孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】習近平演説における台湾部分に関する注目点

【孫崎享のつぶやき】
習近平演説における台湾部分に関する注目点　①国際的な「干渉」に対して警告、②武力行使の権利を留保、③台湾の自主性に関してはこれまでよりも許容度が低い可能性がある
2022-10-17 06:3512

(1)日経

　中国共産党の幹部人事を決める5年に1度の第20回党大会が16日開幕。習近平総書記は過去5年間の成果と今後の方針を示す活動報告で台湾統一方針を巡り、「決して武力行使の放棄を約束しない。必要なあらゆる措置をとる選択肢を持ち続ける」。「祖国の完全な統一は必ず実現しなくてはならず、また必ず実現できる」「平和統一の見通しを得るために最大限の努力をする」と発言。

（２）ニューヨーク・タイムズ紙

台湾について、習近平は国際的な「干渉」に対して警告。
中国の指導者は台湾との統一について確固たる見解を示し、北京は武力行使の権利を留保していると述べた。
習氏は、5 年前よりも早い時期に演説で台湾に言及しており、台湾がより重要になっている兆候だとアナリストは指摘している。彼は中国は平和的統一に向け努力するが、力を行使する権利と「必要なすべての措置」をとる権利を留保する」と述べた。彼は「これはもっぱら外部勢力による干渉と、台湾の独立を求める少数の分離主義者に向けられたものだ」と言った。
習主席は台湾との断固たる姿勢を宣言し、会議室にいた代表者たちから、演説で最も長い拍手喝采を浴びた。外力に焦点を当てることは、台湾が米国にとって、また世界のますます多くの国にとって優先事項になっているという中国の認識が高まっていることを示している。
何人かのアナリストは、演説の台湾部分を、ナンシー・ペロシ米下院議長が8月に台湾を訪問した後に中国政府が公表した白書への漸進的なフォローアップと解釈した。彼女の訪問後、中国共産党は軍事演習を実施し、台湾の近くで軍用機と船舶の派遣を強化し、侵略する権利と、台湾の島々を本質的に世界から切り離す活動に従事する権利を留保していることを明らかにした。

部分的または完全な封鎖は、台湾を経済停止に追い込む可能性がある。習主席は、中国が自国の領土であると主張する自治島である台湾に対して、すべての選択肢を展開できると示唆した。
オーストラリア国立大学の台湾研究プログラムの政治学者である Wen-ti Sung 氏は「特定の政策に対する具体的なコミットがなかったことは、中国は習主席が演説で述べた“戦略的忍耐”」を実施したいことを示しており、彼らは政策の柔軟性を維持したいと考えています。」
しかし、述べたこと、述べられなかったことを通じ、あらゆる種類の（台湾の）自主性に対する許容度が低いというヒントがあった。