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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの 【色平哲郎氏のご紹介】 スティグリッツ「アメリカ経済のルールを変えよう」、冒頭に感想文3つ(後半)

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つい最近の研究では、技能格差の議論は過去には正しかったかもしれないが、
もはやかなり妥当性が失われていることが示された。
・・・

生産性の伸びが歴史的なほど鈍化したままであることからしても、
テクノロジーの大きな波が、経済の大半で行なわれる通常の業務
を乱しているわけではない。
・・・

テクノロジーの進歩は雇用者に、労働者を監視し、より細かく作業を指定し、
勤務予定を組む新しい強力な手段をあたえ、企業内の所得分布を変えるかもしれない。
テクノロジーは、競争相手のいない未開拓の市場でのイノベーションによって
機会をつくり、最上層の所得増加に貢献するかもしれない。
また、テクノロジーは、ネットワーク効果を利用した事業の機会をつくり、
企業に市場支配力をあたえ、高いレントを引き出すことを可能にするかもしれない。

企業が将来、労働補完あるいは労働代替のテクノロジーを導入するかどうかは、
テクノロジーにかんする法律だけでなく、テクノロジーからの利益をどう分配するか
を決める経済のルールにもよる。
さらにいえば、政府が炭素税を課すことを選択すれば、有能な研究者のもっと
多くが、労力を省くよりも地球を救うことに目を向けるようになるだろう。

・グローバル化でバラまかれる不平等

過去数十年でアメリカ経済における国際貿易の規模、範囲、性質は変化し、
それにともなって企業と労働者にも変化が生じた。
しかし、このグローバル化の高まりは、ルールによって決められ、進められてもいる。
それはアメリカが定めたルール、国際的な場で定めるさいアメリカが重要な
役割を果たしてきたルールであり、それらは、グローバル化がどう働くかに
大きな影響をおよぼしてきた。

地球規模での経済のつながりが、効率性ーー貿易がなければもてなかったものを
手に入れ、経済的利益のために特殊化されたものを生み出すことーーと、
イノベーション、そして一般の福祉の増加にとってとほうもなく大きな機会を
もたらすことは間違いない。
しかし、とりわけアメリカの労働市場が低迷している状況では、グローバル化に
大きなコストがかかっていることも確かだ。
ダロン・アシモグルと共著者たちによれば、中国との単独の貿易競争によって、
控えめに見積もっても240万人分のアメリカの仕事が、
1999年から2011年のあいだに国外に移動したという。

デヴィッド・オーターと共著者の同様の研究では、1990年代と2000年代
に失われた製造業の仕事の25%は、中国製品の輸入浸透で説明がつき、
それらの仕事は別の仕事に取って代わるよりずっと急速に失われたことがわかった。
これは、賃金の損失、長期にわたる失業、失業保険や身体障害保険向けの公的予算
への圧迫増大、早期退職、医療費などに大きな影響をおよぼした。
別の研究者によると、輸入競争に最も多くさらされたアメリカの産業が、
労働所得のシェアを最も大幅に落とした。

注意してほしいのは、貿易自由化が一般の福祉の向上につながると示唆した
経済理論においても、最良の状況でさえ、積極的な政府の政策がなければ、
アメリカ国内の不平等拡大につながるだろうといわれていたことだ。
非熟練労働者の賃金が、海外のあり余る非熟練労働との間接的な競争によって
下がったように、、、。

要するに、アメリカの非熟練労働者は、さまざまな商品やサービスについて、
新興市場や発展途上国の非熟練労働者と競争せざるをえなくなり、その結果、
賃金が押し下げられるのだ。
アメリカは多くの貿易相手国に比べてかなり熟練労働者が多いものの、
現在も労働力の62%以上は大学の学位を取得していない。
つまり、貿易によってアメリカ人の大半の暮らし向きが悪くなる可能性がある。
一般的な理論では、受益者が損失者の埋め合わせをするかもしれないと
論じられたが、必ずそうなるとは決していわれなかった。
他国はグローバル化のリスクに気づいて相殺に向けた行動をとったが、
アメリカはそうしなかった。

