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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 平成は・・・「転落と格差」の30年(後半)

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人生をちゃんと考えて

——ある種、企業が従業員を顧みなくなってきているという事象がある一方で、働く人
たちもあまり組織にとらわれない働き方が広がってきている感じもします。そういった
働き方についてはどうお感じですか?

今はいいんだと思うんです。なぜかというと空前の人手不足なんで、転職先があるから
いいんですよ。ただ、バブル期と似たようなことか起こっているわけですね。バブル期
に何が起こったかっていうと、フリーターっていう言葉がすごくはやったんです。

フリーターっていうのはなにかっていうと、当時、言われた定義は、学生でもサラリー
マンでもなく、みずからの意思で自由に働き方を決められる新しい形の自由人なんだ、
これからみんなが目指すべきライフスタイルはフリーターだぜっていうキャッチフレー
ズで、どんどんフリーターが増えていったんですけれども、彼らが30代を迎え、40代を
迎えた時にどうなったかっていうと、その末路は悲惨だったんですね。

結局、自由人ではなくて単なる使い捨ての労働力になっていった。派遣労働が解禁され
た時もそうだったんです。真っ先に切られたのは派遣労働者だったんですね。今、外国
人労働者をどんどん受け入れていきましょうと言ってますけれども、これもですね、す
でに例えばシャープの亀山工場で大量の外国人労働者が雇い止めにあってるわけです。
だから、労働力需給が締まって、人手不足の時は別に会社なんかいいよって言うんです
けれども、ちょっと景気が悪くなると、みんな突然、会社にしがみつこうとする。リー
マンショックのあと、新入社員たちにどうしたいですかって聞くと、みんな定年まで勤
めたいって答えたわけですよ。

だから今はいいんですけど、いつまでもこの景気が続くなんて事ありえないので、私は
ちゃんと人生を考えたほうがいいんじゃないかなと思います。


最も印象に残った出来事は?

——先ほどライブドア事件というのが出ましたけれども、平成の時代で最も印象に残っ
ている出来事というのは森永さんの中で、これは経済にかぎらずでもいいんですが、い
ちばん印象に残った出来事はなんでしょうか?


私の中でいちばん大きいのは不良債権処理なんですね。実は2001年に米同時多発テロが
起こって、小泉首相がすぐホワイトハウスにブッシュ大統領を訪ねたんです。その時の
小泉首相はですね、アメリカのテロとの戦いに日本は自衛隊を派遣してでも手伝うって
言ったら、ブッシュ大統領がいや小泉さん、日本は一日も早い不良債権処理を進めてく
れたまえって答えた。

何の事か当時、すぐにはわからなかったんですけれども、1年後ですね。ニューヨーク
の外交問題評議会ってところを小泉首相が訪ねるんですね。そこでアメリカのネオコン
(※6)の人たちに向かって、小泉総理の演説がこうだったんですね。

(※6)ネオコン=アメリカにおける新保守主義者のこと。保守強硬派。

首相をやって1年数か月、専門家の意見を聞けば聞くほどわからなくなったと、失業や
倒産を増やすので不良債権処理はよくないという意見がある一方で、失業や倒産をおそ
れずに断行すべしという意見もあると、これを決断できるのは私しかいない、私は決断
したと、不良債権処理の断行だって、国民に言う前にアメリカに言った、これが私は最
大の事件だったんだろうなって思います。

——その意味といいますか、それがその後の平成にどう影響したのでしょうか?

その後、すぐにですね、金融担当大臣を竹中平蔵さんにして、竹中さんが木村剛さんて
いう人を連れてきて金融再生プログラムっていうのを作って、短期間で不良債権を半減
させると言って。そこから大手30社問題(※7)ってのがすごくクローズアップされた
んですけれども、今振り返るとあの大手30社の9割は経常黒字かつ営業黒字だったんで
す。

