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メトロン星人の本棚コミュの「ゴジラは神の獣か」

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 ゴジラが好きです。
 
 今までに公開されたゴジラ映画は全作見ています。
 ビデオやLD、DVDも買って何度も見ています。
 特に好きなのが「キングコング対ゴジラ」
 1962年8月11日に公開されたゴジラの3作目。私が見た最初のゴジラ映画です。
 この作品はゴジラ初のカラー作品、しかもシネスコサイズの対戦怪獣映画。
 相手はアメリカを代表する大怪獣キングコング。
 この作品は怪獣ブームの先駆けとなり、観客動員数は1255万人を記録。
 ゴジラシリーズ中では歴代最高です。
 幼かった私には衝撃の作品でした。
 世の中には、こんなに面白い映画があるのかと夢中になりました。
 とにかくゴジラがカッコいい、怪力だけのキングコングと違い、重量感のある恐竜型、口から放射能火炎を吐くし、背びれが青く光る。
 戦車や大砲の攻撃などまったく寄せ付けず、巨大な尻尾で薙ぎ払い、炎で戦車まで溶かしてしまう。
 もう主演俳優のドラマなんかどうでもよくって、とにかくゴジラが出てくるのを待ってスクリーンを見つめていたのを覚えています。
 家に帰ってからも忘れられず、ノートやチラシの裏に、ゴジラの絵を何枚も描きました。
 近所の銭湯の近くにポスターが貼ってあり、それが欲しくて欲しくて。
 せがんでプラモも買ってもらったけれど、組み立てて映画のゴジラとあまりにもシルエットが違っていてがっかりしました。
 とにかく、キンゴジから私の特撮オタクの人生が始まったのです。

 小学校に入学してからも春休みや夏休みの楽しみと言えば、何と言っても「ゴジラ映画」
 海底軍艦も観に行きましたが、これはゴジラが出ないので私には面白くなかった。
 でもその後の、「モスラ対ゴジラ」そしてキングギドラの出た「三大怪獣 地球最大の決戦」には興奮しました。
 その頃には、いっぱしの怪獣博士気取りで、怪獣図鑑をなめるように読みあさり、少年雑誌を切り抜いて自前の怪獣図鑑を作る始末。
 世の中は怪獣ブームに突入し、ガメラや大魔神、テレビでも「ウルトラQ」や「ウルトラマン」「マグマ大使」「仮面の忍者赤影」など、以前のようにゴジラ映画だけを心待ちにするという状況ではなくなりました。
 ただ、そんな時。
 テレビの特番かなにかで第一作目の「ゴジラ」を見たのです。
 華やかな対戦怪獣ものの作品を見慣れていた少年には、第一作の「ゴジラ」は地味で怖くて、暗くて悲しい作品に思えました。
 もちろんモノクロの画面。
 ゴジラはひたすら凶暴で暴れまくり、ビルを破壊し街を火の海にし、人々を殺してゆくのです。
 ゴジラが人を殺してゆく・・・・そんな当たり前のことを、その時初めて実感しました。
 燃えて沈む漁船、炎の中崩れてゆくビルの下敷きになる哀れな母子、放送を最後まで続けながら死んでゆくアナウンサー、そしてゴジラを倒すため自分の命を犠牲にする科学者。
 能天気だった怪獣博士は思いました。
 こんなの自分の好きなゴジラじゃない。
 ゴジラは人間の味方だ。地球を守るために仲間の怪獣と戦う正義の味方なんだ。
 これは間違ったゴジラ映画だと。

