ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

徹真斎の妄想徒然草子コミュの仮面ライダーD.V.L vol.31

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「大輔くんも来た事だしもう一度おさらいしておきますね」
明日香と大輔のやり取りを黙って聞いていた樫尾が口を開いた。
「例の防護服のお披露目… あ いや 量産型の性能実験を兼ねた火力演習が来月廿日13時より 富士演習場で行われます ついては開発に携わる関係者として吉田さおり、石倉ミキの両名 及び本郷猛、一文字隼人、風見志郎、結城丈二の四名に加え坂田大輔を特殊テロ対策室の協力者として招聘します あ 藤堂博士、滝室長と私樫尾は無論ですが織原製鋼から数名視察に来られるそうです」
織原製鋼という企業名を聞いて本郷が聞き返す。
「織原製鋼ってあの織原製鋼か」
織原製鋼株式会社…官営八幡製鉄所の流れを組み、昭和後期 非鉄・特殊金属の製造分野に於いて急成長を果たした企業である。
最近になってアルミニウム並みの比重とステンレス以上の強度を持つ新合金を開発 社名を冠した”オリハラ鋼”と名付けて発表し、業界に一大旋風を巻き起こした事で知られていた。
「海外の兵器製造会社に鋼材を輸出しているせいで口の悪い連中からは”死の商人”なんて呼ばれてまして いや表向きは真っ当な企業なんで公安も表立っては動けない状態ですね あ それから政府のお偉方が何人か来るみたいです」
樫尾が口と手帳を閉じた所で滝がつまらなそうに言う。
「防衛大臣と警視総監、あとうるさいのが2〜3人とその警護が3人ずつ ってとこだな」
「うるさ方の相手はよろしく頼むぞ 滝」
にこやかに本郷が言うと
「よろしく頼むぞ 樫尾」
と丸投げして滝はコーヒーカップを口に運んだ。
仏頂面で へぇへぇわかりましたよ とぼやく樫尾に一文字が声を掛ける。
「まぁまぁ そうぼやいてばかりでもないかもよ? 上手くすればお偉方の覚えめでたく出世コースに乗れるやも知れんぞ?」
一瞬 顔を輝かせた樫尾であったが直ぐまた仏頂面に戻り
「この人の下に居ても ですか?」
と滝を指差す。
「あ こりゃダメだな」
一文字の答えに救われない想いの樫尾であった。
「で、当日の事なんだが」
一頻り笑い声が収まった後一文字が切り出した。
「俺はこの通り車椅子だ あまり世話を掛けては申し訳ない 出来れば出席を遠慮したいんだが」
「え いや 移動手段ならなんらかの手を打ちますが…」
言いながら樫尾は滝の顔色を窺う。
「ふむ 個人的には来てもらいたい かつて世界の平和を守った戦士の一人としてね が しかし 気が向かないなら無理強いはしないさ しかし本郷には来てもらうぞ 面倒とか言うなよ?」
にこやかに笑う滝の目は笑っていない。
―やはりバレてたか…
心の中を見透かされた一文字はにこやかに笑うしかなかった。
奇妙な空気が流れる中 さおりは思っていた。
― なんでうちの常連さんてこわい笑い方する人ばっかなんだろ…

数日後。
「ぶはぁぁぁぁ〜」
床に突っ伏して大輔は大きく息を吐く。
「おぃ 生きてるか?」
呼吸を調えつつ、大輔は大の字でへばっているさおりに声をかけた。
以前から本郷に教えを乞うていた大輔であったが、本郷の口添えでこのところ風見からも稽古をつけてもらっていた。
そこに先日からさおりも参加しはじめたのだ。
「な…なんとか生きてる…」
「そうか 先にシャワー使うぞ」
「ど…どうそ…あたしはもう 少しこのま ま…」

道場からアミーゴに向かう道すがら
「お前大丈夫か?無理して俺と同じメニューこなさなくていいだろ?」
あまり他人に干渉することのない大輔だが稽古後のさおりを見ているとなんとも言えない気分になる。
「だ 大丈夫よ あたしだって仮面ライダーなんですからね ちゃんとやりきってみせますっての てかそもそも何よアレ『準備運動代わりにモンケン300だ』って いきなり重機持ってくるなんて信じらんない!!」
『俺がおやっさんから受けた時は500だったぞ』とは風見の言。
「あんなのただの虐待じゃ…」
どっ
ぶつくさ言うさおりの腹に大輔の拳がめり込む。
「ちょっとイキナリなにすんのよ!」
激昂するさおりに向かって大輔は唇を端を歪めて笑う。
「しっかり効果あんじゃねぇか」
会話の途中、何の脈絡もないタイミングで放たれたボディブローを当たり前の様に受けてみせたのだ。
通常の稽古では有り得ないシチュエーション つまりこれから闘おうという意識も無く”なんの準備もしていない状態”で大輔のパンチを受けきってみせたのだ。
「そ、そりゃあんだけの稽古をこなしてれ… あっ 明日香さんのタバコ頼まれてたの忘れてた!コンビニ行かなきゃ」
かわいらしく自分の頭をコツンと叩くさおりに大輔は片手を挙げて
「お そりゃ大変だな 先に行ってるぜ」
くるりと背を向ける。
その背中にさおりはわざと恨みがましい言葉をぶつけた。
「か弱い女の子に一人で買い物に行かせる気?」
「俺のパンチ受けといてか弱い女の子もねぇだろ」
クククと笑う大輔の背中にあかんべーしてさおりはコンビニに向かった。

「でよ、言うに事欠いてか弱い女の子ときた日にゃ俺ぁどうすりゃいいんだっての」
アミーゴでコーヒーを啜りながら先程のさおりとの顛末を明日香に話す。
さおりと二人で店に来ると思ってた と言う明日香の言葉を受けての事だ。
「ふーん ところでさぁ あんた用のオリジナルブレンド、なんとかなんないの?名前」
最近になって本郷達に倣い大輔もオリジナルブレンドのコーヒーを飲むようにしていた。
命名は大輔自身だった。
「なんで?いい名前じゃねぇか マンデラ、キリマンジャロ、ブラジルの三種を絶妙のバランスで配合した その名も”マンマンジル” わからないかなぁ このセンス」
バカ話に花を咲かせていると奥から一文字が顔を出した。
「しかしコンビニに寄ったにしても少し遅くないか? 雨も降りそうだし大輔、迎えに行ってやれ か弱い女の子をな」
「えぇ〜 俺が行くんスかぁ ちぇ しょうがねぇなぁ」
ぶつくさ言いながら立ち上がった大輔は店の傘立てから2本抜いて出て行った。

「やだなぁ…週プロと格マガ立ち読みすんじゃなかったなぁ」
今にも泣き出しそうに垂れ込めた雨雲を見上げてさおりはひとりごちた。
とにかく降りだす前に帰らなきゃ と足早にコンビニを後にした。
しばらく歩くとポツリと来た。
―降って来ちゃったな 急ご
そう思った時背後から声を掛けられた。
「お嬢さーん ご無沙汰ぶりっス サイトーっス」
その男は気配も無くそこに立っていた。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

徹真斎の妄想徒然草子 更新情報

徹真斎の妄想徒然草子のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング