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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの『認知的不協和論:日本社会の上層部になればなるほど、集団的自衛権、TPP原発再稼働の本質論から目をそむけるか』

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【孫崎享のつぶやき】
『認知的不協和論:日本社会の上層部になればなるほど、集団的自衛権、TPP原発再稼働の本質論から目をそむけるか』
2015-09-05 08:013




日本の社会で、不思議な現象が起こっている。

一般的に、官界、経済界。メディア等上に行けば。知的水準が高いと思われる。しかし、官界、経済界。メディア等上に行けばいくほど、日本社会の持つ問題について、本質論を避ける。そして本質から外れた詭弁を守り、集団的自衛権、TPP原発再稼働、消費税等を支持する。原発であれば、最大の問題は地震に対する安全性であるが、この論は必ず避ける。集団的自衛権では、自衛隊を米国戦略に使う事の是非であるがこれは避ける。TPPであれば ,国家主権を侵すISD条項は避ける。どうしてこんな現象が起こるのか。

これを見事に説明するのが、米国の心理学者フェスティンガーが持ち出した認知的不協和論である。

代表的ケースに「喫煙者の不協和」がある。

認知A:Xは喫煙をしている認知B:「煙草を吸うと肺ガン等病気になりやすい」という説がある。

 Xは「煙草を吸うと肺ガンになりやすい」ことを認識しつつ「煙草を吸う」という行動はとりにくい。X の中に「認知的不協和」が発生する。この矛盾を続けるのが困難になる。

Xはこの不協和を除く方法を取る。

 一つは煙草を吸う行動を止めること。

 今一つは煙草を止めるという行動がとれない場合、「煙草を吸うと肺ガンになりやすい」論を否定するように動く。「喫煙者で長寿の人もいる」や「交通事故で死亡する確率の方が高い」という新たな認識を加えることで、「煙草を吸うと肺ガンになりやすい」という認識の重要度を下げ、認識間の矛盾を軽減する。

 この現象が政治の場で起こっている。

 認知A:Yは政府と協調を図るべきという仕事環境にいる。かつ政府は原発再稼働を進めている 認知B:原発で最も危険なものは地震であり、地震国の日本では事故を招く可能性が高い。

Yは「政府と協調を図るべきだという仕事環境にいる」ことを維持する際には「原発は地震で危ない」という認識を下げ努力をする。

 日本の政治家、官僚、経済界、学者、ジャーナリストの上に行けばいくほど何故歪んだ考えを持つかが「認知的不協和論」で見事に解る。

 さて、私は本年大阪の朝日カルチャーセンターで講演を行い、そこで「認知的不協和論」を説明したが、席の真ん前で聞かれていたのが白樫三四郎大阪大名誉教授で、「認知的不協和論」の研究者であった。

 二度目の講演でも、白樫三四郎大阪大名誉教授はまた席の真ん前で聞かれた。

 終わって、フェスティンガー氏のことについて話を聞いた。フェスティンガー氏については、宇沢弘文氏の「『私の収穫』フェスティンガー」朝日新聞 2010年5月7日夕刊がある。

「スタンフォードにいたとき、家が近い故もあって、レオン・フェスティンガーと家族ぐるみでしょっちゅう行き来していた。フェスティンガーは戦後、「認知的不協和理論」を掲げて彗星のようの現われた天才的な社会心理学者であった。

フェスティンガーはまたアメリカ陸軍のチーフサイコロジストとしての役割を果たしていたが、自らの理論が残酷な形で、ヴェトナムで応用されているのを知ったときの彼の苦悩はじつに痛ましいものがあった。

ケネディ大統領が暗殺され、ジョンソン大統領がヴェトナム戦争に全面的に介入しはじめてからしばらくして、フェスティンガーはある日、スタンフォードのキャンパスから姿を消した。魅力的な奥さん、3人の子ども、数多くの友人たち、そしてスタープロフェッサーの地位をすべて捨てて私たちの視界から消えてしまったのである。

ヴェトナム戦争が終わって大分経(た)ってからのこと、日本に帰ってきた私の手もとに一通の手紙がフェスティンガーから届いた。彼は、ニューヨークのニュースクール・フォア・ソーシアルリサーチに一人の学生として入学し文化人類学を専攻した。若い女性と一緒になって新しい人生を歩んでいる。いまはそこで教授をしているという。それから何年か経って、フェスティンガーが亡くなったという報(しら)せを受け取った。彼のカフカ的転身は今でも私の心に重く残っている。」
白樫三四郎大阪大名誉教授の説明が続いた。「フェスティンガー氏はアメリカ陸軍のチーフサイコロジストであったことが重要です。「認知的不協和論」は応用分野がある。ベトナム戦争で、これが悪用された。ここからフェスティンガー氏は社会心理学から距離をおき、次第に文明論全体を語るようになった。自分は彼の授業にも出たがその頭脳たるや、切れ味は凄かった。」


今日、「認知的不協和論」は勢いがない。主導者が身を引いたからだ。しかし、それは説の学問的な是非ではなくて、この説を応用すると極めて危険な状況を権力者側が作り出せることへの疑念からであった。

コメント(1)

国会における、政府答弁の「問題のそらし、質問に答えずに別なことを言う、同じ答弁の繰り返し」などをみていると、まさしく、この「認知的不協和」の典型ですね。

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