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メトロン星人の本棚コミュのインファント島の伝説 モスラの謎

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「インファント島の伝説 モスラの謎」

「私」中村真一は、43年前にインファント島の探検を行った言語学者中條博士の弟子である。
 博士の発表した論文「インファント島における伝説とアイレナの言語体系の考察」に深く感銘を受け、1年前単独でインファント島に潜入。原住民と3ヶ月共に暮らした。
 私が幸運にもインファント島に潜入することが出来たのは、3ヶ月に一度訪れる査察船の船長の好意による。
 船長は私の叔父であり、長年に渡りインファント島の研究を続けてきた私の良き理解者でもある。
 叔父は純粋に学術的な研究のためという私の想いを汲んで、潜入する手助けをしてくれたのである。
 もちろんこれが公になれば叔父は職を失い、私も学会を追われる身となる。しかしそんなリスクを侵しても、私はインファント島への憧れを押さえることは出来なかった。この手記も発表できるかどうかはわからない。しかし神秘の島インファント島の謎を私は知った。
これは私の貴重な体験をもとにしたインファント島の真実の記録である。


 1  43年前の事件
  
 43年前に起こった奇跡のような事件は、いまだに風化することなく人々の間に語り継がれている。
 発端は台風により沈没した第二玄洋丸の乗組員4名が、原爆実験で荒れ果てた死の島インファント島で発見されたことであった。放射能に汚染されたインファント島でなぜ生き延びることが出来たのか?
 人々の関心はまさにそこにあった。そして驚くべき事実があきらかになる。
 島には多くの原住民が生き延びていたのだ。しかも放射能の影響を消し去る果実からとった液体を使っている事が判明した。乗組員達はそのおかげで助かったのである。
 早速、原爆実験の当事国ロリシカと日本による「合同調査隊」が組織された。
 無人島であったはずのインファント島になぜ原住民がいたのか?
 なぜ原爆の爆心地において生き延びることが出来たのか?
 そして、放射能の影響を防ぐことの出来る不思議な果実とはなにか?
 我が師、中條博士もその調査隊に同行していた。そしてインファント島で運命的な出会いを果たす。
 それがインファント島の妖精「アイレナ」である。
 マスコミの言葉を借りれば「小美人」と言った方がわかりやすいかも知れないが、アイレナはインファント島の伝説にある身長30センチあまりの不死の一族である。
 中條博士が、島で出会ったアイレナは4人いた。そのうちの二人がロリシカの悪人「ネルソン」に誘拐され日本に連れて行かれる。ネルソンは実は興行師で、これが目的でインファント島の探検に金を出していたのであった。 
 しかしインファント島には、さらに隠された驚くべき謎があった。それが「モスラ」である。
 モスラはインファント島における神ともいえる存在で、彼らの神「アジマ」と同一視されている。
 その実体は全長40メートルにも達する蛾の幼虫の姿をした怪獣であり、巨大な繭を作り、羽化すると翼長100メートル体重一万二千トンの巨蛾に成長する。
 アイレナとモスラは距離に関係なく、何らかの方法で自由に意志の疎通が出来るらしい。
 その後、巨大怪獣モスラは連れ去られた小美人を追って日本に上陸。街を破壊し東京タワーに繭を作り、羽化して成虫になると、今度は小美人をつけて逃れたネルソンを追って、ロリシカ本国にまで被害を及ぼした。
このあたりの事情はあまりにも有名な事件であるので割愛するが、その猛威は凄まじく、自衛隊やロリシカ空軍の総力をあげての攻撃にもびくともせず、ついにロリシカ政府はネルソンを逮捕し(逮捕時に抵抗、射殺された)小美人をモスラに返すことになる。その時の作戦にも我が師、中條博士が協力した。
この事件の後、インファント島は国連の管轄となり、モスラを封印するため厳重な監視下に置かれることになった。
 あれから43年経過した現在もインファント島は国連管理の下に置かれ、保存のための世界遺産の認定も進められているという。
 島には原住民の希望により駐在員は存在せず、わずかに緊急連絡用の通信設備と監視カメラが設置されているだけである。
 インファント島こそは、まさに現代の奇跡、現代の神秘ともいうべき南海の秘境なのである。


