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王子様の言う通り☆コミュの学園物を書くよ♪

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アキラたんと合作したよ♪


アキラたん側↓
木内咲耶(きうち・さくや)
十六歳高二でオカ研所属。
中性的な顔立ちで優しげだが、よく幼馴染の雛をからかう一面も。
ファンクラブがあり、男女どちらにもモテる。

高良田雛(たからだ・ひな)
十五歳高一。
幼馴染みの咲耶を追って彼と同じ高校に入学。
大人しげな容貌だが実は気が強い。
武術の心得がある。

谷口 風香(たにぐち ふうか)
十五歳、高校一年生
お寺の娘で、礼儀正しい。
肩下10cmくらいの、ゆるふわ天パ
霊障は、驚くけど怖くない。
咲耶の彼女

王子側↓
久留米 春鷹(くるめ はるたか)
17歳の高校三年生、演劇部。
いつでも笑顔の気配り屋さんだが、怖がりである。
黒髪単髪、眼鏡を掛けている。
ファンクラブがある。
夏帆の彼氏。

月雛 悠里(つきひな ゆうり)
16歳の高校二年生
オカルト研究部、悪戯好き。
文系なのにフィジカル強い。
感情の起伏が激しい。
遠瀬(兄)が好きだが、恋愛ネガティブ。


サブキャラ↓
綾瀬 加奈(あやせ かな)
高校一年生
家庭科部で、雛の友人
陸上部の原田の彼女。

麻生 夏帆(あそう なつほ)
高校二年生
合唱部で、悠里の友人
ファンクラブあり、学園アイドル的な存在
春鷹の彼女

遠瀬 凰太(とうせ おうた)
高校三年生
剣道部部長で風紀委員長、春鷹の友人
悠里に日々求愛する狂犬

遠瀬 颯太(とうせ ふうた)
高校一年生
剣道部と化学部を兼部、風紀委員長の弟
兄とは互いにブラコン
彼女を溺愛している

林 匠(はやし たくみ)
高校三年生
オカルト研究部の部長
呪詛系に造形の深い変わり者
最近はオカルト便利屋と化している

国重 平治(くにしげ へいじ)
高校三年生
陸上部で、原田の友人
悠里の幼馴染み
風紀委員

国重 廣光(くにしげ ひろみつ)
高校一年生
伊達高校の生徒で、平治の弟
悠里の小学生時代の親友
口数が少ない

化学部の仲間(颯太の友人)↓
灰田(はいだ)、三年生の男子、部長
轟(とどろき)、一年生の女子、口が悪い
巣楽(すらく)、一年生の男子、大人しい



舞台は茨城県某所にある高校。
制服はブレザーφ(..)

完結しました(笑)

コメント(369)

〜ホワイトデー〜
バレンタインデーが男女問わず浮き足立つイベントなのは勿論だが、ホワイトデーも負けず劣らず男女が緊張する一大イベントである。
本命チョコに返す者あり、義理チョコに返す者ありの中、カップル又はカップル目前の者はどう過ごしているのだろうか…


〜雛side〜
本日はホワイトデー。雛は田辺に中庭に呼び出されていた。
緊張して約束の時間よりも随分早く来てしまったので、当然田辺の姿はない。雛は頬を上気させたまま、中庭のベンチに腰掛ける。
何だか時間が過ぎるのが遅いように思うのだが、気のせいだろうか。


固まった姿勢のまま待っていると、田辺が漸く約束の場所に姿を見せる。
「遅れてごめんね」
「い、いえ。私が早く来過ぎただけなので」
「…ふーん?」
田辺は俯いている雛を意味ありげに見ていたが、直ぐに雛の手の上にカラフルな包みを置く。
「バレンタインの答え。貰ったのは義理チョコだったけど」
「何ですか?」
「開けてみて」
言われるままに包みを開けると、中に包まれていたのはキャンディだった。
「ホワイトデーに、キャンディ?」
その辺に疎い雛が首を傾げる。
「『月が綺麗ですね』っていう意味、って言ったら解る?」
それは理解出来たらしく、雛の顔が火を噴きそうなくらい真っ赤になる。
「わ、私で良ければ…(//////)」
「ホント!?」
その返事を聞いた田辺が破顔し、雛の手を取ってぶんぶんと振る。
すかさず雛の頬に軽く口付ける田辺。雛がこれ以上ないくらい真っ赤になったのは言うまでもない。


〜加奈side〜
原田が陸上部を引退してからは二人でいる時間が増え、デートを重ねてきた原田と加奈。
原田は出来れば夜景の綺麗なデートスポットでホワイトデーのプレゼントを、と考えていたのだが、急に気恥ずかしくなり待ち合わせ場所を放課後の商店街に指定した。


ホワイトデーはクリスマス同様、街に恋人達が溢れる為、街路樹がライトアップされている。
原田と加奈は、同じタイミングで待ち合わせ場所に現れる。
「先輩、ホワイトデーのプレゼント、期待してもいい?」
加奈は原田の肩に頭を持たせかけ、上目遣いに原田を見る。


「期待に応えられるかは判らないけど」
原田が差し出したのは、花束だった。
「えーと…トルコキキョウと、カスミ草?」
「正解…やっぱり花言葉までは解んないか」
苦笑しつつ、原田はスマホを取り出し“花言葉”で検索する。
スクロールしていくうちに、加奈の頬がみるみるうちに染まる。
トルコキキョウとカスミ草の花言葉は、それぞれ“感謝”と“永遠の愛”。
余りの気恥ずかしさに、加奈は花束に顔を埋めるのだった。


〜風香side〜
こちらもクリスマスと同じく駅前で待ち合わせた咲耶と風香。
残念ながら、駅前はデートスポットから外れているのかライトアップはされていない。
気を取り直して、咲耶は風香に箱とパスケースを渡す。箱は透明なので、中身がキャンディなのは一目瞭然である。
「キャンディってことは…『あなたのことが好きです』っていう意味で、いいんでしょうか(//////)」
「うん(//////)」
「でも、パスケースは…?」
「中、見てみて」
咲耶に促されて中を検めると、テーマパークの年間パスポートが出てきた。しかも、物凄く怖いホーンテッドハウスがあると評判の。


「季節ごとに内容が変わるらしいから、一緒に行ったら楽しいかなって」
「有り難うございます、木内先輩」
風香はちょっと踵を上げて、咲耶の頬にキスする。それは唇が頬を掠める程度のものだったが、咲耶を赤面させるには充分だった…
〜悠里side〜

「月雛。今日はホワイトデーだ。受け取ってくれ」
「・・・有難う」
昼休み、遠瀬(兄)は悠里を空き教室に呼んでいた。

「前回(一周目)は飴、今年はチョコを包んだマシュマロ(貴女の想いを純粋な真心に包んで返します)な訳だが・・・意味は、分かるよな?」
「開ける前に中身をバラすな(;´д`)!!」
遠瀬(兄)は悠里に御返しを渡し、耳元で囁いた。

悠里が片手で耳を押さえて後退する。

「それと、もう1つ」
「はぇ?」
その手を掴み、遠瀬(兄)が何か渡した。

お守り袋だろうか?

「ん?何か入っ・・・風紀委員長?何故、校章を付けていない?」
「何故だと思う?」
渡された袋に入っている物は、ピンバッチのような感触で。

遠瀬(兄)のブレザーに、いつも付いている校章は、無くて。

「・・・卒業する前に渡すな!!困るの風紀委員長でしょ!?」
「卒業したら受け取ってくれるんだな?」
「え、や、違Σ(////)!!」
「卒業式の日に、俺の想いを添えて、お前に贈る。返品は不可だ」
袋を開ければ、中身は遠瀬(兄)の校章だった。

英泉には、“卒業生の校章を手に入れると両想いになれる”、と言うジンクスがあるのだ。

「来年は、お前の校章を俺にくれると嬉しい」
「あげないよ(////;)!?」
「お前ごと、くれても良いんだぞ?」
「辞 め て Σ(////;)!!」
遠瀬(兄)は校章を回収し、悠里の手首に口付けた。

「もうっ!!悪戯してないで!!さっさと付ける!!」
「む、済まん」
悠里は校章を引ったくり、ブレザーの襟に付けてやった。

「夫婦かぉ」
「仲良しですね(゜ω゜)」
それを見ていた、夏帆と春鷹。

「遠瀬先輩、校章を受け取らせる為に言質まで取って」
「警察官になるなら取り調べの練習も兼ねて、その位の駆け引きはしろと・・・炉津井先輩が」
ニヤニヤする夏帆に、遠瀬(兄)が答えた。

「クソカマ先輩・・・」
「月雛さん、落ち着いて下さい(;´ω`)」
悠里は真っ赤になって目を吊り上げた。

「・・・で、はるるん先輩?御返しは、やっぱデートの時にするの?チューも(笑)」
「はい・・・いや、あのですね月雛さんっΣ(////;)!?」
そして今度は、春鷹が真っ赤。

「俺も、したい。もしくは・・・して欲しい」
「させないし、しないからっΣ(////;)!!」
「そろそろ我慢も限界だ」
「話を聞けっ・・・触る、な・・・っ・・・」
遠瀬(兄)は悠里の腰を抱き寄せ、額同士を合わせ、物欲しそうに悠里の唇を指で撫でた。

指がなければ、目的が果たせる距離だ。

「むしろ、まだなのに驚きだぁお」
「唇以外には、してましたよね・・・いやん遠瀬君たら(//ω//;)」
それを見慣れている夏帆と春鷹は、この先の展開が読めるので撤退。

「だ、からっ・・・駄目・・・僕達っ・・・“友達”で・・・ねぇ、離して・・・ひゃっ」
「月雛は友人に、“こんな事”は許さないだろう?俺だけ、だよな?」
そう、狂犬発動である!!






〜放課後〜

「ゆー君、知らないのかなぁ?」
「遠瀬君が当然のようにスキンシップするから、もう親しい友人以外は二人を恋人だと思ってる事ですか?」
夏帆と春鷹は、隣町の喫茶店でデートしていた。

近場だと、互いのファンに絡まれるからだ。

「遠瀬先輩、最近ほぼ好きなように触ってるもん。場所も気にしないし。まあ今日みたく、空き教室に引っ張り込んでる時もあるけど」
「見ている方が照れます(//ω//;)」
「あれで風紀委員長なんだぉ?世代交代間近だけど。ゆー君関連でなければ真面目の権化だけど」
「そうですね(;´ω`)」
二人は最近の遠瀬(兄)を思い浮かべるのだが、一年前との差が激し過ぎる。

「遠瀬先輩のファンも、大分大人しくなったよね。狂犬に睨まれるから、ってのもあるけど」
「付け入る隙が無いですからね。月雛さん、無意識に求愛に応じてますし・・・抵抗は概ね台詞だけですし」
「流されまくりだぉ。勝てないと悟ってるぉ」
「遠瀬君、何と言うか、情熱的で真っ直ぐなので」
二人は溜め息をついた。

「卒業式の日にプロポーズするに1票」
「警官学校に在学中に求婚するに1票で(;´ω`)」
「「結婚を前提に付き合って下さいって言いそう(だぉ)です」」
苦笑する二人の予想は、果たして当たるのだろうか。

どちらにせよ、交際と婚約を同時に申し込む予感しかしないらしい。

「ちなみに私達は将来どうしよっか?」
「ふぁっΣ(////;)!?」
「貰ってくれる予定があるなら、左手の薬指は空けておくぉ?」
「はいっ!!予約させて頂きたいと思いまひゅ・・・あぅ(;´ω`)!!噛みますた(;´ω`)!!」
夏帆、相変わらずの奇襲。

イケメン系な小悪魔め・・・
デスクの蛍光灯だけを点けた暗い部屋の中で、折り鶴を折る女子が一人。
(あんなチビが田辺君の彼女だなんて、許せない)
赤と白の折り鶴を丁寧に折った女子は、最後に黒い鶴を折る。
「怪我でもすればいいのに」
嫉妬に顔を歪め、呪詛の言葉を吐きながら…


〜ホワイトデーから数日〜
はぁー、と雛は深い溜め息を吐く。
ここは昼休みのオカルト研究部。一年生トリオが、固まってお昼ご飯を食べていた。
「タカ、どうしたの?」
加奈が少し不思議そうに雛に尋ねる。
『不思議そう』というのは、今雛は田辺と両想いになり、幸せいっぱいの時期だからだ。


付き合うようになってから、田辺は遠回りしてまで雛と一緒に登下校している。昼食は、『友達との時間も大事にして欲しいから』と、遠慮しているらしい。
そこまで想われていて、何故溜め息なのか。


「田辺先輩以外のことで、何か悩みでも?」
風香も雛を気遣って尋ねる。
「うーん、田辺先輩絡みではあるんだけど…」
雛の言葉は何とも歯切れが悪い。
「もしかして田辺先輩、浮気してるのかなぁ?」
「マジで!?」
「えぇ!?」
雛から飛び出した思いもよらぬ言葉に、加奈と風香が驚く。
あの田辺が、浮気?


