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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 「改憲広告代理店」 ーー 国民投票の落とし穴 ーー

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【色平哲郎氏のご紹介】
「改憲広告代理店」 ーー 国民投票の落とし穴 ーー

著述家、元博報堂社員 本間 龍

憲法改正に前向きな政党が衆参両院で3分の2以上の議席を占め、
国会発議も可能な状態だが、2007年に施行された国民投票法には
「広告無制限」という重大な欠陥がある。

・国民投票の勝敗を決定するのは、いま投票行動を決めていない無党派層
であり、その層を取り込むために、改憲賛成・反対両派による激しい
広告宣伝が予想されている。
だが、現行の国民投票法は、より多くの広告資金を持つ側に圧倒的に
有利な仕組みで、現状では豊富な政党助成金や企業献金を集められる
改憲派が有利と考えられる。
その広告宣伝を担うであろう世界最大の広告代理店「電通」
はどのようにして広告宣伝戦略を展開するのか解説し、
活動方針が何も定まっていない護憲派の無防備を指摘する。


国民投票とは、浮動票を奪い合う闘いである
・・・

浮動票獲得に最も重要な宣伝広告費の制限がない
・・・


国民投票の雌雄を決めるのは広告費である

現行の国民投票法は公職選挙法に比べて非常に自由度が高い。
何が自由なのかというと、
・国民投票運動にかけられる資金に上限がない
・海外からを含め、あらゆる寄付金に対する規制がない
・その寄付金を記録し、事後に報告する義務もない
・投票運動にかけた費用の総額、その内訳などの公表・報告義務がない
・メディアに対する広告規制がない
・・・


広告費の裏(真)の顔
・・・
それは巨額の広告費が、メディアの論調まで左右してしまうことだ。
数億、数十億円というあまりに大きな金額の広告費を受けてしまうと、
メディアはその広告主の意に沿わない報道や記事の掲載や放送を
自主規制する恐れがある。
例えば、2011年に発生した東京電力福島第一原発事故発生直前まで、
原発ムラから巨額の広告費を受けていた主要メディアは、原発に対する
ネガティブな報道をしなくなっていた。
東京電力の普及開発関係費(広告宣伝費)は毎年200億円以上・・・
東京電力は、自らがつくった「安全神話」を過信して防災投資を怠り、
事故を起こしたのだった。
他にも分かりやすい例がある。
2016年の参院選と17年衆院選における自民党のテレビCMは、
各局審査部(CM中身の真偽チェック、法的チェックをする部署)
から強く公選法違反の可能性が指摘されていたのに、
結局全曲がそれを放映した。
億単位の広告料に局の営業部門の目が眩んだか、
審査部の異論を押し切ってOKを出していたのだ・・・


改憲派が優位なその他の理由
・・・
A 改憲派は運動の中心が定まっており、国民投票の実施スケジュールを管理できる
B 改憲派の中心が政権与党であり、安倍首相という強力なアイコンを持っている
C 改憲派は巨額の資金を有し、調達できる
D 改憲派の広告及びPR戦略を担当するのは電通である
・・・
そして実は前2項よりも、電通が改憲派の宣伝広告を担当するということ
こそが、国民投票の勝敗を左右する最も大きな要因となる。
電通は2017年度売り上げが5兆2千億円を超える、
世界最大の広告代理店である。
戦後一貫して自民党の広告宣伝を担当しており、国民投票においても
自民党を中心とする改憲派の広告宣伝を担当することは間違いない。
そして電通はインターネットを除く全てのメディアでシェアトップの
日本最大の広告代理店であり、全ての媒体において他社より優先的に
購入できる広告枠を有している。
また、日本のメディアの中で一番取引額が大きいテレビ業界
(売り上げ規模約2兆円)でのシェアが約35%とダントツに高く
(2017年電通発表)、非常に大きな影響力を持っている。


予想される改憲派のメディア・PR戦略
・・・
(1)1社管理による、改憲派統一イメージ運動の展開
電通はあらゆる媒体で圧倒的な広告枠確保のシェアを誇る。
さらにイメージ創出面においても優秀な制作陣を有しており、
人々の心に残るCMやビジュアルを作ることができる・・・

