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徹真斎の妄想徒然草子コミュの仮面ライダーD.V.L vol.37

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リュウドラゴンの中に僅かながら焦りがつのりはじめていた。
― いかん 全くスキが無い 流石と言う他無いがしかしこのままでは徒に時間だけが過ぎて行くばかり、せっかくあの本郷猛と手合わせをする機会を得たというのに どうする?どうすれば、どう動けばヤツを倒せ… ハッ そうか そうだったか…
リュウドラゴンはようやく己の内に蟠っていた思いに気付いた。
そして突如変身と構えを解いた。
「?! なんのつもりだ?リュウドラゴン!」
竜崎龍蔵の姿に戻ったリュウドラゴンはジャケットを脱ぎ捨てネクタイをほどいてワイシャツのボタンを胸まで開けて口を開いた。
「本郷猛、いや本郷先生とお呼びすべきか」
どこか吹っ切れたような清々しさすら感じさせる微笑を湛える竜崎龍蔵に1号ライダー本郷猛はもう一度問う。
「なんのつもりだ?」
互いに動けぬ程の緊迫した状況にあったはずが、突如変身を解き 上着を脱ぎ捨て楽な格好に…
それはあたかも生身での闘いを挑んでいるかのようだと思い至った時 1号ライダーも変身を解いて本郷猛の姿に戻った。
「お察し頂けたようですな」
竜崎龍蔵は改めて構えを取り直す。
本郷もまた体をやや半身に開いて構え直した。
「貴様 何故生身の闘いを?」
慎重に間合いを取りながら本郷は問うた。
本郷自身解りすぎるほど解り切った答を。
「本郷先生 あなたは確かに世界を守ってきた仮面ライダーだ しかし同時に高名な武術家でもある おそらく世界規模で見ても貴方に並ぶ武術家は片手で数える程も居ないだろう 世界屈指の武術家と互いに憎しみではなく、互いの”義”を徹す為に闘うというまたとない機会を得た その道に身を置く者としてこれほどの僥倖があろうか?」
そう話しながらゆっくりと間合いを詰めて行く。
「貴方がそうであるように私もまた一個の武術家だったというわけですよ 本郷先生」
竜崎の中に氣が充ちて行く。
「”先生”はやめてもらおうか 貴様ほどの男にそう呼ばれるのはどうにもこそばゆいのでな」
不敵な笑みを見せながら本郷は竜崎の動きを読む。
はち切れんばかりに充ちた氣を一気に解放する瞬間を。
― 来る!!
「きぃいいいぃぇえええぁぁぁぁぁ!!!」
裂帛の気合いと共に竜崎の拳が 蹴りがあらゆる角度から本郷に襲い掛かった。

数秒 ほんの数秒全力疾走してウィッチはその冷静さを取り戻した。
ハチビーはなおも毒針を突き出して追ってくる。
その最中、ウィッチはウィッチスティックを握りしめていた。
走りはじめてすぐ 半ば本能的にベルトの赤いボタンに触れていたのだ。
― へへ やっぱコイツだわ 行くぜ相棒!!
そう確信したウィッチは突如地を蹴り身を翻して後ろに跳ぶ。
頭上を過ぎ行くウィッチを目で追いながら咄嗟に反応出来ずハチビーはウィッチに背中を見せてしまった。
空中で身を捻ったウィッチの踵がハチビーの延髄に炸裂、着地と同時に再び跳び上がったウィッチは倒れ行くハチビーの後頭部を渾身のウィッチスティックで猛打した。
「メガヒットォッ!!!」