「ひぃたん、今聞き捨てならないことを聞いたんだけど。田辺が付き合って早々に浮気だって?」
近くにいた悠里が会話に加わる。
「まだ浮気だって決まった訳じゃないんだけど、一昨日校内で田辺先輩が知らない女子と手を繋いでるの見たし、昨日もお使いの途中で同じ女子と歩いてるの、見た…」
語尾が消え入りそうになる雛の顔を見ると、目に涙を溜めている。


「…田辺。ひぃたんを泣かせたら許さないって釘を刺したよな?文句言ってくる」
「え、あ」
勢いよく部室を出ていく悠里を追って、雛も部屋を飛び出す。
二年生の教室前に田辺を発見し、悠里は田辺の所に突進しようとする。
「あ、またあの女子と腕組んでる…」
「ひぃたん?田辺は一人だけど?あ」
よく見ると、田辺の隣に黒いモヤが可視える。それと同時に、田辺を物陰から窺う怪しい女子を発見。
悠里は方向転換して、女子の方に歩み寄る。


「ねぇ、そこのあんた」
「え?あっ、あなたは遠瀬先輩の?」
「いや、それ今関係ないから。田辺かひぃたんに、何かした?」
悠里の言葉に、女子の顔色が変わる。
「大人しく吐いた方が身の為だと思うけど」
「ひっ!?」
悠里が般若の形相になったので、女子が怯える。


「二人が別れればいいのに、と思ってちょっとしたおまじないをしただけなんだけど…」
「おまじないの解き方は?」
悠里が女子に詰め寄る。
「この三つの折り鶴を開けば良かったと思う」
悠里と雛が折り鶴を開くと、中には田辺と女子、そして雛の名前が書かれていた。同時にモヤも消える。
雛の目にはモヤが女子に見えていたらしい。
「じゃ、私はこれで」
女子がそそくさとその場を去る。


「…てことがあったんですよ、田辺先輩」
下校途中、雛が今回の事件を報告する。
「不安にさせて、ごめんね。でも俺は高良田さん一筋だから」
田辺は雛の手を握り、更に身を屈めて雛の顔を真っ直ぐに覗き込む。
「はい…」
どうやら、事件は無事一件落着したようだ…
〜三月下旬〜

「来たぞ、遊園地〜♪」
「良い天気だぉ〜♪」
卒業式も間近な土曜日。

悠里達は遊園地に来ていた。

メンバーは悠里と夏帆、そして。

「この六人で遊ぶの、久し振り!!」
「四月が懐かしいね」
「色々ありましたね」
「はい(´ω`)」
雛、加奈、咲耶、春鷹。

「って言うか!!ふーたん来ないのかぁ(;´д`)」
「家の用事じゃ仕方無いぉ」
「まあまあ月雛さん(´ω`)」
チュロスを食べながら拗ねる悠里を、夏帆と春鷹が宥めた。

「でも、本当に色々あったよね。取り憑かれたり、呪われたり」
「奔走したり、祓ったり(笑)」
「全員、恋人が出来たり・・・あ(;´д`)!!」
「加 奈 た ん (////;)?」
咲耶と雛にニマニマしていた加奈だが、忘れてはいけない。

悠里、便宜上、フリー。

「春鷹先輩、林先輩、国重先輩、原田先輩、灰田先輩、遠瀬先輩は卒業かぉ」
「友達や知り合いの先輩、多いな(笑)」
夏帆が指折り数え、悠里が笑う。

「卒業しても、たまには遊ぼ・・・ぅあ(;´д`)!!」
「ゆー君?」
言いかけた悠里が、ジェットコースターの列を見て顔を歪めた。

「折角の遊園地なのに・・・まあ鈴で祓えるか」
「あ、モヤかぉ?」
悠里は鈴を鳴らしながら、ジェットコースターに並ぶカップルへ接近。

不審がられないよう、夏帆がジャレつく。

「そう言えば悠里先輩、いつからモヤが可視えるようになったの?」
「あ、それ私も気になってた!!」
「元から?」
「そ、それとも切っ掛けが(;´ω`)」
四人も、それに続く。





〜回想〜

あれは、僕が小学二年生の冬休み。

遊び慣れた小学校の裏山で、廣光と神隠しに遭ったんだ。

どれだけ歩いても裏山の出口に辿り着けなくて、何度も目印の大木の所に戻ってしまって、寒さと疲労で僕達は倒れそうだった。

「帰りたい・・・」
「泣くなヒロミツ!!ぼ、ボクが付いてるぞ!!」
泣きながら身を寄合い、持ち寄っていたお菓子で空腹を凌いだ。

辺りは真っ暗で、不安と恐怖が僕達を襲った。

裏山の木々が化物に見えて、風が呻き声に聞こえて・・・思えば、低級霊の悪戯だったんだろうね。

「っ・・・」
「ひ、ヒロミツ!?だいじょうぶ!?ねたらダメだよ!?」
体調を崩し、グッタリし始めた廣光。

僕は必死で廣光を抱き締めた。

その時だ。

《ガサガサガサッ!!》
「ひぃっ!?」
少し離れた場所から、草木を掻き分ける音がした。

僕は必死で近くにあった木の枝を握り締め、身構えた。

30cmも無いような、細身の枝を。

「こっこわくないぞオバケぇえっ!!ヒロミツにちかづくな!!ボクがやっつけてやる!!あっち行けよバカぁあっ!!」
「ユ、ウ・・・」
《バッ》
必死に泣き叫ぶ僕に、“それ”が近付いた!!

「誰がお化けだ!!」
「バカはお前だ!!」
「ユウちゃあぁあんっ(泣)」
《ごちーんっ☆》
次の瞬間、僕は母方の従兄(義隆)と国重先輩(当時は小学三年生)に叩かれ、父方の従弟(小学一年生)に飛び付かれていた。

従兄弟達は夕方からウチに泊まる約束だったんだけど、僕がいつまでも帰宅しないから探していたらしい。

「うわぁあぁん!!」
「にい、ちゃ・・・」
「ユウ!!ヒロ!!しんぱいさせるな!!」
神隠しは解けて、僕達は病院に搬送され、元気だった僕は父に叱られ母に泣かれ、姉に飴を貰った。






〜現在〜

「それからしばらく、僕と廣光は外出禁止になったんだよね(笑)」
「良く見付けて貰えたぉ?神隠しだったんでしょ?」
笑う悠里の頬を、夏帆がつつく。

「父方の従弟がさ、物凄い泣き虫なんだけど、霊感少年だったんだよね。怖がりなのに災難な奴でしょ(笑)」
「災難ですね(((;´ω`)))」
春鷹、震え過ぎ(笑)

「母方のが泣きながら“ユウちゃんの声がする”って家を飛び出して、父方のが追い掛けて、たまたま(親に止められたのに)廣光を探していた国重先輩と合流したみたい」
「そして、それ以来モヤが可視えるようになった、と?」
咲耶が話を纏めた。

「子供の頃は可視えるのが怖くてね。物凄く嫌だったんだけど、気付いたら慣れてた」
「慣れたんですかΣ(゜Д゜)」
加奈が目を見開く。

「可視えるモノは可視えるんだから仕方無い。要は害されても怪我しない身体能力があれば良いんだよ(笑)」
「悠里先輩(笑)」
悠里の脳筋の原点は、まさかの心霊現象でしたとさ・・・
〜オカルト研究部〜
「それにしても今年度は、超常現象の当たり年だったなぁ」
林が頬杖をついて、どこか遠い目で呟く。
「あ、それなんですけど、部長が卒業した後も超常現象が頻繁に起こると困りますよね」
雛が、困り果てた顔で言う。
「まぁ何とかなるんじゃないか?月雛もいるしな。そう言えば、この間は高良田一人で頑張ったんだろう?」
林が言っているのは、こっくりさんの事件のことである。
「あの時は、部長も悠里先輩もいなくて大変だったんですよぅ(;´д`)」
雛が事件のことを思い出し、眉間に皺を寄せる。


「何なら、副部長に色々伝授していくか。木内、ちょっと来い」
「え、僕ですか?僕の専門は幽霊だから、呪いに関してはちょっと自信ないです(;´д`)」
咲耶は突然林に手招きされ、困惑する。


「来年度は副部長が部長になるんだよね♪ファイト♪」
「月雛には魔除けグッズやら呪いの解除に使うアイテムやらを渡しておこう。モヤが可視えるなら、使い時も判断出来るだろう」
そう言うと、林は鞄からホワイトセージだのお札だの、ありとあらゆるグッズを取り出し始める。
どれも普通の高校生が日常的に持ち歩いているとは思えない代物ばかりである。


「前から気になってたんだけど、部長はそういうのどうやって手に入れるのさ?」
悠里が質問すると、林は通販だ、と一言返す。
「今の御時世、呪いの藁人形なんかもネットで買えるからなぁ」


「あのー、アナログの呪いならまだいいんですけど、夏帆先輩が巻き込まれた事件やゲーム機の事件みたいに機械絡みの呪いが発動した時は対処に困るんですが」
風香が手を挙げて発言すると、林はメモ用紙に何やら書いて、咲耶に渡す。


「俺の携帯番号だ。部室にでも貼っとけ。それに俺の進学先はここから割と近いから、時間さえあれば手伝ってやらんこともない」
その後咲耶は何パターンかの呪いの解呪法を林にレクチャーされ、げっそりしながら席に戻る。


「今日はもう帰るが、卒業までに他に訊きたいことがあれば何でも訊いてくれ」
そう言い残して、林は部室を出る。
「何だかんだで、部長って面倒見いいよね」
「ちょっと変人だけど、基本チートだしね♪」
「チートと言えば、悠里先輩もかなりだよね!」
「林先輩が卒業するまでに、ツチノコ捕まえたいです!」
…最後の発言は、何か違う(笑)


〜中庭〜
放課後の中庭では、原田と加奈がベンチに座ってお茶していた。
加奈の膝の上にはペーパーナプキンに置かれたクッキー、横には魔法瓶。
二人の間に流れる空気が重いのは、気のせいだろうか。


「…先輩は県外の大学に行っちゃうんだよね」
加奈が手を握り締める。
「うん」
「そしたらあんまり会えなくなっちゃうのかぁ。寂しいな」
「俺も寂しいけど。成るべく毎日電話するし、LINEも送る」
原田と加奈は遠恋になるらしい。
「帰省も、出来るだけ頻繁にするから」
「じゃあ、約束」
加奈が自らの小指を原田のそれに絡める。
「…あぁ、約束な」
三年生が卒業するまで、あと少し…
〜遠瀬家〜

「見ろよ兄貴!!俺ちっせぇ!!」
「真面目にやれ颯太」
ある平日の夜、遠瀬家の息子二人は、アルバムを整理していた。

もうすぐ高校を卒業する遠瀬(兄)に思い出を振り返って欲しいと、父が提案したのだ。

「あっ!!桃木レジャーランド!!懐かしいな!!毎年夏に行ってたよな!!」
「懐かしいが、整理もしろ・・・ん?」
遠瀬(弟)が小学生の頃の写真を見ていたら、兄が何かに気付いた。

「これは・・・」
「ユウタロウじゃん!!連絡先を聞き忘れちまったけど、良い奴だったよな!!」
遠瀬(兄)は、一枚の写真を真剣に見ていた。

それは、小学生の頃にレジャーランドで撮った物。

映っているのは遠瀬兄弟と、兄弟をイジメっ子から助けてくれた男の子。

「あの頃は兄貴の体が弱くて、なのに俺が毎年レジャーランド行きたいって喚いてたんだよなぁ(笑)」
「俺も楽しんでいた。きにするな」
二人は笑い合った。

「んで、俺が二年生の夏に運悪く性格の悪い上級生トリオに絡まれて(笑)」
「父さんと母さんの死角で、突き飛ばされたり引っ張られたりした」
「兄貴、俺より小さかったのに俺を守ろうとして返り討ちにされたなぁ」
「周りの子供は、上級生が怖くて手を出せなかった・・・一人を除いては」
遠瀬(兄)が、目を伏せた。





〜回想〜

「ポリスブルーキーック!!」
「うぎゃっ!?」
《バキィッ》
上級生が俺を殴ろうとした時、そいつに蹴りを入れた奴が居た。

「海のように深いせいぎ!!ポリスブルー!!参上!!」
「何だ、お前・・・いでっ!?」
《べちんっ》
アイツは上級生達をヒーローみたいな動きで叩きのめした。

当時の流行りである“警察船隊ポリスレンジャー”のTシャツを来た、短髪の子供だった。

「生意気だぞ!!」
「やっちまえ!!」
「チビのくせに!!」
相手は上級生が三人なのに、アイツは負けなかった。

結局、騒ぎを聞き付けた係員が上級生を親に引き渡して厳重注意。

負けなかったが、やはり怪我だらけになったアイツは、俺と弟の手を引いて両親を探してくれた。

「何だよ?小さい方が兄ちゃんだったの?エライじゃん!!弟を守って!!」
「守れてなかった・・・」
「守れてたろ!!良いんだよ!!せいぎの心が大事なんだぞ!!ポリスブルーがいってたもん!!」
「・・・うん」
アイツは、傷だらけの顔で笑った。

「弟も兄ちゃん守ってエライ!!いっしょにポリスレンジャーごっこしよう!!」
「じゃあ、おれレッド!!」
「オレはグリーン」
その後、アイツの迎えが来るまで三人で遊んだ。

「・・・ブルー。オレさ、どうしたら弟を守れるかな?」
「強くなって、お巡りさんになりなよ!!弟も守れるし、せいぎの味方はカッコイイ!!ボクはサッカー選手になるけどね!!」
「オレしょうぼうし!!火よりつよいから!!」
体の弱かった俺に、夢をくれたのもアイツだった。

「レッド!!グリーン!!元気でね!!はなればなれでも、ボク達はせいぎの心でつながってるからね!!」
「またなブルー!!」
「元気でね」
大学生くらいの兄だか何だかに“ユウタロウ”と呼ばれたアイツは、嬉しそうに帰って行った。





〜翌日〜

「・・・で、この写真のユウタロウなんだが。もしかして、お前じゃないのか?」
「ふぁっΣ(゜Д゜;)!?」
遠瀬(兄)は、廊下で悠里を捕獲していた。

眼前に写真を突き付けると、悠里は驚いたようだ。

「あの時の小さい兄ちゃん!?風紀委員長!?」
「そうだ」
ユウタロウとは、義隆が一時期ふざけて付けていたアダ名だった。

「月雛。俺はユウタロウに出逢って、警察官になると決めた。弟を守れるように。いつか再会したユウタロウに、胸を張れるように」
「・・・・男じゃなくてゴメン。騙す気は無かったんだ」
写真を懐に戻し、遠瀬(兄)は真剣に言った。

「ユウタロウ。やっと会えた。まだ警察官になってないが、俺は必ず夢を叶える」
「グリーン・・・頑張って。君なら出来る。僕は信じてるよ」
二人が固い握手を交わす。

「月雛。お前は俺の運命の人なんじゃないだろうかと思う」
「・・・ふぁっΣ(////;)!?」
遠瀬(兄)は、そのまま悠里の手の甲に唇を落とす。

最早、恒例だ。

「俺の正義の心を、ずっと隣で支えて欲しい」
「僕は・・・」
「ユウタロウは俺のヒーローなんだ。例え自分自身にでも、嘘をついて欲しくない。自分を否定して欲しくない」
「っ・・・・」
「俺が憧れた人は、俺の愛しい人の心も救ってくれるよな?あの日みたいに」
「・・・・」
遠瀬(兄)の腕に収まった悠里は、抵抗しなかった。

