孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの《トランプはバノンから娘婿クシュナーへ軸足転換。クシュナーは軍産複合体、グローバリズム推進の勢力派。》

【孫崎享のつぶやき】2017-04-12 21:59

【トランプの裏切り。ニューヨーク・ポスト紙との会見で、バノンとの距離を一段と置く発言を行う。大統領戦中のバノンの功績否定。争いはバノン対娘婿クシュナー。クシュナーは安全保障の軍産複合体、経済のグローバリズム推進グループ。早くも屈服の流れ。】

このブログで、すでにホワイト・ハウス内でバノンの地位が後退している、そのことは単なる個人の問題を超え、トランプが、軍事では、軍産複合体、経済では金融界を中心とするグループに屈服することを意味すると述べてきた。トランプ自身がバノンとの距離を置く発言を一段と強化している。

１：トランプ自身がバノンと距離ある発言を実施、１２日付CNN「トランはバノンは好きというも、信頼をおいているかについて言及せず」（Trump says 'I like Steve' Bannon; won't definitively say he has confidence）

・トランプはニューヨーク・ポスト紙が行った「戦略担当補佐官、バノンに対して依然として信頼を持って居るか」の問いに明確に答えなかった。

　トランプは次の様に述べた。

「私はステーブ（バノン）を好きだ。しかし、彼は私の選挙に極めて遅くになるまで、関与しなかった。私は全ての上院議員や知事を破っていた。私自身が選挙参謀だ。ヒラリーと直面したから、戦略を変えたわけではない。」

　ホワイトハウスのスポークス・ウーマンはCNNに対し「トランプはニューヨーク・ポスト紙に語った。そして同紙の引用は正確である」と述べた。

　大統領はバノンとトランプの娘婿クシュナーの間での争いを認めた。

　バノンの地位が縮小している最初の兆候は、先週水曜日、バノンが国家安全保障会議の恒久的地位を失った時である。

トランプは両名に関係の調整を求め、両者は首席補佐官の下、先週木曜日話し合った。

記者達は両者の間のイデオロギー的違いを指摘している。

ライバル関係は、一方でナショナリストとみなすバノンとステファン・ミラー対グローバリスト、クシュナーと経済顧問コーン（R Gary Cohn ）と副国家安全保障補佐官パウエル（Dina Powell ）の間である。

２：バノン弱体化の意味（ブログの繰り返し）

トランプは何故、大統領選挙を勝てたのか。

金融資本を中心とするグローバル企業が海外展開を行い、米国の工業が荒廃し、人々の生活がどんどん悪化していることに国民が気づき、とにかく「アメリカ・ファーストだ」というトランプの下に集まった。

誰もが勝つと思ったヒラリーをトランプが破った。トランプを勝利に導いたのに、選挙参謀のバノンの功績は大きい。トランプはバノンの功績に感謝をして、バノンを戦略担当補佐官として、大統領首席補佐官と同格に扱った。当然実質バノンの影響力が強く、ホワイトハウスはバノンが取り仕切っていたといっていい。トランプ政権の特徴は、権限を各省庁に与えるのではなく、重要政策は全てホワイトハウス主導で行う体制を取ったことにある。そしてトランプは政権就任後、①米国内工場の強化（多国籍企業が労働賃金が安く、規制の弱い地域に進出し利益の最大化を図るのと逆）と、海外軍事行動の馬鹿馬鹿しさであった。トランプ政権になり、この推進役になったのがバノンである。

今、ホワイトハウス内部で権力闘争が起こり、軍際複合体と、経済のグローバリズム推進グループが勝利しつつある。米国のシリアへのミサイル攻撃はこの視点で眺めるべきだ。

バノンは大統領選挙を選挙参謀として牛耳ってきた。トランプが、圧勝とみられたクリントンを破って大統領になれたのもバノンに負うところが大きかった。当然実質バノンの影響力が強く、ホワイトハウスはバノンが取り仕切っていたといっていい。トランプ政権の特徴は、権限を各省庁に与えるのではなく、重要政策は全てホワイトハウス主導で行う体制を取ったことにある。

そうした流れに変化をもたらしたのが、トランプの娘イヴァンカと娘婿クシュナーである。クシュナーは政権発足当初から、全ての政策や人事に関与できる大統領上級顧問に就任していた。これに新しい動きが加わった。３月２０日にトランプ大統領の長女のイバンカがホワイトハウス西棟の執務室を持ち始めた。ここでイバンカ夫妻が、ホワイト・ハウスの中で絶大な力を持ち始めた。