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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】脱成長経済と社会的連帯で気候危機に立ち向かう 斎藤幸平・准教授❶

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緑の党 ストップ!気候危機キャンペーン オンライン連続セミナー第2期
「グリーンリカバリー戦略」で気候危機に立ち向かう この8年が未来への分岐点
【第3回】12月12日(土)18:30〜20:00


左派やリベラルは、資本主義を超えるため脱成長が不可欠、と唱えるべき

気候変動問題は、個人レベルでのレジ袋持参ではどうにもならない

世界がグリーン・ニューディールに変わる中、日本だけ、ずれている

問題はコロナにあらず、環境破壊にあり

解決策はスローダウンであって、技術ではない

技術開発路線では農業問題が解決できないし、南北格差も解消できない

「スローでもまわる経済」を考えなければならないのだが、その発想をもてるエコノミストがいない

いまの経済が壊れているのではなく、必要なのは別のシステム

リニア、カジノ、種苗法改正と、世界に逆行する日本

豊かさを再定義し、エッセンシャルの限度内で、クリエィティブに楽しく生きる
 
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今日の講演タイトルを「コロナ禍・気候危機・Z世代」とした。
Z世代とは1990年以降に生まれた若者だが、彼らの価値観から学ぶことを述べたい。
9月の講演では「脱成長」について言葉を濁していたが、今回の「人新世の資本論」では、
かなり明確に「必要だ」と述べた。
資本主義を超えるためにそれが必要だということで、マルクスから援用して
「脱成長コミュニティズム」を提案した。
さらにそれを作りあげていく主体として、Z世代を考えてみたい。

さて、昨年はグレタさんが話題になり、気候変動問題がかなり盛りあがったが、
今年はコロナ1色にぬりつぶされてしまった。
気候変動に伴うドラスティックな問題はすでに各地に起こっているのだが、
とかく遠い問題として捉えてしまう。
そのせいか、注意がコロナ禍に移ってしまった。
新しい生活様式「ニュー・ノーマル」が日本では見えてこないでいる。

対策としてはワクチンがあろうが、弱者を切り捨てていくのか。
それとも、介護や看護などエッセンシャルワークを重視し、自己責任や緊縮財政を見直すのか。
まさにその分岐点に立っている。
長期的には、水不足、食料危機、台風、環境難民と、コロナとは比較にならない慢性的危機が
加わってくる。
それによって、動物も移住し、新たなウィルスも出てくる。
こういうときに「経済が大事だから、V字回復をさせよう」ということをしていくと、
気温が3、4度あがるため、破局への道に進むことになる。
そこで、そうではない道を、左派やリベラルは提示していく必要がある。

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なぜ、そうなのか。
なぜ大胆なアクションが必要なのかというと、きれいごとで終わったら仕方がないからだ。
SDGsとか貧困とかを口にするだけで抜本的な取り組みをしなければそれは現実逃避である。
そこでSDGsは阿片だという、あえて強い言葉を使っている。

西暦2100年までに1.5度に抑えるには、排出量をネットでゼロにしなければならない。
しかも、それは世界全体で、である。
負荷が多かった日本は2040年ぐらいまで、毎年8%ずつ減らしていかなければいけない。
ちなみに米国は9%減ったというのだがそれはまさにコロナ禍でたまたま9%減だったということ。
こうしたことをこれから毎年やっていかないと、想定にまにあわない。
これは、ちょっとやそっとの炭素税や排出権取引ではどうにもならない。
イノベーションでなんとかなるような話ではない。

国家の力も使って、大胆な規制をかけていかないといけないところまできている。
それは、個人レベルでマイボトルを使おうとかレジ袋をリサイクルしようとかの話ではない。
一人ひとりでやれることでは、どうにもならない。
私が住んでいる大阪でも、隣の神戸に石炭火力発電所ができたらなんにもならない。
行政やそこに出資している企業の責任なのだから、彼らに責任をとってもらわなければならない。
たとえそうしたところで「消費者としての選択」を政府や企業からとやかく言われる筋合いはない。世界的に
こうした声が高まっている。