 2  インファント島に伝わる伝説


 インファント島は南太平洋のほぼ中央に位置する、まさに絶海の孤島である。
 いちばん近くにある島からも約1000キロは離れており定期船の航路からも大きくはずれている。
 島は大きく二つの地域に分けられる。ひとつは原爆実験の熱と放射能に晒された島の海岸ぞいの地域である。そこは焼き尽くされた不毛の岩石地帯であり、わずかな砂浜を除く他は船が接岸できるような場所はない。
 めだった生き物の姿もなく、ただ海鳥ばかりが巣をつくっているのみである。
 それとは逆に島の中央部、すなわち元々は火山の火口であったと思われる地域には濃密な密林が残されている。海岸とは屏風状に切り立った外輪山で明確に仕切られており、ほぼ島の上空で爆発した原爆の熱と爆風をどうして逃れることが出来たのか?実に大きな謎である。
 また植物の種類も豊富で、他では見られない新種の植物が多く、昆虫や小動物にも独自の進化を遂げたと見られる変種が数多く発見できる。それはまさに博物学の宝箱と表現しても過言ではない。
 
 さて、そこに住む原住民であるが、彼らの多くは外輪山の中に掘られた人工的な洞窟の中に住んでいる。
 この洞窟は非常に深く、大きく、そして迷路のように入り組んでいる。いったい誰がこんな大規模な洞窟を作ったのだろうか。そのすべてを調査することはとても不可能だろう。私も友人となった原住民の男に連れられてこの洞窟の中を歩き回ったが、体育館のような大きな部屋がいくつもあり、壁には独自の象形文字や怪しげな彫像が掘られている所が多かった。しかもあちこちの壁自体がぼんやりと発光し、松明の明かりを必要としない場所がたくさんある。巨大なカビの一種が茂っている部屋や、墓地のような部屋、そしてこんこんと泉のわき出る場所もあり、まるで巨大なアリの巣の中を巡り歩いているような気がした。
 原住民の顔つきや言葉を調べると単一の種族ではなく、オセアニアにある様々な種族の特長が見られた。
 彼らの先祖は海を渡ってこの島に流れ着いた人々であり、病人や罪人などの子孫もいるのだと言う。
 オセアニアの島々には、伝染病や神の怒りにふれた人を丸木船に乗せ追放する風習があり、海流に運ばれインファント島にたどり着いたのが、現在の原住民の祖先なのであろう。
 したがって彼らは現世とは隔絶した神話の世界に生きており、世界はこの島だけに限定されている。
 他の島の種族とはいっさい交わらず、遠い過去から彼らだけで暮らしてきたのである。
 それだけに私のような外来者は、時に「まれびと」として珍重され、おとなしくしている限りは手厚いもてなしをうける。

 そんな彼ら原住民に伝わる神話は次のようなものである。

 昔、この世がまだ混沌として定まらなかった頃、最初に現れたのは永遠の夜を治める男神「アジマ」である。霧のように、雲のように、にごって流れてゆくもののうち、重たい水気のあるものを集めて下に沈め、軽やかなものを上に押し上げた。これによって海が生まれ、空が生まれた。
 アジマは下にある最も重い物を引き上げ島を作った。これがインファント島である。
 アジマは仕事にくたびれて砂ばかりの島に横になりいびきをかいて眠った。このいびきから、雷鳴と暴風と津波が生まれた。
 男神の支配する島ではいつまでも夜が続いた。彼は空と、海と、島と、自然のさまざまな現象を作ったが、ついに退屈で耐えられなくなり、自分の体を縦に二つに引き裂いた。その半分はやはり男神アジマになったがもう半分は女神アジゴになった。
 女神アジゴは太陽を作り、昼を作った。彼女が島に向かって息を吐くと草や木や鳥や獣が生まれた。海に向かって息を吐くと魚が生まれた。男神は喜んで月や星を夜空に作り、やがていっしょに寝た。
 そして二人の間に生まれたのが巨大な卵「モスラ」だった。これは昼と夜との両方の力を持ち太陽のように、また月のように光った。しかしこの卵「モスラ」はいつまで経っても孵らなかった。
 次にアジマとアジゴの間から男女二人の人間が生まれた。人間は次第に増え島で暮らした。
 その次に生まれたのが無数の小さな卵だった。その卵も星のように光ったが、卵は幼虫になり、蛹になり、蛾になって飛び去っていった。
 男神アジマはこの小さな卵を産んだのは間違いだと怒り、人間や動物にひとしく死を送り、その多くを殺した。そして自らを四つに引き裂き、暁の星、宵の星、北の星、南の星になり飛び去っていった。
 女神アジゴは悲しみ、やはりその体を四つに引き裂き、永遠の卵モスラに生贄として捧げた。
 しかしその四つの部分はアイレナに変わり、永遠の命を持つモスラに仕える巫女になった。