デビルは度重なる毒針攻撃の悉くを躱していた。
しかし 未だ反撃の機会を見出だせずにいた。
― 思ったより速くはないんだよなぁ
そう、デビルの動体視力と反射神経をもってすれば躱す事自体はさほど難しくはないスピードであった。
それ故反撃も出来なくはない。
しかし反撃するとなるとどんな技であるにせよ触れなければならない。
それがデビルはイヤだったのだ。
ただただ 触れるのがイヤなのだ。
だがサソリスコーピオンもそれがわかっているからなのか 毒針による攻撃しかしてこない。
「おのれ!のらりくらり躱しやがって!」
― ええいままよ!!
意を決したデビルは毒針を躱すと同時に跳ぶ!
伸び切った毒針を足掛かりに更に跳んで右回し蹴りの爪先をサソリスコーピオンのこめかみに叩き込んだ!
― うわぁ やっぱキモい でもカタい?!
着地して足の裏を地面に幾度も擦り付けるデビルの背後でサソリスコーピオンは
緑色の泡に沈んだ。

「ちぃぃぃえあぁっ!!」
ヤマアラシポーキュパインの貫手が目を狙うがデスは紙一重で躱す。
その手首を掴んだデスが逆関節を極めつつ投げを打ちに行くも瞬時に悟ったヤマアラシポーキュパインは自ら飛んで投げを躱してまた間合いを取る。
これまで数合 互いの技を交わすもきれいに入ったものは1つもなかった。
「さいとー、てめぇ腕ェ上げたじゃねぇか」
その事実にデスは表面上は笑みを浮かべていたが内心舌を巻いていた。
ゴールの手先となった西塔寿雲と再会するまでの間に今の特殊な肉体を手に入れた。
更には本郷や風見に師事して己の技に磨きをかけた。
― その俺にここまで食い下がって来やがるとは… さすがに感心するぜ…
「ハァハァ う、うるせぇ 今日こそ決着をつけるつっ…」
言いかけてヤマアラシポーキュパインは何かを見つけて一瞬気を取られる。
何かの罠かと思ったものの、それがフェイントでないと察知したデスはヤマアラシポーキュパインの視線の先を目だけで追う。
そこには変身を解いて生身で殴り合う本郷と竜崎の姿があった。
「ハァハァそうか どうもいまいちキメきれねぇと思ったらシャカさん あんたのそのスーツのせいだな?生身じゃ俺に勝てねんだろ?そうなんだろ?」
肩で息をしながらヤマアラシポーキュパインは卑怯な真似をするなとばかりにデスを指差す。
「あ”ぁ?なに抜かしやがる ははーんそうか てめぇ竜崎が生身で闘ってんの見て『リューザキさんカッケーっス』とか思って真似しようってんだな?」
嘲笑混じりのデスの言い様がヤマアラシポーキュパインの痛い所に刺さる。
「ばっ、バカヤロゥそ、そんなんじゃねぇそん… てかシャカさんこそマジで生身じゃ俺に勝てねぇから生身になんのがイヤなんだろがよ!」
「こンのクソヤロ…」
口の中で小さく呟いたデスであったがいきなり変身を解除した。
「ほらよ 生身になってやったぜ?かかって来いよ あ?てめえはそのままでいいよ 生身だと俺に勝てねぇからなァ そのまんまぶちのめして緑色の汁に沈めてやっからよぉ」
変身を解いた大輔を見てヤマアラシポーキュパインはしたり顔でほくそ笑む。
「さすがシャカさんだァ 思い切りがいいねェ」
ニヤついた顔を曝してヤマアラシポーキュパインも変身を解いた。

― あやつ何をしておる このままでは…
郷田は焦りを感じていた。
竜崎が郷田の護衛にと残した数体の合成人間を使って脱出準備は済ませ、後は脱出機に乗り込んで飛び立つのみ。
しかし郷田には己一人で逃げる事が出来ずにいた。
― たしかに私はゴールの教主であり大首領、がしかしこの体ももう長くはもつまい 加えて日本の本部を解体した今のゴール海外支部には竜崎のカリスマが必要不可欠 あやつが居らぬでは脱出の意味とて…
そこまで考えて郷田は乗りかけた脱出機に背を向けた。

