孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】菅首相の環境一段と悪化

①世論調査での支持率低下、②首相への原動力、安倍元首相、二階幹事長との関係冷却化、⓷コロナ、経済動向悪化、➃菅首相批判記事続出、これを抑える力なし⑤辞任の危機時、（毎月の世論調査時。オリンピックの動静、予算案可決、補選（二敗確実）
2021-02-04 09:099

１：菅首相の終わりが確実に見えてきた。
２：何よりもまず、支持率の低下が著しい。特徴は①急落と②ほぼ全ての世論調査で不支持が支持を上回ったこと、⓷支持率低下の中で安倍首相が辞任した時とほぼ同水準となった。
　こうした中、コロナ感染の継続、緊急事態の再発動そして延期で経済・生活環境の悪化が進み、支持率が回復する要因は全く見られない。
３：かつこの不支持が選挙と連動している。
・「北九州市議選、自民大敗　公認候補のうち6人落選」
・山形知事選、吉村氏4選：無所属現職の吉村美栄子氏（69）が、無所属新顔の前県議、大内理加氏（57）=自民、公明県本部推薦=を破る。
・東京都千代田区区長選
、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会推薦の元都議が、自民推薦の候補を破る。
４；そもそも、安倍首相辞任の直前まで菅氏を後継者と位置付ける雰囲気ではなかった。後継者とみなす世論はせいぜい５％程度である。
　自民党の中で、派閥を持っていない。極めて脆弱な基盤である。
５：こうした中、組みやすしとみた安倍首相、二階幹事長、麻生氏が菅官房長官の擁立を決め、これを大手マスコミが追従し、一気に菅政権が成立した。特に大手マスコミは菅氏の庶民性を大々的に報じた。
６：この中、菅首相の最初の失敗は高支持率を過信したことであろう。
　安倍元首相が再度返り咲きを狙っているとみられる動きが続いた。この中、検察が「桜を観る会」問題の決着を図る動きが出た。これを見て安倍グループは、菅氏が「安倍切り」に動いたとみた。
　コロナでもって、菅氏は自分を擁立してくれた二階氏の意向を踏まえ、「GOTOトラベル」推進に動いたが、世論の反対でその推進を止めた。二階氏は緊急事態宣言を早期に切り上げ、再度「GOTOトラベル」推進をする意図であるが、菅氏はこの路線から少なくとも現在離れている。
　FNNは２月３日「「自民党最大派閥・細田派会長の細田元幹事長は、菅政権のコロナ対応に”このやり方ではいつまでたっても事態は改善しない可能性がある”と苦言。”流行の拡大は多少抑えられるが、又旅行、飲食をといえば又増えることになる””同じ事を繰り返して何になるんだ”」と報じたが、安倍元首相の菅離れを表すものであろう。
７：安倍内閣では、菅官房長官―杉田官房副長官（警察出身）のラインで、批判するマスコミに徹底して圧力をかけた。
　しかし、現在この機能は菅内閣では働いていない。まず加藤官房長官にこうした動きは見られない。かつて部下として機能した杉田官房副長官に関しては、学術会議メンバーの排除について、菅首相は「自分はリストを見ていない」と発言し、責任を杉田副長官に負わせるとみられる動きをした。ここで杉田副長官の忠誠心も途絶えたとみていい。
　こうなると、菅批判は止まる所がない。
「週刊文春」編集部 2021/02/03は「菅首相の長男総務省幹部を違法接待【決定的瞬間をスクープ撮】として、「総務省幹部（今夏次官就任確実視の谷脇総務審議官ら）が、同省が許認可に関わる衛星放送関連会社東北新社に勤める菅首相長男から違法接待（4万円超す料亭等）を繰り返し受けていた疑い。4回接待の全てに同席は菅首相の長男。東北新社は衛星放送、総務省から認定で事業運営」等を報じた。主要紙すべてこれを報道。右派系の５チャンネルの反応「５ｃｈ「さすがにこれはもうアウト」「総理になった途端、親族が権力振りかざすとかまるで韓国と同じだな」「日本版ハンター・バイデン」「長男→総務省利権、三男→〇〇利権、弟→〇〇利権」「自民は一旦政権から下ろして大掃除しないとあかんな」
８：菅首相は今後幾つかの危機を迎えると思うが、引き金となるとみられる時期には次の者があろう。
（１）毎月の世論調査。自民党議員が次期衆議院選挙に危機感を感ずる時
（２）オリンピックの動静
（３）予算案可決、３月３１日までの可決を目指す、
（４）補選
　河井案里議員の辞任に伴い、参院広島補欠選挙は４月２５日の衆院北海道２区、参院長野選挙区と同じ日程となる。北海道二区は自民議員の汚職と絡み、自民は候補者を出さない。長野は羽田議員の死亡に伴い、子息が出馬するので、この二区で自民の勝利はない。仮に広島二区で勝利したとしても、一勝二敗である。河井氏辞任と広島補選。前回は森本（立憲等）３２．３％当選、河井氏（自民）２９．０％当選、溝手（自民）２６．５％で、自民は５５．５％獲得。だから自民は今回の補選でも勝つとみている。