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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 中国は土地や介護ビジネスを、フランスは水を、アメリカとドイツは食を(前編)

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日本の介護が「刑務所ビジネス」で破壊される日——
内田樹×堤未果
日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡される“ハゲタカ”問題を考える
(1)介護ビジネス編  文春オンライン  2019/07/14

『人口減少社会の未来学』の編著者・内田樹さんと、話題のベストセラー『日本が売ら
れる』の堤未果さんの初対談が実現。2018年の出生数は過去最低を記録し、人口減少に
拍車がかかる今、医療、介護、国民皆保険、教育などの日本が誇る貴重な資産は、“ハ
ゲタカ”に食い荒らされようとしている。崩壊しつつある諸制度の問題点をあぶり出し
つつ、日本の未来を守るために何ができるかを語り合った白熱対談。

https://blogos.com/article/391142/

「老後2000万円」問題に隠された思惑

内田 
人口減少社会で年金制度が持続できるか不安視する声が高まっています。金融庁が発表
した「老後2000万円貯蓄」問題がネット上で話題になりました。麻生大臣は「報告書読
まない、受け取らない」として問題をもみ消そうとしていますが、そもそも「100年安
心」を掲げていたことに無理があった。この先の人口減少を考えたときに、よくこんな
嘘をつけたなと思います(笑)。とりあえず「向こう15年くらいは安心」あたりを目指
し、状況が変わったら、そのつど新しいファクターを取り込むことのできる、フレキシ
ブルで復元力のあるシステムを作った方がよほど現実味があったんですけどね。

堤 
現行の年金制度は、経済成長し続けることが前提で設計されている上に、当初より平均
寿命も20年以上伸びている。あの時予想していなかった少子高齢化など、状況が大きく
変わっているのにどの政権も触りたがらず、ずっと後回しにしてきましたね。恩恵を受
けている高齢世代が高投票率で、しわ寄せを受ける若年層の投票率が低い状況が、この
問題をさらに悪化させています。選挙前のこの時期に触るなと言わんばかりに、大臣が
報告書を受取拒否して炎上する姿はまさに象徴的でした。本当は今のライフスタイルも
社会制度も根本的に考え直さなければいけない、この国にとってとても重要なテーマな
のに、政治的にごまかされてしまう。2007年の選挙では「消えた年金」問題が争点にな
りましたが、あれもうやむやのままですよね。


公務員だった8年間の年金記録まで消えていた

内田 
消えた年金といえば、僕が大学を退職するときに総務に年金の資料をもらいにいったら
、神戸女学院時代の21年分しか記録がなくて、それ以前の、会社で5年間、都立大の助
手を8年間やっていた期間の支払いがすべて消えていたのには驚きました。自分で会社
をやっていた5年間の年金記録が消えていたのは分からないでもないけれど、公務員時
代の年金記録まで消えていたのにはびっくりしました。「どうすればいいの?」って訊
いたら、「在職して年金を支払っていたという証明書をもらってきて、手続きしないと
ダメでしょうね」っていうんです。「でも、僕の勤めていた大学、もうなくなっちゃっ
たんですけど……」(笑)。そういう場合はどこに行ったらいいのか訊いても、「さあ
……」と言われて。冷たいもんですよ(笑)。めんどくさいので、僕、年金貰ってない
んです。

堤 
ひどい……信じられない話ですね、最後の結論が潔いけれど(笑)。「記録が消える」
「統計ミス」などは国の機関にとって重大な欠陥ですが、その後も年金データの処理が
下請けの外国企業に委託されるなど、ずさんな扱いをしているのが気になります。2000
万問題に戻ると、あの報告書を読むと、高齢夫婦無職世帯の平均貯蓄額は2484万円と書
かれていますが、平均だから当然その中に格差があり、2000万円という数字だけ見ると
ゾッとしますよね。厚生年金加入者が2000万円なら国民年金加入者は5000万円以上足り
なくなるなど、国民が不安になったところに金融庁から「とにかく早い段階から資産形
成を」と促されている。金融庁の本命はあの部分でしょう。

内田 
いまの高齢者はある程度の個人資産を持ってるかもしれませんけれど、いまの現役世代
が普通に働いて2000万円貯めるのは難しいと思います。定期預金の金利はほぼゼロです
から、貯金してたら資産形成なんてできない。だから、あれは要するに「株や不動産を
買って、投機的なふるまいをしろ」って国民を脅しつけているってことですよね。一般
市民を賭場に引きずり出して来て、「さあ、張った張った」と煽っている。

