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徹真斎の妄想徒然草子コミュの仮面ライダーD.V.L vol.21

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「なによここ、いつもの廃工場じゃない」
不満そうに呟くミキに大輔が訝しげな顔つきで問う。
「よく来るのか?」
「や コッチの話」
短く言い捨てたミキに大輔はそれ以上聞かなかった。
廃工場を囲む錆び付いたフェンスの脇にバイクを停めて裏手に回る。
大輔はもとよりミキも心得たもので、さすがに馬鹿正直に正面から乗り込む愚は犯さない。
工場の裏側に潜み、窓脇から見つからない様に中を覗きこむ。
「…あれは?!」

「さて、コイツの解除方法を教えて頂きましょうかね」
黒い帽子、黒いサングラス、黒いスーツに身を包んだ黒ずくめの男が銀色のアタッシュケースを胸の前に掲げた。
身動きの取れない車内で樫尾と藤堂は運転手に銃を突き付けられ、降ろされたこの廃工場でパイプ椅子にがんじがらめに縛られていた。
「フン!知らないね! さっさと勝手に開けちまえばいい!」
樫尾はそう吐き捨てる。
ドガッ
「グゥッ!!」
黒ずくめの男は無言で樫尾を蹴りつける。
「だからさっきから言ってるでしょう?このアタッシュケースにセットされた爆弾の解除方法を教えて下さいって 無理矢理抉じ開ければ中のベルトは粉々 そう言ったのはあなた方ですよ? そうなれば私達は目的を果たせず あなた方もここで命を落とす事になりますよ?」
縛られたパイプ椅子から黒ずくめの男を睨む樫尾はその口許に不敵な笑みを浮かべた。
「へっ そうだよ だからさっさと開けちまえって言ってんだよ」
「そ、そうだ!我々は貴様ら悪には屈しないぞ!」
藤堂も己の不安や恐怖を隠す為に声を上げる。
「なかなか強情な方達ですね… わかりました あまりこういう手段は好きではないのですがね おぃ コウモリバット」
黒ずくめの男がそう言うと天井の梁からふわりと一人の男が降り立つと 黒い靄が渦巻く。
ばさり
靄が消えると 一つ大きく羽ばたいた巨大なコウモリが立っていた。
「やりなさい」
黒ずくめの男が声をかけると巨大なコウモリは大きく口を開ける。
キィィィィィィ
「「ぐわっ」 」
樫尾と藤堂は同時に悲鳴を上げた。

パァンッ!!
突如 ミキと大輔が覗き込んでいた裏窓のガラスが割れ飛ぶ。
「え?! なに?!」
動揺するミキの隣で大輔の眉間に皺が寄る。
「…超音波?!」
「え? 超音波でガラスが割れたっての?!」
大輔は工場の奥を見据えたままミキの問いに答える。
「あぁ… 恐らくだが この距離でガラスが割れるほどの威力、こんなもの間近で食らったら何分ももたねぇぞ?」
「じゃ樫尾さん達ヤバくね?助けなきゃ!」
「おぃ 待て!!」
血相を変えたミキは割れた窓から工場の中に飛び込んだ。
「そこまでよ!ゴールの怪人共!!」
叫びを上げるミキの背中を見て大輔は苦虫を噛み潰す。
「チッ 無策で飛び込みやがって…」

「やめなさい コウモリバット」
黒ずくめの男が右手で巨大なコウモリ男を制する。
「あなたは、石倉ミキですね かつて関東一円にその名を轟かせたレディースチーム裟悪弁異煌武洲の三代目総長 通称スパナのミキ でしたかね」
黒ずくめの男が薄く笑いながら言うと ミキはやや顔を赤らめた。
「ず、ずいぶん調べてんじゃん もしかしてアタシのファン? なんでも良いんだけどその人達放してよね」
黒ずくめの男は薄い笑みを消さずに言う。
「そうはいきません」
そう言うと男の体を黒い靄が覆いつくす。
「!」
靄が晴れるとそこには黒ずくめの男の代わりに全身がゴツい鎧に包まれた様な化け物が立っていた。
くすんだ灰色のボディ、鼻先から伸びる大きな角は動物の犀を思わせた。
「犀… の 化け物だと?!」
思わず漏らした樫尾を睨み付け、犀の化け物は言い放った。
「私はサイライノセロス、ゴールの神の思すまま このベルト奪取の命を受け、頂戴に参上したのですよ そこに居るコウモリバットと共にね」
瞬時にミキは視界の中に武器になる物はないかと探し、僅かに絶望した。
ー 見える所には何も無いか… ちくしょう スパナがあればなぁ…
そんなミキを他所にサイライノセロスは奥に見える裏窓に目を向けた。
「そこに隠れているんでしょう?もう 出てきては如何です?」
サイライノセロスの声に苦笑しながら大輔は割れた窓枠を飛び越えた。
「チッ バレてたのかよ いつからだ?」
「えぇ それはもう最初からですよ 坂田大輔」
サイライノセロスの言葉に大輔は小さな驚きを覚えた。
「坂田大輔 我等ゴールの研究施設で改良措置を受け、失敗作として処分を受けるも奇跡的に生還、そのまま施設を脱走したただ一人の男… そして現在『仮面ライダー デス』として我等ゴールに歯向かう虫けら… ですよね」
ニヤリと薄く不気味に笑うサイライノセロスに大輔はまたも舌打ちで応えた。
「チッ そっちもバレちまってんのかよ?」
苦虫を噛み潰した様な表情のままゆっくりと近づく。
そして 小さく呟く様な声でこう言った。
「変身」

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