 でも最初の「ゴジラ」は、いつまでも私の心に残りつづけ、大きなトラウマとなりました。
 なぜ、あのゴジラが、キングコングと戦うゴジラになったのか。
 なぜ、ゴジラは日本にばかりやってきて悪い怪獣と戦うのか。
 そもそも、一作目のゴジラは、なんで東京に上陸して暴れていくのか。
 大戸島の長老がこう語っています。
「呉爾羅 (ゴジラ)は、恐ろしくでっけえ怪物で海の魚を食い尽くすと、今度は陸へ上がってきて人間までも喰うってこった」
 そのゴジラを鎮めるために、大戸島では女性を生贄にしたり、神楽を舞って鎮めようとしています。
 では東京に上陸したゴジラは、家畜や人を襲って喰ったのでしょうか。
 アメリカのGODZILLAは、マグロを食って卵を産んでニューヨークに巣を作ろうとしてましたが、第一作目のゴジラはただ街を破壊し、暴れて海に帰ってゆくだけでした。
 なぜ。
 キングコング対ゴジラでは、ゴジラが日本に上陸し、東京に来るのは帰巣本能だと平田明彦演ずる博士が断定しています。
 ではゴジラの故郷は、日本だったのでしょうか。
 いやいや、ゴジラは南の海の深海に住み、水爆実験で住処を追われ日本にやってきたのではなかったのか。
 志村喬演ずる山根博士は「ゴジラこそ、われわれ日本人と同じく、水爆の被害者であるのです」と言ってなかったか。
 キングコングは、ソロモン群島のファロ島の巨大なる魔神、原作でも髑髏島出身になっています。
 ゴジラも1991年公開の「ゴジラVSキングギドラ」では、ラゴス島という南の島に住むゴジラザウルスがビキニ環礁の核実験によってゴジラになったという設定でした。
 やはり、ゴジラは南の島、もしくは海底にもともと潜む怪獣だったと考えるのが自然だと思われます。

 では、水爆の被害者であるはずのゴジラが、世界唯一の被爆国日本を襲う理由はなんだったのでしょう。
 2001年に公開された「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」では、「ゴジラは太平洋戦争で死亡した人々の怨念の集合体である」と語られています。
 さらにゴジラは怨霊として存在するため、人間の持つ武器では殺すことはできないという設定になっています。
 そういえば対戦する怪獣、バラゴンやモスラ、キングギドラもヤマト怪獣として登場し、ゴジラに敗れると金色の粒になり消えてゆきます。
 これもまた、怪獣が生物ではなくて、なにか別の意識の集合体、神のような扱いになっています。
 日本には古くから「御霊信仰 ごりょうしんこう」というものがあります。
 怨みを持って死んだ人が、この世の人にたたりをなすという、怨霊伝説ですね。
 有名なところでは菅原道真や平将門なんかが、日本を代表する大怨霊、これが現代ではゴジラになっているのです。
 でも、そんなら日本じゃなくて原爆を落としたアメリカを襲ってくれればいいのにと、思ってしまうのは私だけでしょうか。
 
 ゴジラ映画の定番は、ゴジラが現れ自衛隊や科学者がゴジラを倒そうとして新兵器を使って攻撃する。
 しかし多少の成果はあったとしても、ゴジラはほとんど傷つくことなく、東京に上陸し街を破壊してゆく。
 そこで怪獣には怪獣をということで、対戦怪獣の登場。
 五分五分の戦いを繰り広げ、引き分けか、かろうじての勝利、またはゴジラの勝ちで終わる。
 しかし勝ったはずのゴジラもまた、なぜかおとなしく海に帰ってゆく。
 見送る主人公と自衛隊・・・・・「あのゴジラが最後の一匹とは思えない」「自然の生命力から人類は学ばなければならない」 
 なんて、ひとことがあって終わり。
 本当に決着がついたのは、そういえば最初の「ゴジラ」だけでしたね。
 それにしても不死身だぞゴジラ。
 大人の事情で、ゴジラを殺すわけにはいかないというのは、よくわかりますが。
 たとえばガメラのように、大量の血を流したり、手や足、尻尾を失ったりという大けがは、あまりありません。
 また、ゴジラが物を食べるシーンというのも、見たことがないように思います。
 生物的な描写が少ないのもゴジラの不思議と言えるのではないでしょうか。

コメント(2)

 ここに一冊のマンガがあります。
「神の獣」   作者 巴 啓祐 1992年9月22日発行。

 92年にモーニングに連載されたマンガですが、きわめて正統派の怪獣マンガです。
 登場する怪獣は「オーガ」
 ゴジラ型の直立2足歩行タイプの恐竜型怪獣。
 身長200m 体重9万トン 口と背中にある4本のひれ状の突起からイナズマ状のプラズマを発射します。
 199×年、東京を巨大地震が襲い大きな被害をもたらすが、その後小笠原の深海から突如としてオーガが現れる。
 海上での戦いで海自の護衛艦隊が全滅。そのまま東京に上陸。
 米軍、自衛隊の総攻撃も、まったく効果がなく、怪獣から発射されるプラズマや高周波、電磁波に歯が立たない。
 科学者の分析によると、この怪獣の表皮は金属状の岩板、その下に超高温の液体金属(鉄やウラン)が回流し血液のようになっている。
 その内側には放射性物質を含む高温の液体金属、そして体の中心部には鉄とニッケルのコア(核)が存在しているという。
 まさに、地球の構造と同じ、地球上に存在する生命とはまるで違う生き物なのです。
 これを倒す方法は、我々にはないと科学者は断言します。
 その生命力の謎は、惑星誕生のエネルギーの謎と同じ、なぜ生きているかわからないものを、どうやって殺すのか。
 しかし、このまま放置すれば、怪獣オーガのために日本どころか、全世界が滅亡する。
 日本中がパニックに襲われる。
 