 アジゴは言う「アイレナはモスラに仕え、モスラはアイレナと島を守る」

 この寓話からはいくつかの事実と疑問が読みとれる。
 男神アジマは星となって夜空に消えていったのに、女神アジゴはアイレナとなって島に残った。
 大きな卵「モスラ」は孵らなかったのに、小さな卵は孵り蛾になって飛び去った。
 大きな卵「モスラ」とアイレナは互いに守り守られる関係にあり、永遠の命を持つ。
 そしてモスラは男神アジマと女神アジゴの力の結晶であり、万物創造の力の源でもある。
 なぜ力の源が卵なのか?なぜ卵は光るのか?
 なぜ大きな卵「モスラ」は孵らなかったのか?
 インファント島に上陸して早くも3ヶ月が過ぎようとする頃、これらの謎に迫るため私は原住民達の目を盗みついに禁断の聖地へと踏み込む決意を固めたのであった。


 3 聖なる泉と小美人


 原住民にとっても島の中央にある聖なる泉と、その奥にあるモスラの神殿は禁断の地であった。
 外輪山の上からすり鉢状になった島の中央を望むと、中央部が小高い山になっているのがわかる。
 つまりインファント島の中に二重になった外輪山があり、その中に聖地と呼ばれるモスラの神殿があるのだ。
 私は衛星軌道上から撮った島の写真を見たことがある。いびつなドーナツ状になった中央の部分だけ、なぜかもやがかかっていてよく見えない。
 聞くと雲などないはずなのに、いつも中心部だけはぼやけてしまうのだそうだ。光学的な現象か、もしくは強力な磁場でもあるのではないか、などと友人はぼやいていたが、ついにその謎が明らかになる時が来た。
 夜明け前、私は原住民が寝静まっている時を見計らって聖なる泉に向かって出発した。
 途中、中條博士が苦しめられた吸血植物に襲われそうになったが、なんとか切り抜け、内側の山を乗り越えたところで、ついに夜が明けてきた。最初の朝陽が外輪山のフチを越え内側の聖なる泉にそそがれる一瞬。私は信じられない物を見た。
 目前に虹色に輝く植物の森が広がっていたのである。すべての物が淡く七色に発光していた。朝焼けの薄明かりの中、まるでプリズムを通した光のように、あたりの樹木や草が半透明のクリスタルガラスのように光り、乱反射を繰り返している。
 こんな世界があるなんて想像出来なかった。とても自分の目が信じられない。
 世界は徐々に明るさを増し、それと共に植物の光は失われていった。しばらくすると他の密林と変わらない見慣れた風景になった。そう、朝日の射す最初の数分間だけ、この世界は神秘の光を放つのである。
 私は陶然となりながら先に進んだ。やがて小さな小道に行き当たり、その道をたどってゆくと目の前に清らかな水をたたえた小さな泉があった。泉からは透明な水がこんこんと湧き出ており、いく筋もの小さな流れとなって密林の中に消えている。
 どこからか歌のようなものが聞こえる。
 それはかつて聞いたことのあるメロディーであった。
「モースーラー、モースーラー、モースーラー・・・」
 そう、東京で公演されたネルソンの『神秘の妖精ショー』の古い録画で見たあの小美人の歌声であった。
 聖なる泉のほとりで、ついに私は本物のアイレナ、小美人とめぐり会うことが出来たのだ。
 彼女たちは4人揃っていた。白い絹のような生地でできた胸当てと腰布を身にまとい。頭に花を飾り、腕には銀色の腕輪をつけている。身長は30センチほど、驚くほど似通った顔立ちをしているが、微妙に違う個性があるようだ。
 私に気づいたアイレナ達は、特に驚く様子もなく笑顔をうかべ、逃げるようすはない。彼女たちは私の来ることを知っていたのだ。
 アイレナの一人が、はっきりとした日本語で語りかけてきた。
