孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】 ２１日ワシントン・ポスト

【孫崎享のつぶやき】
２１日ワシントン・ポスト：「危機拡大するにつれ、世界の指導者達は経済的危険性について警告、成長率の低下、供給ショックの悪化、インフレ率の上昇がより確実になり、不安の度合いは大幅に上昇。スタグフレーションに直面し政策立案の余地を大幅に減少」
2022-05-23 07:23


ワシントン・ポスト「危機が拡大するにつれ、世界の指導者たちは経済的危険性について警告」（２１日）

ドイツで開催されたG7会議で、財務相がスタグフレーション、エネルギーショック、食糧不足、債務危機に取り組み。
ドイツ、ボン―今週、世界で最も強力な国々の金融指導者たちは、ロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされた脅威が増大し続けたため、世界経済の減速の可能性について警告。

世界的に、戦争はエネルギーと食料価格を高騰させている。米国、英国、欧州では、インフレ抑制を決意した中央銀行が金利を引き上げようとしているため、各国が景気後退に陥るリスクがある。

米国では、世界の他の多くの地域と同様に、ガソリン価格が急騰し、株式市場が急落し、S＆P 500指数が弱気市場に近づき、金曜日の後半の反発後、1月初旬のピークから18％下落。 TargetやWalmartを含む大手小売業者は、今週、予想よりも悪い収益と利益を報告、サプライチェーンの問題に対応して積み重なったコストと過剰在庫を非難。

フランス銀行総裁のフランソワ・ビルロイ・ド・ガルハウ氏は、ここでの財務大臣と中央銀行家の会議で、「私がそれを要約しなければならない場合、より多くの不確実性、より多くのインフレ、より少ない成長」と述べた。
多くの専門家は、米国は来年の景気後退に向かって突進する可能性があると述べている。

コロナウイルスのパンデミックによって引き起こされた景気後退を回避するための財政刺激策で数兆ドルを承認した後、世界経済の指導者たちは現在、「スタグフレーションーインフレ増大と減速か後退の景気―の脅威に取り組んでいる。
エコノミストによると、（米国にとっての）海外でのリスクは米国よりもさらに大きい可能性がある。ヨーロッパでは、ユーロ圏は2022年の第1四半期に0.2％しか成長せず、潜在的な減速を示唆している。ヨーロッパ内の一部の経済は縮小さえした。たとえば、イタリアは今年の第1四半期にわずかに縮小した。

オバマ政権の元エコノミスト、・ファーマン氏は、特に大陸がロシアのエネルギーに依存していることを考えると、戦争は米国よりもヨーロッパに深刻な経済的脅威をもたらすと述べた。コロナウイルスを封じ込めようとする中国の取り組みも世界経済を揺るがし続けており、北京からの最新のデータは小売支出の大幅な減少とガソリン生産量の減少を示している。

しかし、戦争が始まって以来、ロシアの経済はさらに悪化している。ホワイトハウスは、モスクワのエネルギー価格の上昇による利益にもかかわらず、侵略後に課された制裁により、ロシアの国内総生産が今年15％も縮小すると予想している。

差し迫った課題は、西側の指導者たちの他の願望の一部を背景に押しやった。たとえば、イエレンは、大企業が世界的な最低税を支払うことを確実にするために、国際税務命令の再注文を優先した。ポーランドからの反対の中でその改造が行き詰まり、G7での議論を支配することはなかった。同様に、気候変動に対する積極的な行動（G7諸国が長い間求めていた）も、この会議ではあまり注目されなかった。これらの問題の多くは、G7首脳が今年後半に会合するときにさらに議論されることが期待されている。

連邦準備制度で働いていたコーネル大学の経済学教授であるEswarPrasadは、国際金融大臣や中央銀行当局者との会話を引用して、国内の金融指導者は世界的な経済状況にますます警戒していると述べた。特に懸念されるのは、経済ショックに対処するための政策立案者の主要なツール（需要を増やすための追加の刺激）は、高インフレと高水準の債務のために、ほとんどテーブルから外れている。

「世界経済は、さまざまな不利なショックに悩まされて、危機的な時期にある」とプラサド教授は述べた。 「成長率の低下、供給ショックの悪化、インフレ率の上昇がより確実になり、不安の度合いは大幅に高まっている。これらはすべて、政策立案の余地を大幅に減らしている。」