いや、出来なかったのだ。

遠瀬(兄)が望む“理想のユウタロウ”を守る、それが悠里の“正義”なのだから・・・
〜オカルト研究部〜
「高良田さん、そろそろ帰ろ」
「はい、今準備しますね」
部活後に田辺が雛を迎えに来る、という光景に、部員の皆は最近はすっかり慣れていた。
田辺が呼びに来て、そのまま暫く雑談するのも定着しつつある。


「高良田。お前、レポートの締め切り近いからちゃんとまとめとけよ?」
あと数日で卒業式だから三年生は自由登校なのだが、部室には色々資料が揃っているので、林は毎日のように部室に顔を出している。


「はーい。じゃあ部長、またね」
「林先輩、失礼します」
二人は手を繋いで部室を出て行く。
その様子を見て、林は一年生の時の初恋を思い出した。


〜回想〜
自慢という程のことでもないが、俺は昔から成績が良かった。特に記憶力は人よりずば抜けて良く、大体の物事は一度見ただけで覚えることが出来た。こういうのを「瞬間記憶能力」というのだそうだ。
思考力もそれなりにあったから、英泉高校に全教科満点で入学したことも、別に不思議なことではなかった。
教師達は、「我が校始まって以来の天才だ」と騒いでいたようだが。


文化部の顧問からは引く手数多だったが、俺は昔から妖怪だの呪いだのに興味があったから、オカルト研究部に入部することにした。
教室では呪いや民俗学に関する本を一人で読んでいることが多かったが、「全教科満点」という実績と物珍しさから声を掛けてくる者もたまにいた。


「入試で全教科満点とかマジか!勉強教えてくれよ」
「林君、よく呪いの本を読んでるけど、おまじないとか出来たりする?」
まぁ大抵こんな感じだ。女子の言う“おまじない”とは恋愛関係のものだったのだろう。
俺自身は生まれてこのかた人を好きになったことがないので恋愛には全く興味がなく、だからまさか自分が恋に落ちるなどとは思いもしなかった。


相手の名前は、北村霞。
きっかけは廊下で彼女とぶつかったことである。ついいつもの癖で本を読みながら歩いていると、人とぶつかった感触がした。


「きゃっ」
ぶつかった女子は尻もちをついたようだった。
「済まん。大丈夫か?」
「平気だよ〜」
俺は助け起こそうとしたが、彼女は素早く自力で立ち上がった。
「林君、また呪いの本読んでるの?」
「あぁ」
「その手の本を読んでる時って、林君すごく活き活きしてるよね」
そんな反応を返されたのは初めてだったので、俺は少し驚いた。大概は変人扱いされるか、“恋のおまじない”について訊かれるかのどちらかだったからだ。


「何が書いてあるの?」
本を覗き込んで来た彼女からは、良い匂いがした。シャンプーの匂いだけではなくて、女子特有の甘い匂い。
「興味がない奴にはつまらん話だ」
言い方が不味かったか、と思ったが彼女は別段気を悪くした風でもなかった。
「そう?危ないから、歩き読みは止めなよ?」
そう言って彼女は教室に入って行った。その時初めて彼女が同じクラスであることに気付いた。


そんなことがあってからは、自分でも何故かは判らないが、彼女を目で追うようになった。
友達が多いとか、しっかりしているように見えて実はよくドジを踏むとか、彼女についてひとつ知る度に嬉しくなってドキドキした。
“恋のおまじない”について教えて欲しい、と言う女子の話を聞いていると、それが“恋”というものらしい、と知った。
兎に角彼女を見る度に心臓が高鳴ったし、話をする機会がある時も、緊張で何を話したのか覚えていないことが多く、自分にもそんな感情があることに驚いた。
初恋のふわふわした気持ちに浸っていると、ある日こんな会話が耳に入ってきた。


「霞、彼氏の誕生日プレゼント決めた?」
「それが、何にしたらいいのか判らなくて」
「他校の男子だったっけ?あんまり一緒にいられなくて寂しいよね」
「まぁね」
そうか、彼女には付き合ってる奴がいたのか。
余程ショックだったらしく、その日はどうやって家に帰ったのか覚えていないくらいだった。
しかし、日が経つにつれ胸の痛みも段々薄れていき、半年経つ頃にはすっかり元気になっていた。
ところで今までに何人かの女子と付き合ったことがあるのだけれど、すぐフラレるのは何故だろう。


そして林は思考を現在に戻す。
部室の窓から田辺と雛が仲睦まじそうに手を繋いで帰って行くのを見て、林は微笑ましい気持ちになる。
今のところ自分には縁がないことだけれど、幸せそうな後輩達を見ているとまた恋をしてみるのも悪くない、と思う林だった…
〜卒業式の前日〜

「原田先輩!!明日、私に校章を下さい!!」
「抜け駆けしないで!!貰うのは私よ!!」
「私ですぅ!!」
「いや、加奈にあげるから(;´д`)」
朝、ジャージ姿で走り込みをしていた原田は、休憩中にファンに捕まってしまった。

「ズルイよ原田君!!何で綾瀬さんなの!?」
「彼女だからだよ(;´д`)」
「私も彼女にして!!遠恋だって大丈夫だから!!」
「無理だよ(;´д`)」
ファンは、最後の悪足掻きをしていた。

「あの子に遠距離は無理だわ!!」
「きっと浮気するよ!!」
「今時、恋人は複数いて当たり前・・・」
「そこの女子共、まとめて生徒指導室送りにしてやろうか?」
女子の喚きに原田が言い返しかけた時、国重が登場。

「原田。言い返すなら、もっと早い段階で応戦しろ。そもそも捕まるな」
「国重」
国重は、呆れている。

「国重先輩は誰に校章をあげるんですか?」
「やらん」
「月雛君は?」
「あれは弟枠だ。そして仮に渡したら、狂犬に噛み殺されるぞ」
国重はファンを撒いて来たらしく、髪が風で若干乱れている。

「とにかく俺は、加奈に渡すから。それと、俺の大切な人を悪く言わないで?」
「引き際を心得ろ。お前達は小学生か?」
この後も所々でファンに絡まれた原田は、国重にフォローされつつ過ごしたのだった。





〜春鷹side〜

「久留米先輩、こっち向いて〜♪」
「これ、受け取って下さい!!」
「卒業しても遊びに来て下さい!!」
「えーとΣ(゜ω゜)」
春鷹も勿論、朝から群がられていた。

「久留米君、最後の思い出にキスして?」
「しません(;´ω`)」
「私も私も!!」
「しませんったら(;´ω`)」
春鷹は物腰が柔らかいので、迫られ方も凄い。

あちこち触られています!!

「麻生さんモテるし、きっと他にも彼氏いるよ!!」
「周りフラグだらけだもん!!」
「隙あり・・・ぷっ!?」
「あー、こらこら」
一人が春鷹の頬に、背伸びしてキスしようとしたが、通りすがりの林にノートで防がれた。

「久留米。これ麻生さんの落とし物」
「落とし物?ノートが?」
林はノートを春鷹に渡す。

「久留米と別れさせようとした女子が、昨日の放課後に盗んで呪詛をかけようとしたみたいだな?」
「Σ(゜ω゜)!?」
「たまたま見掛けた高良田さんが取り返して、解呪の為に俺が一晩預かってた」
「有難う御座います(;´ω`)!!」
この後も所々で絡まれたり、何かしらの呪詛を込めたプレゼントを(春鷹、夏帆、両方のファンから)渡されまくった春鷹は、林の世話になりっぱなしだったそうだ。





〜遠瀬(兄)side〜

「遠瀬先輩!!一緒に写真撮って下さい!!」
「せ、せめて手紙を受け取って・・・」
「メアド交換しましょうっ」
「悪いが、断る」
遠瀬(兄)の場合、校章を欲しがる強者は居なかった。

恋人持ち(だと思われている)で、武芸者なので隙を突いて奪う事も出来ないからだ。

「ガード堅いな颯太の兄貴!!」
「“おまじない”されちゃ、敵わないから」
「しても無駄だけどね」
「兄貴は俺達が守る!!」
化学部SECOMは今日も元気。

「折角、月雛が振り向いてくれそうなんだ。やっと掴んだ好機。不安要素は作らない」
「それは良いのだが、学籍がある内は程々にね?」
外堀を埋め、内側から手を回し、狩る気が満々の狂犬に、灰田は苦笑している。

悠里は先日から、遠瀬(兄)に“何かを”言われる度に抵抗出来なくなっていた。

「俺達の“ヒーロー”、早く姉貴になんねぇかな(笑)」
「そうだな。ヒーローらしく、正々堂々と向き合って貰おう」
果たして“ヒーロー”は、今まで背を向けて来た“本心”から逃げずに、決着を付けられるのだろうか・・・
〜卒業式〜
本日はいよいよ卒業式本番。三年生が晴れやかに学び舎を巣立っていく目出度い日である。
朝から教師を始め在校生が式の最終チェックに奔走する一方で、卒業生は入学してからの三年間を振り返り、感慨に耽っていた。


そんな中、いつもの光景を繰り広げている男女が一組。
遠瀬(兄)と悠里である。
「風紀委員長、リボン曲がってる」
そう言って悠里が遠瀬(兄)の胸に安全ピンで留められたリボンを直す。卒業生は、皆胸にリボンを飾ることになっているのだ。


「有り難う、月雛。これは、未来の予行演習か?」
遠瀬(兄)が悠里の腰を抱き寄せ、額に口付けを落とす。
「(//////)!!離してよ!てか予行演習って何のことさ!?」
「ドラマとかでよくあるだろう。夫の曲がったネクタイを妻が直す、というやつだ」
「ち、違う(//////)!!風紀委員長なのに身なりに乱れがあったらダメだと思って…だから離してったら(//////)!」


悠里は遠瀬(兄)の腕の中で抵抗を試みるが、力で敵う筈もない。その間にも、悠里の髪にキスの雨が降り注ぐ。
『在校生の皆さんは、各クラスの前に整列してください』
そこへ、タイミング良くアナウンスが流れる。
「ほら、召集かかってる(//////)」
「む、仕方ないな。じゃあ、また後で」
遠瀬(兄)の言葉も聞かず、悠里は脱兎の如く駆け出した。


〜体育館〜
卒業式の会場である体育館には、卒業生を迎える為在校生と父兄が待機していた。
『卒業生、入場』
アナウンスと共に、卒業生が厳かに体育館に入場する。
卒業生が着席したのを確認してから、開会の言葉、校長の訓辞とプログラム通りに式が進行する。


「雪も融け始め、日に日に春に近付いていく今日この日に…」
送辞が始まると、在校生も卒業生も顔を引き締める。
そして答辞を述べる為に卒業生代表である林が壇上に上がった時、どこからともなく桜の花弁がひらひらと舞い込んできた。
それと同時に、林が前のめりに倒れる。いや、林ばかりか、三年生が次々と倒れていく。
何処か具合が悪いという風でもなく、ただ眠っているように見える。


「副部長、ひぃたん、ふーたん!原因を突き止めるよ!!」
場内が混乱する中、悠里の一言で咲耶と雛、風香が席を飛び出す。
「悠里先輩、おかしくない?今朝グラウンドを見た時には桜なんて一本も咲いてなかったのに」
初めは散らつく程度だった桜の花弁が、今や桜吹雪と化している。


「月雛先輩!一本だけ満開の桜があります!!」
風香が指差した方を見遣ると、確かに一本だけ狂い咲きの桜がある。
「それだ!でもどうやったら桜吹雪を止められる?部長も寝てるし…」
その間にも桜吹雪は勢いを増していく。


「月雛さん、桜吹雪が酷くなるにつれて、木に咲いた花弁が減っていくみたいだ!」
咲耶の言葉に件の桜を見ると、段々花弁が少なくなり、やがて一片も残すことなく花弁が落ちる。
「…あれ、俺何してたんだ?」
「…今のは、夢?」
途端に桜吹雪が収まり、卒業生が目を覚ます。


不思議なことに、全員が目覚める頃には先程まで体育館を埋め尽くしていた桜の花弁が消え失せていた。
卒業生は眠っている間中、幸せな夢を見ていたという。
それは、桜の木が卒業生に手向けた餞だったのだろうか…
〜卒業式後〜

「月雛。俺の校章、受け取ってくれ」
「風紀委員長・・・」
桜並木の道で、遠瀬(兄)は悠里と向かい合わせて手を握っていた。

二人の手の中には、遠瀬(兄)の校章。

「好きだ」
「・・・僕は貴方に相応しくないよ?本当に良いの?」
悠里は、校章を握り締める。

「俺は月雛が思う程、良い人間じゃない。小学生の頃の出逢いすら利用するくらいに」
「・・・ヒーロー、か」
「こんな卑怯な俺は、嫌いか?」
「交渉術の範囲内だ。卑怯じゃないし、嫌いじゃない」
遠瀬(兄)が、悠里の頬を撫でる。

「ならば、素直な答えが聞きたい・・・同じ気持ちのハズだ・・・」
「僕の方が・・・」
「うん?」
「僕の方が先だった」
遠瀬(兄)の指が、悠里の唇に触れた。

悠里は、その手を握って拗ねたように呟く。

(同じじゃない。僕の方が先に好きになった。僕の方が、ずっとずっと想ってた。答えないクセに、諦められないくらい。守りたいクセに、繋ぎ止めようとするくらい)
「僕は・・・」
今までの葛藤を胸に、悠里は意を決する。

「僕は・・・・・・貴方が好きです」
「つきひ・・・」
「フラれたら多分、正気で居られないくらいに」
「・・・」
悠里は、遠瀬(兄)からの包容を制止する。

ちゃんと話をする為に、逃げずに向き合う為に。

抱き締められて、暴れて、誤魔化すのは・・・もう終わりだ。

「貴方を信じてないんじゃない。僕は自分を信じられない。自信がない。僕なんかより、素敵な人と幸せになって欲しかった」
「欲し“かった”?つまり?」
遠瀬(兄)が先を促す。

