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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】 随想㉟ウズベキスタン画家とのワシントンでの奇跡的出会い 2021-02-08 08:425

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 私は1993年大使としてタシケントに赴任しました。赴任時最初に待ち受けていたのは、絵画のモデルになることでした。ウズベキスタンは独立した後、芸術家協会が主催して、各国の初代大使の肖像画を描いておこうという構想です。これを契機にウズベキスタンの多くの画家と知り合いました。その内、タタール系女流画家ガンバローバとその夫チューブと知り合います。ガンバローバはきれいな色彩の絵を描いいて、ある時何故ですかと聞いたら「生活が苦しいでしょう。せめて絵だけは明るくと思っています」との答えでした。絵は100ドルから200ドルの間でした。何点か購入した後、「貴方の絵は安いので幾つか買いましたが、100ドルから200ドルは安すぎますよ」と述べたら、「自分の作品がそんなに安いものでないことは私自身が一番知っています。しかし独立後の経済混乱で誰も絵を買いません。だから生きるために安くせざるを得ないのです」でした。
 この中で当時最も勢いのある画家、ウマルべーコフとも知り合い、夫人がウズベキスタン国立美術館でウズベキスタン民族美術を担当していたのでで、夫妻と交流しましした。
 私は大使を終え、東京に戻り国際情報局長になりました。この時だったか、防衛大学校教授の時だったか、ワシントンに出かけました。仕事を終え、空港に出発するまで三時間の余裕があり、美術館を訪れたいと思いました。候補は三つです。ナショナル ギャラリー、フィリップス コレクション、絨毯美術館で、直前までナショナル ギャラリーに行く積りでしたが、以前訪れたことがあり、急遽フィリップス コレクションに変えました。絨毯美術館にも関心があったのですが時間的に無理と思って諦めました。タクシーでフィリップス コレクションに向かい、途中、タクシーから道々街中を見ていたら、絨毯美術館があります。これなら時間内に二つの美術館を見れると、タクシーを降りて絨毯美術館に入りました。中でロシア語が聞こえます。みると、ウマルべーコフ夫妻です。駐ワシントン大使が彼の展覧会をしてくれて、時間を見つけて絨毯美術館に来たというのです。
 私が気を変えてフィリップス コレクションを見ようと思わなければこういう出会いはない。彼にしたところで、一生に一回限りのワシントン訪問でしょう。
 これもまた、確率的にあり得ない出会いです。
 2017年だったか18年だったか、ウズベキスタンでのセミナーに招待されました。少し時間があり、芸術家を訪ね歩こうと思いました。ガンバローバ夫妻に会いたいと述べましたが、タタール人であることもあってか、住所がなかなかわからないのです。それで画家ウマルべーコフと彫刻家ルジバーエフに会いに行きました。
 人々が芸術品を買うには国家が安定し人々が豊かにならなければ作品は売れない。ルジバーエフはトレチャコフ美術館で個展を開きロシア市場を目指し、ウマルべーコフはイスラム圏のドバイ市場を目指すということでした。ウズベキスタンでの美術家の受難はまだ続いているようです。
 そして今日本を見ると、画家や版画家や陶芸家など確実に商品が売れない時代に入っているようです。三越で個展を行った陶芸家から手紙を受け取りました。
「陶芸家では生活できないので、一般会社員になることを決意しました」

コメント(3)

なるほど、コロナ禍が絵画、陶芸などの、分野にも影響してるのですね。
しばらく、商売にならない?
>>[1]

拝金主義の風潮がじかに出ましたね。
芸術はカネにならずともこころを癒してくれる大きなエネルギーですよね。

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