堤 
NISAの優遇措置をはじめ、政府はこれまで金融分野の法改正を進め、なかなか預貯金を
移し替えない一般国民が投資しやすい環境を整えてきました。金融リテラシーは確かに
必要ですが、問題は、財界や投資家と政府の距離が近すぎること。投資を促したい人た
ちに金融庁が協力し、そこが出した平均値が一人歩きして老後不安が煽られている。で
も本来年金とは何のために存る制度でしょうか? 制度が残っても受給額が目減りして
ゆく中で、安心して年を重ねられる社会にするために政治ができることは沢山ある筈で
す。例えば給料の大半が家賃に消えてしまう今の現状で、欧州のように高齢者や若者、
母子家庭や子育て世帯への住宅支援を手厚くするだけで、かなりの負担が軽減されます

 また、奨学金という名のローンに金融業界が参入して利益を上げ、若者が卒業と同時
に背負った借金でマイナスからスタートする今の仕組みも見直すべきでしょう。女性に
社会に出て活躍しろと言いながら、保育や介護の報酬を下げて、保育難民・介護難民を
増やしている現状も本末転倒です。不公正な薬価の適正化と地域医療促進で老後医療費
を下げる事もですし、老後の生活費を減らすための政策はいくつもある。「自己責任」
で地方や個人に丸投げする前に、政治が動くことが先でしょう。


国民資源のストックは豊かでも、仕組みが破綻

内田 
僕の見聞できる範囲だと、教育と医療はかなり危機的な状況になってきています。第一
次産業の農業や林業も高齢化と後継者不足が深刻です。過疎化が進行すれば、これから
先消滅する市町村も次々出て来るでしょう。でも、日本の国民資源のストックそのもの
は豊かなんです。そう簡単に底をつくほど浅いものじゃない。温帯モンスーンの温順な
気候、きれいな大気、肥沃な土地、豊かな水資源、多様性のある動物相・植物相、国民
の知的水準や遵法精神や治安の良さ、社会的なインフラの安定性……どれをとっても素
晴らしいアドバンテージがあるわけです。

 ほんの20年前までだったら、日本は教育研究や医療の分野でもアジアではトップクラ
スだったんです。それがわずか10年ほどの間で急速に低下してしまった。でも、これだ
け短期間に低下したというのは、国民の資質そのものが劣化したからではない。人間そ
のものはそんな短期間には変わりませんから。そうじゃなくて、資源の管理の仕方が悪
かったからなんです。国民資源の本体が底をついたわけじゃなくて、それを管理し、制
御する仕組みが破綻した。そのせいで、こんなことになった。だから、元に戻そうと思
ったら戻せるはずなんです。

 いきなり一般化して「日本はもうダメだ」という悲観論を語るのも行き過ぎだし、逆
に「日本はスゴイ、世界中が日本にあこがれている」というような無根拠な楽観を語る
のも行き過ぎです。実体はその中間くらいにある。ストックは潤沢にあるけれども、そ
れを活かすシステムが機能していない。だから、システムのうまく機能していないとこ
ろは補修すればいいし、うまく回っているところはそのままにしておけばいい。別にこ
めかみに青筋立てて激論をするような話じゃないんです。限られたリソースをどこにど
う分配するのが適切なのか、それを長期的視野で考える。それだけのことです。そのた
めにはまず頭をクールダウンして、自分の主観をいったん「かっこに入れて」、衆知を
集めて、知恵を出し合い、「日本があと50年、100年持つためにはどうしたらいいか」
について意見交換をする。

 意見交換をするためには、まず事実を正確に把握する必要があります。船が沈没しよ
うとしている時には、「もうダメだ」と座り込むのも、「ぜんぜん平気」だと空元気を
出すのも、どちらも愚かなことです。船のどこにどんな穴が開いて、どれくらいダメー
ジがあるのか、あとどれくらい持つのか。まずそれをクールに観察しなければ話が始ま
らない。

 僕の知り合いにカリフォルニア大学で医療経済学を教えている方がいます。医療経済
学というのは、どういう医療の仕組みをつくれば、最も安いコストで、国民の健康が保
持できるかを考える計量的な学問なんですけれど、医療経済学には、医学、経済学、数
学、統計学、疫学、統計学、社会学など、さまざまな分野についての横断的知識が要る
。それだけの学識がないと医療や保険の仕組みについての政策提案ができない。その彼
が時々日本に帰国した時に話を聞くんですけれど、この間来たときに、日本の健康保険
制度についての政策提言を求めて来たのに、厚労省が持っているデータを出さないと、
ずいぶん怒っていました。官僚は自分たちが行ってきた政策の適否を外部から査定され
たくないので、重要なデータを隠すんです。でも、そんなことを許していては、制度の
適否を吟味して、改善する道筋そのものが塞がれてしまう。(続く)

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