これらのコストに加え、グローバル化は、地理的な領域と複数の企業にわたる
生産系統の再構築と細分化から、企業が大きなレントを稼ぐ機会もつくり出した。
これは、金融市場からの圧力に動機づけられてもいる。
グローバル化は、賃金格差から生じる人件費の差だけでなく、規制基準と課税
のちがいから生じるコストの差を利用することを企業にゆるしている。

これは、自由貿易協定の時代には、特に重要となる。
現実には、管理貿易協定だ。
こういう協定は、貿易についてはあまり関心を払わず、企業が海外で投資や
取引を行なうさいの規制環境に多大な関心を払う。
海外に進出するアメリカ企業にしっかりした保証をあたえることーー
たとえば、現地政府の規制で利益を失った企業が、現地の民主主義的な制度
ではなく、秘密めいた国際的な”投資家と国家間の紛争解決制度”をつかって
告訴できるようにするーーは、国際貿易をさらに魅力的なものにした。
グローバル化が、貿易より経済のルールの書き換えに関心を払っていることを
示す重要な例は、貿易協定が、世界の製薬市場におけるジェネリック医薬品
の競争力を弱め、世界規模で薬価を押し上げる一助となったことだ。

知的財産権についても、あきらかに同じことがいえる。
イノベーションを奨励するアメリカのシステムの一環だ。
下手に設計された知的財産権の管理体制は、独占力を増して価格を上げたり、
一部に法外な高値をつけたりすることをゆるすだけでなく、
イノベーションを妨げる可能性さえある。
研究とイノベーションを生み出す最も重要な資源は、予備的・補完的知識だ。
研究者と学会は、アメリカの知的財産権の管理体制が不均衡になっていることに深刻な
懸念を表明しているが、アメリカは貿易協定でこの制度を他の国々にも輸出している。

つまり、グローバル化も、抽象的で外生的な力の集まりにかかわっているだけでなく、
わたしたちの経済生活で増大する世界的な連結性の影響を制御するルールにも
かかわっている。
そして、国際的なルールを定めるのに、アメリカほど
重要な役割を果たす国はほかにない。

貿易のルールを適切なものにしたいなら、自国で所得や富や政治的影響力の不平等
を急速に拡大してきた一部の経済ルールは輸出するべきではない。
アメリカにとって最も重要なのは、過度にきびしい知的財産権をつくることでもなけ
れば、公の意思形成に異議を申し立てる新しい権利を投資家にあたえることでもない。
すでに貿易で成功している人たちに、さらに有利に働くような保護を
拡充すべきではないのである。

(終)

===

第1部 世界を危機に陥れた経済学の間違い

第1章 ”自由な市場”が何を引き起こしたか
・70年代以降ルールは変えられていった
・・・
・市場の自由と競争を確保するために、なぜルールが必要なのか
・・・

第2章 最富裕層にのみ奉仕する経済
・・・
・跳ね上がった役員報酬
・・・
・富裕層に対する減税
・・・
・完全雇用という使命の優先順位を下げた結果

第3章 なぜ賃金は低いままなのか
・労働者の声の抑圧
・労働者の権利を犠牲にして企業は影響力を増大した
・労働組合の衰退が賃金をおびやかす
・・・

第2部 地に堕ちた資本主義をこう変える

第4部 最上層をいかに制御するか
・特権の網を引きちぎる
・・・
・知的財産権のバランスを取り戻す
・貿易協定のバランスを取り戻す
・・・
・よりきびしい罰則のあるルールを施行する
・・・
・税制を改革する
・企業の海外所得に課税する
・・・

第5部 中間層を成長させる
・・・
・公共投資を復活させる
・・・
・政府の影響力を行使する
・・・
・最低賃金を引き上げる
・・・
・公的融資を増やし、学資ローンを再構築する
・医療を手ごろな価格にし、あらゆる人に提供する
・・・
・平等と繁栄が両立する経済

コメント(2)

アメリカがトランプに、日本が安倍に、支配される限り、この間違った資本主義は、修正されない、ばかりか、さらに悪化する。
>>[1]

はい。
国際社会で最低最悪の政治屋。

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