孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】参考：昨年、京都での憲法集会へ発出したビデオ・メッセージ

自衛隊の人々が、国民の期待に応え行動の時人々は評価。東日本震災の時がそう。だが自衛隊や、国の安全を考える時、中国・ロシアを念頭においた時、軍事力で敵の軍事攻撃を排除することはできない時代にいます。
2021-05-03 07:419

１：本日はコロナウイルスの関係で、皆様に直接お話できないことを残念に思います。しかし、主催者のご努力により、ビデオの形で発信できますことを光栄に思います。
２：今、日本ではコロナウイルスの問題に集中していますが、こうした中でも安倍首相は憲法を改正することに言及しています。
３：何故、こうした動きがあるのでしょうか。
　しばしば、自衛隊の人々を尊敬するためと言いますが、自衛隊の人々が、国民の期待に応える行動をする時には、人々は評価します。東日本震災の時がそうでした。神戸の震災の時もそうでした。
４：私達は自衛隊や、国の安全を考える時、軍事力で敵の攻撃を排除することはできないのです。
　最近では米国がイランの司令官を無人機で殺害しました。これに対して、イランはイラクにある米国軍事基地への報復をしました。米軍はイラク政府からの情報で、約８時間前にミサイル攻撃のくるのを知りましたが、何もできません。バンカーに隠れ、ひたすら命中しないことを祈るだけです。
５：歴史をみると、後からみると、当然のことが受け入れられず、軍事行動をおこします。
　第二次大戦末、戦艦大和が沖縄に向け、沖縄に向け出港し、坊ノ岬沖で爆撃機の攻撃で撃沈されました。爆撃機の時代には最早戦艦は機能しなかったのです。
６：今日、攻撃の主要戦力はミサイルです。敵が、政治・経済・社会に攻撃してきた時にはミサイルを防ぐことはできません。一番簡単な理由は、ミサイルの着弾地が解らなければ、軌道計算が出来ず、軌道計算が出来なければミサイルは撃ち落とせません。
７：例えば中国を考えてみましょう。中国は日本を攻撃できる短距離・中距離弾道ミサイル、クルーズミサイルを１２００から１８００実戦配備していると言われています。米軍に頼っても、この攻撃を防ぐことはできません。
８：その中で憲法改正をしようとしています。
　何のためなのか。日本の安全保障の為ではなく、米国の戦略のためです。
９：冷戦終了後、米国はイラン、イラク、北朝鮮を敵国とみなし、これらの国々へ攻撃する体制を作りました。国連憲章は「軍事攻撃しない。攻撃で脅さない」ことを規定していますが、これと異なる方針を出しました。この作戦に日本が参加することを求めました。
１０：米国は自衛隊を展開してくれれば、日本の法体系はどうでもいいという姿勢でしたが、南スーダンの事例にみられるように、現在の憲法の下では戦闘に参加するのは難しく、改憲を要求した、それが現在の改憲の本質です。
１１　しかし皆さんは何故日本の政治家が日本の為ではなくて、米国のために憲法を変えようとするのか、多分合点がいかないと思います。
　しかし、日本の歴史を見ると、よくわかります。
　第二次大戦後日本は平和憲法を持ちました。だが冷戦が勃発します。ここで日本の利用を考えます。その時にかつて日米開戦に向かった人々を利用することを考えます。彼らは戦後追放などに会いました。「米国に隷属するなら、使ってやる」
　こうして政治家では岸信介等、司法では田中耕太郎、検事総長には井本臺吉、布施健、
新聞では読売の正力松太郎、朝日の緒方竹虎、
　米国に隷属する人脈が日本の主要組織全てに浸透しているのです。
１２　ここで何故改憲しなければならないか、考えてみたいと思います。
　安保法制反対の立場から国民安保法制懇が作られ、私もその一員です。メンバーに学習院大学青井教授がいます。彼女は日本の憲法は人権を守ることを柱としている。人権を守る憲法は戦争できる憲法とは合致しないのです。
１３　私は今朝鮮戦争を勉強しています。
　多くの人は意外と思うでしょうがここで日本は機雷の掃海に従事しています。
そしてこの時「警察予備隊」、自衛隊の前身が作られました。当時参画した後藤田正晴氏は「朝鮮戦争にもっていく」ことを考えていたとみなしています。
　警察予備隊は国会審議を得ず、政令で出来ました。つまり、国会を最高の決定機関とする民主主義の基本が崩されました。
　この時に、レッドパージと称して、何百にんもの報道機関の人々が解雇されました。
　まさに今日の憲法改正の動きと同じものを持っています。
　つまり、
① 米国の戦略のために軍事組織を利用する
② 過程では民主主義を犯してもいい。今日の緊急事態条項です。
③ 国民の自由を制限する。