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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 「20世紀は石油を奪い合う戦争だった。 21世紀は水をめぐる戦争になるだろう」 イスマーイール・スィッラーグッディーン世銀副総裁

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【色平哲郎氏のご紹介】
「20世紀は石油を奪い合う戦争だった。
21世紀は水をめぐる戦争になるだろう」
イスマーイール・スィッラーグッディーン世銀副総裁

(書評より)「売られる」のは日本の公共サービス。民営化は国益を損なうことに

 まず、本書のタイトル「日本が売られる」を見た際に想像したのは、「少子高齢化の
進む日本の将来に悲観的な投資家が、株や債券や円を売って、日本経済が破綻する」と
いうシナリオだった。
 ところが実際の内容は全く違っていて、「水、土地、学校、医療などの日本の基礎を
成す公共サービスが民営化によって、質の劣化が急速に進む」というショッキングな話
だった。

 例えば「水」。日本では水道水がそのまま飲めるが、アジアで同じように飲める国は
中東のアラブ首長国連邦一カ国のみ。世界でもドイツ、オーストリアなど15カ国しかな
いという。
 世界的にも日本の水道の質は誇るべきものがあるのだが、企業に公共水道の運営権を
持たせるPFI法を促進する法律が成立した2018年以降、水道事業を民間に委託する自治
体が相次ぐことになっている。これには民間企業に任せれば、コスト意識が高まり「財
政難に苦しむ自治体の負担が減って、効率的な事業を行うことが可能になる」という考
え方が前提にある。

 ただし、世界的に見れば過去の水道事業の民営化で、グローバルな「水」の大企業が
まず実施したのは「値上げ」だった。オーストラリアでは4年で200%、同じく南アフ
リカでは140%上昇したという。この結果南アフリカでは1000万人が水道料金を払えず
、給水が止められたそうだ。

 こうした値上げのほか、サービスの低下などを理由に、2015年までに37カ国235の都
市で一度民営化した水道事業を公営に戻している。それも多額の違約金を払ってだ。
 一方で、日本はこれからまさに水道事業の民営化が実現し始めるという世界の潮流と
は180度違う方向を目指している。「損」をするという結果が分かっているのに、その
方向に政策を推進するというからには、背後に民営化によって直接、間接を問わず「得
」をする事業関係者がいるからに他ならない。

 次に興味深かったのは「労働」。著者は、働き方改革法案の成立で「過労死認定は間
違いなく減る」としている。そのココロは「高度プロフェッショナル制度で基本的な労
働時間の規制がなくなるから」。しかもその対象となる職種や年収はまだ正式には決ま
っていないうえ、「省令」なので、官僚のさじ加減で自由に決められるそうだ。

 こうなると、劣悪な労働環境を厳しくチェックし、逮捕権まで持つ監督官庁「労働基
準監督署」の出番だと普通は思うのだが、何と今年7月にこの「労働基準監督署」の業
務の一部は民営化が始まったそうだ。不法労働を「攻める」も「守る」も民間企業では
、取り締まりのレベルダウンは避けられないだろう。政府の方針の邪魔になる制度はす
べて排除するという意図であることは疑いの余地がない。

 この他にも本書では、学校、医療(介護を含む)、老後、個人情報など、自分の身近
にある公営事業が次々と民営化の流れに乗せられている。
 一方で、この結果サービスの質が低下もしくは悪影響が出るなどの他国で起きた現実
を見せられると、この国の公共サービス等の将来と生活する国民の未来は、残念ながら
真っ暗としか思えない。

 ここから先は私の想像だが、将来に希望が持てない国に明るい未来があるはずがなく
、当然ながら「日本は投資対象にはならない」ので、株式、債券、円が売られるという
このレビュー冒頭の「想像が現実化」するのではないかとも思える。もっとも、民営化
で利益を得る企業は株価も上昇するだろうから、「企業は栄えて株価は上がるも、国民
は生活に貧する」という可能性も十分にあるが。

 著者は、最後の章で、市議会に参加したスペインの女性の「公共サービスを民営化し
たことは高くついただけではなかった。一番の損失は一人ひとりが自分の頭でどういう
社会にしたいのかを考え、そのプロセスを失うことだった」というコメントを紹介して
いる。
 これから公共事業を本格的に民営化する日本は、この言葉の持つ意味と重さを深く考
える必要があるだろう。

【追記】
 193ページ1行目にある教育、農業、労働、医療といった分野で民営化が進展すること
への著者の危惧は理解できる。ただし、この4業態に共通するのは「日教組」「農協」
「労働組合」「医師会」という組合組織の社会への影響力が、過去に非常に強かったこ
とだ。

 もちろん功罪の両面があるだろうが、当時の日教組は「生徒を戦争に行かせない」と
いう教育とは関係のないスローガンを盾にしていたし、農協は「コメは一粒たりとも輸
入させない」と息巻いていた。総評は社会党など自衛隊を違憲とする左派政党を支援し
ていたし、旧国鉄の労働組合「国労・動労」は毎年のようにストライキで通勤電車を止
めていた。医師会の会長は、診療所等の休診日の扱いについて「休診日に病気になる方
が悪い」と放言していた(その後「運が悪い」に訂正したらしいが)。

 時代が変わったのは事実だが、中年以上の世代には、こういった過去の過激な組合活
動への強い拒否反応を覚えている人が、いまだに少なくないように思える。過去におけ
る「世間から理解を得られない行動」が、現在の「民営化への世間の無理解・無関心」
の要因のひとつになっているとすれば、言い方は悪いが「自業自得」とは言えないだろ
うか(国民にとっては不幸なことだが)。

 公営事業の民営化に国民からあまり反対の声が出てこないのは、政府が情報をうまく
コントロールしている面もあるだろうが、「厳しい競争がなく、コスト意識も感じられ
ない親方日の丸の公共サービスは民営化した方がマシ」と漠然と認識している人が多い
からだと、個人的には思っている。

https://www.amazon.co.jp/日本が売られる-幻冬舎新書-堤-未果/dp/4344985184

コメント(1)

なかなか鋭い指摘ですが、私は、最後の部分は、意見が違います、

日教組や総評などの、団結の強い、労働者保護の団体があったから、労働者の地位向上と生活給的な賃金上昇が獲得できたのであり、今のような格差社会を見るにつけ、自民党政権の組み合いつぶし、団結つぶしが、どれほど、日本の格差拡大と労働者の所得低下にやくだったかを、考えざるを得ません。

先進国アメリカでも、労働争議はあります。当然の労働者の権利です。
資本をもたない、労働者には、それしかないのです。
労働者独裁といいながら、団結を認めない中国ロシアをみれば、いかに労働者が惨めか、よくわかります。

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