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徹真斎の妄想徒然草子コミュの仮面ライダーD.V.L vol.34

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樫尾大介がまた声を張り上げる。
「それでは、本日の最終プログラム”模擬戦”を開始します!」
来賓の老人達はざわついてはいたものの 各々席に就き個々に配られた茶を啜っていた。
「あぁ やっと始まるのか」
そんな声も聞こえる。
ここは富士演習場 長い休憩を挟んだとて空と緑を愛でる以外に出来る事は皆無に等しい。
「先程も申し上げました通り、この防護服は内圧が異常に高く装着者の体力を著しく・・・」
樫尾が再び説明する声が響く。
「大変だなぁ 樫尾さん」
ミキの何気ない一言にさおりが続く。
「警察官になった時まさかこんな仕事をするとは思わなかったんだろーなぁ」
「はは、違ぇね… え?」
笑おうとして凍りついた大輔に真っ先に気付いたのは本郷だった。
「? どうした?大輔」
「あの白ラン野郎が…」
来賓客の中にあの白い学ラン風の男の姿が無かったのだ。
「慌てるなよ大輔 ヤツならほらあっちに」
なるほど風見の言う通り来賓席から少し離れた所に独り立っていた。
それに対し大輔は
「いや わかってますよ あの野郎だけはずっと目で追ってたんで それよりなんであの野郎だけあんな所に居るのかって話っスよ」
と疑念を募らせた。
「違う角度から見たかった とかではないな おそらく」
そう言う結城に続けて本郷が席から立ち上がる。
「なにかイヤな予感がする みんないつでも変身出来るよう心の準備をしておけ」
「やっぱゴールのヤツらが?!」
腰を浮かせた大輔に風見が答える。
「わからん が、しかしこういう時の先輩の勘はよく当たる」
ゆっくりとそして静かにではあるが本郷達は立ち上がり、来賓席の左右に分かれて立った。
滝に「守らなくていい」と言われた老人達ではあるが やはり仮面ライダーとしての使命感がそうさせたのだ。
本郷達の様子に気付いた滝は来賓席から立って本郷に歩み寄る。
「どうした?何かあったか?」
本郷は事の顛末を手短に話した。
「なるほど しかし老人達には黙っておこう 下手に騒がれでもしたら敵わんからな」
そう言って笑った時、整列していたマジスティック12の背後で爆発が起こった。

「ほぅ やはりおいでなすったか」
口の中で噛み潰すように一文字隼人は小さく呟いた。
「はぃ?マスター何か言いました?」
アミーゴのキッチンで洗い物をしていた明日香が一文字の方に顔だけを向ける。
「なんでもな… いや そうだな ちょっと出掛けてくる しばらく店をよろしく」
そう言うと一文字は明日香の返事を待たずに地下へのエレベーターに消えた。
「ったく 結局富士行くんじゃん」
明日香は大きく一つ溜め息をついた。

城茂が切らした煙草を買って帰ってくると郵便受けに封書が入っていた。
「ん?支払いの督促状じゃなさそうだが…」
事務所のソファーに腰を下ろし煙草に火を点けて面倒臭そうに封を切る。
「お 例のレース、決まったか」
かつてライダー達をサポートした伝説の男 立花藤兵衛が主宰していたタチバナレーシングチームは現在城茂が引き継いでいた。
立花藤兵衛の頃以上に城茂は様々なレーサーを育てあげ、モトクロスレースを中心に国内外にレーサーを送り込んでいた。
今回もまたとあるレースへの参加申請をしていたのだが封書は申請受諾の通知であった。
「直接知らせてやるついでだ、久しぶりに顔を見に行ってみるか」

「まさかコイツに乗る日がこんなに早く来るとはな…」
地下メンテナンスルームの隅、本来一文字と本郷の新サイクロン号が停めてある場所に、所謂双胴船舶にも似た異様な形状のマシンが停められていた。
そう二人の新サイクロン号が繋がった様な外観になっていたのだ。
一文字隼人は車椅子をマシンの隣につけ、ハンドルの脇のスイッチに触れた。
そしてそのまま車椅子をマシンの正面に後ろ向きでつけた。
ゥイィィィィ
微かなモーター音と共にサイクロンに似たマシンは一文字の車椅子を挟み込む形に変形し、車椅子も背もたれが倒れバイクのシートの様な形状に変形した。
一文字の眼前にせり出して来たハンドルを握りアクセルを開ける。
「さぁ 行こうか新しい相棒 強化型サイク… いやトライクロン!」

空が一瞬光ったように見えた。
大輔は何か聞こえた様な気がした。
次の瞬間 突如上空から飛来した針が来賓客を襲う!
ストトトトト!!
心臓、脳天或いは腕や脚を貫かれる者が数名出た。
誰か特定の人間を狙って放たれたものではない。
企業関係者も政府官僚もその護衛も分け隔てなく被害を被っている。
「クソッ ホントに来やがったか?!マジスティック12は電磁シールドを展開!来賓客が車に戻るまで盾になれ!本郷、こっちは気にするな!敵を頼む!」
「動ける人は怪我人に肩を!」
咄嗟に滝が叫び、樫尾が陣頭指揮を取る。
この辺りは日頃の現場主義を絶賛したくなる判断と手際の良さが際立つ。
マジスティック12がライダー達と入れ替わる様に老人達を避難させる。
それを背後に感じながら本郷は爆発の方向、ようやく爆煙がおさまりつつある前方に神経を集中させた。
「人の頭の上でなにやら騒がしいと思ったらこういう事だったか」
聞き覚えのある声に本郷は目を凝らした。
風に散らされる爆煙の中から現れたのは竜崎龍蔵だった。
「竜崎さん もう一発イッときますか?」
竜崎の脇から出てきたのは全身トゲだらけの獣、ヤマアラシの様な怪人であった。
先ほど虚空から降り注いだ針はこの怪人のトゲだったのだ。
「いや もういい、老いた俗物を何人始末したところでこの国はもう変わらんだろう」
「なぜ貴様らがここに居る?!」
薄く笑みを浮かべる竜崎を指差して本郷の叫びが轟く。
「どうした竜崎…」
「は 教主様」
背後から声を掛けられた竜崎は畏まって一歩引いた。
「本郷猛以下仮面ライダー共が集まっているようです」
「ほぅ では日本を離れる前に挨拶の一つもしておいてやろうか」
白いローブの様なものを纏った老人が一歩進み出た。
「貴様がゴール首領 郷田摩周輝太か?!」
握り締めた本郷の拳に熱がこもる。
「そう 私がゴール教団教主にして崇高なるショッカーの理想を具現化する者 郷田摩周輝太である 久しぶりだな 本郷猛よ」
唇の端を薄く歪めて郷田は本郷達を見下ろした。





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