「でも・・・“ユウタロウ”は“小さい兄ちゃん”の味方だから・・・“ヒーロー”として、“小さい兄ちゃん”の好きな子を・・・“ネガティブ怪獣”から守る事にした」
「・・・流石は俺達のユウタロウ。いつだって俺達の“ヒーロー”で居てくれるんだな」
悠里は校章を自分のブレザーのポケットに入れ、遠瀬(兄)を真っ直ぐに見た。

「“ユウタロウ”から伝言。“僕も頑張るから、グリーンは夢を叶えて警察官になって。そして、最後はグリーンの手で好きな子を救い出してあげて。これが僕達の、正義の誓いだ”・・・だってさ」
「分かった、誓おう」
どちらともなく相手を引き寄せ、背中に腕を回す。

改めて感じるのは、自分と違う体格と、互いの匂い。

春の陽射しより温かくて心地好い、愛しい人の体温。

「誓いのキスは要るか?」
「い、要りません」
「遠慮するな」
「こらっΣ(////;)!?」
遠瀬(兄)、我慢が出来ず、頬にキス。

いや、頬だけでは足りないらしく、音を立てて移動中。

悠里は真っ赤になり、しかし抵抗はせずに、遠瀬(兄)のブレザーの裾を掴んでいた。

「警察官になった暁には、結婚を前提に交際を申し込むので覚悟してくれ」
「重っΣ(////;)!?」
「後、そろそろ名前で呼び合いたいのだが」
「名字すっ飛ばして名前!?確かに、もう風紀委員長じゃないけど!!」
夏帆と春鷹の予想は、半分当たりそうだ。

「・・・殴り損ねた」
「帰れ他校生」
それを離れた位置から見ていた廣光は、国重に頭を叩かれ、大人しく帰って行った・・・
〜春鷹side〜

「久留米くぅん!!寂しいよぉ!!」
「私の事、忘れないでね!?」
「麻生さんと別れたら私が彼女になってあげる!!」
「絶対に別れませんΣ(゜ω゜;)!!」
ここは、演劇部の部室。

卒業式を終えて、それぞれが別れを惜しんでいた。

そして春鷹は、群がられていた。

「私の方が久留米君を好きなのに!!」
「告白されたから受け入れる、みたいなノリの麻生さんに取られるなんて!!」
「今からでも目を覚まして久留米君!!」
「そんな事はありません。麻生さんは・・・ちゃんと本気で、僕を好きでいてくれています」
春鷹は柔らかく、しかしハッキリと言った。

いつもなら、どもったり照れたりで言い切れない。

だが、最後くらいは・・・卒業式の後くらいは、漢を見せなくては。

(そうだ。僕は今日で卒業する。麻生さんは月雛さんが守ってくれるけれど、それじゃ駄目なんだ)
「麻生さんは僕の彼女です。側に居られなくても、想いは通い合っています。これからも、ずっと」
凛とした微笑みの春鷹に、女子が見惚れる。

だが、食い下がる者は、一人として居なかった。






〜夏帆side〜

「おっかしいぉ?何処に落としたぉ?」
(春鷹先輩に貰ったのに)
悠里が遠瀬(兄)に迫られていた頃、夏帆は探し物をしていた。

春鷹がゲーセンで取った、猫耳アザラシのストラップだ。

「あ、あのっ!!麻生さんっ!!これ、君の携帯ストラップじゃないかなっ!?」
「・・・あΣ(゜Д゜)」
しばらく探していたら、隣のクラスの男子が真っ赤になってストラップを差し出して来た。

「き、教室の前に落ちてて!!麻生さん、似たようなストラップ付けてた気がして!!」
「有難うだぉ♪良く私のだって分かったぉ?」
「ずっと・・・見てたから」
「・・・さよか」
男子が夏帆にストラップを握らせた。

「麻生さん!!僕、君が好きだ!!」
「ごめ・・・私もだぉ(えっ!?口が勝手に!?)

告白され、謝ろうとした夏帆が放った言葉は、意思と真逆だった。

「久留米先輩と別れて、僕と付き合って下さい!!」
「はい、喜んで(くきゃ!?何で!?まさか呪詛!?)」
「良かった!!これから宜しく!!」
「宜しく(春鷹先輩!!ゆー君!!助けて!!)」
笑顔で青冷める夏帆。

何故なら男子は、スマホで動画を撮り始めたのだ!!

「大好きだよ、夏帆」
「私も大好きだよ、小倉君・・・」
「麻生さん?」
そこに現れたのは、部員との別れを済ませた春鷹。

「久留米先輩!!麻生さんは僕が貰います!!」
「あげませんよ(;´ω`)!!」
「僕達は両想いなんです!!動かぬ証拠がココに!!」
「動かしますよ(;´ω`)!!」
夏帆を背に庇う男子に、春鷹は言った。

(呪詛ですかね?この場で解かないと、触れ回られては厄介だ)
「・・・麻生さん。何を握り締めているんですか?」
春鷹は二人を注意深く観察し、夏帆の様子に気付いた。

青い顔で笑い、何かを強く握っている。

「離しましょうか。そんなに強く握っていては、綺麗な手が傷付いてしまう」
「あっ!?」
《バッ》
春鷹は演劇部で鍛えた動きで男子の横を擦り抜け、夏帆の背後に回った。

夏帆からストラップを取り上げ、片手で彼女を抱き締める。

「これは、僕があげたストラップ?」
「・・・春鷹先輩っ」
「わっ!?麻生さん・・・」
「春鷹先輩・・・」
《ギュッ》
正気に返った夏帆が、振り向き様に春鷹に抱き付いた。

「麻生さん、良かった」
「くきゃあ!!」
春鷹は、夏帆を優しく抱き返した。

この後、逃げようとした男子は夏帆に捕まり、動画を消去された。

春鷹は夏帆と恋人繋ぎで手を繋ぎながら林を探し出し、呪詛を解いて貰った。

「離れていても、心は側に。何かあったら必ず駆け付けます・・・夏帆ちゃん」
「うん、春鷹君」
新年度まで、後少し。

彼等の未来は・・・
〜卒業式翌日〜
卒業式も無事に終わり、今日は在校生が後片付けをする為に登校していた。教師監督の下、咲耶がパイプ椅子を運んでいると、後ろから誰かに肩を叩かれる。
反射的に振り向くと、田辺が立っている。


「びっくりした。田辺君か」
「驚かせてごめん」
田辺が申し訳なさそうな顔をする。
「ううん、別にいいけど、どうしたの?」
「明日は代休だろ?で、Wデートとかどうかなって」
田辺の話によると、雛はまだ田辺に対してよそよそしいところがあるという。
それで、幼馴染みの咲耶がいれば緊張もほぐれるのでは、と考えたそうだ。


「僕はいいけど谷口さんに訊いてみないと判らないから、帰りまで返事を待って貰っていいかな」
「うん、勿論。急な話でごめん」
互いにLINEのIDを交換し、それぞれ自分の持ち場に戻る。


片付けが一段落した後、咲耶は風香に会いに一年生の教室に向かう。
「…という話なんだけど、谷口さんはどう?」
「私は全然構いませんよ。雛ちゃん、元々人見知りですもんね」
風香からあっさりOKの返事を貰えたので、早速田辺にLINEを送ると、田辺からも『こっちもOK』との返事が届いた。


目的地は放課後四人で話し合った結果、動物園に決まる。更に、動物園内にはレストランもあるのだが、雛と風香がお弁当を作っていくことになった。


「雛、お弁当は何を作って行くか決まった?」
雛の料理の腕を知っている咲耶が、多分に不安になり訊いてみる。
「うん。おむすびとゆで玉子と、タコさんウインナー」
それなら失敗しても大事にはならないだろう、と咲耶は息を吐く。
「田辺先輩がね、おむすびの具は鮭と辛子明太子がいいって。明日早起きして作るから、もう寝るね♪」
こうして、未だに咲耶の部屋を訪れていた雛は早々に自室に戻った。


〜デート当日〜
「「「「おはよう(ございます)」」」」
駅前で待ち合わせて電車に十分揺られ、四人は動物園に到着した。
「いやぁ、学校内ではよく知ってたけど、木内君て本当にモテるんだね」
実は咲耶はいつもの如く、電車内でもひっきりなしに声を掛けられていた。
「あははは」
それに対して咲耶は苦笑で返す。
そういう田辺も、数人から逆ナンされていたのだが。


「田辺先輩、こっちこっち!西表ヤマネコだって!!」
雛がぴょんぴょん飛び跳ねて、田辺を手招きする。
田辺の思った通り、咲耶がいるせいか二人きりの時よりリラックスムードである。
「そんなに急かさなくても、ヤマネコは消えたりしないよ」
田辺は笑いながら雛の元に歩いて行く。


「雛ちゃん幸せそうですね」
「うん。田辺君とはあんまり話したことなかったけど、良い人みたいだし」
動物園に着くまでの間、田辺は道路側を歩いたり、はしゃぐ雛が転ばないように然り気無く手を繋いだりと、何かと気を遣ってくれていた。
広い園内を半分程回ったところで、時計の針が十二時を指していることに誰からともなく気付き、お昼ご飯にしようということになった。


「田辺先輩、これ」
雛が少し恥ずかしそうに、持参したランチボックスを田辺の前に置く。中身はかなり形が崩れたおむすびとゆで玉子とタコさんウインナーだ。タコさんウインナーは宇宙人に見えないこともない仕上がりだが、一応焦げてはいない。


「おむすび美味しいよ。あ、高良田さん。ご飯粒ついてるよ?」
田辺は雛の口元についた米粒を指で摘まみ、それを自分の口に入れる。
その途端、雛は真っ赤になる。


(雛が田辺君に対してよそよそしいところがあるのって、もしかしたらこのせいかなぁ)咲耶は何となくだが事情を察し、苦笑する。
「木内先輩には、これです」
風香が作ってきたのは、ツナと玉子のサンドイッチだった。
美味しいね、と咲耶が言うと、風香は嬉しそうに笑う。
お昼ご飯の後、四人はゆっくりと動物を見て回り、閉園まで動物園を満喫したのだった…
〜一年生side〜

「春休み前日に抜き打ちテストとか酷い!!」
「まあまあタカ(;´д`)」
「私は得意教科の抜き打ちテストが当たったよ」
明日から、春休みだと浮かれていた雛。

しかし、まさかの抜き打ちテストでグッタリ。

加奈と風香が苦笑している。

「しかも春休みの宿題が多いよ(;´д`)」
「入学前に出された課題より多かったね」
「頑張って片付けないとね」
今は午前の中休み。

進級の為の課題として配られたプリントの量を思い出し、雛はジタバタした。

「・・・私達、二年生になるんだね。後輩が出来て、部活で顔を合わせるメンバーも変わって」
「そうだね。今の卒業生は、本当に学校に来なくなって。新しい道を進むんだよね」
「春だから。出会いと別れの季節だもん。だけど、会えなくなる訳じゃないよ?」
ふと、雛が目を伏せた。

加奈も同調する。

風香は明るく言った。

「学生時代の友達ってさ。一生物なんだって」
「うん。これからも、ずっと友達だよね」
「・・・えーと、私達の卒業は再来年だよね???三年生の先輩達の話かな???」
笑顔を交わす二人に、困った笑顔で突っ込む風香。

「そして加奈ちゃん!!」
「わぁっ!?」
《ガシッ》
しんみりしていたかと思えば、雛は加奈の双肩を掴む!!

「原田先輩!!県外の大学に行くんだもんね!?ちゃんと連絡取って!!離れないようにするんだよ!?」
「ちょ、た、タカ(;´д`)!!」
「ミーハー達に負けないで!!きっと新天地で、原田先輩は大変だろうけど!!加奈ちゃんが支えてあげるんだよ!?」
「あ、あの、高良田さん落ち着いて(;´д`)?」
ヒートアップする雛に肩を揺らされる加奈。

風香は控え目に見守りつつ、声を掛けるのだった。





〜二年生side〜

「明日から春休みかぁ。桜餅食べなきゃ〜♪」
「四月になったら、またお花見するぉ」
「そうだね。現在の三年生は大学生になるから、集まれるか分からないけれど」
二年生の教室が並ぶ廊下では、悠里と夏帆と咲耶が話していた。

「そう言えば、ゆー君は遠瀬先輩と付き合うんかぉ?」
「あ、麻生さん?」
「・・・・」
突然の質問に驚く咲耶と、固まる悠里。

しかし、悠里は覚悟を決めたのだ。

もう、逃げない。

「僕は負けず嫌いなんだ」
「くきゃ?」
「あの人に諦めさせる事で、僕が勝つハズだった」
「月雛さん?」
悠里は、淡々と言う。

「“逃げるが勝ち”ってヤツだよ。ずっと好きでいて貰える自信がなくて、逃げ続けてた」
「ゆー君・・・」
「でも、もう良いんだ。僕の負けで。あの人にだけは、勝てなくて良い」
「・・・そうですか」
咲耶が、小さく笑う。

「あの人が信じる“運命”とやらに従うよ。敗者は勝者に追従する」
「要は先に惚れた方の負けかぉ。惚れた弱味だぉ〜♪」
「ふふふふ」
スッキリした表情の悠里に、夏帆が抱き付く。

咲耶は、それを微笑ましそうに見ていた。

「ナッツはナッツで、はるるん先輩を捕まえておくんだよ?」
「任せろだぉ♪」
「と言うか、はるるん先輩が男らしくナッツを捕まえといてくれなきゃなんだけどね(笑)」
「遠瀬先輩みたいに、かぉ(笑)」
「あれは!!遣り過ぎ!!」
「ゆー君、真っ赤だぁお(笑)」
更にジャレる二人を見守りつつ、“僕も頑張らなきゃな”などと思う咲耶。

