孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの米貿易赤字１２％増、昨年５６６０億ドル、９年ぶりの水準。一位中国二位メキシコ三位日本。米国国内経済活況で①設備投資、②消費増で自然な流れ。トランプ「アメリカ・ファースト」を選挙で訴え。

【孫崎享のつぶやき】

米貿易赤字１２％増、昨年５６６０億ドル、９年ぶりの水準、一位中国、二位メキシコ、三位日本。米国国内経済活況で①設備投資、②消費増で自然な流れ。しかしトランプは「アメリカ・ファースト」を大統領選挙で訴え。行動をとらざるをえない状況

2018-02-07 10:343

A－１事実関係１

米貿易赤字９年ぶり高水準対中国は過去最大に（NHK,2月7日）

アメリカの去年１年間の貿易統計が発表され、中国に対する貿易赤字が、過去最大の規模に膨らむなど、モノの取り引きに限った貿易赤字の総額は９年ぶりの高水準となり、トランプ政権は、各国に貿易の不均衡を是正する姿勢をさらに強める見通しです。

アメリカ商務省は６日、去年１年間の貿易統計を発表しました。

それによりますと、モノの取り引きに限った貿易赤字は、好調な消費を背景に自動車の輸入が増えたことなどから７９６１億ドルと、前の年を８．１％上回り、９年ぶりの規模に拡大しました。（注、朝日新聞は「米貿易赤字１２％増、昨年５６６０億ドル、９年ぶりの水準」と報道）貿易赤字を国別に見ると、中国が前の年に比べて８．１％増加して、３７５２億ドルと赤字全体の半分近くを占め、過去最大の規模に膨らみました。

続いて、メキシコが７１０億ドルと１０．４％増加しました。そして、日本が６８８億ドルと０．１％の増加、ドイツが６４２億ドルと０．７％の減少となりました。

トランプ政権は、ことし１１月に議会の中間選挙を控えていて、今回の統計で、貿易赤字の総額が大きく拡大したことから、各国に対して、今後、貿易の不均衡を是正する姿勢をさらに強める見通しです。

とりわけ中国に対しては、先月下旬に、中国などから輸入される太陽光発電パネルに対して、１６年ぶりに緊急の輸入制限措置の発動を決めたほか、知的財産の侵害をめぐっても制裁の発動を検討していて、今後、両国の貿易摩擦が激しくなることが予想されます。

A-2　事実関係２

ロイター「米国貿易赤字は強固な輸入で９年ぶりの高水準（U.S. trade deficit rises to nine-year high on robust imports）

・米国国内の需要増によって、輸入が歴史的高水準、トランプ政権の「アメリカ・ファーストとは固い逆風。

・輸入増で３％の経済成長達成は困難か（輸入分が削減されるため）

・財政刺激策は結局輸入増につながる。企業が生産増目指せば設備投資を行い、輸入増につながる。

・Chris Rupkey, chief economist at MUFG は「トランプの貿易チームは貿易政策は輸入増を止めることが出来ない」と述べている。

・貿易赤字は１２月、５．３％増で５３１億ドルとなり、２００８年以降最大となった。

・２０１７年には赤字は１２．１％伸び、５６６０億どるで２００８年以降最大となった。

GDP比２．９％で、２０１７年の２，７％上回った。

・中国との赤字は８．１％増、昨年３７５２億ドルとなった。
・トランプ大統領は不公平な輸入を止め、貿易交渉を行い、貿易赤字を縮小するると宣言してきた。

・トランプは北米米自由貿易協定を終えると脅かしてきた。

　　中国に関しては知的財産の扱いについての捜査を命じた。

　・多くの米国工場労働者はトランプの約束は得たがまだ結果待ちの状況にあると、Scott Paul, the Alliance forAmerican
Manufacturing会長は述べている。

B:評価

・米国国内景気が浮上すれば、①設備投資、②消費者の受容増で輸入が増し、貿易赤字が増えるのは自然な流れである。

・ただトランプ大統領は大統領選挙で「アメリカ・ファースト」を主張し、９年ぶりの高水準を政治的に許容できない。

・赤字筆頭の中国は当然として、第三位の日本も警戒を要する。