(※7)大手30社問題=経営が悪化した流通やゼネコンなど、大手30社への貸し出しが
不良債権問題の中心だとした主張。

つまり、黒字で何の問題もない会社を不良債権処理の名のもとに、バンバン潰して、そ
れを二束三文で片っ端から外資に売り飛ばすという事が現実に行われたんですね。私は
その時にずっと反対したんです。そんな事したら日本はやられてしまう、経済がボロボ
ロになるぞって言ったんですけれども、そういう事を言うと銀行の味方だとか、抵抗勢
力だとか、いろいろ言われて、誰も言う事聞いてくれなかったですね。

日本は世界で最大の対外債権保有国、つまり外国に対して債権を持っているお金持ちの
国なのに、何で日本がその財政赤字、経常収支赤字で、経済がボロボロになった途上国
のように、全部ハゲタカにさらわれないといけないのかっていうのは、誰も考えないで
、むしろそれが構造改革で正しい道なんだっていうね。その結果、日本経済が大転落を
起こしたんだと私は思う。

——それが一番印象に残ってらっしゃるのは、アメリカの大統領に先に言ったという出
来事なのか、小泉総理が不良債権処理を進めてきた一連の動きでしょうか?

いちばん最初のショックはそう言ったってのがすごくショックだったんですけど、その
後の竹中金融改革、不良債権処理、金融再生プログラムの間は、私はもう特に木村剛君
とかは全面戦争をしていたので、結論から言うと、私はその時の彼との戦争に敗れたん
です。

大手30社問題が最初にクローズアップされたのは、自民党の経済産業部会っていうとこ
ろに彼が講師として呼ばれた時だったんですよ。彼は大手30社を処理すれば、不良債権
はパイプの中のゴミで、パイプがスッと通るようになって日本経済は鮮やかな回復をす
るんだと。それを聞いていた自民党の国会議員何人かに話を聞いたんですけど、もう木
村さんは後光がさして神様のように思えたと。

だけど今、振り返ったら、なんで30社だけ潰したら日本経済がよくなるかなんていう理
論的な説明は絶対できないんですよ。ただ、明らかなことは流通・建設・不動産の大手
30社が駅前一等地に貴重な不動産を山のように持っている企業だった。それが不良債権
処理されたあと、その資産がどうなったかっていうのを見れば、それも壮絶なんですね
。マグロの解体ショーのようにハゲタカが二束三文で食いまくっていた。だから、私は
自分なりには頑張ってたんですけれども、世間を先導する力っていうのは、全然なかっ
たっていう。だから説得力はなかったんでしょうね。

——当時も今も金融緩和が先か財政政策が先かという論争がありましたね。

私は当時はまずデフレ脱却が先で、不良債権をあとにしなさいって、ずっと言い続けた
んですね。でも今になって振り返ってですよ、例えば不良債権の象徴って言われたダイ
エーが不良債権処理の対象でつぶされなかったら、今どうなっていたかっていうと、私
は今、日本一の優良企業になっていたと思います。

ダイエーは駅前の一等地を片っ端から持ってたんですね。それだけじゃなくて、リクル
ートを持っていたし、銀座プランタンの運営権を持ってたし、福岡ドームとかシーホー
クホテルとかホークスも持ってたし、ローソンも持ってたわけです。今、最優良企業に
なっているはずなんですよ。それを叩き潰した。ダイエーはちょこっと赤字を出した時
期もあるんですけど、ずっと黒字基調だったんですよ。でもそういう事はほとんど伝わ
らなかった。


平成は幸せだったのか?

——失われた20年と言われ、長引くデフレという状況などもありますが、平成という時
代を見た時に、この時代は幸せな時代だったと思いますか?


これは国民にあまり痛みを感じさせずに大きな収奪をしたという意味では、富裕層はと
てつもなく幸せになったんですね。じゃあ、庶民がすごく不幸になったかというと、私
はそれを感じさせないうまいやり方をやったのかなっていう気はしますね。

——それはどういった意味でしょうか?

