孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】安倍政権とは何であったか

：終わってみれば、達成は何もなし。この間、日本の凋落はどんどん進化。「各省庁の幹部は皆、官邸（の顔色）を見て仕事。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」が実現。もし明確な軸があったとすれば米国に徹底的に隷属する。靖国参拝中止。
2020-08-28 17:351
１：2017.8.4産経新聞は「「国家の破滅近づく」「安倍首相は競争相手いなかった」共同通信が２日に配信した福田康夫元首相のインタビューでの発言要旨」として、福田首相の発言を次のように報じた。
　【政と官】:各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸（の顔色）を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている。官邸の言うことを聞こうと、忖度以上のことをしようとして、すり寄る人もいる。能力のない人が偉くなっており、むちゃくちゃだ。自民党がつぶれる時は、役所も一緒につぶれる。自殺行為だ。
　【安倍晋三首相の政権運営】:　（自民党内に）競争相手がいなかっただけだ。（脅かすような）野党もいないし、非常に恵まれている状況だ。そういう時に役人まで動員して、政権維持に当たらせてはいけない。
２：安倍政権では、日本の社会から「あるべきことを追求する」「述べる」ことを消し去った。当然のことながら、すべての面で破壊の方向に向かった。
３：こうした中で、もし、安倍首相にしっかりとした方向性があればいいが、それは欠如していた。　例えば、右寄りの姿勢を見せてはいたが、どこまでそれを貫く意向があったか疑問である。政権発足当時、第二次安倍政権発足前、右の論客で安倍政権発足の応援団長的存在であった中西輝政京大名誉教授が次のように述べていた。「私は政権の中枢にはいきません。他の人々が入ります」他の人々とはどのような人々であったか。対米隷属的人々である。その象徴は安倍首相の靖国神社参拝であったろう。米国から批判を受けるや、二度と行かなくなった。従って、安倍政権でぶれなかった政策は、「米国に媚びを売る」であったと言える。オバマ大統領が大統領の時には彼に媚びを売る、トランプ大統領の時にはトランプに媚びをうる。この媚びをうる姿を「積極的平和主義」等の美辞麗句を操る官僚が取りまいた。
４：私はある意味で、安倍首相は類まれに有能な政治家であったと思う。　自分が対面する相手（国民も含める）が何を述べれば喜ぶか。それを敏感に察知し、相手に受け絵入れられる言葉で述べる力だ。この点は徹底している。哲学や理念や過去の自分の発言などは全く無視していい。聞き手が欲する言葉を述べる力だ。それは過去の自分の発言や政策と矛盾していても全く構わない。日本国民が「日米関係の緊張に不安を持っている」と読んでいるから対米べったりとする。日本国民が経済の発展を望んでいると思うから「アベノミクス」を言う・外交での新天地を望んでいると思うから「北方領土問題」に手を付ける。各々の政策が本来目的を達成するか否かは問題ではない。国民が望むことを望む声で語りかける。その意味で、これだけ秀でていた日本の首相はいなかったし、多分今後も出ないであろう。
５：安倍政権は次々と政治案件を変え、国民の関心を代え、支持を取り付けてきた。だが現在の最大関心「コロナ」と「経済動向」は極めて厳しい。最早、口先で正当化できる状況ではない。最早完全に行き詰ったと言えよう。後退する支持率を食い止める策は多分ない。ここうした政治状況が退陣の大きい要因と思う。
6:今日の総理候補を見ると、国民の支持を安倍首相の如く取り付けられる政治家とは思われない。今後、不安定な政治運営が続くであろう。