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徹真斎の妄想徒然草子コミュの仮面ライダーD.V.L vol.35

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「貴様… ショッカーの残党か まだ生き残りが居たとはな」
―首領と幹部、怪人が数体 後はあの”合成人間”とかいう戦闘員の数がどれほど居るか… だが
不敵な笑みを浮かべながら本郷はそんな事を考えていた。
「残党か… ふふふ ずいぶんな言われようだな しかし本郷猛よ あの緑川の不完全な改造手術でよくぞ戦い抜いたものだな」
郷田の言葉を受けた竜崎が少し驚いたように聞き返した。
「不完全 ですか?」
「そうよ 当時ショッカー科学陣の目標は”血液交換を必要としない改造人間”だったが我々の長であった緑川の研究では定期的な人工血液の交換が必須とされていた つまり緑川の技術では完全な改造手術は不可能だったのだ しかし彼奴はそれを一切せずに戦い抜… いや 生き延びた」
当時非道な人体実験を繰り返した結果 桁外れに高度な技術を手に入れていたショッカーであったが、改造手術を施すにあたって人工血液の交換は必須条件であった。
本郷が血液交換を必要としない体になったのはアクシデンタルな偶然の産物なのか、或いは緑川博士が密かに完成させていたのかは定かではない。
が 本郷はこれまで体の、特に血液による不調もなく闘って来れた。
郷田はそれを奇跡的だと言っているのだ。
「しかも竜崎 お前の報告によれば今なお問題無く稼動しているという… 緑川の不完全な改造手術を施されたままの体でだ しかも数回にわたるパワーアップをこなしている 興味深い その一言に尽きる と言いたい所だが」
そう言いおいて郷田は一呼吸入れて続けた。
「実に残念と言わざるを得ない事ではあるが、お前の報告にもあったように彼奴等の能力では我がゴールの”改良人間”を超えられぬ 更にはその”改良人間”に遠く及ばぬ”合成人間”ですら手を焼いているというではないか」
郷田は抑えきれぬ笑みを噛み殺しながら
「私が、私の研究が そしてその技術が緑川を遥かに上回ったという事、実に愉快ではないか?え?実に愉快ではないか フハハハハ」
呵々大笑する郷田を睨み付けたまま本郷が口を開く。
「確かに… 確かに俺達は老いた 貴様等ゴールの怪人は元より戦闘員にも手を焼く始末、確かに前時代の遺物かも知れん しかし!正義と平和を守る魂はこの胸に熱く燃え盛っている!貴様等悪の組織が何度蘇って来ようと、たとえこの身が朽ち果てようと魂が熱く燃えている限り何度でも打ち滅ぼしてやる!!」
全身から立ち上る怒りにその身をを震わせながら叫ぶ本郷に対して郷田は怪訝そうな表情を向けた。
「本郷猛… もしや貴様ショッカーをはじめ様々な悪の組織の首領を単に”宇宙からの侵略者”という認識でおるのではあるまいな?」
「なんだと?どういう事だ!」
まさしく本郷以下ライダー達はショッカーをはじめとする悪の組織の大首領を”世界をを そして地球を征服せんとする宇宙からの侵略者” そう思って疑わなかった。
「ほう やはり知らぬと見える フハハハ ならば置き土産だ 教えてやろう」
郷田は嘲るように笑いながら本郷から視線をあらぬ虚空へと移した。
「あれはな… そう大首領は たしかに宇宙からやってきたのだ 遥かな銀河宇宙を長い長い間遠く果てしない旅を経てこの地球へやって来たのだ しかしその時は世界征服はおろか意思など持たぬ存在だったのだ…」
”それ”はある種のエネルギーに満ちた存在だった。
いつの頃からか”それ”は暗黒の宇宙空間を漂っていた。
意識や自我などは無い。
ただただ純然たるエネルギー体として存在し、漂流していたのだ。
ある時 天文学的、或いは仏教概念的数値の確率をもって”それ”は地球に辿り着いた。
そして地球の生物に触れた。
その幾つかの細胞の寄せ集めの様な下等な生物の生きんとする、また増えんとする力に”それ”は著しく影響を受けた。
”それ”に『意識』が生まれたのだ。
『意識』は『感情』を呼び覚まし”それ”に『自我』を持たせた。
『自我』を持った”それ”はこの星の全てに興味を持ち、この星のあらゆる場所を知りたいと思った。
と同時にこの星の全ての場所を見る事が出来た。
”それ”は物理的な存在ではなかった為、移動を必要としなかった。
それゆえ、時間と距離に縛られる事無く全てを見る事が出来たのだ。