 首都圏をほぼ壊滅させたオーガは地下にもぐり、今度は富士山に現れる。
 富士山を噴火させ、その溶岩の中から出現したのである。
 ある科学者は言う。
「君は本当に科学の力で人類を救えると思っているのかね。科学者は救世主ではない。勘違いしてはいかん。
 だいいち人類は救われる存在ではないよ、私に言わせれば地球を破壊して自滅する事にこそ、人類の存在意義があるのだ。
 人類とは地球生物の進化の果てに生まれた、この星の歴史を閉じるためのプロジェクトなのだよ」
 と・・・いやあ、マッドだなぁ。
「オーガは地球の分身であり、地球自らの危機に対して必死で人類に抵抗しているんだ。オーガを使ってな」
 
 自衛隊と米軍は新兵器レーザービーム砲を使い、オーガに対抗する。
 ビームはオーガの表皮を切りきざみ、裂け目からは溶岩流が流れ出す。
 一瞬作戦は成功したかに思えたが、その瞬間、オーガは強力な引力を発生させて周辺のものを引き付け押しつぶす。
 そのまま、オーガは動かなくなったが、その内部では驚異的な体質変化が起こっていた。
 体内で原子核の組み換えが行われ、今度は水素とヘリウム、そして高温のプラズマ、そうオーガは太陽になってしまったのだ。
 これでは、水爆と同じであり、いっさいの物理攻撃が不可能になるということでもあった。
  
 果たして人類は、この絶望的な危機を乗り越えることができるのか。
 オーガを倒す手立ては存在するのか。
 そして物語は、驚天動地の結末を迎える。
 できれば、この続きはこの作品を手に取って読んでみてほしい。
 興奮しますよ。
 作者、巴 啓祐はこう言っています。
「本作品に登場する巨大怪獣は生身の生物ではなく、人類の地球に対する罪の意識と、その報いへの不安と恐怖の権化です。
 そしてその棲家は、実は地底や海底ではなく、我々人類ひとりひとりの心の底にあるのです」と。
 まさに、このテーマこそ、現代のゴジラが体現している、人類の原罪に対する答えなのではないでしょうか。
 自然を犠牲にしなければ、得ることのない繁栄。
 それは人間の欲望の歴史。
 より便利に、より豊かに、そしてより多くの富を独占するために。
 これは自然に対する人類の原罪。人が持つ悪の心の正体と言っても過言ではないでしょう。

 日本人は、自然を神とする神道の歴史を持っています。
 太陽が神であり、自然と共存して生きることが美しいことだとされてきました。
 地震があり、台風があり、洪水、津波、火山の噴火、飢饉、疫病。
 過去、日本列島を襲ったさまざまな災害は、これすべて神の怒り、人への祟り、その怒りを鎮めるための祭りを行うことが天皇の役目だったのです。
 人の驕りや欲望が悪というなら、現代はまさに悪に満ちています。
 そう、人はいつの時代も悪と共存してきた。
 人の欲望のための戦争は、人だけでなく自然をも破壊してきた。
 その悪は凶悪で、残忍で、血の匂いに飢えている。
 多くの罪のない人々を平気で死に追いやったのも、また人間だったのです。
 ゴジラとは、人間の持つ悪の意味を観客に問いかける作品なのではないでしょうか。

 本当にゴジラは人類の敵なのでしょうか。
 ゴジラと共存できる社会、自然から多くを奪うことなく、人類の欲望を制御しつつ、やすらかな繁栄を築くこと。
 そんな世界が、いつか来るのでしょうか。
 私は、まだ新作の「ゴジラ」を見ていません。
 でも公開時には、きっと見に行きます。
 ゴジラは人類の敵なのか、それとも・・・・・あなたには答えが見つかるかもしれませんね。

 でも、私はやっぱり重いテーマと共に出現するゴジラより、キングコングと戦った、腕を振りながらパコパコさせるゴジラが大好きなのです。
 これもまた、ひとつのトラウマなのでしょうか。


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