 いや正確に言うと、アイレナの発する声は耳で聞くかぎりは歌のようなメロディーなのである。しかしメロディーと同時に私の頭の中には、この歌の意味が日本語になって聞こえてくる。
 中條博士の論文にもあるとおり、アイレナの言語はメロディーであり言葉ではない。しかし聞くものはそのメロディーを自分が使っている言葉に瞬時に訳して聞くことが出来るのだ。アメリカ人なら英語に、ドイツ人ならドイツ語に、アフリカの原住民ならその部族の言葉にと、自分の頭の中にある言葉に置き換えて聞くことが出来る。
 これなら世界中のどんな人間とでも会話することが出来る。いや人間だけではない、きっとアイレナは動物や植物、昆虫とも意志を通じ合うことが出来るのではないか。そう博士は言っておられた。これがテレパシーなのかどうかはわからないが、まさに驚くべき能力であると言えるだろう。
「あなたは、やはり来てしまったのですね」アイレナの一人はそう言った。
「私たちはもう人との関わりを絶とうと思っていたのです」
「でも、まもなく恐ろしいことが起ころうとしています」
「それを多くの人に伝えるため、私たちはあなたを選びました」
「ナカジョウという人に伝えてください。○○○を使ってはいけないと・・・・」
 それだけ言うとアイレナ達は、一人を残して茂みの中へと隠れてしまった。
 私とそのひとり残されたアイレナは、二人だけでずいぶんと長い間、そこで語りあうことが出来た。
 なぜそのアイレナだけ残して他のアイレナが去っていったのか。私にはその意味がよく分からなかったが、そのアイレナはずいぶんと私に親切だった。
 清らかな泉の水を飲み、小さな果実をすすめられ私はそれを口にした。
 そのアイレナは人間の世界をよく知っていた。彼女は43年前、あの事件の時に連れ去られた小美人の一人だったのだ。
 あれから40年以上も経っているのに、目の前のアイレナは当時と変わらぬ姿のままだ。
本当に不死の一族なのだろうか。
 彼女は現在のインファント島のことをいろいろと教えてくれた。モスラがまだ成虫のまま生きていること。
 そして新たな卵が産まれ、土の中で順調に育っていること。
そしてモスラの神殿が、この聖なる泉の地下にあることまで教えてくれた。
 ここでの話はすべて真実であるが、アイレナがすべてを語ってくれたわけではない。
 それにこれはすべて私の幻覚で、ただの妄想なのかも知れない、しかし私の頭の中にはアイレナの心にあるイメージがわき水のように流れ込んできたのだ。
これを伝えることは私に託された使命であると思う。

コメント(7)

4  モスラとアイレナ

 私は実際にこの目でモスラとモスラの神殿を見たわけではない。たぶん、そこに行けるのはアイレナだけなのだろう。
 しかしこの目で見るよりハッキリと私の頭の中には、アイレナからのイメージが流れ込んできた。
 それはTVのモニターを見るより現実味があり、手を伸ばせばさわれるのではないかと思うほどリアルな感じであった。
 モスラの神殿は、聖なる泉の地下深いところにある。頭上からは泉を通して光がふりそそぎ、巨大な空洞には壁一面に細かい象形文字がびっしりと描かれてあった。なぜ泉の水が落ちてこないのか、それはわからない。なにか透明なもので仕切られているのか?それとも重力でもコントロールされているのだろうか?
 ただ、この力があればたとえ島の上空で核爆発があっても、熱と衝撃波を遮断することが出来るのではないかと、私はそう思った。インファント島で核実験が行われたとき、この不思議な現象が島の中心部を守ったのではないだろうか。
 
