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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 なぜ安倍首相がここまで首相を続けられるのでしょうか?

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加藤 和哉 (Kazuya Kato), 山梨県在住の哲学者 回答日: 5月18日

彼が自民党総裁として、選出され続け(そのために、任期の限度を定める党則まで変更
して)、衆議院選挙で、首相を支持する自民党・公明党に多数が与えられているからで
す。

なぜ、そんなことが続くかなのですが、彼のような「舌のよく回る職人」(ローマの哲
人政治家キケロが、真実を重んじることなく、巧言令色で大衆を惑わせる偽りの弁論家
に名付けた名称)が、まずは、社会の既得権益を持つ人たちにとって有用だからでしょ
う。なぜなら、現代は不都合な真実に満ち溢れているからです。日本経済が高度成長期
のような発展をすることは二度とないこと、発展期にある世界の各国の間で日本は「緩
慢な衰退」を運命付けられていること、何十年と続いた少子化の影響は、どんな対策を
取ってもその同じ長さでこれからの社会に影響を与え続けること、経済優先の社会の価
値観で大きく損なわれた道徳、家庭や個人の生き方を見直し、新たなものを見出すのに
も何世代もかかること、福島の原発事故によって生じた大量の放射性物質の回収やその
最終的保管にはほとんど無限の時間が必要なことなど、今生きている世代にとっては、
生きている間に解決不可能に思える不都合な真実が数多くあります。

そして、安倍政権の最大の強みは、国民がこれらの不都合な真実から目をそらし、偽り
の希望や安心を持つようにすることに長けているということです。安倍-菅コンビは、
これまでのどの政権よりも、どんなに不都合なことも「それは当たらない」「問題ない
」と断言し、すべては「アンダーコントロール」で大丈夫だと言うことに力を尽くして
いるのではないでしょうか。そして、それは結局、国民もまた、不都合な真実から目を
背けて、日本は「美しい国」であり、誰もが幸せになれる素晴らしい国であるという美
しい嘘を信じたいからであり、それを信じさせてくれるのが、この政権だからなのだと
思います。

かつての日本社会は、格差の比較的少ない「総中流社会」と言われましたが、経済が失
速し、分け与えるパイが小さくなったため、少数の既得権益を持つ人々が権益を失わな
いために生み出したのが、「自己責任」を強調し、結果の不平等は、各自の責任である
と受け入れさせるロジックです。それまで「みんなが幸福になれる」と信じてきた国民
は、「みんなが幸福になれなくても仕方がない」というこの裏切りにショックを受け、
いったんは自民党政権に不信任を突きつけ、民主党政権を誕生させました。しかし、そ
の時に多くの国民が民主党政権に期待したのは、不都合な真実に向き合う新たな選択肢
ではなく、今まで通り「みんなが幸福になれる」という夢を見させ続けてくてることで
した。もちろん、そんなことはできるはずもありません。失望した国民は、再びかつて
夢を見させてくれた自民党に政権を託したのです。

「日本を取り戻す」という復古的なスローガンと「戦後政治の総決算」という矛盾する
イメージを掲げることで、安倍政権は、既得権益を持つ夢よもう一度と思う人々と、今
の生活に不満を持つ人々という本来利害の対立する両方から支持を獲得することに成功
したのです。なかでも、戦後誰も具体的に手をつけることのなかった「憲法改正」を掲
げたことによって、何かを変えてくれるかもしれないという期待を抱かせることに成功
したのです。そして、このように簡単に実現するはずもない目標を掲げ続けることで、
国民の間に期待感を抱かせつづけるというのが、この政権の常套手段になっていること
は、拉致問題や北方領土問題を見ても明らかです。つまり、現実に分け与えるものがな
いので、希望だけは広く分け与えるのです。たとえそれが空手形であったとしても。

複雑な現代社会では、一人のどれほど卓越した政治家であろうと、その力で政治がガラ
ッと変わるということはありません。経済の根本的構造も、社会福祉や教育の仕組みも
、そう簡単に変わらないし、変えて良いものでもありません。たとえば、いま被扶養者
の妻に与えられている3号被保険者という資格をやめようという議論がなされています
。しかし、それがもし、その制度を前提に生活してきた人々に、人生の半ばで急に適用
されることになるなら、それは実に残酷なことになります。だから、政権が変わっても
、具体的な政策レベルでは、大部分は前の政権の政策を続けるしかないのです。民主党
政権の誕生も、そしてまたこれに対する失望も、国民があまりにナイーブに、政権が変
われば全てが変わるかのように信じたからかもしれません(そして、民主党自身もあま
りに安易にそのようなイメージを振りまき、利用したのです)。同様に、安倍政権だっ
て、やっていることの多くは、誰が首相になってもやるべきことだし、できることなの
です。にも関わらず、安倍政権は、先ほども述べたように憲法改正など安倍政権でなけ
ればできない(やろうとしない)と思われる目標を掲げることで、他の政策についても
安倍政権にしかできないと考えさせるのに成功しているのです。

では、このままこのような政権が続くとどうなるか。おそらく、日本社会は、偽りの希
望を追い続けるけることで、不都合な真実と向き合い、そこからやり直す最後のチャン
スを永久に失ってしまうかもしれません。治療すれば治る可能性のある病気を告知され
なかったために、治療の機会を失ってしまう病人のように。

https://jp.quora.com/なぜ安倍首相がここまで首相を続けられるのでしょうか

コメント(1)

まったく、よくわかる解説ですね。
よく、右翼の連中が、「平和、平和と唱えていれば、安全だ」と左翼の平和憲法維持を、お花畑論、と非難したり、日本人は、「言霊の民族だから、願望だけを唱えて、現実を見ないようにする」などという、分析と同じですね。
それを、安倍政権も利用して、同じことをしているにすぎません。

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