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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 「3だけ主義」と、たいへん有能な MTN(宮内・竹中・新浪)3人衆

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「コモンズの悲劇」
(個々が目先の自己利益の最大化を目指して行動すると資源が枯渇して共倒れする)
「グローバルコモンズ」としての地球環境
浜のプライベートビーチ化
共助システムの方が低コスト
脅かされる安全保障  農林水産業は国土・国境を守っている
漁業権開放と漁協の解体は、「総仕上げ」であり、日本を売り飛ばすこと

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亡国の漁業権開放と漁協の解体  私たちの海を売るのは誰なのか
東京大学教授 鈴木宣弘  


規制緩和、自由貿易の名目で、公共的・共助的なルールや組織を破壊し、
命を守り、命を救うよりも日米オトモダチ企業の利益を増やそうとする
動きが止まらない。

農業については、家族経営の崩壊、農協解体に向けた措置
(共販・共同購入の無効化、独禁法の厳格適用、信用・共済分離への布石)、
外資を含む一部企業への便宜供与(全農の株式会社化→買収、
企業の農地取得を可能にした国家「私物化」特区、種子法廃止)、
そして、それらにより国民の命と暮らしのリスクが高まる事態が
「着実に」進行している。

さらには、農協・漁協への大手流通業者の取引交渉力を強め、
農水産物の一層の買いたたきを促進する卸売市場の民営化、
民有林・国有林の「盗伐」合法化(環境税も投入した「オトモダチ」企業
のバイオマス発電への便宜供与)、そして、「総仕上げ中の総仕上げ」と
位置づけられるのが、各漁場で生業(なりわい)を営み、
資源管理をしてきた漁家の集合体としての漁協から引きはがして、海を
オトモダチ企業の儲けの道具に差し出すための漁業権開放・漁協解体である。

国家戦略特区に象徴される規制「改革」は
「既存の農林漁家を排除して、そこで大手企業が自由に儲ける」
という企(たくら)みの下で、ルールを破って
「3だけ主義(今だけ、金だけ、自分だけ)」
の特定企業に便宜供与する国家私物化である。

農業での最近の象徴的「事件」は兵庫県養父市の農業特区である。
突如、大企業が農地を買うことができるようになった。
その企業はオリックス社(宮内義彦前会長)の関連会社である
(民有林・国有林の「盗伐」合法化も木材チップのバイオマス発電
を手掛けるオリックス社への支援である)。
そしてオリックス社の社外取締役に就任しているのは、
人材派遣大手パソナ会長の竹中平蔵氏と
ローソンファームを展開した新浪剛史氏である。
政権と結びついた「利益相反」で地域を食い物にしている「常習犯」
の、たいへん有能な MTN(宮内・竹中・新浪)の3人だ。
あまりにも分かりやすすぎる。
農業委員会が任命制になったが、全国の儲けられそうな市町村の
農業委員会には、 MTNがセットで名を連ねるとの構想さえ聞こえてきた。
農・林・水、すべての「改革」で利益を得るのはオリックスだ。
国家「私物化」特区で農地買収し、森林「盗伐」によるバイオマス発電
も合法化してもらい洋上風力発電で海にも参入する。

「既存の農林漁家を排除して企業が儲ける」という企みは、
すでに2011年3月11日の大震災の直後の人々の苦境につけ込んで
収奪する「ショック・ドクトリン」で最も極端な形で口火が切られた。
こうした流れの「総仕上げ」が全面的な漁業権開放である。

一方、「3だけ主義」の国家私物化の対極に位置するのが
農林水産業を核にした共助・共生システムである。
一部に利益が集中しないように相互扶助で農家や地域住民の利益・権利
を守り、命・健康、資源・環境、暮らしを守る共同体(農協、漁協など)
は、「3だけ主義」にとっては存在を否定すべき障害物である。
そこで、「既得権益」「岩盤規制」と称して攻撃し、
ドリルで壊してビジネスとお金を奪って、
自らの既得権益にして、私腹を肥やそうとする。
これが「対等な競争条件」要求の実態である。

漁業において便宜供与の対象たる大企業として、まず念頭に浮かぶのは
マグロ養殖企業で、漁協の組合員になって資源管理ルールを守らされる
コストを払わずに自由に儲けたいから、もっと簡単にマグロ養殖企業に
沿岸海域を明け渡すように求めるという構図がイメージされるが、
もちろん、それだけではない。
ノリやカキやホタテも含めた区画・共同漁業権全体に関わる様々な
ビジネスチャンスが想定されていることは宮城県の水産特区でも
明らかである。


衝撃的な改定漁業法

2018年初め、安倍総理は「養殖業の新規参入が容易になるよう
海面の利用制度の改革を行う」などの所信表明を行い、
漁業「改革」を進めることを表明し、あれよあれよという間に、
2018年12月、漁業法が改定されてしまった。