例えば日本以外の世界各国では、1%の富裕層が99パーセントから収奪してると言って
、あちこちでデモが起こったり、あるいは左派政党がどんどん台頭したりしている。で
も日本だけがリベラル政党がどんどん転落しているし、その富裕層を批判するデモなん
てほとんど起きてないですね。むしろ、消費増税とかで、どんどん庶民が生活は圧迫さ
れていっている状況が起きている。

なぜ、そんな事が起こったのかというと、日本の富裕層は隠れるのがうまいんだと思う
んですよ。つまり1億円以上の投資家の資産を持っている人が300万人もいる、これね
例えばクラスが40人だとすると、1人か2人はその富裕層の子どもがいるっていう勘定
になるんですね。だけど、みんな認識してないですよね。何でかというと、富裕層だけ
が暮らす地域に住んで、富裕層だけが行くレストランに行って、富裕層だけが行く商店
で買い物をする。だから接点がないんだと思うんです。

——多くの人たちから見ると、そんなに上がったという感じもしないし、そこまで下が
ったという感じもしない人たちが多いのではないかと思うんですが?

それは目を閉じているというか、かつての共産主義の国の人たちが自分たちの転落に気
づいていなかったのと同じ状況なんです。例えば最近、外国人観光客がどんどん増えて
、日本の人気が高まってるって言うんですけど、実は日本の所得が相対的にドーンと落
ちたおかげで、日本がとてつもなく格安で楽しめる国になっているから、今ものすごい
勢いで外国人が増えてるのが実態なんだと私思いますよ。

——そうすると、あまり幸せという実感もないようなこの30年だという感じでしょうか


ただこのままいくと、どんどん転落していく一方なんですね。この間、製造業の自給率
を計算したら今ちょうど100パーなんですよ。かつて、ものづくり大国だったのが、今
ギリギリ国内で自給できるところまで落ちてきているんですね。これがもっと落ちると
、例えば投機マネーが円安を仕掛けてきた時に、やられちゃう可能性が非常に高まって
いくんです。

ものづくりの基盤を持っていると、円安攻勢って不可能なんですよ。なぜかっていうと
、円安になると、日本が調子乗ってばんばん輸出しちゃうので、それはできないんです
けど、この自給率が100%を割っていくと、そういう攻撃もできていくので、長期的に
はもっと円安になって、日本経済がほぼ外資のものになって、外資の下でみんながヒィ
ヒィ言いながら、安い賃金で働くっていう国になりかねないんだと思います。

——森永さんご本人にとって、昭和も平成もご経験されていらっしゃるなかで、平成と
いうのは幸せでしたか?

私、世間の人からよく、お前こそハゲタカだって言われるんですね。リーマンショック
とか経済が悪くなると、仕事がぼんぼん増えるので、だから仕事はすごく多くなったの
は事実です。ただ、じゃあ自分が一生懸命言ったことの方向に世の中が動いたかってい
うと真逆に動いたし、大きな選挙ではほぼ私の嫌いな方がみんな勝ってきているんです
ね。


人工知能やロボットが変える社会

——森永さんはコレクターとしての側面もお持ちでいらっしゃいますが、ある種、そう
いう生き方をされている人も多くなってきたと。これまでとは違う軸の幸せみたいなの
を模索している人だったり、それを感じて生きてる人が増えてきたのかなと思います。


それが将来の日本を支える小さな芽なんだと私は思っているんですね。これから第4の
産業革命で、どんどん人工知能が進化していくと、雇用の半分、極論を言う人は9割を
人工知能やロボットが奪うんだと主張する人もいるんですけれども。私は仕事はなくな
らないんだと思うんです。それはかつて第1次、第2次、第3次の産業革命の時も同じ
事が言われて、別になくならなかったんです。

ただ、これから人間がやる仕事というのは、人工知能やロボットではできない仕事にな
らざるをえない。そんな中で、何をしたらいいのかっていうと、私はみんながアーティ
ストになる。アーティストって画家とか音楽家とかっていう狭い意味ではなくて、みず
からのその感性だとか、能力とかをうりにするクリエイティブな仕事、コミュニケーシ
ョンの中で働くような仕事っていうのを私はアート、それをする人はアーティストって
呼んでるんですけれども。