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世界中でそんな声が高まり、グリーン・ニューディール的なことを言い出すようになっている。
バイデンは、10の対策を大統領令として、いま出している。
これにはサンダースたちからのプレッシャーがある。
日本とは桁が違う1兆ドルの金が動きだしそうである。

フランスでも、ミュニシパリズムのグループの働きで、マクロンも1.7兆円の予算を付ける。
実は、昨年12月から籤引きで選んだ市民からなる「市民議会」を招集し、この6月提言が出された。
高速道路の速度を下げる。
自動車や肉製品の広告を禁止する。
国内線を廃止し、気候税をかける、と。
つまり、市民の意見を実際に聞いてみると、こういう議論が出てくる。
緑の党やグリーン・ピースではなく、籤引きで選ばれた人が2週間とかで提案を出している。
日本はまさにこれとは逆で、高速を速度を上げるようなことをしている。

つまり、会社や行政に責任を取らせることを強化しないといけない。
バイデンにも批判があって、石油業界から寄付を受けているリッチモンドを入閣させ、
サンダースは入閣できない。
そこで、サンライズ・ムーブメントから批判されている。
若者たちは怒っている。
「彼らに優しくするのはもう終わりだ」と。

フランスでも市民議会が過激にいきすぎてしまって、いまは叩かれているが、今後、
地方自治体で緑の党が増えると、マクロンもさらなる批判にさらされる可能性がある。
けれども、日本では、やっと2050年にゼロにするというのがでてはきたが、
コロナのどさくさもあってか、2030年までに26%削減、でしかない。
そして、トヨタは「ハイブリットは規制される自動車から除いてくれ」とか言い、
また「石炭火力を止めると電力が足りないから原発をやろうか」などと経産省が言っている。
こうした声がでるのは、市民側からのプレッシャーがないからだ。

そもそも原発も長期的にはなくさないといけないものだ。
カーボンをゼロにするときの技術と減らすときの移行技術とはぜんぜん違う。
そして、一刻も早く決断をしないと、世界から取り残される。
「移行の技術」からでは「ゼロにするための技術」は作れない。
けれども、日本の場合は、GoToトラベルとか、短期的なコロナ対策ばかりやっている。
金持ちを優遇する必要はないのだし、これでは今の世代がお金を使ってしまうことになってしまう。
3000億円を使うなどと言っているが、本当は、中長期的に社会全体を「公正な社会」
にするために使うべきなのだし、短期的にも、医療に従事する人に回すことができるはずなのだが、
今の政策はそういう路線にはなっていない。
こちらの路線に切り替えていこう、というのがグリーン・リカバリーという発想である。

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このことを考えれば、まず認識すべき真の問題はコロナ・ウイルスではないことがわかる。
コロナと気候変動とでは、その次元が違う。
危機のあらわれが台風や旱魃やコロナなのであって、そのことを考えれば解決策も違ってくる。
ゆきすぎた森林破壊や野生生物種の喪失、多国籍アグリビジネスにこそ問題があるはずなのに、
そこに関心が届いていない。

コロナが危機だ、と考えるから、ワクチンや治療薬ができるまでは、とりあえず、
GoToトラベルで経済を回そうという発想になってしまっている。
けれども、環境危機一般を放置しておくと、そこに住んでいるコウモリなりが移住し、
新たなコウモリがウイルスを運ぶ確率が増える。
根本原因を放置しておく限り、ショックはまたやってくる。
今回のコロナ禍を反面教師として抜本的な問題に対処しなければならない。
では、その根本原因は何かというと資本主義である。
それは、自然をひたすら商品化していく。
モノカルチャー農業や酪農がまさにそうである。

ますます、手つかずの自然が減っていく。
100年前には80%もあったものが、20%まで減っている。
当然、コロナ禍のような危機が起きてしまう。

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とすると、その解決策は、バカみたいに単純な話だけれども、自然を回復させればよい。
50%まで回復すれば、ある程度、安定すると言われているのだけれども、
資本主義は「モノをより早く、より遠くに」持っていきたい。
そこで、農地を造成したり、ダムを作ったり、建物を作ったりしたい。
だから、森林に戻すことには対応できない。
今回のコロナは、「もうブレーキをかけてください」とはっきり自然が言っているということだ。
それだけの話だ。

