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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 一部の人だけに「お金」が集まり続ける理由 (前半)

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そもそも「お金」とは何なのか?

 考古学者によると、世界最古の文字はメソポタミアで誕生したらしい。メソポタミア
はいまのイラクとシリアのあたりだ。では、文字を使って何を記録したのだろう? 農
民がそれぞれ共有倉庫に預けた穀物の量を記録していたのだ。

 倉庫の共有は、とても理にかなっている。農民が一人ひとり倉庫を建てて穀物を貯蔵
しておくなんて面倒だし、みんなで同じ倉庫を使って、番人に見張ってもらうほうがず
っと楽だ。

 でも、そうなると預かり証のようなものが必要になる。たとえば、「ナバックさんは
100ポンドの穀物を預けた」と証明するものが要るはずだ。

 文字が生まれたのは、そんな記録を残すためだった。記録があれば、それぞれの農民
が何をどれだけ共有倉庫に預けたかを証明できる。

 だから、農耕が発達しなかった社会では、文字は生まれなかった。木の実も果物も肉
も魚も十分にあったオーストラリアのアボリジニや、南アフリカの先住民の社会で、音
楽や絵画は発達したけれど文字が生まれなかったのはそのせいだ。


「信用」がなければお金に意味はない

「ナバックさんがどれだけ小麦を預けたか」を記録するようになったことが、債務(借
金)と通貨のはじまりだ。古文書によると、多くの労働者への支払いに貝殻が使われて
いたようだ。畑で働いた労働時間を穀物の量に換算し、主人がその数字を貝殻に刻んで
労働者に渡していた。貝殻に刻まれた穀物の量は、まだ収穫されていないので、それは
ある意味で主人が労働者に返すべき借金のようなものだった。

 また、その貝殻は通貨としても使えた。労働者はほかの人がつくった作物と、その貝
殻を交換することができた。

 硬貨が最初にどう生まれたかという話はとても面白い。取引に使うために硬貨が生ま
れたと思っている人は多いが、そうではない。

 少なくともメソポタミアでは、農民がどれだけ支払いを受けられるかを記録するため
に、実際にはありもしない仮想の硬貨の量を書き入れていた。たとえば、台帳には「ナ
バックさんは硬貨3個分の穀物を受け取った」などと記録された。だが実際に硬貨がつ
くられたのは、それよりもずっとあとになってからだ。するとこの「硬貨」は取引をう
ながすための想像上の通貨だ。つまり、仮想通貨みたいなものだ。

 だから、いまは昔と違ってデジタル技術のおかげで仮想通貨の支払いが可能になった
と言う人がいたら、それは?だと教えてあげるといい。仮想通貨は経済が生まれたとき
からずっと存在した。1万2000年前に農業革命が起きて最初の余剰が生まれたときから
ずっと。

 じつのところ、金属の硬貨がつくられてからも、硬貨は重すぎて持ち歩けなかった。
そこで、ナバックさんが受け取れる作物の価値は、鉄の重さに置き換えて表されていた


 いずれにしろ、ナバックさんはポケットに硬貨を入れて持ち運ぶことはなかった。ナ
バックさんが持ち歩いていたのは、ただの借用証書だった。それは、穀物の重さが刻ま
れた貝殻だったり、鉄の重さが記録された何かだった。大きな鉄の塊りを持ち歩くこと
はできなかったからだ。

 こうした借用証書にも、仮想通貨にも共通することがある。どちらも、使ってもらう
には、あるものがたくさん必要になる。そのあるものとは「信用」だ。

 ナバックさんは、穀物が収穫されたら、倉庫の番人が自分の受け取るべき穀物を渡し
てくれると信じていなければならない。というか、信じていたはずだ。

 ナバックさんの貝殻と、石油や塩や建築資材を交換してくれた人たちもきっと、その
貝殻を信じていたに違いない。これが「クレジット」という言葉の語源だ——もともと
は「信じる」という意味の、ラテン語の「クレーデレ」という言葉からきている。

 みんなが貝殻(通貨)を信用して、貝殻に価値を認めるようになるには、とても力の
ある誰かや何かが支払いを保証してくれることを、全員が認識していなければならなか
った。たとえば昔なら神託を受けた支配者や、高貴な血筋の王様や、そのあとになると
国家や政府が保証してくれることが必要だった。

 たとえ支配者が死んだとしても、ナバックさんが将来かならず約束の穀物を受け取れ
るような、信頼できる権威の裏付けが必要だった。


官僚、軍隊、宗教——支配者が支配し続けるために必要なもの

 債務と通貨と信用と国家は固く絡み合っている。債務がなかったら、農作物の余剰を
簡単に管理できなくなる。債務が生まれたおかげで、通貨が流通するようになった。し
かし、通貨が価値を持つためには、何らかの制度や組織、たとえば国家が、通貨を信頼
できるものにする必要があった。

(注:余剰について。本書第1章によると、1万2000年前に農耕が発明されてから初めて
「余剰」という経済の基本となる要素が生まれた。狩りや漁をしていた時代は、獲物が
腐るので余剰は生まれなかった。農耕が始まって初めて、将来のために作物を溜めてお
くことができるようになり、余剰が生まれた)

