孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】山田真貴子広報官の辞任への進展は菅首相の読みから外れた流れ

安倍政権時の菅官房長官の読みと違う流れが今発生。①菅政権自体が脆弱な基盤、②内閣支持率をこれ以上落とせない状況に、⓷「汚れ役」官房長官の動き緩慢、➃コロナ下の国民の不満、容易に爆発
2021-03-02 08:252

　今、菅政権を取りまく政治環境は、従来の自民党議員の感触と違う動きを始めた。
　菅首相など、強権で突破しようとするのが、世論などの強い反発で、それが実施できなくなっている。
　この要因には大きくいって二つあるとみられる。
　まず、菅内閣の支持率は３０％台のものが多く、これ以上下がれば、選挙を控えた自民党に危機的状況をもたらすということ、
　第二にソーシャル・メディアの利用で、政府批判の声は瞬く間に拡散し、これを無視しえないこと。
　これが最初に明確になったのは。森元首相の女性に関する発言問題である。
　ここでは、橋本聖子五輪担当相は５日森会長辞任を求めない考えも示し自民党の世耕参院幹事長は５日の記者会見で、森氏について「余人をもって代えがたい。森氏以外に誰か五輪開催を推進できる方はいるのだろうか」とのべ、二階俊博幹事長は８日「発言を撤回したので、それでいいのではないか。今後は発言、行動を留意される」と述べ、辞任の必要はないとの考えを示した。」
　つまり、二階幹事長、世耕自民党参院幹事長、橋本聖子五輪担当相は読みを間違った。この発言は菅首相抜きに行ったとは考えられず、彼も間違った中に入る。
　次いで森氏は後任に川淵三郎氏を指名したが、世論の猛反対で、撤回せざるを得なかった。森氏は自民党に影響力を持ち、自民党内では政治感覚を持った人物とみなされていたが、読み間違えた。
　そして、今回、菅首相は山田真貴子広報官に関して24日「深く反省してる。女性の広報官として期待しているので、そのまま専念してほしい」と語っている。わずか数日の間に山田真貴子広報官が辞任せざるを得なくなっている。ここでも菅首相は情勢判断を間違えた。
　菅氏は官房長官として安倍政権を支えてきた。彼の政治感覚が安倍首相時代に大きく狂っていたわけではない。
　こうした変化の要因を整理してみよう。
　① 菅内閣の支持率は３０％台のものが多く、これ以上下がれば、選挙を控えた自民党に危機的状況をもたらすということ、
　菅首相独自の派閥を持たないため、自民党内の反対勢力は一気に拡大しうる事、」
　② ソーシャル・メディアの利用で、政府批判の声は瞬く間に拡散し、これを無視しえないこと。
　③ マスコミ等官房長が反対勢力を抑え込んできたが、加藤官房長官はこうした「汚れ役」を行っている様相が」見えないこと、
　④ マスコミも⓷との関係で報復を菅官房長官時代のように恐れなくなったこと。
　⑤ コロナ下で多くの国民に不満が存在し、簡単に爆発すること。