孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】米国経済。サミュエルソン論評

①現在は不況でなくコロナ恐慌と呼ぶべし②高い失業率及び無職の人々、③政府が惜しげもなく消費という今日の英知、政府負債の増大は新たな危機を作らないか。➃経済リバウンドはあっても経済回復困難。５年必要という有力説あり。
2020-08-11 06:153
A-1　事実関係　論評紹介、ワシントン・ポスト掲載「ありのままに呼ぼう。我々はコロナ恐慌の中にいる（Let’s call it what it is. We’re in a Pandemic Depression）by　Robert J. Samuelson
・三月に始まった突然かつ鋭敏な経済下降は深刻な景気後退（recession）以上の物である。,
・２００７年から２００９年までの大不況（Great Recession）の名称は正しかったであろう。しかし現在は違う。
・今日の状況はあまりにひどく、「コロナ恐慌（depression）」と呼ばれて相応しい」とCarmen Reinhart and Vincent Reinhartがフォーリンアフェアーズに書いている。大恐慌の記憶で、経済学者等は恐慌（depression）を使用させないようにしている。
・恐慌を使用しないことは今日の危機を軽減の意識をもたせ、１９３０年、１９世紀との比較を行わせない。パーティに出席する人々も、コロナの危機を理解するだろうし、ソーシャル・ディスタンスを取るのにより責任を持つだろう。
・７月失業率が６月の１１．２％から１０．２％になったとはいえ、労働市場は悲惨である。コロナ感染以前の２月と先月（７月）と比較すると、雇用は１５２０万人減少し、失業は１０６０万人増えた。（統計上）労働力でないとされるものは５５０万人増えた。
・明確なことは“コロナ恐慌”は第二次大戦後の不況よりは１９３０年代の大不況に類似している。
・小企業（Small business）は２０１６年には民間セクター雇用の４７％であった。カリフォルニア大学の経済学者Robert Fairlieは２月から６月にかけ小企業数は８％減と報告した。黒人では１９％減で、ヒスパニック系は１０％減である。
・現在は保健の危機なのか、経済危機なのか。今日の指導者は惜しげもなく消費するという今日の英知に従っている。この英知が機能するのか、政府負債の増大は新たな危機を作り出さないのか。
・Reinharts夫妻は論文の中で、経済リバウンド“rebound”と経済回復“recovery.”とを分けており、プラス成長に戻るという意味で経済リバウンドはあろうが、完全な回復（コロナ前の水準）はないとしている。どれだけの期間を要するのか。Reinharts’夫妻は５年ないしそれ以上としている。