 経済について語るとはつまり、余剰によって社会に生まれる、債務と通貨と信用と国
家の複雑な関係について語ることだ。

 この複雑な関係をひもといていくと、余剰がなければ国家はそもそも存在しなかった
ことがはっきりとわかってくる。

 国家には、国の運営を支える官僚や、支配者と所有権を守ってくれる警官が必要にな
る。支配者は贅沢な暮らしをしていたし、守るものも多かった。だが、よほど大量の余
剰作物がなければ、大勢の官僚や警官を養っていくことはできない。軍隊も維持できな
い。軍隊がなければ、支配者の権力や、ひいては国力が維持できない。国力が維持でき
なければ、外敵が余剰作物を狙って攻めてくるかもしれない。

 だから、官僚と軍隊が存在できたのは余剰のおかげであり、余剰があるから官僚と軍
隊が必要になったとも言える。聖職者もそうだ。「え、神父さんや牧師さんが余剰に関
係あるの?」と思うかもしれない。それが、関係があるのだ。宗教が生まれたのも、も
とはといえば余剰ができたからだ。

 なぜそうなのか、これから見ていこう。

 農耕社会が土台になった国家ではいずれも、余剰の配分がとんでもなく偏っていた。
政治家や軍隊や社会的な地位の高い人たちが、あり得ないほどたくさんの分け前にあず
かっていた。

 しかし、支配者にいくら力があっても、ものすごい数の貧しい農民が集まって反乱で
も起こしたら、すぐに転覆するのは目に見えている。

 では、支配者たちはどうやって、自分たちのいいように余剰を手に入れながら、庶民
に反乱を起こさせずに、権力を維持していたのだろう?

「支配者だけが国を支配する権利を持っている」と、庶民に固く信じさせればいい。自
分たちが生きている世界こそが最高なのだという考えを植えつければいい。すべてが運
命によって決まっているのだと思わせればいい。庶民の暮らしは、天からの授かりもの
だと信じさせればいい。天からの授かりものに異を唱えたら、この世がとんでもない混
乱に陥ってしまうと思わせればいい。

 支配者を正当化する思想がなければ、国家の権力は維持できなかった。支配者が死ん
でも国家が存続し続けられるような、国家権力を支えるなんらかの制度化された思想が
必要だった。そして、思想を制度にするような儀式を執り行ったのが、聖職者だ。

 大量の余剰がなければ、複雑な階層からなる宗教組織は生まれていなかった。という
のも、「神様に仕える」人たちは、何も生み出さないからだ。

 その時代は、余剰が全員に行きわたるほど多くはなかったので、食べ物をほんの少し
しかもらえない庶民がいつ反乱を起こしてもおかしくなかった。宗教の裏付けがなけれ
ば、支配者の権威は安定しなかった。だから、何千年にもわたって、国家と宗教は一体
となってきたのだ。

https://diamond.jp/articles/-/197927

==
==

お金を持っている人は「自分は偉い」と思ってしまう!?

君にはそれが「当たり前」だと思ってほしくない

 先ほど、聖職者とその役割について話したときに、支配者が余剰を独り占めしても許
されるような考え方が植えつけられたと言った(前回記事「一部の人だけに『お金』が
集まり続ける理由」参照)。

 金持ちも貧乏人も、そんな考え方を当たり前だと思うようになってしまっている。

 金持ちは、自分がカネを持つに値する人間だと思い込んでしまう。君自身も、気づか
ないうちに矛盾した思い込みに囚われているはずだ。

 お腹を空かせて泣きながら眠りにつく子どもたちがいることに、君は怒っていた。

 だけどその一方で、(子どもはみんなそうだが)君自身はおもちゃや洋服やおうちを
持っているのを当たり前だと思っているはずだ。

 人間は、自分が何かを持っていると、それを当然の権利だと思ってしまう。何も持た
ない人を見ると、同情してそんな状況に怒りを感じるけれど、自分たちの豊かさが、彼
らから何かを奪った結果かもしれないとは思わない。

 貧しい人がいる一方で、金持ちや権力者(といってもだいたい同じ人たち)が、自分
たちがもっと豊かになるのは当然だし必要なことだと信じ込むのは、そんな心理が働く
からだ。

 しかし、金持ちを責めても仕方がない。人は誰でも、自分に都合のいいことを、当た
り前で正しいと思ってしまうものだ。

 それでも、君には格差が当たり前だとは思ってほしくない。

 いま、十代の君は格差があることに腹を立てている。もし、ひどい格差があっても仕
方ないとあきらめてしまいそうになったら、思い出してほしい。どこから格差がはじま
ったのかということを。

 赤ちゃんはみんな裸で生まれてくる。高価なベビー服を着せられる赤ちゃんがいる一
方で、お腹を空かせ、すべてを奪われ、惨めに生きるしかない赤ちゃんもいる。それは
赤ちゃんのせいではなく、社会のせいだ。

 君には、いまの怒りをそのまま持ち続けてほしい。でも賢く、戦略的に怒り続けてほ
しい。そして、機が熟したらそのときに、必要な行動をとってほしい。この世界を本当
に公正で理にかなった、あるべき姿にするために。

https://diamond.jp/articles/-/198630

コメント(1)

先日、青森の三内丸山縄文遺跡を見学して、上記の論説を確認しました。

縄文時代は、6000年前から始まり、鉄器もなく、稲作もありませんが、土器・石器があり、おおきな建造物があり、貯蔵庫がありました。

権力者・リーダーもいたようです。
採取生活にも、貯蔵庫が要りますし、栗の木などの、再生産が行われていたようです。
もちろん、海運をつかった交易もあったようです。

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