孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】２２日横浜市長選挙

【孫崎享のつぶやき】
２２日横浜市長選挙は菅首相が積極支持の小此木前国家公安委員長が立憲推薦、共産支援の山中氏に敗れる。コロナでの菅政権対策の是非が最大争点。選挙との関係でJNNインターネット世論調査で菅内閣支持２４％、不支持６４％。自民それでも菅氏で総選挙を戦うのか
2021-08-23 07:318

２２日、横浜市長選挙が実施された。菅首相が梃入れした小此木八郎前国家公安委員長が破れた。
１：得票は下記の通り。
　　　　　　　　　　得票数　　　　％
　山中　竹春　　　　506,392　　　33.59
　小此木　八郎　　　325,947　　　21.62
林　文子　　　　　196,926　　　13.06
田中　康夫　　　　194,713　　　12.92
松沢　成文　　　　162,206　　　10.76
２：この選挙は選挙の常識から言って、首相が応援し、自民党県議の全てが支持し、横浜の自民党市議の大多数が応援した小此木八郎前国家公安委員長が破れるはずのない選挙だった。
　２０１７年衆議院選挙の得票をみてみよう。
神奈川一区（横浜、中、磯子、金沢区
　松本純　　自民　　　４７，８７％
　次点　　　　　　　　３６．２０％
神奈川二区（横浜、西、南、港南区）
　菅義偉　　自民　　　５７．１１％
　次点　　　　　　　　２１．８９％
神奈川三区（鶴見、神奈川区）
　小此木八郎　自民　　５０．２％
　次点　　　　　　　　２２．９８％
神奈川五区（横浜、戸塚、瀬谷、泉区
　坂井学　　　　　　　５１．６３％
　こうした状況を見れば、通常自民党が支援する候補が敗れることはない。
３：今回の選挙の争点の一つはカジノを含むＩＲが争点であったが、小此木氏と当選した山中氏は共にIR反対である。
　菅首相は議員になる前、小此木氏の父、小此木彦三郎の秘書として働いた。かつ小此木氏は昨年9月の自民党総裁選挙で菅氏の選挙対策本部長を務めた。小此木氏は菅首相にとり側近中の側近だ。主たる争点はコロナ対策となり、それは菅内閣の信任を問う選挙でもあった。横浜市長選挙との関係でJNNが行ったインターネット世論調査で、菅内閣を支持するか否かが問われ、支持２４％、不支持６４％であった。「菅内閣NO」が小此木氏の敗北となったのでる。
４：こうした結果を生み出すであろうことは、これまでの世論の動向で十分予想された。比較的自民党政権に対し好意的とみられる読売新聞が８月上旬の世論調査の結果として「菅首相にどのくらい首相を続けてほしいかを聞くと“すぐに交代してほしい”が１８％、“今年９月の自民党の総裁任期まで”が４８％で、９月の総裁任期までの交代を求める人は計６６％に達した」と報じている。同じく「次の首相には、誰がふさわしいと思いますか」の問いでは石破茂１９％、河野太郎１８％、小泉進次郎１７％、安倍晋三１０％、菅義偉３％となっている。国民は菅首相にはもうバイバイと言っているのである。
　だが自民党内はどうか。依然菅首相を自民党総裁として担いでいこうという流れが主流のようだ。小泉進次郎氏は２０日、総裁選で菅首相の再選を支持する考えを示した。石破氏も２０日記者会見で感染拡大時に「私がやると言うべきでない」と述べ、菅氏の総裁再選支持を表明した。

　自民党は次の衆議院選挙で本当に菅氏を自民党総裁として選挙を戦うつもりなのか。
　上述したように、２０１７年衆議院選挙では菅氏、小此木氏は極めて強い結果を残している。菅氏は神奈川二区（横浜市西、南、港南区）で５７％、小此木氏は同三区（横浜市鶴見、神奈川区）で５０％の票を獲得し圧勝している。この二人がタッグを組んで、市長選挙で敗れたのである。
　菅氏が総裁で戦えば自民党は打撃を受けることが十分予想される。自民党はそれでも菅首相で戦うというのか。