孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの《G7,最大外交課題がウクライナ問題。米国国務省大混乱。国務長官にヌーランド反旗の下剋上》

【孫崎享のつぶやき】
《G7,最大外交課題がウクライナ問題。米国国務省大混乱。国務長官にヌーランド反旗の下剋上》
2015-06-09 08:556

A:事実関係

１：Eric Zuesse論評「ケリー対部下ヌーランド（. Secretary of State John Kerry v. His Subordinate Victoria Nuland, Regarding Ukraine）

５月１２日、ケリー国務長官は、ポロシェンコ・ウクライナ大統領が“クリミアをとりもどし、ドンバスを勝ち取る”と述べたことに次のように述べた。

「私はまだ、テキストは見ていない。ただ本日そのことを聞いた。

　ただ、もし、この時期ポロシェンコ大統領がこのような軍事的活動に入ることを提言しているとすれば、我々は彼にこのような活動をしないよう再考することを強く要請する。それはミンスク合意を暗礁に乗り上げさせる。そのような活動がもたらす結果に極めて深刻な懸念を有する」

　５月１５日、ヴィクトリア・ヌーランド米国国務省欧州・ユーラシア担当次官補は国務省報道部（Press Office）を通じて次を発表した。

「ヌーランド次官補のキエフ訪問と彼女のヤツェニュク首相およびポロシェンコ大統領との会談は、米国のウクライナ政府、その主権、領土保全にたいし全面的、ゆるぎない支持を再確認する。我々はウクライナ国民と肩を並べ、クリミアを含むすべての地域を含む単一的ウクライナへの強いコミットを再確認する。」

　ケリーは自分の言ったことを否定する発言をした部下を叱責するか。

もししなかったら、オバマはケリーを首にするか。

ヌーランドが首になるのか。

　共和党はケリー攻撃を準備している。

２：６月７日Eric Zuesse論評「オバマはウクライナ問題でケリーを外す（Obama Sidelines Kerry on Ukraine Policy）

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　オバマはヌーランド側についた。

　ラジオ・フリーヨーロッパは６月５日、ポロシェンコが毎日、毎時間、ウクライナはクリミアを奪取するためあらゆることをすると述べた。

　ロシアが親ウクライナ連合を壊す機会を与えるね気でないとも述べたが、これは間接的にケリーへの侮辱である。

　ポロシェンコは４月３０日、５月１１日、６月５日と三度にわたりクリミア侵攻を言及した。さらに合意で禁じられているドンバスへの侵攻にも言及した。

さらにオバマはヌーランドを解雇しなかった。

　欧州ではどのように受け止められているか。

　ケリーはミンスクⅡ合意の構築者であるメルケル独首相ととオーランド仏大統領を支持している。

ヌーランドはこれを無力化させようとしている。

オバマ大統領はヌーランド側についている。

　ここでヌーランドは重要な意味を持つ。

　２０１４年２月４日ヌーランドは駐ウクライナ大使（Geoffrey Pyatt,）と電話会談し、クーデター後（実際に１８日後に発生）ヤツェニュクをウクライナを指導するようにせよといい、“欧州の野郎（“F―k the EU!”）と言ったのである。

: オバマは欧州側に好きな合意をやっていいが、米国は自分の道を行くことを示した。

　ケリーは職にとどまるか、とどまって各国首都で無視されるかの選択に直面している。

B:評価

　ヌーランドとケリーの問題は極めて深刻な問題である。

　まずヌーランドはイラク進攻などを導いたネオコンの理論的支柱ロバート・ケーガンの妻である。

　したがってこれは「ネオコン」対ケリー（緊張を軽減しようとする代表）の戦いでもある。

　それは欧州をどのようにしたいかとも関係する。

　数年前、NATOは「最早ロシアは敵でない」という決定をした。

　そのことは何をもたらすか。

　NATOの存在意義を大きく減ずる。欧州の軍事努力を軽減する。米軍を櫃王としない。

　これではネオコンが困る。

　その中で、ロシアと協調を図るウクライナ政府を倒し、ロシアと対決姿勢を図るウクライナ政府を樹立し、クリミアでのロシア海軍の権限を一方的に破棄しようとする動きに出て、今日のウクライナ問題を招いたのである。

　ネオコンはウクライナ問題の解決を望んでいない。

　西欧とロシアの緊張を欲しいのだ。
この問題はウクライナ問題だけに限らない。イランとの合意がある。ネオコングループはこれも破棄したい。推進者のケリーの退陣を望んでいる。

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