無限の経済成長を考えているからおかしい。
スケール・ダウン、スロー・ダウンが必要なのである。
けれども、資本主義はそれができない。
そこで、技術で突破しよう、となってくる。
二酸化炭素を地底に埋めるとか、太陽光を反射して宇宙に戻すとか、原子力とかが出てくる。

競争していれば技術が生まれる。
そして、生産も拡大し、経済成長して豊かになれる。
そう信じ続けた結果、あいかわらず私たちは100年前とさして技術が変わらない
飛行機とかに乗っている。
ただし、乗っている量は桁違い。
グローバル化が進み、大事な化石燃料の半分をこの30年で使ってしまっている。

そこで、気候危機に対処するためには「脱成長コミュニズムだ」と
誰もが薄々感じるところまできてしまっている。
90年代から、きちんとやってきたら、ここまでの事態には至らなかった。
もう、これ以外の選択肢は残されていないのだ。

あと10年で、いままでの「旅行には飛行機で出張、牛肉も食べて」ということはできなくなる。
これを効率化のテクノロジーによって突破するのは、かなり無理がある。
けれども、普通の政治家には、それがとても受け入れられない。
「斉藤先生の言うことはわかりますが」と言う。
それは、選挙で勝たなければならないからだ。
そこで、グリーン・ニューディールは必要だと感じてはいるが、
「でも、いくらでもそれは経済成長と両立できるんだよ」と言うことにして、
脱成長という考え方には明確に反対してくる。

ナオミ・クライン著の「地球が燃えている」
ーー気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言ーー。
やらなければならないことなのだが、経済成長と両立させるのはとても無理だ。
多くの人は「これ、いいじゃん」と思ってしまう。
自動車も電気。
ガソリンスタンドもいらない。
家電とかも効率化していく。
これを世界規模でやろうとしたら、インフラを全部ひっくり返して、実態経済が再び活性化する。
金融危機でダブついていた金が、また動く。
つまり、資本主義にまた再度成長のチャンスが来る。
テスラは、いま、トヨタとフォルクスワーゲンとGMをあわせたよりも株価が高い。
まだ50万台しか作っていないのにだ。
ここに誰もが期待している。
けれども、問題はこれをやると、どうなるかだ。

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ことは、それほど単純ではない。
電気自動車にすれば解決するかというと駄目であって、インターネットもIOTでつないで
サーバーを使ってとなろうが、実は、農業だって二酸化炭素を排出している。
つまり、天然ガスや石油を消費している。
結局、技術だけで突破できることではないことがわかる。
ましてや、これで経済成長しようとなると、ものすごいことになる。

端的に言えば、仮に米国において、「気候ケインズ的な政策」がうまくいったとしても、
つまり、今のライフ・スタイルを維持して、脱炭素社会が実現したとしても、
南米やアフリカの資源はひっくり返される。
米国では消費エネルギーは減るかもしれないが、南米の自然破壊がものすごいことになる。

さらに、これを掘り出すには石油が必要で、つまり石油で駆動する重機を動かさなければ
ならないわけなので、さらに破滅的な影響がでてくる。
中心部の「帝国主義的な生活」が強化されることで中心部は多少グリーンにはなるが、
周辺部ではますます格差や環境破壊が広がる。
ここを扱うのが「気候正義」の概念だが、そこから目をそらすと、
SDGs以上の阿片である「緑の成長政策」とかMMTということになってしまう。
より公正で持続可能な社会の姿を描くべきなのに、ここに加担してしまうと、
いままでの生活の延長上にしかなりえず、発想やイメージが狭ばまってしまう。
いまは、車がいらない社会像を思い描かなければならない。
つまり、まったく別の感覚で、まちづくりを発想しなければならないのだが、
いまのままの発想だと、「全部、電気自動車に」という考えに陥ってしまう。

そこまで深く考えることのできる政治家や企業はいない。
こんな事態を支援するグリーン・ニューディールになってしまうと非常にたちが悪い。
なぜかというと、現世代にとっても魅力的なので、選挙に勝ってしまうかもしれないからだ。
そして、たとえそれがうまくいったとしても、帝国主義的な結末になってしまう。