「死ねぇ!本郷猛!!」
怒号に振り向いた本郷の視界いっぱいに緑色の何かが拡がる。
― いかん!
咄嗟に本郷はその緑色を避けた。
緑色は液体であったがその液体がぶちまけられた地面はしゅうしゅうと白煙を上げていた。
それは郷田の本体 アリ男の吐く溶解液であった。
「!」
「食らえ本郷猛!このアリ男様の溶解液を!!」
再びアリ男が本郷猛を亡きものにせんが為、溶解液を吐きかける姿勢を取った。
瞬間!!
「電キィック!!!」

背中から緑色の海に沈み行くハチビーの毒針を親のカタキと言わんばかりにウィッチは蹴り続けていた。
「ざっけんなクソヤロウ スッぞコラァ!」
踵で執拗なまでにガシガシと蹴り続けられた毒針は粉々に砕け散って緑色の海に溶けて消えた。
「ハァハァ 思い知ったかクソヤロウ」

両腕を広げた胸元へモロに食らったアリ男は数メートルを飛ばされた。
「俺たちロートルと同じ旧式が相手ならまだまだ闘えるぜ」
ストロンガーは自嘲気味に笑う。
「おのれ…」
次の瞬間アリ男はストロンガーに背を向けて脱兎の如く走り出した。
「急げ竜崎!」
「あっ 待て!」
追いかけようとしたストロンガーを突然の地響きが襲う。
ゴゴゴゴゴ…

「っしぇぁっ」
ごっ
大輔の拳が西塔の額を強か打つ。
大輔の右を西塔が額で受けたのだ。
「くっ」
鈍い痛みが大輔の拳に走る。
構わず続けて西塔の頬めがけて左のフックを放つもこれは躱されバランスを崩した腹に西塔の膝が刺さる!
どっ
「ハッハァ 悪かったなぁシャカさぁん 俺ァ石頭なんだよォ」
ガクンッ
畳み掛けて攻撃を加えようとした西塔の片膝が落ちる!
額への一撃が効いていたのだ。
低くなった西塔の首筋を大輔の右回し蹴りが襲う!
が大輔はそのまま延髄に足首を引っ掛けて前に引き倒した。
「んがッ」
顔面から地面に叩きつけられた西塔の後頭部に大輔の踵が迫る!
じゃっ
西塔はすんでの所で転がって躱す。
地面を叩いた踵を引いて構え直す大輔。
そのまま転がって距離を取った西塔がゆっくり立ち上がった。
「チッ やっぱ強ぇなぁシャカさんハァハァ」
息も絶え絶えながらニヤリと笑ってみせた西塔であったが その実既にボロボロの状態であった。
― 野郎… 本当に腕ェ上げやがった…
状況的には大輔が圧していた。
明らかに大輔が圧していた。
が西塔寿雲は大輔の攻撃を躱し、受けていた。
ゴールの改良人間は単純なパワーとスピード、反応速度や肉体の強度で常人を遥かに凌駕する。
しかし 攻撃を予測する事や技一つ一つの精度等闘いの機微は厳しい稽古の果てに身に付いて行く物であり一朝一夕に成る物ではない。
つまり西塔寿雲は”武術家”として成長を遂げていたのである。
大輔の想像を遥かに超えるほどに。
しかし大輔にはあの竜崎龍蔵を屠るという目的がある。
ここで西塔寿雲にかかずらっているわけにはいかない。
だが、
だがしかし 大輔の中に奇妙な感情が沸き起こって来ていた。
そう、大輔は楽しくなって来ていたのだ。
一瞬 あの西塔ごときにこの俺が と要らぬプライドが頭をもたげて来たが瞬時にそれを振り払い一切を受け入れる事にした。
その時であった。
ゴゴゴゴゴ…

富士を揺るがす巨大な地響きと共に轟音が轟き合成人間達が出て来た穴が更に爆発する。
バラバラバラバラ
濛々たる爆煙を引きちぎり現れたのは十数基のローターを有した超巨大輸送機であった。

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