その内容は以下のような衝撃的なものだった。

・これまで各漁場で生業を営む漁家の集合体としての
 漁協に優先的に免許されてきた漁業権の優先順位の廃止

・定置・区画漁業権を個別付与し、抵当権の設定を可能にする

・漁獲の個別割当(IQ)、譲渡可能個別割当(ITQ)を導入し、
 漁船のトン数制限を廃止する


従来の主張がすべて覆される

水産庁は、様々な形で立体的・重複的な「漁場利用の分割不可性」
に基づく資源の共同管理の有効性・必要性を指摘していたが、
その根幹となる漁業法における、漁家の集合体としての漁協による
共同管理を優先する仕組みは、あっけなく崩壊させられた。
・・・
ところが、今回は一転して、漁獲の個別割当から譲渡性個別割当に
移行させ、さらに、船のトン数制限も撤廃して、一部企業の
漁獲独占を後押しする方向が露骨に示された。
漁業権の個別付与も含め、これまで水産庁が「やるべきでない」
と主張し続けてきたことを一気に「すべてやる」ことになってしまった。
良識ある官僚やそのOBには許容できるはずがない。
実は、「水産庁内での議論がないところか、
案文もほとんどの人は知らなかった」との指摘さえある。


生存権の剥奪

「優先順位の廃止」によって、地元漁民から浜が企業に取り上げられたら、
生活基盤と漁村コミュニティが崩壊する。
筆者(三重県志摩市出身)も、生まれたときからそこに浜があって、
長年にわたってそこで生計を立て、毎日、浜を生活の場としてきた一人
として強い違和感を覚える。
そもそも、地元民には優先的な前浜の使用権が発生しているのであり、
先祖代々そこに住み、前浜を使用してきた地元漁民を追い出すことは
「生存権」の剥奪である。

これは「強制収用」より悪質である。
強制収用も大問題だが、それは空港建設など公共目的のために補償して
合意の上で権利を剥奪するものである。
しかし、今回の議論は、特定企業の利益のため、補償もなく、
合意もなく、地元漁家の生存権が剥奪されるというのだから、
憲法29条に対する重大な違反である。

われわれにとっては、「漁業権が漁協に免許されて、その行使権を
個々の漁家が付与されている」という認識も正直なかった。
もともと、そこで暮らしていたのが先で、権利が後付けである。
漁業権の権利の主体はあくまで漁協に属する漁業者集団であり、
漁業権を免許される漁協は全員で行う共同管理の実施組織と理解される。

そして、漁協に集まって、獲りすぎや海の汚れにつながる過密養殖に
ならぬように、毎年の計画を話し合い、公平性を保つように調整し、
年度途中での折々の情勢変化に対応してファインチューニング
(微調整)し、浜掃除の出合いも平等にこなすといった
資源とコミュニティを持続させる、きめ細かな共生システム
が絶妙なギリギリのバランスの上にできあがっている。

それに対して、
非効率な家族経営体が公共物の浜を勝手に占有しているのはけしからん、
そのせいで日本漁業が衰退したのだから、
もっと効率的な企業体に権利を付け替えられるようにせよ、というのである。
長年その地に土着して目の前の浜で暮らしてきたわれわれに対して、
突然、漁業権の免許が漁協(多数の家族経営漁家の集合体)
から企業に変更されたので、君らの一部は企業が雇ってくれるが、
基本的にみんな浜から出ていけ、というのは、
よくまあ、そんな勝手なことが言えるな、というのが実感である。


資源がもたない
・・・
入り江の浜には、
(1)貝や海藻などを獲る 共同漁業権(浜全体をカバーしている)、
(2)貝や海藻、魚類などの養殖を営む 区画漁業権、
(3)大型の定置網漁を営む 定置漁業権 の3つ
(イカ釣りやカツオの一本釣りなどの「許可漁業」は別)があり、
漁場にはさまざまな形態の漁業が重層的に共存している。
・・・
漁協と別の主体にも虫食い的に漁業権が免許されたら、養殖のエサ
のせいで回りが赤潮になっても知らんぷり、といったようなことが
生じて、漁場の資源管理は瞬く間に混乱に陥ることは必定である。
・・・


コモンズ(共用資源)は共同管理

重要なことは、農地や山や海はコモンズ(共用資源)だということである。
規制撤廃して個々が勝手に自己利益を追求すれば、結果的に社会全体の
利益が最大化されるという短絡的経済理論のコモンズへの適用は論外である。
筆者は環境経済学の担当教授で、毎年、学生に、入会牧場や漁場を例に、
「コモンズの悲劇」
(個々が目先の自己利益の最大化を目指して行動すると資源が枯渇して共倒れする)
を講義している。
「自然資源の共同管理制度、及び共同管理の対象である資源」
(井上真早稲田大学教授)という定義に含意されるように、
コモンズは共同管理されることで「悲劇」を回避してきた。
それに対して、「コモンズの共同管理をやめるべき」
というのは、根本的な間違いといえる。

広く捉えれば地球環境全体も「グローバルコモンズ」であり、
個々が自己利益の最大化に邁進したら破壊される。
例えば、目先の経済利益を個々が追及した結果、
地球環境が悪化してゲリラ豪雨のような異常気象が頻発し、
それによる洪水も、山が荒れ、田んぼが荒れて、止めることができない。
それを回避するには、農林水産業(農地・森林・海)と
他産業も含めた連携による自発的な共同管理、共助・共生システム
が極めて有効であり、市場原理主義をふりかざしてはいけない。