平和である。





〜三年生side〜

「今日で本当に、ココに通うのは最後なんだな」
「原田君」
「そうだな」
自由登校の三年生は、図書室に居た。

「三年生になってからは、何だか濃い一年だったなぁ」
「そうですね(´ω`)楽しい事も、嬉しい事も、怖い事も、色々ありました(´ω`)」
「終わり良ければ全て良し、だ。俺は“良い一年だった”と言い切れる」
原田、春鷹、遠瀬(兄)は、懐かしそうに一年を振り返る。

「明日の朝には、俺は家を経つ。寮生活になるから、今年の花見は不参加だな」
「僕は予定が合いそうです。遠瀬君は?確か県外の警官養成学校に進学ですよね?」
「俺も無理なので、麻生に頼んで月雛の写真を送って貰う。俺も寮生活だが、出発は三日後だ」
ほぼ毎日顔を合わせていた者達と、明日からは別々の道を歩く。

それは当たり前で、しかし、だからこそ寂しい。

「遠瀬。颯太が携帯の充電を忘れてメール出来ないからと、伝言を預かって来た」
「灰田」
そこへ、化学部トリオにせがまれて登校していた灰田が来た。

「“月雛からマドレーヌ貰ったから後で渡す。それと、今日で灰田が最後だからカラオケ行こう。兄貴も月雛を駅まで送ったら来い”、だそうだ」
「分かった」
灰田は遠瀬(兄)の隣に座り、本を開く。

新年度まで、後一週間・・・
「ナッツ、明日楽しみだね♪」
「だぉ♪会場は風香たんのお祖父さんちだぁお?」
「そうそう。オカルト研究部の合宿でもお世話になったけど、広いんだよ♪」
春休み前日の夜、悠里と夏帆が電話で話しているのは、女子会についてだ。
参加者は悠里、夏帆、雛、加奈、風香で、場所は風香の祖父のお寺である。
「もう一時だぉ。早く寝ないと…おやすみ、ゆー君♪」
「おやすみ、ナッツ♪」
二人は女子会を楽しみに床に就いた。


翌日の朝十時。五人は商店街の入り口で待ち合わせしていた。今回の予定は商店街でショッピングした後ランチをとり、寺に向かう、という流れである。
ショッピングの目的は、それぞれデート用の服を選ぶことだった。


「加奈ちゃんはそっちよりこっちの方が似合うよ!」
「タカはちょっと大人っぽい服にしてみたら?」
「もうすぐ二年生だもんね」
一年生トリオはキャッキャとはしゃいでいる。


二年生コンビは、というと。
悠里が一着の服の前で立ち止まっていた。それは繊細なレースの衿が印象的な、膝丈の真っ白いワンピース。
「ゆー君、それ買うのかぉ?」
悠里の腕に抱き付きながら、夏帆がワンピースを見つめる。
「買わない、けど…」
夏帆に問われて即座に否定した悠里だったが、本当は買うか買わないか、ずっと迷っていた。
遠瀬(兄)の見送りに着て行ったら、どういう反応が返って来るのだろうか。


「ナッツはどんな服を選んだの?」
悠里が無理矢理話題を変える。
夏帆は親友の考えなどお見通しなのだが、敢えて何も言わずに悠里の問いに答える。
「私は春らしく白いシフォンブラウスに桜色のキュロットにしたぉ♪」


たっぷり一時間かけてお気に入りの服を買った一同がランチの店に向かおうとすると、突然悠里がトイレに行きたいから先に行っていて欲しい、と言い出した。
「場所は判ってるし、すぐ追い付くから!」
そう言い置いて、悠里はUターンする。悠里の不自然な様子に皆気付いていたが、黙って悠里の言葉に従うことにした。
皆の予想通り悠里はトイレに行ったのではなく、こっそり先程のワンピースを買いに戻ったのだ。覚悟を決めたとはいえ、やはり気恥ずかしさが先立つ。それでも会計を終え、ワンピースを鞄に仕舞った。


「お待たせ〜♪」
その後皆より一足遅れてランチの店に着いた悠里。
予約していたのはイタリアンのチェーン店で、悠里を待っていた一同は大皿料理とデザートを一人一品ずつ注文し始める。他愛もない話をしながらの食事は、いつもより美味しく感じられた。
悠里がそう言うと、雛が「でもデザートは悠里先輩が作るお菓子ほどじゃなかったよ!」と付け加える。


そして、夜。全員パジャマに身を包み、布団の上で思い思いに寛いでいる。
「ゆー君、遠瀬先輩のお見送り、気合い入れて行くんだぉ?」
夏帆の言葉に、雛が野生の勘を働かせる。
「え、遂に遠瀬先輩とお付き合いすることになったの!?」


「いや、正式なお付き合いは風紀委員長が夢を叶えてから。それまでは今まで通りだよ?」
“今まで通り”なら、普通はそれを“付き合っている”と言うのではないか。
その場にいた全員がそう思ったが、何も言わなかった。
「もう“風紀委員長”じゃないぉ?」
夏帆がにこにこと悠里を見ている。親友の幸せが、ただただ嬉しいのだ。
「ふぁっ!?(//////)ていうか加奈たん、その指輪可愛いね!?」
「原田先輩に貰ったんです。ホワイトデーにはプロポーズみたいなのもされてて(//////)」
「加奈たん、そこ詳しく♪」
こうして恋バナで盛り上がる一同だった…
〜春休み最終日〜

「宿題、良し。荷物、良し。制服、良し・・・今年は咲ちゃんの世話にならずに新年度準備が出来たぞ〜♪」
高良田 雛。16歳。
明日からは、英泉高校の二年生になる。

「クラス発表、楽しみだな♪加奈ちゃんや風香ちゃんと同じクラスだと良いなぁ♪」
この一年で、友達が増えた。

危険な事もあったが、皆で力を合わせて解決して来た。

「今度は平和にオカルトな日常を楽しめると良いんだけど・・・あ(////)」
そんな事を考えていたら、田辺からLINEが来た。

二人の恋も、きっと進展するのだろう・・・雛が羞恥で倒れなければ。





〜加奈side〜

「お母さん?シャンプー切れそうだよ?良かったら明日、私が買って帰ろうか?」
綾瀬 加奈。16歳。

風呂上がりに頭を乾かしながら、母と会話する彼女も明日からは二年生。

「え?ああ、別にシャンプー選びたい訳じゃないけどさ。明日はお米も買うんでしょ?荷物は少しでも少ない方が良くない?」
専業主婦の母は、買い物なら割りといつでも行ける。

だが、往復したり重い荷物を一人で運ぶのは大変だろう、との提案だった。

「明日?部活はないから普通に帰宅・・・えぇ?進級祝いの御馳走?良いよ普通で」
加奈は母と遣り取りしながら、楽しげに笑うのだった。





〜悠里side〜

『月雛。今度逢う時も、あのワンピースを着てくれないか?結婚式のドレスみたいで、綺麗だった』
「また、そーゆー事を・・・」
月雛 悠里。17歳。

明日から三年生の彼女は、“恋人予定”の遠瀬(兄)と電話していた。

会話の内容は、遠瀬(兄)が新天地に旅立つ際の見送りでの事。

『帰省の時期には、必ず連絡する。可能な範囲で良い。逢いたい』
「うん」
両親と弟、歌音と悠里に見送られ、遠瀬(兄)は改札を抜けた。

『月雛、好きだ』
「・・・ぼ、くも、好きだ、よ」
電話越しに囁かれ、悠里は真っ赤になる。

『抱き締められないのが残念だ。夏になったら、存分に充電させて貰おう』
「御随意に・・・」
『言ったな?お前に触れるのを楽しみにしている』
「限度はあるからね!?てか未来の警察官が何を言ってるの!?」
コイツ等、これから毎日LINEや電話で、こんな会話する気なんだろうか?

『愛情表現は大事だ。愛してるぞ、俺の悠里・・・チュッ』
「〜〜〜っ・・・遠瀬さん!!」
電話からリップ音が響き、悠里は涙目になった。

『凰太、だろ?』
「凰太さん!!呼び捨ては付き合ってから!!恥ずかしくて死にそうなんですけど!?」
『死なれては困る。まだ嫁に貰ってないし、両親に孫も・・・』
「それ以上言うと切るからね!?まだ話したいんだから!!その話題は辞めて!!」
“恋人予定”と言うか、普通にラブラブである。
〜夏帆side〜

「蒼空くーん?姉ちゃんのPSP、勝手に使ったかぉ?・・・自分のを水没させちゃった?いや借りるなら一声掛ければ貸すぉ?勝手に使うなって話だぉ?」
麻生 夏帆、17歳。

明日からは、見た目は小学生で中身は高校三年生。

現在、年子の弟に説教中。

「で、水没させちゃったのは買うの?修理なの?いつまで?最近はゲームしてないから、復活するまで貸しといてあげるぉ?」
夏帆は仁王立ちでウインクした。

「・・・くきゃ?実の弟にまでフラグを立てるな?立たないで欲しいぉ(;´д`)!!」
弟の冗談に、チョップで突っ込む夏帆なのだった。





〜咲耶side〜

咲耶『明日から新学期だね。遅刻しないように、今日は早目に寝なくちゃ』
木内 咲耶、17歳。

明日からは、オカルト研究部の正式な部長だ。

風香『木内先輩、受験生になるんですね』
咲耶『そうだね。夏くらいから忙しくなるけど、それまでは大丈夫だから』
風香とのLINEを楽しみつつ、カレンダーにめをやる。

風香『もう、行きたい大学は決まってるんですか?』
咲耶『おおよそ、ね』
咲耶は県内の大学の文学部に進学を希望している。

候補は絞れていた。

風香『月雛先輩は県内の保育単科短大、麻生先輩はイベント系の大学を希望、でしたっけ?』
咲耶『うん』
心の中に夢を抱いて、明日の光を願いながら。

楽しい時は、やがて去り行くとしても・・・共に過ごした日々は消えない。

今は、まだまだ思い出を積み重ねる時なのだ。






〜春鷹side〜

「明日は入学式と、クラス発表。明後日が新入生歓迎会と、午後から授業ですね」
久留米 春鷹、18歳。

明日からは、大学生。

彼は今、予定表を横目に眼鏡を拭いていた。

「良し。一点の曇りなし。大学デビューに合わせて新調して正解でしたね」
今まで掛けていた物は予備に回し、夏帆が選んでくれた空色のフレームの眼鏡で新生活に挑む。

「・・・中学で初めて出会った時には、まさか付き合えるなんて夢にも思いませんでしたよ」
春鷹の机には、写真立てが二つ。

今まで定期入れに入れていた、中学の卒業式での、夏帆とのツーショット。

そして高校の卒業式での、夏帆と手を繋いでの一枚。

「大切に、します」
春鷹は頬を染め、呟いた。





さあ、安らかな眠りを。

目が覚めたら、新たな世界。

君達の物語は、これからも紡がれて行く・・・





Happy End.
〜二年後〜
≪ピピピッ≫
朝七時。今日は雛にとって特別な晴れの日である。
「雛ー?早く起きないと入学式に遅れるよ?」
ドアの向こうで雛に呼び掛けるのは、咲耶である。
「え!もうそんな時間!?」
びっくりして飛び起きた雛が時計を見ると、七時を数分過ぎたところだった。


「まだこんな時間…咲ちゃん、入学式は九時からだよ?」
「支度に時間が掛かりそうだから、早めに起こした方がいいかと思って」
そう。今日は大学の入学式である。進路希望の紙を提出する際に就職か進学か迷ったのだが、有り難いことに両親が進学を勧めてくれたので、進学することにしたのだ。
受験したのは、何と教育学部で、専攻は英語。
高校二年の時の英語担当教諭が義隆で、教え方が上手だったから将来の職業として教師は選択肢にあった。


「えーと、先ずはスーツ着て、それからメイクかな」
雛は真新しいスーツに袖を遠し、加奈直伝のメイク技術を駆使する。
高校の頃から殆ど身長が伸びていないにも関わらず、スーツを着てメイクをすると年相応に見えるから不思議だ。


支度を済ませて一階に降りると、リビングでは咲耶がコーヒーを飲んでいた。
「馬子にも衣装かな。ちっちゃいのは相変わらずだけど」
「ちっちゃくな…くないけど、二センチ伸びたもん!」
からかう咲耶に、雛がぷぅっと頬を膨らませる。
「あはは。今日は式が終わったら、田辺君と逢うんだって?」
「え、私咲ちゃんに言ったっけ?何で知ってるの?」
「本人から聞いた」
実は咲耶と田辺は、学部こそ違えど同じ大学に進学していた。
「あ、ほらほら。もう出ないと遅れるよ?」
「いってきまーす!」
カロリーメイトを頬張りながら、雛はバタバタと家を出た。


「で、入学式はどうだった?」
ここは大学近くのカフェ。田辺と合流した後、テラス席に座ると田辺がおもむろに尋ねてくる。
「皆大人っぽくて緊張した!明日オリエンテーションがあるんだけど、大丈夫かなぁ?(;´д`)」
人見知りの雛にとっては、友人や知人がいない中に入っていくのには並々ならぬ勇気が要る。


「大丈夫だよ。ちょっと左手出して?」
いきなり何だろう、と思いつつも雛が手を出すと、田辺はその手を取って指輪を嵌める。しかも薬指に。
「〜!(//////)」
「これを俺だと思って頑張って、雛」
「あ、有り難う。透、さん(//////)」
雛が田辺を名前で呼ぶのはこれが初めてであるが、呼んでみると改めて自分は田辺と付き合っているんだなぁ、と実感する。


雛の大学進学を機に名前で呼び合おう、と提案したのは田辺である。
『本当は付き合ってすぐにでも名前で呼びたかったんだけどね』
田辺は悪びれもせずそう言っていた。
雛と田辺は、周りから見るともどかしいくらいゆっくりとした歩みでお付き合いを進めている。名前呼びでさえこれなのだから、他は推して知るべし、ということだろう。


「この指輪すごく可愛いね!私好み♪」
コロンとした丸いフォルムに、アメシストが付いている。
「そりゃあ二年も付き合ってたら、雛の好みくらい判るよ。アメシストは“恋人同士の石”と言われてるしね」
目を輝かせて指輪を眺める雛を見て、田辺は笑みを浮かべる。


