孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの尖閣問題でtwitter上、長島昭久議員との応酬

尖閣問題でtwitter上、長島昭久議員との応酬

2014-02-18 08:073
孫崎享のつぶやき

　twitter上、長島昭久議員との応酬があったので記録に残しておきたい。

　出発は私のニコニコ・ブログである。

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　どこの新聞社の社説でしょう[尖閣諸島問題は慎重に対処し、決して紛争のタネにしてはならない」

次は尖閣諸島に関してある新聞社が１９７９年５月３１日に書いた社説の抜粋である。どこの新聞社の社説か、

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・尖閣諸島の領有権問題は､１９７２年の時も、昨年夏の日中平和友好条約の調印の際にも問題になったが、いわゆる「触れないでおこう」方式で処理されてきた。つまり、日中双方とも領土主権を主張し､現実に論争が“存在”することを認めながら、この問題を留保し､将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた。

・それは共同声明や条約上の文書にはなっていないが、政府対政府のれっきとした“約束こと”であることは間違いない。約束した以上は、これを順守するのが筋道である。

尖閣諸島問題に関しては慎重に対処し、決して紛争のタネにしてはならない。

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　これは読売新聞社の社説である。今日、読売新聞社と言えば、尖閣で最も強硬で対処すべきと主張している新聞である。尖閣諸島の棚上げについて合意があったことは、１９７２年日中首脳会議に出席した橋本中国課長（のち駐中国大使）や栗山条約課長（のち外務次官や駐米大使）などが書き物で残している。現在の政府や外務省の誰よりも実態を知っている栗山氏や橋本氏が尖閣諸島棚上げ合意があると述べているのに、それをないと言う外務省や政府は一体何であろう。そしてそれを煽る新聞は何であろう。尖閣問題では日中間の交渉の実態を先ず知る必要がある。

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これに対して長島氏は次のtwitterをされた。

長島昭久 ‎‏@nagashima21 鬼の首でも獲ったように。前提となる国際情勢の違いを無視してはダメ。>>“@magosaki_ukeru: どこの新聞社の社説でしょう[尖閣諸島問題は慎重に対処し、決して紛争のタネにしてはならない」http://ch.nicovideo.jp/article/ar462225?key=c26e695ed2cc2a1a9dee21328b1db604263af50219b8ac292f972094a4d31cf8 …,主張したのは１９７２年の読売新聞社説。

私の反論

「[長島昭久氏へ。RT[長島昭久 ‎‏@nagashima21の首でも獲ったように。前提となる国際情勢の違いを無視してはダメ。>>“@magosaki_ukeru: どこの新聞社の社説でしょう[尖閣諸島問題は慎重に対処し、決して紛争のタネにしてはならない」主張したのは１９７２年の読売新聞社説。]先ず本物として議論したい。私は読売新聞だけを議論しているのではない。このブログで書いたように、１９７２年日中首脳会議の実質的責任者栗山条約課長（のち外務次官や駐米大使）や橋本中国課長（のち駐中国大使）などが書き物で残している。特に栗山氏は産経新聞のインタビューやアジア時報で詳しく、尖閣諸島の棚上げ合意が存在したことを詳しく述べている。長島氏等はこの尖閣合意の事実を全く存在しないように扱っているのが最大の問題だ。さらに言えば長島氏はメア氏が文藝春秋で「尖閣は頑張れ。イージス艦を買え。F3５を買え」と日本に助言なさっていることは充分のご存知であろう。さらに言えば尖閣周辺では日中漁業協定があり、違反があった場合公権力を使用しないことになっていることはご存知であろう。この点河野太郎氏の主張をご存知ないわけではなかろう。]

これに対して長島氏のtwitter

「長島昭久 ‎‏@nagashima21 @magosaki_ukeru 孫崎様、返信感謝します。尖閣問題は、メア氏がどうこうという以前に、拙著『「活米」という流儀』でも詳述したように、我が国の安全保障に直結する問題であると同時に戦後秩序や地域秩序の根幹に関わる問題です。対応には慎重を期すべきことは言うまでもありませんが仮に暗黙の了解があったとしても、1992年の領海法でそれを一方的に破り、2000年代になって政府公船でもって頻繁に領海侵犯を繰り返して、秩序へのチャレンジを一方的にエスカレートさせてきたのはどちらの国だったでしょうか。南シナ海の現状にも鑑み、我が国がこれを座視するという選択肢はあり得ません。一昨年9月の尖閣諸島政府購入は、先方とも真摯な話し合いを尽くした結果の苦渋の決断でもありました。したがって、当初中国側の反発を懸念していた米国政府も、我が国の決定を尊重し支援に転じています。

私の再反論

「孫崎　享 ‎‏@magosaki_ukeru

長島昭久氏へ（再）１「仮に暗黙の了解があったとしても、1992年の領海法でそれを一方的に破り」とtwitterされましたのでお答え。尖閣諸島は日中双方とも自分のものと主張。その中で双方が主張をより強固にしようとすると衝突が起こる、関係悪化につながる。それで棚上げした理由。従って自国領と主張することと、棚上げとは併存。逆に自国領と主張する状況だから棚上げが必要。中国側は棚上げを一貫して主張。昨年秋王毅外務大臣が国連演説で再度棚上げを主張。その中で１９９２年の領海法設定で棚上げの立場を捨てたというのは事実と異なります。異なる事実を述べ緊張を煽る発言は危険です。どういう訳か「主権の主張=棚上げなし」と言う間違った論を意識的に展開する人がいます。南極条約など見れば棚上げにはする、しかしそのことは主権の主張に影響なしが解決の方法です。

　合わせて次のRTをしました。

孫崎　享 ‎‏@magosaki_ukeru ·

尖閣・読売新聞社説：RT @forestieraskoba

1972 年(国交正常化の年？）→読売新聞･社説　1979年5月31日 http://www005.upp.so-net.ne.jp/mediawatching/yomiurieditorial19790531.htm … …　こちらに記事が)

　なお、南沙諸島の問題に入ると多くの人の知識が豊富でなく、混乱するのでやり取りがあまり延々とと付いてもと思い、途中でやめましたが、長島氏への反論を続けるとすれば次の点があります。

① 南沙諸島の島々と尖閣は明確に異なります。

南沙には多くの島があり、それぞれの法的、外交的ステータスは尖閣諸島のように明確ではありません。

② 南沙諸島を含め、ASEANと中国の快打には「南シナ海における行動宣言」があり、外交的に律する取り決めがあります。

現在ASEANと中国はこれをさらに強化する方向で動いていますが、ASEANが中国にこれら合意に違反したと提起したとは聞いていません（あるいは私の情報不足かもしれません）

③ フイリピンには様々な発言がありますが、もしフイリピンが本当に米軍を必要とするなら米軍に帰ってきてもらうという決定をするはずですが、フイリピンがそういう方針を打ち出しているとは聞いていません。