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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】 随想 人生流転 

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「洛陽城東桃李花 飛來飛去落誰家」と俳句<初暦 知らぬ月日は 美しく>
2021-01-18 07:322


人の世の儚さを歌った名詩は幾つかあります。漢詩の代表的なものは「代悲白頭翁(白頭を悲しむ翁に代って)でしょう。「歳歳年年人同じからず」はしばしば聞くフレーズですが抒情性豊かな詩の一部です。劉希夷(唐、651−679?)の作です。
洛陽城東桃李花 洛陽城東 桃李の花、
飛來飛去落誰家    飛び来たり飛び去って誰が家にか落つ。
洛陽女兒惜顏色  洛陽の女児 顔色を惜しみ、
行逢落花長歎息    行々落花に逢うて長歎息す
今年花落顏色改 今年 花落ちて顔色改まり、
明年花開復誰在    明年 花開いて復(ま)た誰か在る。
已見松柏摧爲薪 已(すで)に見る 松柏の摧(くだ)かれて薪と為るを
更聞桑田變成海 更に聞く 桑田の変じて海と成るを。
古人無復洛城東    古人 洛城の東に復(かえ)る無く、
今人還對落花風 今人 還(ま)た落花の風に対す。
年年歳歳花相似    年年歳歳 花相似たり、
歳歳年年人不同    歳歳年年 人同じからず(続く)
 人生流転はほとんどすべての人に訪れるものです。当然、人生流転を描いた優れた詩や随筆や小説は多くあります。2021年1月10日朝日新聞に、編集委員・福島申二「後ずさりで未来へ進む、コロナの冬」が掲載されました。その記事は次の書き出しで始まります
「年があらたまって使い始めるカレンダーを「初暦(はつごよみ)」と呼ぶ。今年はどんな年になるのだろう。暦に並んでいる一日一日を私たちは迎え入れて、未来から過去へと歳月は流れていく。
<初暦 知らぬ月日は 美しく>
 大正から昭和の人気作家、吉屋信子のよく知られた俳句である。夢見るような感傷にも誘われるし、計り知れない淵をのぞきこむような畏(おそ)れも感じさせる。
 暦に並ぶ数字は、誰にとっても等しく「まだ知らぬ月日」である。知らないからこそ、まっさらで美しい。しかしその美しさは一方で、「知らないだけ」という空恐ろしさを秘めてもいる。調べてみると、吉屋は昭和24(1949)年の暮れに、新春のラジオ放送用に先の句を詠んだようだ。ところが年が明けて間もなく母親を亡くす。
〈母の逝く日は知らざりし初暦〉 
 これは母堂の死に際して詠まれた。二つの句を併せて読むとき、「知らぬ月日は美しく」という浪漫的な詩句はたちまちある種の凄(すご)みを帯びてくる。去年はそれを痛切に思わせる年となった。誰がこのような「禍」を知り得ただろう。
 <初暦 知らぬ月日は 美しく>と〈母の逝く日は知らざりし初暦〉は各々独立した句です。しかし、2つの句を並べたことによって、作家、吉屋信子が明確に表現しなかったドラマを浮き彫りにさせています。

コメント(4)

時々読ませていただく、孫崎さんの随想も、同じ思いを感じるとともに、私も、同じくらいの年なので、身につまされることがあります。
小生も、たまたま、俳句と詩吟をやっております。(趣味で、あまりうまくないのですが)
>>[1]

いいですねえ。
俳句も詩吟もうまいかどうかよりも、そのように表現できることが素晴らしいですねえ!!

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