地域がもたない

宮城県の村井嘉浩知事は
「企業側が『海は国民のもので漁協のものではない。
漁協がお金を出して買ったものではないはずだ』
と思うのは当然です」
と述べたが、耳を疑う。

その地に長く暮らしてきた多数の家族経営漁家の集合体が漁協である
から、漁協が本来の姿であるかぎりは、漁協と営利企業は同列ではない。
漁業権は多数の漁家の集合体に付与されている。
まず、そこに暮らしてきた漁民の生活と地域コミュニティが優先される
のは当然である。
企業が参入したいのであれば、地域のルールに従って、
漁協の組合員になるべきであり、それは可能なのである。

かつ、漁業権が企業に付け替えられたのちは、入札などにより
譲渡可能にするのがベストだとし、資金力のある企業が
地域の漁業権を根こそぎ買い占める狙いが透けて見えていた。
また、「知事が漁協を通さずに企業にも免許する漁業権は期間を長期化すべし」
とも主張し、今いる漁業者からは権利を奪い、
自らが握ったら長期使用を認めるよう、まったく虫のいい要求を露骨にしていた。
つまり、浜は既存の漁家の既得権益でなく、みんなのものだから、
平等にアクセスできるようにしろ、と言って、
結局、そう主張した企業が買い占めて既得権益化する
(浜のプライベートビーチ化)という詐欺的ストーリーが見えていた。
今回の漁業法改定は、それをそのまま実現した。
・・・


共助システムの方が低コスト
・・・
これは、ノーベル経済学賞を受賞したインディアナ大学のオストロム教授が、
コモンズ(共用資源)を例にしたゲーム理論でも証明済みである。
資源を個々人が私有化して管理するのと、中央政府がコントロールするのと、
共助システムが役割を果たすのでは、
共助システムにゆだねた方が長期的・総合的に見て、資源管理コストも安く、
地域コミュ二ティの持続にも有効だという結論である。


脅かされる安全保障

さらには、漁業権を取得することで日本の沿岸部を制御下に置くことを
国家戦略とする外国の意思が働けば、表向きは日本人が代表者になっていても、
実質は外国の資本が全国の沿岸部の水産資源と海を、経済的な短期の
採算ベースには乗らなくとも買い占めていくことも起こり得る。
実際、海岸線のリゾートホテル・マンションなどの所有でも同様の事態が
進みつつある。

こうした事態の進行は、日本が実質的に植民地化することを意味する。
日本政府が能天気だと思うのは、農林水産業は国土・国境を守っているという
感覚が世界では当たり前なのに、そういう認識が欠如していることである。
例えば、尖閣諸島のような領土問題が広がる可能性もある。
そもそも、尖閣諸島には、かつお節などをつくる水産加工場があって、
200人以上の住民がいた。
まさに、漁業の衰退が尖閣諸島の無人化につながり、ひいては
領有権を海外に主張されることにつながった。

そうした事態を回避するために、ヨーロッパ各国は国境線の山間部に
たくさんの農家が持続できるように所得のほぼ100%を税金で支えている。
彼らにとって農業振興は最大の安全保障政策である。
一方、日本にとっての国境線は海である。
沿岸線の海を守るには、自国の家族経営漁業の持続に戦略的支援を
欧州のように強化するのが本来あるべき姿なのに、企業参入が重要として、
結果的には日本の主権が脅かされていく危機に気付かないのであろうか。


「総仕上げ」を許してはいけない

漁業権開放と漁協の解体は、一連の農林水産業の家族経営や、
協同組合と所管官庁などの関連組織の崩壊につながるもので、
国内外の特定企業などへの便宜供与についての「総仕上げ」であり、
日本を売り飛ばすことである。
日本の水産資源・環境、地域社会、そして日本の国土と国民の主権
が実質的に奪われていくという極めて深刻な事態を招きかねない。

食料と農林水産業とその関連組織(農協・漁協や農林水産省)
に「とどめを刺す」と意気込んでいる人たちに、
「民間活力の最大限の活用」だと言っているうちに、気付いたら、
安全性の懸念が大きく、かつ価格も以前のように安くはなくなってきた
輸入水産物に一層依存して国民の健康が蝕(むしば)まれるばかりでなく、
日本という国が実質的になくなってしまうような愚かなことを
進めているのだということに一日も早く気づいてもらう必要がある。
・・・

(以上、「月刊保団連」2019年6月号掲載の鈴木論文より抜粋)

コメント(1)

日本は、アメリカや中国のように、広い国土でなく、大きな海岸線に狭い国土、そこに1億の民が生活している。
安全保障とは、トランプのような、デイール(商売)でなく、国民の生活そのものである。
その辺を履き違えている、最近の安倍政権、日本の国土(海、山、平野)を売り渡すだけでなく、韓国に宣戦布告して、日本の産業まで危険にさらす気だろうか?

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