孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】『朝鮮戦争の正体』（７月刊行予定）

朝鮮半島は何故３８度線で南北に分断されているか。歴史上ここが国境だったことはない。山川等南北で連続。終戦後、朝鮮総督遠藤柳作が国家形成を促し、９月６日「朝鮮人民共和国」樹立。米国これを認めず３８度線で自己の勢力圏確立。
2020-05-27 07:01
何故南北は３８度線で分断されているか。　今日、朝鮮半島は３８度線で分断されている。私達はこれに何の疑問も持たない。　だが、世界史歴史地図をご覧になってみていただきたい。歴史上、朝鮮半島で３８度線で国の境界があったことは一度もない。
　あるいは日本地図で、東京・神奈川、東京・山梨、山梨・埼玉、山梨・長野、長野・群馬、群馬・新潟の県境を見ていただくといい。直線なんぞない。自然の山や川が境界だ。
　朝鮮半島も同じだ。３８度線を越え、川が流れ、山々は連なる。
　何故、３８度線が出来たのであろう。そして、どの様な経緯で出来たのであろう。
　私は『朝鮮戦争の正体』を書いたが、何故、朝鮮戦争が起こったかというのを学ぶうちに、３８度線の形成と関わっていることがわかった。
　日本は１９４５年前韓国を併合した。当然朝鮮半島を全体としてである。　第二次大戦が終わり、日本が降伏した。しかし、多くの日本人がまだ朝鮮にいる。朝鮮に秩序がなくなれば、日本人が攻撃される。朝鮮総督府総監の遠藤柳作は朝鮮半島が無政府状態に陥るのを恐れ、朝鮮人による政府樹立を、当時人望のあった呂運亨に要請する。そして、1945年9月6日、「朝鮮人民共和国」が樹立される。このメンバーには後、韓国や北朝鮮の要人になった人が多く入っている。オール朝鮮で政府が出来たのだ。
　でも「朝鮮人民共和国」は認められなかった。　誰が認めなかったのか。米国です。
　米国は３８度線に線を引き、南を自分達の勢力圏とした。事務的に３８度線を勢力の分岐点にしたのはラスク（後国務長官）。この３８度線形勢こそ、朝鮮戦争に発展する大きな要因となる。
米国は長く米国にいた李承晩を指導者として韓国を作った。ソ連は、これまた朝鮮にはいなかった金日成を連れてきて、北朝鮮の指導者とした。
両者共外来である。両者共当初国内での支持は弱い。だから双方とも、軍事的に攻め入れば、人民はもろ手を挙げて歓迎すると思った。両者共武力攻撃を企てる。朝鮮戦争の始まる前、約一年国境線付近で絶えずいざこざが起こっていたのである。朝鮮戦争のスタートは内乱の一種だったのである。