例えばコレクターというのは、今までは一流の印象派の絵画とかですね、中世の宗教画
とか、日本だと書画骨董みたいなの、そういうところだけにコレクターがいて、そうい
う人たちだけが評価されてきたんですけれども、私はそうじゃないんだと思っているん
ですね。

それを全否定するつもりは全然ないんですけれども、絵画展とかでルーベンス展とか行
ってステキねとかっていうんですけど、ホントわかったのかっていうふうに思うんです
。それよりも私がやっているのは、今60種類くらいやってるんですけれども、お菓子
の空き箱とかおまけだとかですね、ミニカーだとかフィギュアだとか、庶民の暮らしの
中に根づいた日本の文化を集めているんですね。

例えば明治時代まで浮世絵っていうのは何の価値も持たなかったんですよ。だから陶器
をヨーロッパに輸出する時の包み紙にして使っていて、それをヨーロッパの人たちが、
これいいじゃんと言ってポップアートとして高い評価を得たんですね。今、同じような
ことが根付で起こっていて、何十万円もしたり高いのになると1000万円台になっていた
りするんです。
それと私がやっているグリコのおまけとかは、種類としては同じだぞと思っているんで
すけど、今は誰も評価する人がいない。でも気付いてる人が何十人かいる。


まじめなアナウンサーはいらない

——次の時代がどんな時代になると思うか書いて頂けますか?

私はこれからの時代は、「1億総アーティストの時代」になると思っています。どうい
う事かというとですね、人工知能やロボットがどんどん発展していくと、嫌な仕事は全
部人工知能やロボットがやってくれる、定型的な仕事、つらい仕事、危険な仕事は全部
、人工知能やロボットがやってくれるわけです。これはもう想像以上に広い分野でそう
なっていく。

この間、川崎競馬場にトークイベントに呼ばれていたんですけど、何に驚いたかという
と、レース結果とか配当を次々に場内アナウンスで流しているんでが、すごい流ちょう
にしゃべるので、なんでこの人かまないんですかって言ったら、全部、人工知能ですっ
て言われて、まじめなアナウンサーがいらなくなるんですよ。ニュース原稿を正確に、
正しい発音で読む人はいらない。

むしろ問題を起こさないじゃなくて、なにかを起こす人っていうのは、人工知能では難
しいんですね。あらゆる分野でそういう事が起こってくる。お金のために働く必要がな
くなったら、つまり、人工知能やロボットが全部仕事をやってくれるようになったら、
何をしたいですかって、私のゼミの学生に聞いた事あるんですけれども、全員が言った
のは、歌手をやりたいとか役者をやりたいとか、画家になりたいとか、そういうクリエ
イティブな仕事をしたいと。

(中略)

私は人生をよく考えるべきだと思っています。3つしか人生のコースはないと思ってい
て、ハゲタカになるか、資本のしもべになるか、アーティストになるか。どこに自分の
幸せを見いだすかっていうのを、きちんと見極めて人生設計をするべきだと思います。


もちろん私はアーティストをお勧めするんですけれども、お金持ちになりたいんだった
らハゲタカになる事です、金に金を稼がせるって、ただ、私が見てきたハゲタカの皆さ
んていうのはいつも不安で目が泳いでいて怖くて怖くてしかたがないんですよ。なぜか
って言うとお金って持てば持つほど、失うのが怖くなるので、不安で不安で眠れなくな
って走り続けるしかなくなるんです。

一方、その資本のしもべになる。だから正社員として会社にしがみついて、どんなパワ
ハラを受けてもどんなセクハラを受けても歯を食いしばって頑張るぞってやるっていう
のも1つの手だと。ただ、それが本当に人間的なのかっていう事を考えると、私は答え
はアーティストしかないのかなと思っています。

(後略)

https://www3.nhk.or.jp/news/special/heisei/interview/interview_02.html?fbclid=
IwAR355gRtDlS7JbBmI_yIWT6av7zHnwmfxCYsUZ1aBJ-A-rE2oUxvxUu5H28

コメント(1)

私は、この森永卓郎さんと同意権ですが、MMTを無条件に礼賛する森永さんとは、意見が違います。

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