(2)早期発注による広告枠の独占
改憲派は電通を通じて発議までのスケジュールを想定して事前に
広告発注を行い、テレビCMのゴールデンタイムをはじめあらゆる
広告媒体(新聞・雑誌・ラジオ・ネット・交通広告等)の優良枠を
国会発議の数ヶ月前に抑えることができる・・・

(3)国会発議直後から広告宣伝をフル回転
もし投票日が発議後60日後の最も短い期間になった場合、
改憲派は事前準備しているから発議後翌日から広告宣伝をフル回転
できるのに対し、護憲派がテレビCMなどを放映開始できるのは、
(制作日数を考慮すると)どんなに早くても2、3週間後となり、
その間は改憲派の広告ばかりが放送・掲載されることになる・・・

(4)豊富な資金で多彩はCMを製作
改憲派は豊富な資金に物を言わせて大量のタレントを動員し、
出演者が毎日変わる「日替わりCM」も制作可能である。
老若男女に人気の高いタレントや著名人を
それぞれの年齢別ターゲット層に合わせて出演させ・・・

(5)インターネット広告でも優位に
インターネットにおいても、改憲派は主要ポータルサイトの
広告欄を事前に全て押さえ、様々な種類の広告を展開できる・・・

(6)全国統一キャンペーンの実施能力
全47都道府県をネットワーク化し、全ての県で実施される
改憲イベントを一元管理できる・・・
全国津々浦々の小さな集会にも、客寄せのために著名タレントを
派遣することが可能。
改憲派からの豊富な資金があれば、タレントが所属する事務所に
高額の出演料を支払うことができるためだ。

(7)自民党の地方組織との連携
改憲派の中心である自民党の全国組織と協働してフル稼働させ、
市議・県議レベルでのミニ集会を毎日実施・・・
さらに、要望に応じて弁士や有名タレントなどの派遣を行う。
全国主要駅前などでの演説会でも同様。

いかがだろうか。
少し考えただけでも、電通がこれらの方策を展開してくることは
容易に想像できる。
なぜなら、ここで紹介した様々な方策は、
電通が常日頃スポンサーのためにやっている仕事で、
何ら特別なことではないからだ。
時間(事前準備)と資金の両方があれば、盤石の
プロパガンダ戦略で護憲派を圧倒するだろう。


護憲派はどうすべきか
・・・
(1)一刻も早く、活動の中心を決める。
(2)広告宣伝戦略(メディア戦略)の構築を急ぐ。
(3)広告宣伝費用を考えて集金目標を設定し、カンパを集める。

筆者は現在、ジャーナリストの今井一氏が主催する
「国民投票のルール改善を考え求める会」で、超党派議連結成を目指している。
自民党の船田元氏、国民民主党の桜井充氏、立憲民主党の杉尾秀哉氏ら
が中心となって、秋の臨時国会で国民投票法におけるCM規制に関する
改正案を出す予定だ。
これにより、少しでも公正公平な投票を実現したい。
だがそれでも、広告宣伝戦略において、改憲派が圧倒的に優位な状況
は変わらないだろう。

今までの護憲諸派の活動を見るに、集会実施や動員などには力をそそぐが、
広告宣伝はおざなりにされてきた感が非常に強い。
だが改憲派は間違いなく、その両方に力を入れてくる。
護憲派は過去の古いやり方を改め、広告宣伝戦略も含めた大胆な国民運動を
展開しない限り、このままでは国民投票本番で手痛い敗北を喫するだろう。

ほんま・りゅう
1962年生まれ。著述家。1989年、博報堂に入社。
2006年に退社するまで営業を担当。その経験をもとに、
広告が政治や社会に与える影響、メディアとの癒着などについて追及。
憲法改正の国民投票法に与える広告の影響力について調べ、発表している。
著書に『メディアに操作される憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)、
『広告が憲法を殺す日』(集英社新書)ほか。

【月刊保団連 2018年8月号掲載】

コメント(1)

実によく理解出来ます。まず発議出来ないよう、護憲派議員の1/3以上の当選を何とか確保せねば。

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