ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

Amis コミュの輝く新星たち7

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
横断歩道が見えて来たが横断歩道は渡らず、道路を横切った。
街の指定区域は今、車、自転車は通行禁止になっている。
 ライブしている時間帯は規制されており、歩行者天国となっている。
 安全に考慮して学園が制定しているらしい。
 恐るべし学園の力。
 いつもの車のエンジン音や、わざと吹かして騒音をまき散らしている車の雑音がないから、耳が痛くない。
 替りにアイドル生の歌声が聴こえてくる。
 車の騒音より千倍良い。耳に癒しを与えてくれるよ。
 ライブハウス『ルナティック』の小さな看板が見えてきた。
 あの『ルナティック』で詩乃はライブしている。
 大物を相手するような感じで、少し緊張はあるかも。
(素直じゃないってのが、厄介だな。俺の言葉を素直に訊いてくれないかも)
アピール宣伝で素直ないと書かれている。
俺は熱く語るから、これは通用しないかもしれない。
熱く語り誠意を伝える手段から、今回は違う角度から話してみようかな。
(少し、強気かつ詩乃に悠々とした態度を見せてみよう)
『ルナティック』がある五階建てのビルに着くと、エレベーターで三階へ。
 三階が『ルナティック』がある。
 ―チーン
 着いたよ! という音と共にドアが全開。
 通路を歩いて徐々に歌声が大きくなる。
 観客の声も聞こえ盛り上がりが分かる。
(いざ、詩乃の生ライブを堪能するとしよう)
 ドアを開けると、一気に熱気と大音声が飛んで行った。
 ドアを閉め壁に寄りかかって詩乃の歌を聴き、彼女のダンスや表情を観察し始める。
「詩乃ちゃーーーん」
「最高だよーーーー」
「俺たちの愛しのアイドルだーー」
「詩乃たん。詩乃たん。猛烈可愛い。俺たちのアイドル。うおぉぉぉーーー。いくぞーー」
観客からの声援が飛び交い、ライブのボルテージが上がっている。

まさに、小動物と思わせる小さな背丈。
長く綺麗に伸びている黒髪の左右には小さなリボンを付けている。
(さすが、ドラフト五十以内だけに入っているだけはあるな。歌が上手い。甘く聞き惚れる声をしている。これが、ドラフト候補に挙がっている実力か)
 前にパイプいすが何十台かはあるが満席。
 ほとんど、観客で埋め尽くされているが、俺と同じは九人。
 俺の左右に二人と三人だから、俺を合わせて十五人か。
 これは競争率激しいぞ。
 彼、彼女らも敵だが一番は詩乃が最大の敵だ。
 彼女を上手く説得しないと契約の約束が出来ない。
 気合入れて行くしかないぜ。
 彼女は手振りだけのダンスしかしていない。身体全体を使ったダンスはしていない。
 苦手なのか、ダンスをして歌うことが出来ないのかは分からないけど、これは、後々、改善すべき点だと思う。
 エメラルドに光る双眸に観客は一殺。
 その可愛らしさからトドメにはウィンク。
 彼女は自分を可愛く見せる術を知っている。
 意外に策士だな。
 俺も一瞬、見惚れてしまった。どーーんと射抜かれた。
(彼女は取るべきだな。取れればだけど)
 拍手喝采が鳴り響きライブは終わった。
(さて、いざ、出陣だ!)
 詩乃の許へ行こうと足を進めたが、我先にとプロデュース科の生徒たちが詩乃の許へ行く。
(最初だろうが最後だろうが同じだ。焦っても意味ない)
 我先に詩乃の許へ行くプロデュース科の生徒たちの背中を見て、俺は鼻で笑う。
 詩乃は名刺を次々と貰い、少し苦笑いを浮かべてた。
 そんな表情にはお構いなしのプロデュース科生徒たち。
(取りたい気持ちは分かるが、少しは詩乃の気持ちを考えるべきだ)
 生徒たちの悪態を見ながら憤りを感じた。
 詩乃はこれで全員だと思い、背を向けて足を歩かせた。
「桜川詩乃」
 名を呼ぶと詩乃は振り向いた。
 振り向いた時に靡いた黒髪が美しく、ライブの時とは違い今の詩乃の顔は険しく見えた。
 無理もない。あんなに寄ってたかって名刺を渡されての談合の約束を右から左へとうるさく言われていたのだから。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

Amis  更新情報

Amis のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング