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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】 絵画と政治、

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【孫崎享のつぶやき】
絵画と政治、日本人は、日系強制収容を描いたミネ・オオクボの本「市民13660号」(米国では1946年、1983年、2014年に刊行)に無関心できたか、日本人は「我々」と{彼等(敵)}に分類する。収容した米国政府は今や「同盟」。「彼等(敵)」に出来ない。
2022-01-06 08:054


ナチス・ドイツが第二次世界大戦中にユダヤ人に対して行ったアウシュビッツ強制収容所の話は歴史に興味がある日本人ならほぼすべての人が知っている。『アンネの日記』もその関連だ。600万以上の部数が売れたという。

 1942年2月下旬から、カリフォルニア州やワシントン州、オレゴン州とアリゾナ州、ハワイから一部の日系アメリカ人及びまだ国籍を取得していないが同地に共住していたと日本人移民約120,000人が強制的に完全な立ち退きを命ぜられ(78%が市民権を有する二世、三世)、強制収容所に入れられたことについて、小説や歴史書を読んだり、映画を見た人はいるだろうか。まずいない。

 ではそういう題材がないのか。立派に存在する。ミネ・オオクボ「市民13660号」がその一つである。ミネ・オオクボは1912年カリフォルニア州で生まれ、。カリフォルニア大学で学士、修士(美術と人類学)を得、奨学金で欧州で学び、レジェに師事もした。第二次大戦勃発と母の病状悪化により米国に戻る。彼女は1942年5月強制立ち退きを命じられ、彼女と弟は厩肥の臭いのする厩舎の一画をあてがわれた(父、兄はより厳しい収容所に送られている)。彼女は1944年2月強制収容所を出ることが許される。

 彼女はタンフォラン仮収容所、トパーズ収容所で描いた絵約2,000枚を整理し、このうち約200点に一人称の語りを加えた。ほとんどの絵にオオクボ自身の姿が描かれている。解説入り画集『市民13660号』がコロンビア大学出版局から刊行された。今日大学出版のランキングは、ケンブリッジ大学プレス、シカゴ大学プレス、コロンビア大学プレス、ハーバード大学プレスと続いており、権威ある出版社から出版できたと言えよう。

 この本は1983年にはワシントン大学出版局から第2版が刊行され、2014年には同出版局の「アジア系アメリカ文学の古典」シリーズとして第3版が刊行されている。

 日本では1984年『市民13660号―日系女性画家による戦時強制収容所の記録』として出版されているが、現在アマゾンでは「この本は現在お取り扱いできません」となっている。

 絵は怒り、悲しみ等の感情を排し、日々の出来事をたんたんと描いている。2001年彼女が88歳で亡くなった時、NYTは追悼文を掲載し、その中で、「驚くほど客観的かつ鮮明に」彼女は収容所の全物語を「劇的かつ詳細なスケッチと短い説明で」語っていると記した。

 問題はこうした評価の高い本を日本で何故読まれなかったかである。日本人は「我々」と「彼等」に区別する傾向が強い。ナチを糾弾する物語を「{我々(自由主義の一員)」の立場で読む。では強制収容所をどう読むのか。強制収容所に入れられた人々は日系人である。だが戦後日本は米国との関係で「同盟」にある。強制収容所に送った米国政府と今や協力関係にある。日系人を「われわれ」と位置付けて、「日系人を強制収容した米国政府を「彼等」として攻撃するという立場はとれない。

 ここから、日本の多くの人々は「日系人強制収容」の問題を見ないようにする。アウシェヴィッツには関心を持つが、「日系人強制収容」には関心を持たない。その対応が、見事に邦訳『市民13660号』への無関心となっている。

コメント(2)

まったく、孫崎さんのご指摘が、あたってますね。日本人のええ加減さ、迎合主義、強いものには抵抗しない。これでは、世界で、リーダーには絶対になれない。沖縄問題も同じ。
>>[1]

自民党でも石破茂、野田聖子、田村前厚労相など普通に判断できるひともいます。上にいくほど国をほろぼすような連中ばかり。

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