それにしても、と雛が切り出す。
「名前呼びって、やっぱり恥ずかしいね」
「そう?俺はまた一歩距離が近くなったと思って、嬉しいけどな」
そう言われてみると確かに、田辺の言う通りかも知れない。
呼ばれる度にくすぐったいような、幸せなような気持ちが湧いてくる。
「じゃ、そろそろ行こうか」
「うん」
カフェを出て歩いていると、田辺が指を絡めてくる。雛は頬を染めてそれに応じた。
今日から雛の人生に新たなページが刻まれていく…
〜遠瀬(兄)side〜

話は少し遡る。

「悠里・・・やっと逢える・・・」
(父さんや母さんや颯太も、歌音も、皆も・・・元気だろうか?)
警察養成学校に入学して、初めての夏。

それは遠瀬(兄)に取って、初めての帰省だった。

今日は、その前日である。

「遠瀬君、悠里って誰だい?」
「もしかして待受画面の彼女かな?」
「成績優秀、眉目秀麗、しかも彼女持ちかぁ」
「・・・まだ彼女じゃないが、最愛の人だな」
寮で荷物を整理していたら、学友に話し掛けられた。

「しかし、真面目一辺かと思った遠瀬君の待受を初めて見た時は驚いたよ」
「ボーイッシュな感じの女子と、プリクラのツーショットだもんね」
「彼女さんの拗ねたような顔と、遠瀬の幸せそうな表情のギャップがなぁ」
「あれは照れ隠しだ。基本的に強気なのに、恋愛面に関しては奥ゆかしくてな」
遠瀬(兄)は、ウットリしながら荷物の整理を続ける。

「まあ、ゆっくりして来なよ」
「自慢の弟とも語り合わないとな」
「ブラコンで彼女溺愛とか、遠瀬は意外と濃いなぁ」
「まだ彼女じゃない。警官になれたら、結婚を前提に付き合ってくれる約束だがな」
「「「既に将来を誓い合っとるんかぁいっΣ(゜Д゜)!?」」」
再び訂正する遠瀬(兄)だが、サラッとラブラブ発言。





〜悠里side〜

(へ、変じゃないかな?髪の毛、切ったけど・・・コンコルド、似合わなくなってないよね?)
「あ、凰太さんっ・・・」
遠瀬(兄)の帰省二日目。

この日は、悠里とデートだった。

「悠里、逢いたかったぞ」
「ひゃっ・・・お、お帰りなさい」
《ギュッ》
駅前だと言うのに、再会した瞬間に抱き締める遠瀬(兄)。

(ひ、久し振りの凰太さん・・・相変わらず・・・ズルイくらいに格好良い・・・)
「凰太さん・・・あの、離して(////;)」
「嫌だ」
通行人の視線に気付き、抵抗してはみたものの、遠瀬(兄)は離れない。

「凰太さ・・・」
「あーっ!?あれ遠瀬先輩じゃない!?」
「本当だ!!お久し振りですぅ!!」
「元気でしたかぁ?」
悠里がモジモジしていたら、懐かしいイベントが発生。

三月まで、狂犬に睨まれていたタイプの女子だ。

「って月雛君!?白いワンピース!?」
「嘘でしょ!?あの月雛君が!?」
「大事件・・・ひっ!?」
「「邪魔しないで(するな)」」
女子共は、狂犬カップル(仮)に睨まれた。

威力倍増だよ(;´д`)!!

「悠里、行こう」
「はい、凰太さん」
二人は指を絡めるように手を繋ぎ、歩き出した。

この後、デートを堪能した二人の話題は、おおむね“互いの近況報告”か“弟について”か“夏帆について”だったとか。





〜四年後、三月末〜

「月雛 悠里さん。俺と婚約して下さい」
「・・・まさか本当に告白すっ飛ばすとは思わなかった」
四月からは、地元の交番に配属される事になった遠瀬(兄)。

本日のデートで、イルミネーションが見える港の橋にて、悠里に正式な交際を申し込む・・・ハズだったのだが。

「俺は高校時代から何度も告白してる」
「改めて言う気はない、と?」
「そもそも両想いだ」
「そうだけれども」
遠瀬(兄)に手を握られ、当然のように指輪を填められ、悠里は苦笑した。

「愛してる、嫁に来い」
「気が早いΣ(////;)!!」
「予約は早い方が良い」
「誰も盗らないっつーの!!」
「後、もう待てない」
「ちょ・・・っ!!」
散々“御預け”されていた狂犬は、指輪を填めた手を引きながら頬に手を添え・・・やっと、唇を重ねる事が叶った。

「・・・っ・・・ぅ・・・・・ぁ・・・〜〜〜・・・しつ、こい!!何回、する、気っ・・・〜〜〜〜〜っ!!」
「やっと、手に入れたんだぞ・・・もう俺のモノなんだ。何回したって良いだろう?まだまだ足りないくらいだしな・・・」
「ここ!!外だから!!」
「・・・・分かった。次の休みに俺の部屋で、だな。覚悟しておけよ?」
狂犬は、大人になっても、狂犬だった。

「存分に味見させて貰おうじゃないか」
「っΣ(////;)!!」
むしろ“御預け”を喰らい過ぎた狂犬は、“良し”が出たからと最終形態で狼化しました・・・
〜加奈side〜
原田が高校を卒業してから十年後の秋。大安吉日の良き日に、原田と加奈の結婚式が執り行われる運びとなった。
列席者は、田辺&雛、木内夫妻、遠瀬(兄)夫妻、春鷹夫妻、それとそれぞれの職場から数人ずつ。


新婦の控え室は、早くも女子−いやもう女性と言うべきか−で賑わっていた。
「「加奈ちゃん、おめでとう!」」
「おめでとう、加奈たん♪」
「加奈たん、おめでとうだぉ♪でもどうして式の日が十一月二十一日なんだぉ?」
「皆、有り難う。秋良さんが『結婚式は絶対加奈の誕生日にするんだ!』って聞かなくて」
苦笑交じりに加奈が答える。


「それにしても加奈ちゃん綺麗だねぇ」
溜め息を洩らすのは雛である。
この日の為に選んだ純白のドレスには、胸元と袖口、裾に細かな刺繍が施されている。頭にはベールと小さなティアラ。
控え目な雰囲気が、加奈の魅力を引き立てている。


「チャペルで結婚式かぁ。羨ましいな。うちはお祖父ちゃんのお寺で人前式だったから」
「ふーたんとこは子供はまだなのかな♪」
「残念ながらまだ。皆さんはお子さんいらっしゃるんですよね」
雛以外の皆には、既に子供がいる。今は別室で預かって貰っているが。


それから高校時代の思い出などで盛り上がっていると、静かに扉がノックされる。
「ご歓談中申し訳ありませんが、もうすぐ式が始まりますので」
式場のスタッフが頭を下げる。
「じゃあ、また後でね」
一同は慌てて控え室から退室した。


一方、新郎側では。
「原田、おめでとう」
「おめでとうございます、原田君」
「「おめでとうございます、原田先輩」」
「有り難う…ところで野暮な話かも知れないけど、遠瀬の上の子はもしかしてハネムーンベイビーか?(//////)」
「まぁ、そうなるな」
しれっと答える遠瀬(兄)。
「十年も交際なんて、気の長い話ですね」
そう言う田辺だが、田辺と雛はまだ結婚していない。
お互い結婚に至った経緯を話しているうちに、式の開始時間となった。


神父の前で、原田は緊張した面持ちで花嫁を待つ。
ヴェルディの結婚行進曲が流れる中チャペルの扉が開き、父親に伴われて新婦がバージンロードを踏む。
宣誓の言葉、指輪の交換と式は順調に進み、いよいよ誓いのキスである。
原田がベールを持ち上げ加奈に口付けると、「おー!」という歓声が場内に響く。
原田と加奈はほんのり頬を上気させており、加奈に至っては嬉し涙まで浮かべていた。


列席者が屋外に出てライスシャワーを浴びせる中、加奈が後ろを向いてブーケを投げる。
それを受け取ったのは、雛。
照れる雛の肩を、田辺がそっと抱き寄せる。ブーケを握り締める雛の左手の薬指には、ダイヤモンドの指輪が光っていた。
披露宴は、列席者の殆どに子供がいることに配慮して行われなかったが、終始和やかな空気に包まれた良い式となった。
因みに、原田と加奈の職場からの列席者の間で、『美形揃いの壮観な式だった』と語り草になったという…

〜六年前〜

話は再び遡る。

「くきゃっと♪近況報告〜♪」
《パチパチパチパチ》
麻生 夏帆、21歳。

元・英泉高校のアイドルたる彼女の召集により、本日は集まれるメンバーで集まっていた。

「まずは、あの頃の三年生からだぁお♪」
「はいよ。林 匠、22歳。大学卒業後は大学院に進んでて、現在は一年目。彼女は無し。今日も撫物と水晶の欠片くらいなら持ってるぞ?」
「原田先輩は社会人スポーツ選手枠で一般企業にいます♪ 逢える機会は少し増えたけど、先輩が忙しいからあんまりデートはしてないかな。先輩が試合に出る時は、応援に行った帰りに夜ご飯一緒に食べるよ」
「凰太は地元の交番に勤務。国重先輩は一般企業に就職。灰田先輩はIT企業に就職したって、颯太が言ってた」
「久留米 春鷹、22歳です。イベント会社に勤めています。一年目なので学ぶ事も多く、大変ですが充実した日々を送っています」
ファミレスで、夏帆進行の元に報告が寄せられる。

「はい議長!!悠里先輩は遠瀬先輩と、どうなりましたか?名前で呼んでたよね今!!ねえっ!!」
「ゆー君、教えて差し上げるが良いぉ(*^^*)!!」
「・・・・お付き合いしてます。ひぃたん、落ち着いて(////;)」
「「「遂に(やっと)!!」」」
一同の心は一つだった。

「次は二年生組だぉ♪麻生 夏帆、21歳。専門学校を出て、二年前からイベント会社で働いてるぉ♪後輩指導も新たな仕事も頑張るぉ♪あ、春鷹とはラブラブだぁお♪」
「月雛 悠里、21歳。短大を出て、保育士二年目。まだまだ慣れないな。しっかりしなきゃ。あー・・・休みが合う日は凰太とデートしてます、狂犬から狼に進化したよ(////;)」
「こほんっ・・・木内 咲哉、21歳。大学院を目指す、大学四年生かな。国文学の研究センターに入りたいんだ」
「透さんはIT企業を目指す大学四年生。理系で、私の大学受験時にも数学教えてくれたの」
二年生組、割りと平和。

割りと。

「透さん、ね(*≧∀≦*)」
「悠里先輩っΣ(////;)!?」
二年前から名前で呼んでいるのに、からかわれる雛だった。

「議長、狂犬から狼に進化した・・・の詳細が欲しいです(//∇//)」
「加奈ぴょんΣ(////;)!?」
そして悠里も突っ込まれる(笑)

「ゆー君、教えて差し上げるが良いのだぉ(*≧∀≦*)」
「うー・・・今まで“御預け”してた事、当然とばかりに実行して来るんだよ(////;)なかなか離してくれないし、応じろとか言うし、意地悪割り増しだし・・・勝てないし(////;)!!」
悠里は首筋を押さえ、机に伏した。

「要は婚前交渉ギリギリ手前まで求められている、と」
「ナァアッツΣ(////;)!?」
夏帆、愉しそう(笑)

「次は一年生組〜♪」
「高良田 雛、20歳。夢は教師の大学三年生!!田辺先輩とは順風満帆です(////)」
「綾瀬 加奈、20歳。メーキャップアーティスト志望の大学三年生です。覚える事は山積みだけど、頑張ります!!」
「谷口さんも大学三年生だよ。OL志望だね。勿論、順調にお付き合いしているよ」
「颯太は大学三年生で工学部、轟と巣楽は高卒で製鉄所のバイトしながら正社員を目指してるって」
皆の夢が叶う日は、遠くないのだろう。

「そう言えば先日、凰太とのデート中に引ったくりに遭遇してさ?凰太がトイレに行ってたから代わりに捻り上げたよ」
「悠里先輩、流石!!」
「凰太に引き渡して警察呼んだら、調書を取られる羽目になってね。やっと休みが合ったのに、酷いよね!!」
「そ、そうですねΣ(゜ω゜)」
余談だが、遠瀬(兄)が刑事になった頃、夫に着替えや差し入れを届けに来た遠瀬 悠里は。

警察署で暴れた犯人を返り討ちにした最強の嫁として、名を轟かせたとか。



これから彼等は家庭を持ち、子を成し、孫を授かり、静かに眠るだろう。

それが人間の一生。

それが“生きる”と言う事。

さて、貴方は、どう“生きる”・・・



完結(マジで)
余談だが、加奈の結婚式の時点で、こんな感じ↓

遠瀬 凰太(28歳)
捜査一課の刑事

遠瀬 悠里(26歳)
保育士七年目

遠瀬 真里(6歳、年長)
真面目な長女、保育園児

遠瀬 悠太(4歳、年少)
ヤンチャな長男、保育園児

久留米 春鷹(27歳)
イベント会社勤務

久留米 夏帆(27歳)
イベント会社勤務

久留米 陸(4歳、年中)
のんびり屋、幼稚園生

桜小路 颯太(26歳)
製鉄所勤務、婿入りした

桜小路 歌音(25歳)
世界的なピアニスト

桜小路 詩音(2歳)
甘えん坊な長女、保育園児

巣楽 彩牙(25歳)
製鉄所勤務

巣楽 龍子(26歳)
旧姓は轟、製鉄所勤務

巣楽 颯天(8ヶ月)
はやて、双子の兄、泣き虫

巣楽 颯人(8ヶ月)
はやと、双子の弟、短気

灰田 礼司(27歳)
IT会社で職場結婚

灰田 優衣(25)
灰田の妻

灰田 礼夜(2歳)
灰田の息子、繊細

灰田 優花(9ヶ月、胎児)
灰田の娘、予定




今はエコー診察で母胎内でも性別が分かります(笑)
〜在学中〜

遠瀬(兄)「月雛お早う。ちょっと良いか?」

悠里「なぁに・・・ふわっ!?」←抱き付かれた

遠瀬(兄)「済まん、少し、このままで・・・」←肩に顔を埋めて深呼吸

悠里「・・・・大丈夫?」←背中を優しく叩く

遠瀬(兄)「はぁ・・・・・・有難う、癒された」←体は離すが手は握っている

悠里「どうしたの?肩貸してあげたんだから、聞く権利はあるよね?」←上目遣いで拗ねたように制服の裾を掴む

遠瀬(兄)「この所、立て続けに色々あってな。精神的に疲れていた。情けない。剣道で心身を鍛えていると言うのに」←頬を撫でる

悠里「情けなくない。人間なんだから仕方無いさ。たまには肩の力を抜きなよ」

遠瀬(兄)「じゃあ、もう少し甘えさせて欲しい」←髪にキス

悠里「こ、こらっΣ(////;)!?調子に乗らないっΣ(////;)!!」

遠瀬(兄)「他の男は甘やかすなよ?お前が期待を持たせるのは、俺だけで良い・・・」←再びの抱擁、定番の狂犬化

悠里「期 待 す る な Σ(////;)!!離してったらΣ(////;)!!」←ジタバタ☆

遠瀬(兄)「可愛い・・・」←耳元に低音で

悠里「風紀委員長が風紀を乱すなっての・・・」←溶けそう(笑)




