るので有る｡

世知には長けるだろうが、ﾓｰ
ﾂｧﾙﾄは然う言う音楽では無い｡

現代日本の若い人達でﾓｰﾂｧﾙﾄ
を単純、単調、冗漫だと思う
のは寧ろ少数派だろう。では､
当時のﾖｰﾛｯﾊﾟの若者は無教養
で、現代日本の若者は当時の
相当の歳の人と同等の教養を
持って居るとでも言うのか？

否！事実は全く其逆で有ろう｡
ﾓｰﾂｧﾙﾄ自身、神童時代、既に
老成して居た訳では無く、逆
に其短い生涯を子供の儘、純
粋無垢に送ったからこそ、あ
の様な音楽が書けたので有る｡

ﾓｰﾂｧﾙﾄの音楽は､“人生という
嵐によって純化された人だけ
が理解出来る、単純さの崇高
な要素と､霊感の直接性”等で
は全く無く、持って生れた物
で有り、古今東西、老若男女
を問わず、ﾓｰﾂｧﾙﾄが好きな人
は、其処に惹かれるので有る｡