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グローバルな公正、平等を考えなければならない。
そんなチャンスなのだし、考えるための唯一の道は、スローダウン、スケールダウンになる。
けれども、それだと現状の経済が破綻する、と。
なので、破綻しない経済システムを考えなければならない。
けれども、そこを考える経済学者はほとんどいない。

さらに、いま、金持ちや大企業が排出している二酸化炭素の量が、圧倒的に多い。
その影響で被害を被るのは途上国の人びと、さらに弱い女性や子どもである。
彼らは、日本と同じ技術水準では対策がとれない。
あらゆる人が救われるギリギリのラインが1.5度。
ここに、どこまでコミットできるか。
けれども、資本主義は格差が生じることを前提にしているので、それができない。
そして格差も拡大し続けている。
3日前にでたオクスファムのレポートによれば、欧州でも、下から50%は排出量が減っているが、
トップ1%では増えている、と。

トップ10%で半分を排出、中でもトップ1%が全体の15%を出している。
とんでもないことになっている。
この人たちに抜本的な転換を迫らない限り、とても無理である。

彼らのプライベートジェットを禁止してしまっても、誰も困らない。
そんなくだらない自己顕示欲のためにジェット機の私用を止めさせてもいいのに
既存の政治家にはできない。
これは、すぐにできて、人びとの暮らしに影響がない。
そして、彼らの資産に制限をかけていくことが重要である。

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けれども、彼らはリチウムを堀りつくそうとする。
これが、グレタたちがくぎをさしている重大ポイントだ。
彼らは、コロナ禍の中で「存亡の危機の公開書簡」を出している。
現在の経済システムは壊れているのではなく、まさに、やりたいことをやっているだけにすぎない。
だから、もはや修理できません。
必要なのは別のシステムです、と。

彼らは社会主義と名づけてはいないが、ラジカルに平等な脱成長を目指さなければならない、と。
これは荒唐無稽ではなくて、それに向け、バルセロナでは気候非常事態宣言が出され、
危機の原因は富裕層先進国の過剰な消費にあると言っている。
車なしでの生活。
道路を潰して広場にする。
そういうことをやりはじめている。
日本的に言えば、渋谷のハチ公前を広場にしてしまうイメージ。
そして、それを支持するのは若者である。
サンダースを80%の若者が支持している。
24歳までの子どもがZ世代で、36歳までがミレミアム世代だが、
それは、サンダースが「格差と気候変動に取り組む」と明確に語っているからだ。
一方、古い世代は過激すぎる、社会主義者だ、といって、バイデン票はシニアほど高くなっている。
イギリスもコービンは負けてしまったが、
若い世代はコービンに投票している。

だから、結果として、2050年までのゼロ、は難しいかもしれないが、
30年後にはグレタが世界のリーダーになっているのかもしれない。
だから、この近未来に向け、いまから助走しておこうと。
これを「ジェネレーションレフト」という。
彼らはすでに痛みがない。
日本でも、大学に、せっかく入学したのにコロナで大学にいけないと。
そして、政府への対応がおかしい、という感性がでてきている。
リーマンショック後のスペインではポデモスが登場したし、ウォール街占拠もあり、
若者は変わっていった。
キア・ミルバーン(Keir Milburn)は「冷水」といっているが、
別の社会の入り口へのチャンスでもある。
若い世代で出てくると、一方で、社会はますます反動化し、ナオミ・クラインがいうように、
危険な「惨事便乗型資本主義」にもなりがちだ。
上の世代の保守派は、自分が投資した分は守りたい、と。
けれども、若い世代は投資もしていない。
オルタナティブが出るためには、サンダースのような参照軸があるのが前提で、
それがないと保守化していく。
保守化しないためのマジョリティを欠けば、気候危機が深まっていく。
すると、やれることは、気候ファシズムか気候毛沢東主義しかなくなっていく。
資源がないゆえの恐怖から、「難民を入れるな」という、分断や排外主義が高まる。
そこで、2030年への助走・備えがとても大事である。

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コメント(1)

日本の場合、ミレニアム世代や、Z世代は、どうしているのだろう?
私には、日本は逆で、シニアーがこれではだめだ、自民党ではだめだ、というのに、若者が、保守化というか、現状肯定で、変化を望まない。
世界の動きに、ますますついていけない日本になってしまうのでは?

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