と言う妄想をして日々を生き抜いている王子さんです(笑)
〜在学中〜

悪霊の呪詛で入院する羽目になった遠瀬(兄)。

悪霊はキレた悠里と雛に祓われました。

悠里「って訳で、事件も解決したし見舞いに来た。これ、差し入れのカボチャパイ。一口サイズだから手が不自由でも食べ易いよ」

遠瀬(兄)「食べさせてくれないのか?」

悠里「自分で食えΣ(////;)!!」

雛「わわわ私!!花瓶の水を換えて来ます!!」

悠里「ひぃたんΣ(゜Д゜)!?」

遠瀬(兄)「月雛、食べさせてくれ」

悠里「そこまで甘やかさないから(////;)!!」

遠瀬(兄)「悠里、駄目か?」

悠里「な、名前で、呼ぶ、なっΣ(////;)!!」

遠瀬(兄)「あーん、は?」←悠里の手を握る

悠里「手が握れるなら自分で食べられるだろっΣ(////;)!?」

遠瀬(兄)「・・・・・・」←口を開けて待機

悠里「〜〜〜〜〜〜っ・・・だらしないから口を閉じなよ(////;)!!」←カボチャパイを押し込む

遠瀬(弟)「あ(笑)」

悠里「ふぁっΣ(////;)!?」

遠瀬(兄)「もぐもぐもぐ・・・悠里、お代わり」

悠里「馬鹿ぁあーっΣ(////;)!!」←逃げた

遠瀬(弟)「兄貴、悪ぃ(笑)」

遠瀬(兄)「いや、構わん。早く完治して見舞いの礼をしないとな」

遠瀬(弟)「つまりデートだな(笑)」

遠瀬(兄)「ああ、デートだ」





・・・ふぅ。夏祭り頑張らなきゃ。
遠瀬(兄)の成人式↓

遠瀬(兄)
「悠里、祝いに来てくれたのか?」
↑帰省中

悠里
「うん、まあ・・・(紋付き袴、格好良い・・・)」

遠瀬(兄)
「惚れ直したか?」
↑頬を撫でる

悠里
「近いっΣ(////;)!!」

遠瀬(兄)
「遠慮するな。もっと近くで・・・見惚れてくれると嬉しい・・・」
↑抱き寄せる

悠里
「見 え な い Σ(////#)」
↑袴を汚すのが申し訳なくて暴れられない

遠瀬(兄)
「俺だけを見て・・・」
↑耳元

遠瀬(弟)
「ぶっwww」
↑実は居ました


「結婚式が楽しみだな!!」


「悠里さん、大丈夫?」

悠里
「〜〜〜〜っΣ(////;)!!」





悠里の成人式↓

LINE
『悠里:ほい、画像』
↑懇願されて負けた

LINE
『凰太:綺麗だな』

LINE
『悠里:どーも』

LINE
『凰太:やっぱり声が聞きたい。電話して良いか?』

LINE
『悠里:良いけど』

凰太
『悠里』

悠里
『早いなっΣ(゜Д゜)』

凰太
『着物、似合ってる』

悠里
『有難う(////;)』

凰太
『ドレスも期待してる。例のワンピースから想像するに、少しレース多めな方が普段と違う可愛さが引き立って俺好みなのだがどうだろう?』

悠里
『切るよ(////#)!?』

凰太
『何故だ?二人の将来について話し合うのは大事な・・・』

悠里
『電話の度にそう言う話をするの辞めてくんない(////#)!?』

凰太
『そうか、悠里は楽しみを取っておきたいタイプなんだな。察してやれず済まない』

悠里
『あのねぇ・・・(////#)』

凰太
『未来の妻に想いを馳せるあまり、つい口が動いてしまう』

悠里
『凰太さん、結構お喋りだよね(////#)』





さて、明日は散歩保育だから気合い入れないとなぁ(`Δ´)
遠瀬(兄)は就職しても結婚するまでは実家暮らしなのかしらφ(..)

そうなら両親と弟が外泊の日に、違うなら悠里の都合に合わせて家に呼んで一泊イベントとかしそう(笑)

遠瀬(兄)
「折角の好機だ。一晩かけて口説かせて貰おうか・・・」←手を握って顔を近づける

悠里
「言い方Σ(////;)!!眠たくなったら寝るからね僕は(////;)!!」←この時点で婚約者なので抵抗はしない

遠瀬(兄)
「眠くなる暇があるとでも?」←体を撫でる

悠里
「をいっΣ(////#)!?」←手を叩き落とす

遠瀬(兄)
「冗談だ。睡眠時間の確保はする。寝顔も見たいしな?」←抱擁

悠里
「見 る な (////#)!!」←肩に顔を埋める




さて、残り二日間かぁ(。>д<)
〜加奈の結婚式〜

「ふむ、結婚式か。懐かしいな悠里。俺達も、もう一度結婚するか?」
「意味が分からないΣ(////;)」
本日は加奈の結婚式。

参列者の名簿に記名しながら、凰太は悠里を口説いている。

「生まれ変わっても俺の妻になってくれ」
「さっさと次の人に筆を譲りなさいΣ(////#)」
「ユウタ、しずかにしているんだよ?」
「はぁいマリねぇちゃん♪」
子供達は手を繋いでいる。

可愛い。

「愛してるぞ悠里」
「はいはい知ってます(////#)」
「おとうさん、ほんとうにおかあさんがだいすきだね」
「ユウタも!!ユウタもおかあさんだいすき!!」
(・・・・旦那さん、とんでもない美形だわ)
(奥さん羨ましい!!何あの溺愛っぷり!!)
受付の女性は、思わず凰太を目で追うのだった。

余談だが、凰太はキスしたいのを我慢しています(笑)流石にね(笑)

「原田君、緊張していそうですね」
「加奈たんは泣いちゃいそうだぁお」
「ないちゃうの?いいこいいこ、する?」
続いて現れたのは久留米夫妻と子供。

「嬉しい涙だから大丈夫だよ」
「陸君は優しいね」
「うれしいのに、ないちゃうの???」
久留米家の一人息子は天使です。

「おや?向こうに遠瀬君が・・・」
「息子とユー君を取り合っとるぉ。大人げないぉ」
「マリちゃんだ〜♪」
(またもや美形の旦那さん!?)
(奥さん可愛過ぎ!!子供も可愛いよっ!?)
受付の女性、目を見開く(笑)

「原田も遂に結婚か」
「兄貴は結婚しないのか?」
今度は国重兄弟が現れた。

「大きな御世話だ。お前も人の事は言えないだろ」
「そうだな・・・あ、ユウ」
「遠瀬、麻生に注意されてないか?」
「またユウを口説いたんじゃないか?」
(あの旦那さん、いつもなの!?)
(また美形の!!しかも全員知り合い!?)
受付の女性、ファイト!!

「あ、あそこに遠瀬先輩達がいる何か、凄く目立ってるけど(汗)今日の主役は、原田先輩と綾瀬さんだよね?(汗)」
記帳しながら心配している咲耶。

「だって皆さん美形だもの(笑)それに、お子さんも皆可愛いわよね。私達の子供は、いつになったら出来るのかなぁ?」
他意はなく咲耶の顔を見て微笑む風香。

「そそそ、そのうちにね?(//////)」
(この夫婦も美形だわぁ。旦那さんはシャイなのかしら?)
受付の女性はウットリしている。

「あ、咲ちゃん!」
「雛は遅刻しなかったな(笑)」
「私もう子供じゃないもん!!」
「ははははは」
そこに雛が登場。

「木内君、あんまり雛をからかわないでよ。雛をからかうのは俺の特権だよ?」
笑顔で会話に割って入る、田辺。

「透さん!?もう変な事して来ないでよ!?」
「ん?変な事って何かな??」
真っ赤になる雛と、喰えない笑みの田辺。

恋人ですら無かった頃から色々やらかしていた凰太は、どうなんだよ(笑)

「(////)!!まだ結婚前だもん!!」
「はいはい(笑)」
(この夫婦とカップルも知り合いなの?あら、彼氏の方、よく見たら整った顔してるわ。この結婚式の参列者の顔面偏差値どうなってるのよ!?)
受付の女性は軽く混乱してい。

「おー(笑)兄貴達、目立ってやがるなぁ(笑)」
「そうだね」
最後に現れたのは、颯太と灰田。

原田の友人枠である。

「兄貴ぃ〜♪」
「颯太、久し振りだな」
「遠瀬の弟。お前の兄貴をどうにかしろ」
「狂犬、大人げない」
颯太は記名して、兄の元へ。

「やれやれ。ウチの奴等が申し訳ない。式場内では大人しくするよう言っておくよ」
「へっ!?あ、はいっ!?」
「お気になさらずに!?」
灰田は受付の女性達のフォロー。

ちなみに大人しくしても、していなくても、目立っていましたとさ。




「あそこの一角が眩し過ぎる!?」
「え、モデルさん!?役者さん!?」
「新郎新婦の高校の友人らしいよ!!」
「顔面偏差値が恐い!!」



ちゃんちゃんφ(..)
〜在学中〜

《ビュオォオッ!!》
「きゃあっ!?スカートが!!」
「髪がグシャグシャ!!」
「プリント飛ばされたぁ!!」
「ごみ飛んで来たんだけど!!」
ある風の強い日。

「うわぁ(////;)女子は大変だな(////;)」
「そうですね原田君(////;)」
「スカート捲れる奴が多いなぁ」
「校則違反な丈にしているから押さえるのが間に合わないんだ」
「そうだな」
原田、久留米、林、国重、遠瀬(兄)は、溜め息をつきながら中庭を歩いていた、のだが。

「ひゃっ!?」
「くっきゃ!?」
「「「「「っ!!」」」」」
向こうから来た悠里と夏帆が、校則通りの丈のスカートを風に弄ばれている姿を目撃!!

男子生徒は夏帆のパンチラに大喜びですたい!!

「おい遠瀬」
「あー、久留米?」
「「大丈夫か?」」
遠瀬(兄)は真っ赤になって口元を押さえ、国重の肩に手を置いている。

久留米も原田の後ろに隠れ、両手で茹で上がった顔を押さえていた。

(麻生さん、短パンを履いて下さいっ・・・!!)
(流石は月雛、押さえるのが早くて助かった・・・)
久留米は涙目、遠瀬(兄)はギリギリ短パンも見えなかったが太ももチラリで死にそう。

「・・・あ、春鷹先輩」
「ふ、風紀委員長っΣ(////;)!?」
女子、意中の相手に気付く。

「いやん(´・ω・`)見られてたのかぉ(´・ω・`)流石に恥ずかしいぉ・・・(///ω///)」
「み、見てないよねっ!?顔が赤いけど僕のせいじゃないよねっ!?」
「麻生さん・・・(///ω///)」
「す、済まん・・・嘘は・・・つけない・・・」
青春よなぁ。



この後、偶然にも夏帆のパンチラを激写していた竹井は、悠里まで映っている事に戦慄して泣く泣く画像を消した。




今さら月雛の足くらい見ても何ともないが、狂犬が面倒なので見えなかった事にしよう)
(加奈は大丈夫だろうか・・・)
(まあ周りは麻生さんしか見てないから、月雛さんのハプニングを記憶してるの遠瀬だけだろうなぁ・・・遠瀬、今夜は眠れるんだろうか???)
林が冷静過ぎます。




ちゃんちゃん(笑)
悠里「風紀委員長に見られた・・・」

遠瀬「済まん月雛、責任は取るぞ」

国重「何のだ。風紀を乱すな遠瀬。お前は風紀委員長なんだぞ?」

原田「また口説いてるΣ(////;)」

林(俺達も居るんだけどなぁ)

夏帆「春鷹先輩、責任取ってくれるかぉ?」

久留米「はいっ・・・あ、あの、是非とも取らせて下さいっ・・・Σ(////;)!!」



周りの男子の歯軋りが凄そう(笑)
↑こんなバージョンも

悠里「風紀委員長に見られた・・・(////#)」

遠瀬「済まん月雛、責任は取るぞ?」

林「それだと俺達も責任取るのか?」

悠里「取らなくて良い(苦笑)」
遠瀬「取らなくて良い(真顔)」

国重「ハモったな」

原田(遠瀬、林は睨まないんだなぁ・・・)

夏帆「遠瀬先輩が返事してる辺りが何ともはや、だぉ(´・ω・`)」

久留米「ははははは(´ω`;)」
〜高校在学中〜

「違うんだ月雛。誤解だ。話を聞いてくれ」
「別に風紀委員長が合コンしようが何しようが僕には関係ない」
とある土曜日、剣道部のOBにスポッチャに誘われた遠瀬兄。

現地にて、実は合コン(飲まないけど)の誘いだった事が発覚。

運悪く夏帆と来ていた悠里と遭遇してしまう。

「知らなかったんだ。合コンだなんて分かってたら丁重に断っていた」
「良いじゃん参加しなよ?歳上の彼女作るチャンスだよ?」
「お前じゃないなら彼女なんて要らない」
「っ・・・・!!」
OBや女子大生が見ている前で、遠瀬兄が断言。