そうやって様々な物、事象を見ているうちに膨大な時間が過ぎていった。
やがて恐竜が生まれ滅び、人が生まれた。
その頃”それ”以外にも意識体の様なものが地球に飛来したり、或いは自然発生的に超常エネルギーを持った意識体が生まれ 人の間で『神』という存在として地上に君臨し始めていた。
人はその『神』の意思の下 互いに愛し合い慈しみ合う一方で互いに妬み、憎み合う事を繰り返していた。
その様を”それ”は幾度となく見続けて来た。
”それ”の中に恨み憎しむ心『人の悪意』がその影を落としていく。
いつしか”それ”は『悪意』そのものとして人の心に影響を及ぼし始める。
そして幾星霜 ある時”それ”は遂に実体を得る。
どういう経緯で得る事が出来たのか”それ”自身にもわからなかった。
が、”それ”にとってその事自体は些事に過ぎず もっと他に考えるべき事があると思っていた。
『世界征服』互いに憎しみ合い騙し合う愚かな人間は自分が支配してこそ生きる価値も生まれる。
無論その考えに至るまでには膨大な時間と紆余曲折を経た果ての事ではあったが。
「という事なのだよ 本郷猛」
郷田が長い長い話を一区切りした時、風見が声をあげる。
「それがどうしたと言うんだ?!」
「わからんか? フフフ貴様等が命を懸けて戦い そして倒して来た大首領はただの器に過ぎなかったということさ そう 人の悪意こそが それこそが大首領そのものなのだ!何度倒そうとその都度甦りまた愚かな人類を導くのだ!そしてこの私が、大首領の意識体との同化を果たした私こそが真の大首領なのだよ!!」
そう郷田はショッカー壊滅後数々の悪の組織を転々としている間に大首領の本質、意識体と近しいものを持つようになり遂にはそれを共有し同化してしまったのであった。
「だからどうした…」
呟くように本郷が口を開いた。
「だからどうしたというのだ!俺達はこの命ある限り戦う!そして心ある若い世代にこの魂を託す!!」
啖呵を切る本郷の隣でさおりがグッと拳を握り込む。
しかし郷田はなおも薄笑いを浮かべて言う。
「ずいぶん威勢のいい事だが本郷よ 現実は如何ともし難いぞ?直面している現状を如何に打破する?ここは霊峰富士 私が独りで作り上げた地下秘密基地があるのだぞ?」
「独りでだと?」
「地下秘密基地だと?! いや 秘密をバラしたらただの地下基地なんじゃないのか?!」
風見がズレた事を返して動揺を誘おうとするも郷田は動じない。
「そう私独りで作り上げたのだ 私もまたショッカーの改造人間 アリ男なのだよ その能力を駆使してショッカー壊滅以来数十年をかけて作り上げた秘密基地であり、合成人間製造プラントなのだよ」
「怪人アリ男… ならば貴様ごと秘密基地を叩き潰すまで!」
猛然と指を指す風見に郷田は冷ややかな視線を送る。
「さて、果たして出来るのか?旧式の貴様等に果たして出来るのかな? たしかに見ての通り改良人間は片手で足りる程度だが 合成人間は勘定に入れているのか?まさかここに出てきている者が全てだとでも?貴様等旧式が手を焼く合成人間がこの地下に居ないとでも思うてか?!」
そうまくし立てると郷田は右手を挙げて竜崎に指示を出す。
「全ての合成人間をこれへ 出発前に奴等を血祭りにしてくれよう」
しかし竜崎は首を横に振った。
「なりません教主様 今居る合成人間は約1000体 たしかに我等がゴールの威光を示し、奴等を屠るには充分でしょう しかしそれでは出発準備が遅れ、計画に支障が…」
「ええい構わぬわ!仮にこのまま日本を去ったとて奴等が居る限りまた障害となろう ここで後顧の憂いを断つ!!」
いつになく強い語気を持って命令を下す郷田に竜崎は郷田のライダー達への強い拘りを感じながら教主の命令を履行する。
「はっ 基地に残る全ての合成人間共よ!我が元に集え!仇敵ライダー共を殲滅せよ!!」
号令一下竜崎の背後からわらわらと出るわ出るわ黒ずくめの合成人間達その数凡そ1,000。

「先輩、これはちょっと不味い事になりましたね」
眼前に蠢き、犇めく合成人間達を見て風見がその目を逸らさず本郷に言うが、傍らに立つ結城共々その目は笑っていた。
「そう言いながら風見、ちょっとうれしそうだぞ?」
返す本郷も薄く笑みを浮かべていた。
そしてこの窮地を目の当たりにしながら大輔、さおり、ミキの三人は同じ事を考えていた。
―やっぱ恐ろしいおっさん達だわ…

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