孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュのビクターチャの評。北朝鮮は①非核化を考え②武器実権を止め③今春の米韓軍事演習の開催を受け入れると提言。北は決して無償で何かを提供しない。米国は何を見返りに与えるか

【孫崎享のつぶやき】2018-03-10 16:276

ビクターチャ（一時駐韓大使任命予定だったが取り消された人物）の南北首脳会談評。北朝鮮は①非核化を考え、②武器実権を止め、③今春の米韓軍事演習の開催を受け入れると提言。北は決して無償で何かを提供する国ではない。米国は何を見返りに与えるか

ビクターチャはジョージタウン大学教授ブッシュ大統領時代、米国国家安全保障会議(NSC)アジア部長であった。二〇一七年トランプ政権で駐韓大使に任命の予定であったが、対北朝鮮への武力攻撃の可能性が高まる中、軍事攻撃に反対する論評を発表し、駐韓大使任命が取り消された。

ニューヨーク・タイムズに「トランプは北朝鮮との平和の見返りに何を上げるのか（What Will Trump Give Up for Peace with North Korea? ）を寄稿。その主要点。

・トランプ大統領が二カ月内に、北朝鮮の指導者、金正恩と会うとのホワイト・ハウスの発表は、回答よりも多くの疑問を提示する。

・通常ではない二人の指導者が会う事の予測不可能性は、一方で数十年に及ぶ紛争を終える機会を与えると同時に、失敗に終れば戦争の瀬戸際に追い込む。

・北朝鮮で金と会った（鄭義溶）大統領府国家安全保障室長はトランプとの会談後、ホワイトハウスで発表を行い、彼は北朝鮮は①非核化を考え、②武器実権を止め、③今春の米韓軍事演習の開催を受け入れると述べた。

・約一年間の両指導者間の激しい非難の応酬、北朝鮮のミサイル発射で、先月までは米朝は衝突のコースに突き進んでいた。

北朝鮮代表団に対するペンス副大統領の冷たい対応は、オリンピックでの一時的緩和にもかかわらず、多くの者には危険な軍事的危機に向かうと思わせた。だが、朝鮮半島の緊張は当面減じたようである。

・差し迫る危機を、関係改善の機会に転じた点で、韓国政府は称賛に値するが、平壌の対応変化はトランプの国際的制裁にも起因する。北朝鮮は、トランプ政権は軍事選択を考慮しているという報道に多分驚愕したと思う。.

・米国が交渉のテーブルに何を置くかが不透明である。私は北朝鮮との交渉を通じて、彼らは決してただで何かを捨てるという事はしないという事を学んできている。

木曜日韓国側の声明で明確なのは金正恩がとるべき政策、ミサイル発射の凍結、米国の軍事演習への対抗措置は取らない、首脳会談への招待はあるが、トランプがそれに対応して与えるものの詳細はない。

（ディールについては次がある）

米側がエネルギーの増加、経済協力、再々解除を与え、北が核兵器、大陸間弾道弾の段階的な排除。後者は二十年間にわたり交渉の対象になってこなかったが、トランプは自分の大統領の間これは起こらないとすれば、成果になる。

次はさらに大胆で、外交関係の正常化、朝鮮戦争の終わりを意味する平和条約の締結があり、その交換として北の非核化がある。

米国政府がが行うべき事、

第一に同盟国との緊密な調整。

第二にトランプは、制裁と抑止力が強固な時に初めて金との交渉の梃子が出ることを認識すべきである。

第三に人道問題の重視、

第四に首脳レベルの失敗は戦争に近ずくことを理解しておかなければならない。首脳会議での失敗を補完するものはない。