孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】コロナ感染拡大。

大局的にみて、対応は（１）コロナ感染検査、陽性者の隔離―中国、韓国、（２）外国人入国への厳しい措置。―台湾。米国・欧州等も実施、（３）ワクチンの広範な接種―イスラエル、米国、英国。日本は不徹底。感染拡大は安倍・菅政権の失政によるもの。
2021-05-09 07:4920

１：コロナ感染の拡大
・緊急事態の宣言下、コロナ感染状況は、今や最悪の状態を更新している。
　国内の新型コロナウイルス感染者は８日、全都道府県と空港検疫などで新たに７２４５人確認。１日当たりの感染者が７０００人を超えたのは１月１６日（７０４１人）以来、約４か月ぶり。北海道、群馬、新潟、石川、愛知、滋賀、岡山、広島、香川、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の１４道県で新規感染者が過去最多。全国の死者は８６人。重症者は最多だった前日と同じ１１３１人（読売）。
・上記のうち特筆すべきは大阪の状況であろう。
　「大阪府8日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1021人。新たな死者は41人。」（毎日）
　この状況は国際的にみても最悪の部類に入っている。
　「政府会議の資料に人口百万人当り死者数、大阪は19・6人（5月5日時点、以下同）。インドの15・5人、メキシコの16・2人、米国の14・5人より上回っており、惨状というほかありません。（厚生労働省関係者）AERA
そして死者が大きいのは決して偶然ではない。
「大阪府内では自宅で療養・待機を続ける患者が急増。入院や療養先の調整で待機中の人も含めると、29日現在で1万4000人を超える。3月1日以降、12人が自宅療養・待機中に死亡したことも判明」（毎日）
自宅で待機せざるを得ない状況は死者増加につながる。具体例に次がある。
「大阪府門真市の高齢者施設で４月中旬以降入所者と職員の計６１人がコロナ感染。内入所者１４人が死亡。死亡は施設定員（４４人）の３分の１。入院先が決まらず施設で療養中だった入所者を含む１４人が死亡したという」（読売）。
北海道の急増も注目される。「新型コロナウイルス速報　北海道全体で過去最多403人感染」。札幌市を対象地域とした「まん延防止等重点措置」が９日から適用されることが決まった。「8月に札幌市である東京五輪マラソンのコースを使ったテスト大会が5日行われた。
当局の取り組み姿勢に大きな問題があったと言えよう。
２：拡大の背景
　今回コロナ拡大の理由の一つに感染力が強く、かつ病状も深刻になる変異株が現れたことが指摘される。
　こうした中、政府は当然従来より厳しい措置を取るべきであるが、今次延長に際して、「現在、原則無観客の大規模イベントは5000人か収容率50％の少ない方を上限に、入場を認める。休業要請をしていた百貨店など大型商業施設では午後8時までの営業時間短縮の要請に緩和する」という措置を取ることにしている。これでコロナが抑制されるはずがない。
　こうした政府の対応と呼応して、一般市民の行動には抑制度合いが低い。行楽地・商業施設への人出、日常の勤務体制等、昨年春の緊急事態宣言の時よりもはるかに緩い。
３：安倍・菅政権は十分な対応をしてきたか
　コロナに対しては、世界各国は次の対応措置を講じてきた。
（１）コロナ感染検査、陽性者の隔離―中国、韓国
（２）外国人入国への厳しい措置。―台湾、米国・欧州なども実施
（３）ワクチンの広範な接種―イスラエル、米国、英国
　そのいずれも日本政府は、成功している国のレベルに達していない。コロナ感染拡大は明らかに安倍・菅政権の失政によるものである。