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徹真斎の妄想徒然草子コミュの仮面ライダーD.V.L vol.27

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「この店はコーヒーを飲みに来た客を睨み付けるサービスがあるのかね?」
落ち着いた態度で微笑む竜崎龍蔵を睨んだまま、低く圧し殺した声が大輔の口から漏れる。
「てめぇ… なにしに来やがった?」
一瞬 驚いた様な表情を見せた竜崎であったがすぐに元の笑顔に戻り
「また随分な言い種だな それに私はここに闘いに来たわけではないんだ 構えを解いてくれないか?」
意識していたわけではない、しかしその殺気と敗北の記憶が大輔を無意識に身構えさせていたのだ。
そしてまた竜崎が放つ殺気に本郷や風見もその神経を尖らせていた。
しかし大輔に構えを解け と言った瞬間 突如として消え失せた殺気に、若干の戸惑いを感じつつも本郷は落ち着いた返事返した。
「いいだろう 風見、大輔 通してやろう」

竜崎がカウンターから最も近いテーブル席に腰を下ろすと緊張を隠せない様子でさおりが水の入ったグラスをテーブルに置く。
「お客様、ご注文は?」
マニュアル通りに注文を取るさおりに一通りメニューを見た竜崎はにこやかな笑顔を向けて
「オススメのブレンドを」
カウンターでその一言を聞いた本郷は
「ふむ ならばこの"技の1号"がオスス…」
と本郷が言い終わらないうちに風見の声。
「いや 世界一旨いのは"V3"ですよ先輩」
「なんだと?」
風見を振り返った本郷の声に殺気がこもる。
「聞こえないほどモウロクしましたか?世界で一番旨いのは"V3"だと言ったんですよ」
ひりひりと張り詰めた空気をさらりと受け流した風見もまた鋭い殺気を放つ。
「ほぅ…なかなか言うじゃないか 風…」
不敵な笑みに顔を歪めながら本郷がゆっくりと席から立とうとした瞬間!
ぱぱーん!!!
軽快な叩音が轟き、いつの間にかカウンターの奥から出てきていた明日香がそこに立っていた。
アルミのトレイを両手に持って。
「やめんかロートルども」
低くドスの利いた明日香の声に本郷も風見もうつむいて小さくなっていた。
はっ と我に還ったさおりがにこやかに
「じゃ普通のブレンドでよろしいですね?」
と小走りでカウンターに戻るのを見ていた大輔であったが やはりカウンターに戻り作業にかかる明日香を見て
ー っそろしいねぇちゃんだなぁ…
心の底からそう思った。

「で、闘いに来たのでなければ一体何をしに来たというんだ? まさか本当にコーヒーを飲みに来ただけではあるまい?」
本郷は問いかけるが竜崎は答えず薄く目を閉じ コーヒーの香りをたっぷりと楽しむ。
その様子に苛立ちを隠せない大輔が吠える。
「なんとか言ったらどうなんだ! あ"ぁ?」
「やめろ大輔」
風見に肩を押さえられ、大輔は無理矢理苛立ちを押さえ込む。
「まったく君という男は… 落ち着いて話もできないのかね?」
カップから目を離さずに言い放つ竜崎。
ー ンのクソヤロウ ゼッテーコロスゼッテーコロスゼッテーコロス
大輔は孔を開けようかというほどに睨みながら口の中で何度も何度も繰り返した。

中身をを半分ほど空けて竜崎はカップを下ろし、座ったまま本郷達に向き直った。
「今日お邪魔したのは、一つ報告がありましてね」
「ほぅ」
「一体何を?」
本郷と風見が同時に答える。
竜崎はすぅ と一息吸い込むと低いがしかしよく通る声で一言
「我がゴールは明日正午を以て解体します」
落ち着いた様子でカップに残ったコーヒーを飲み干し、静かに息を吐く。
数瞬 店内に静寂が充ちてゆく。
表を通過する自動車やバイクのエンジン音、自転車のベル、雀であろうか そのさえずりさえ耳に心地好く流れ込んでくる。
しかし次の瞬間 静寂は荒々しく破られる。
「本郷さんいますか?!ゴールが!ゴー…」
叫びながら叩き破るようにドアを開けて飛び込んできたのは樫尾大介であった。
「!」
「…びっっっくりしたぁ… なんだ樫尾さんじゃん どうしたのよ慌てちゃって」
明日香の呆れた声を聞いたか聞かずか樫尾はカウンターの本郷に叩きつけるように言う。
「明日を以てゴールが解散します!」
「うむ つい今しがた聞いたところだ」
事も無げに言う本郷だが樫尾のテンションは下がらない。
「そうなんですよ!ついさっき特テの方にに直接連絡があって公式発表は今晩あ… え?今しがた?」
きょとんと目が点になる樫尾であったが風見がテーブル席を指して言う。
「彼がゴールの最高幹部、竜崎龍蔵氏だ」
「あー なるほどあなたがあの竜崎り…」
3秒。
「えええぇぇぇぇーッ!!!!」
素っ頓狂な大声で大袈裟に驚いた樫尾は竜崎と風見を交互に指差して何度も
「え?え?え?」
を繰り返す。
「…まぁ そうなりますよねぇ」
その姿を冷ややかに見ていたさおりの口から漏れた言葉に明日香が頷く。

一通り説明を受け、どうにか落ち着きを取り戻した樫尾であったが
「あなたが警視庁特殊テロ対策室の樫尾大介さんですね 宗教法人ゴ… いや"元"ですな ゴールに於ける最高幹部 竜崎龍蔵です」
そう言って伸びてきた竜崎の手をなんとなく握り返す。
「はぁ どうも」
しかし はたと我に返り慌ててその手を振りほどく。
「な、馴れ合ってる場合じゃない!竜崎龍蔵!お前には複数の容疑がかかっている!神妙に縛につけぃ!!」
ずいぶん時代がかった物言いをしてしまった事を幾分恥ずかしく思いながら樫尾はポケットから手錠を取り出して改めて竜崎の手を捕ろうとする。
しかし竜崎は落ち着いて一言
「ふむ 樫尾さん 失礼だが礼状はお持ちかな?」
「え…」
迂闊というにはあまりにも迂闊だった。
一般的な警察官とは微妙に違う立場にあるとは言え、緊急逮捕の必要がない限り逮捕状も無しに手錠をかけようとするなど言語道断である。
容疑者、逮捕の対象が目の前に居るという現実にはやる気持ちを抑え切れなかった では済まされないミスを犯した。
様々な思いが樫尾の脳裡を過る中 竜崎は一瞬目を伏せて微笑み返す。
「まぁ お気持ちはわかります この事については不問としましょう」
そう言われて少しホッとした自分を樫尾は嫌悪せずには居られなかった。

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