「OBさん、遠瀬先輩に好きな子がいるの知らなかったんかぉ?」
「いや(汗)いつまでも片想いだと聞いたから、女子大生からアドバイス貰えるように計らうつもりだったんだが・・・視野を広げて他の女性に目を向けるのも手だし」
「と言うか君、とんでもなく可愛いね?君達も参加しない?」
夏帆、ナンパされてるし。

「済みません先輩。そっちは彼氏持ち、こっちは俺の大切な人なので参加させられません」
「肩を抱くな・・・(////#)!!」
「遠瀬先輩(>ω<;)」
結局、遠瀬兄は全力で弁解して後日悠里とデートの約束を取り付けてから、OB達とスポッチャを回った。





「遠瀬、変わったなぁ(笑)」
「堅物だったのに(笑)」
「ってか月雛さんだっけ、流され易いのか(笑)」
「いえ、基本的に身持ちは堅いですよ」
身持ちて、遠瀬兄・・・
〜高校時代〜

悠里と夏帆がポニーテールで登校した。

「麻生さん、可愛いね!!」
「今日はポニテなんだ!!」
「似合ってるよ!!」
それに反応し、我先にと夏帆に話し掛ける男子達。

「・・・お早う月雛。今日は髪型が違うんだな。よく似合ってる。髪飾りも季節に合っていて可愛いな」
「風紀委員長・・・ナッツが選んだんだからシュシュが可愛いのは当然だよ」
そんな中、やはり悠里に一番に声を掛けるのは遠瀬兄。

「麻生が選んだのか。センスが良い。月雛に似合う物を良く知っているな。流石は親友だ」
「御揃いの色違いだよ」
「・・・・そうだったのか」
「僕が紫、ナッツが水色」
遠瀬兄、悠里しか見ていなかったらしい。

「綺麗な色だな、落ち着いた感じで」
「流石は風紀委員長。目の付け所が違うじゃん?」
夏帆の感覚を誉められ、悠里は上機嫌だ。

「・・・・ね、風紀委員長?」
「うん?」
「このシュシュの事なら、もっと誉めても良いんだよ?」
「っ・・・いくらでも誉められるぞ?」
悠里は意図せず遠瀬兄にトドメを刺した。

上目遣いで小首を傾げる悠里に、遠瀬兄が赤くなる。

「じゃあ、じっくり見せてくれ」
「肩を抱くなΣ(////;)!!」
今のは悠里が誘ったよな、と周りに思われつつ、二人は校舎に入るのだった。







「遠瀬先輩が!!ゆー君の誉め方を覚えたぉ!!」
「悠里先輩、ファイト(////;)!!」
「取り敢えず僕達も校舎に入ろうか」





ちゃんちゃん(笑)
悠里が人間不審なだけなら割りと早い段階で遠瀬兄と結ばれていた気がする(笑)
疑う隙がないくらいクソ真面目で正直で実直だから(笑)

遠瀬兄
「好きだ月雛」

悠里「え、えぇっ(////)!?風紀委員長の好きな人って(////)!?嘘でしょ(////)!?」

遠瀬兄
「嘘だと、思うか?」

悠里
「だ、え、えっ(/////)!?あ、また何かに取り憑かれた( ´△`)!?」

↑って一年目のバレンタインでお祓い騒動は起こすけど、落ち着いたら承諾しそう(笑)

遠瀬兄は疑う余地が無いように、不安を微塵も感じないように愛情表現しそう(///ω///)♪
〜在学中〜

遠瀬「月雛、今日は甘くて良い匂いがするな?髪からじゃないからハンドクリームか?」←後ろから抱き締めて髪に顔を埋める

悠里「ナチュラルに匂いを嗅ぐな(////#)!!」

雛「麻生先輩のハンドクリームです(////;)」←見ていて照れる

加奈「皆で着けてるんです(////;)」←見ていて照れる

遠瀬「そうなのか」

悠里「鼻が良いよね風紀委員長(;´д`)警察犬か(;´д`)てか離して(;´д`)!!」

遠瀬「月雛は良い匂いがする。癒される。だから、もう少し・・・」

夏帆「みんな同じ匂いなんだぉ?」

遠瀬「月雛から良い匂いがする」

風香「シャンプーとかの匂いでしょうか?」

遠瀬「月雛の匂いじゃないか?」

悠里「そろそろ怒るよ(////#)!?匂い談義は辞めて(////#)!!」

外野(匂いを嗅ぐの続行されてる点は良いのか!?)



この後、国重と久留米が遠瀬を回収したハズwww

久留米「道理で皆さんから麻生さんと同じ匂いがすると思いましたよ」←全体把握系

原田「言われてみれば、加奈から甘い匂いがしたような???」←鈍い

咲耶「谷口さん、お揃いで嬉しそうでした」←気付くし話題にする

田辺「俺も後で確認しようかな」←おい

国重「遠瀬は月雛と弟に関してのみ五感が野性動物並みになるな・・・」

ちゃんちゃん♪
〜在学中、二周目の十月〜

月雛 悠里は放課後、アニメイトに行った帰りに松蔭高校の高杉と遭遇し、立ち話を楽しんでいた。

高杉と言えば、夏の剣道の大会前に悠里に告白をした、あの三年生。

笑顔で話す悠里。

彼女は気付かなかった。

後ろから、良く知った三年生の集団が近付いて来た事に。

「ユウ」
「平治兄ちゃ・・・風紀委員長っ」
不意に背後から声を掛けられ振り向いた悠里。

「月雛・・・」
(二人で会ってるのか・・・俺には、あんな可愛い笑顔は向けてくれないのに・・・何の話を・・・)
声を掛けてきた人物に目をやったのは一瞬で、すぐさま相手の後ろで絶望の淵に立たされたような表情をしている男子に反応を示した。

(会話を聞かれた!?いや違う、高杉先輩と二人で話しているからショック受けて・・・まさか)
「ちょっと風紀委員長?何か勘違いしてない?」
悠里は風紀委員長こと遠瀬に近付き、至近距離で見上げて睨んだ。

「たまたま!!偶然!!会ったから!!世間話してただけ!!」
「勘違い・・・そう、なのか?」
悠里の言葉に、遠瀬はあからさまな安堵を見せる。

(やっぱり会話は聞かれてないな・・・い、言えない!!ほぼ風紀委員長の話しかしてないなんて!!)
(月雛さん、遠瀬君の話ばかりだったな)
高杉は悠里が嬉しそうに聞かせてくれた内容を思い出し、胸を締め付けられた。

「良かったじゃん兄貴!!」
「颯太・・・」
「ったく!!風紀委員長ってば!!」
頃合いを見て、遠瀬の後ろから弟が顔を出す。

「平治兄ちゃん、これ何の集まり?」
「三年生の勉強会だ。今からファミレスに行く。遠瀬の弟は兄にくっついて来た」
「こんばんは、月雛さん」
「月雛さんは本屋の帰り?」
悠里が再び振り向いて国重を見る。

そこで初めて、遠瀬より後ろにいた久留米と原田が口を開いた。

「はるるん先輩、原田先輩、こんばんは。そっか、体育祭が近いとは言え三年生は受験を控えているもんね」
「月雛さん」
ふと、高杉が声を掛ける。

「遠瀬君達は忙しいようだし、俺達は帰ろうか。駅まで送るよ・・・」
「月雛も勉強会しようぜ!!」
「え?」
高杉が悠里に近付こうとすると、颯太が悠里の腕を掴んだ。

「そうだな。このまま帰したら狂犬が面倒臭い」
「国重(・・;)?」
「それにユウ、先日の小テストで化学と数学がボロボロだったろう?強制参加だ馬鹿め」
「平治兄ちゃん(泣)」
国重の後押しに原田は戸惑い、悠里は落ち込んだ。

「うー・・・ごめん高杉先輩!!小学校から世話になってる兄貴分に言われちゃ断れない!!」
「兄貴分・・・そっか」
悠里に謝られ、高杉は苦笑した。

「そうだ月雛さん、甘い物は好きだったよね?今度○○駅近くに出来たカフェに行かない?」
「んー、親友と行く約束してるから良いやぁ」
「・・・・・そっか」
「ごめんね?」
悠里、バッサリ!!

「月雛、カフェと言えば。ラプラス動物園の中に新しいカフェが出来たらしいぞ?一緒に行かないか?」
「あー、パンダパフェっての食べてみたいんだよね」
「行こう、二人で」
「・・・強調しないで」
遠瀬が当然のように悠里を抱き寄せ、叩かれた。

「詳細はLINEする」
「しょうがないなぁ」
(兄貴!!流石だぜ!!)
(然り気無くマウントを取るな狂犬め・・・)
国重は少し高杉が不憫になった。





「月雛、分からない所はないか?」
「いちいち手を握るな!!」
「兄貴ぃ!!ここ教えろぉ!!」
「ユウの事になると風紀もへったくれもないな狂犬」
「国重、狂犬狂犬って言い過ぎ(・・;)」
「平和ですねぇ」
その後、ファミレスでイケメンに囲まれた女子が注目を浴びる事となった・・・





ちゃんちゃん♪
↑帰り道

遠瀬「・・・所で月雛?結局、高杉とは何の話を?」

悠里「・・・世間話っつったじゃん?学校とか友達とか部活とか?(嘘ではない。話題が変わる度に風紀委員長の名前を出していた自覚はあるけど・・・最近やたら距離が近いんだもん!!)」

遠瀬「それだけか?」

悠里「疑うの?」

遠瀬「そんなつもりはないぞ。怒らないでくれ月雛。いつも以上に可愛い笑顔で幸せそうに話していたから、つい気になって・・・」

悠里「肩を抱くな!!可愛い言うな!!(どんな顔してたの僕っ!?)」

遠瀬「本当に可愛かったんだから仕方無いだろう?」

悠里「だからっ・・・」

遠瀬「好きな男の話でもしてた?」

悠里「っ・・・!!」

遠瀬「それとも高杉だから?俺には少しも笑ってくれないのに・・・」

悠里「・・・そろそろ怒るぞ」

遠瀬「・・・・・・悪かった。みっともないヤキモチだ。忘れてくれ」

悠里「意地悪した罰。明日の昼休み、数学教えて。昼は部活ないんでしょ?」←肩に頭突き

遠瀬「喜んで」←頭にキス

原田「当てられる(////;)」

久留米「はい(////;)」

国重「付き合ってないのに浮気を問い質すようなやり取りだったな」

颯太「良かったな兄貴www明日の昼休みは月雛を独占出来るぜwww(最近この流れが増えたなぁ・・・兄貴が月雛を怒らせて罰として勉強を見る、ってヤツwww)」





ちゃんちゃん♪
〜一周目の11月〜

悠里「だから!!友達を待ってるんだよ!!暇じゃないから!!」←駅で夏帆と待ち合わせ

男1「えー?じゃあ友達も一緒に遊ぼうよ〜♪」

男2「そうそう〜♪」

悠里(殴りたい・・・ぁ)

遠瀬「月雛?」←通りすがり

悠里「遅い!!」←駆け寄る

遠瀬「え」

悠里「もうっ!!行くよ!!」←手首を掴んで連行

男達「「・・・彼氏じゃん!?」」






悠里「・・・ゴメンね風紀委員長。アイツ等、しつこくて。殴る前に君が来てくれて良かった」

遠瀬「成程。月雛が無事で安心した」

悠里「向こうの心配しなよ」

遠瀬「必要ない」

悠里「・・・ねぇ、暇?ナッツ来るまで居てくれない?」←夏帆に集合場所変更のLINE送信

遠瀬「勿論。また変なのが寄って来たら困るからな」

悠里「あんな物好き他に居ないだろ。ただ・・・」

遠瀬「???」

悠里「不愉快だったから。精神衛生上、安全圏の確保をね?」←遠瀬の手首を離す

遠瀬「俺は月雛に取って“安全”か?」

悠里「愚問だな。友達の側は安全だし、風紀委員長は僕に嫌な事なんかしない。まあ誰に対しても、だけど」

遠瀬「っ・・・ああ、しないとも。月雛の信頼に応えたい。嫌がる事など絶対にしないと誓う」

悠里「そりゃどーも?僕のじゃなく、誰の信頼にも応えるだろクソ真面目」

遠瀬「そうだが・・・つ、月雛は特にっ・・・」

悠里「あ、ナッツ!!おーい!!」

夏帆「ゆー君♪お待たせだぉ♪」

遠瀬「・・・・麻生、急な変更で迷わなかったか?」

夏帆「あれ?何で遠瀬先輩が?」

悠里「ばったり会ってさぁ」

夏帆「ふーん?」








〜二周目、11月〜

遠瀬「・・・と言う事もあったな」

悠里「いちいち肩を抱くな!!」

遠瀬「月雛」

悠里「な、何?」

遠瀬「俺は今でも、お前に取って“安全”か?」

悠里「・・・・・・・・・く、口説いて来なければね!!」

遠瀬「好きだ月雛」←手を握る

悠里「辞めんかっ!!」

遠瀬「もっと意識して欲しい・・・」←耳元で囁く

悠里「離してっ・・・」

颯太「兄貴〜♪」←兄の部屋に乱入

歌音「ふ、颯太っ(////;)!?御取り込み中でしてよっ(////;)!?」





ちゃんちゃん(笑)
悠里が恋愛面においても自信を持つようになったらφ(..)

遠瀬兄のファンに「不釣り合い」「鏡を見ろ」「調子に乗るな」的な事を言われてキレてマウント取るんだろうか?

「そっちこそ現実を見なよ。実際に遠瀬先輩が誰を“選んだ”のか、理解出来ない?みっともなく喚かれても困るんだけど?」
って睨み付けるのか、

「ふーん」で一旦無視して、後で目の前で遠瀬の服の裾でも掴んで「何か甘い物が食べたいなぁ…」って言って遠瀬の方から放課後デートに誘わせるのか、

「あげないよ、もう僕のだから」ってスパッと切り捨てちゃうのか…

悩むねφ(..)

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