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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの《映画ブリッジ・オブ・スパイ:今、イスラム憎悪の米国社会。これに対し、冷戦時代の異常な米国社会、それと立ち向かう弁護士を示す貴重な警告》

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【孫崎享のつぶやき】
《映画ブリッジ・オブ・スパイ:今、イスラム憎悪の米国社会。これに対し、冷戦時代の異常な米国社会、それと立ち向かう弁護士を示す貴重な警告》
2016-01-13 07:594



監督スティーヴン・スピルバーグ

A:感想

・スピルバーグは素晴らしい作品を米国国民に送ったと思う。

 「イスラム国」への対応で米国社会はヒステリックになっている。それは冷戦時代の共産主義への対応と似たものがある。

 共和党大統領候補選出過程で第一位を走るトルンプは全てのイスラム教徒の米国入国を禁ずることを提案し、それが共和党支持者の過半数から賛同を得ている。

 この時に冷戦時代のスパイを描き、過激な社会への警告を発している。

・数々のスパイ映画があったが、これは異質である。

 ソ連側のスパイを決して「悪」として描いていない。

ルドルフ・アベルはソ連のスパイ。大佐。

彼の経歴を見てみたい。

イギリス・ニューキャッスル市のロシア人政治難民の家庭に生まれた本名ウィリアム・フィッシャー。1920年、フィッシャー一家はモスクワに戻り、ウィリアムはコミンテルン執行委員会国際連絡課(OMS)で通訳として働いた。独ソ戦勃発後、1941年9月、破壊工作とパルチザン活動に従事する部隊に志願。終戦後、非合法諜報に復帰。1948年11月、原子力施設で働く情報源からの情報入手のために、アメリカに派遣。フィッシャーには、コードネーム「マーク」(Марк)が与えられ、画家を装いコーエン夫妻と接触した。

マークの業務の負荷を軽減させるために、1952年、無線手のヘイハネン(コードネーム「ウィック」(Вик))が彼の元に派遣された。しかし、ウィックは精神的に不安定で、酒乱となり、金を浪費した。このため、彼をモスクワに召還することが決定されたが、ウィックはアメリカに自首し、マークの存在を当局に通報した。裁判では死刑判決が出るところを、元OSS顧問弁護士のドノバンの弁護により禁固30年に減刑され、ニューヨーク刑務所、後にアトランタ刑務所に収監された。

ドノバンが1960年5月1日に起きたU-2撃墜事件でのパワーズ釈放交渉で彼だけでなく学生スパイの容疑で拘留されていたフレデリック・プライヤーも交換釈放となったのは、この時の減刑弁護が奏功している。

1962年2月10日、東西ベルリンの境界であるグリーニッケ橋において、1960年5月1日に撃墜されたアメリカのU-2偵察機のパイロット、フランシス・ゲーリー・パワーズ、スパイ容疑で拘留中であった留学生フレデリック・プライヤーと交換される形で解放された。この際、ロバート・ケネディ司法長官から恩赦された。 帰国後は、諜報部に復帰し、非合法諜報員の教育に当たった。

・ アベルを演じるマーク・ライランスはすでにニューヨーク批評会協会賞の助演男優賞を獲得となるように、単なる「悪人」として描いていない。

・主人公の弁護士は「古き良き時代の米国人」を描いている。

 世論はルドルフ・アベルの死刑を求める。その中で彼の弁護をうけ、貫く。

 たとえばCIA員との会話がある。

CIA:我々の行動にはルール・ブックは何もない。何でもできる。

主人公の弁護士:あなたの家族はどこから来たか。(ドイツとの回答を得る)。私の両親はアイルランドから来た。貴方と私はアメリカ人だ。何がアメリカ人にしているか。それは米国合衆国憲法への忠誠からだ。アメリカ人である以上守らなければならないルール・ブックがある。

・映画では、よき脚本が絶対に不可欠である。今回は、第80回アカデミー賞監督賞を受賞したジョエル&イーサン・コーエンが脚本であるので、一定水準が担保されている。

・スピルバーグがこの映画の撮影に着手した時には、「イスラム国」への憎悪で固まる米国社会はまだ形成されていなかった。しかし、その危険を察知していたのであろう。

・今、米国社会に対し、与えなければならない警告、これをスピルバーグは発していると思う。

B: Yahoo!映画での紹介

あらすじ

アメリカとソ連の冷戦のさなか、保険関連の敏腕弁護士ドノヴァン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイであるアベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受ける。その後ドノヴァンの弁護により、アベルは死刑を免れ懲役刑となった。5年後、アメリカがソ連に送り込んだ偵察機が撃墜され、乗組員が捕獲される。ジェームズは、CIAから自分が弁護したアベルとアメリカ人乗組員のパワーズ(オースティン・ストウェル)の交換という任務を任され……。

映画レポート

ブルーグレーに統一された画面の裏側から、硬直した時代の冷気が客席にまで下りてくる。やがて、マンハッタンの片隅で市井の人を装い、黙々と諜報活動と思しき動きを繰り返す男の日常が詳らかにされる。男はソ連がアメリカに派遣したスパイ、ルドルフ・アベル。彼がいかに忠実な諜報員かは、鏡に映った自分の顔に度々目をやりながら、丹念に自画像を描く姿を見れば明らかだ。スパイは自らを客観視する観察眼が劣化してないかどうかを、日々、確認しなくてはいけないのだ。

 東西冷戦真っ直中の1950〜60年代にかけて、やがて逮捕されることになるアベルと、方や、アメリカ政府の指示により国選弁護人として彼を弁護することになるジェームズ・ドノヴァンの人物像に迫る実録ドラマは、対極の立場にある男2人を、深い部分で同化させて行く。どちらも、祖国から託されたミッションを遂行する過程で、その行いが自らの信念に反してないかを見定めることができる、自分自身に対して忠実な者同士。その立場を超えた結びつきは、大義名分もなく、国益という身勝手な理由付けの下、いがみ合いを続ける現実世界が過去に置き忘れて来たもの。かつて、「20世紀を映像で遺すことが監督としての使命」と言い放ったスティーヴン・スピルバーグが再現する、これもまた、失われた前世紀の一コマに他ならない。



 アベルを演じるマーク・ライランスはすでにニューヨーク批評会協会賞の助演男優賞を獲得し、来る1月10日に発表される第73回ゴールデングローブ賞でも受賞が有力視されている。冒頭の自画像シーンから、飄々として切なげな表情で観客の心を鷲掴みにしてしまうライアンスの名演は、監督の演出より、むしろ、アイロニックな人間描写に長けたコーエン兄弟の脚本に負うところが大きいと思う。兄弟の手によって独特のユーモアとペーソスが描き込まれたことで、スピルバーグ的ドラマ構成にいつもとは少し異質な陰影が生まれているのだ。

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