 次に見たのは、モスラである。聖なる岩と呼ばれる巨石の上で、まるで死んでいるように動かない姿を見た。
 モスラの後ろには巨大な卵が、半ば土に埋もれるようにしてあった。卵はときおりかすかに発光する。
 それは人が呼吸をするのと同じように一定の間隔を置いて繰り返され、まるで成虫のモスラが死んでいるのに比べ、卵の方が生きているかのように感じられた。
 アイレナは言った。モスラの本質は『卵』です、と・・・・卵こそが真のモスラの姿なのですと。
 永遠という長い長い時間をモスラは卵の形で生きてきた。それは一種のタイムカプセルであり、命を保ち続けるための究極の形である。だからこそ卵から幼虫へと変化した途端、劇的なスピードで変化が進行し、繭をつくり成虫になり、また卵へと戻る。
そう、モスラの命は永遠だが、それは卵の形をとっている時だけであり、その命はつねにひとつだけなのだ。モスラにとって卵から幼虫になるということは、大変な危険を伴う行為であり、永遠の命が失われてしまう危険がある。
 モスラは繁殖しない。増えることがない。まれに成虫と卵、また幼虫が2匹生まれることがあっても、すぐにどちらかが死に、またひとつの命へと戻ってゆく。地球上の生物のように、増えることによって命が失われる危険を回避する術を、モスラは持っていないのであった。
 また幼虫と違い、成虫のモスラには消化器官がなく、ものを食べることがない。体の大部分は卵を作るための器官で占められている。そして成虫のモスラにあたえられたエネルギーには限りがあり、それを無駄に消費することは死を意味する。
 
 私はアイレナにたずねた。
 あなた達はモスラとどういう関係なのですか?
 私たちはモスラの一部です。モスラは卵の時は動くことが出来ません。すごく丈夫な殻に守られてはいますが攻撃されれば抵抗することは不可能です。だから私たちが守っているのです。
 でもあなた達は小さくても人間だ。人の言葉もわかるし、こんなにも愛らしい。
モスラとはあまりにも姿が違いすぎる。
 アイレナは笑ったように見えた。
 私たちに本当の形はありません。モスラと同じひとつの命なのです。必要とあればもっと違う形にもなることも出来ます。この姿はあなたたち人間と意志をかよわせるのに最も適した形だから・・・
でも長い長い間この姿をしていると、心まで人間に似てきてしまいます。人間が私たちを愛らしいと思うのと同じように、私たちもまた人間を好ましい存在だと思うようになりました。
 でも人間の中には、悪い心を持つ人もいます。
 この島もそんな人たちのために滅ぼされようとしました。
 なんですって!ではあの核実験はここにあなた達がいることを知った人間が、わざと行ったというのですか!
 アイレナは、悲しそうにうなずいた。
 世の中には、永遠の命を持つ存在が他にあることを許せない人々がいるのです。
自分たちが信じる神だけが永遠の存在なのだと。
 私にはわかった。この世界にある神と宗教は、すべて人の心から生まれたものだ。
 神に至る道はいくつもあるが、皆自分のたどる道が最良の道だと思っている。
そして自分のいだく神こそが永遠なのだと。
 アイレナは言った。
 私たちは神ではありません。人が作った神の名などすべて無意味です。
この世界にとって本当の神は『愛』なのです。
 時はゆっくりとしかし確実に流れてゆきます。四季はめぐり、自然は何度も死と再生を繰り返します。これこそが神そのもの。
 人はその時間の流れの中にちょっとの間存在するだけの、本当に小さな存在なのだと気づかなければなりません。
 でも、私は人間をこの小さな存在を愛しています。
よい心を持ち、人のために自分をかえりみない存在を愛しています。
 だからこそ、あなたには知ってもらいたかった。私たちの心と、これから起こる恐ろしい出来事の存在を。
 それは、何なのですか。その恐ろしい出来事とは・・・・
 私がそうたずねた瞬間、恐ろしいイメージが脳裏に広がった。
 燃えさかる都市、爆発する東京タワー、そして銀色の巨体と黒い悪魔の戦いを・・・・
 命をもてあそんではいけません。命は限りあるからこそ美しい・・・・
 アイレナの声が遠くなる・・・・
 待ってくれ、もっと教えてくれ、私はどうしたらいいのか・・・・
 意識がとぎれる最後の瞬間、私は見た。広大な神殿の空間いっぱいに飛び回る無数の小さなモスラを。
 あれはアイレナなのか!
 小さなモスラは発光していた。モスラの神殿は神秘的な光に満ち、アイレナの歌声に包まれた。
 モースーラー、モースーラー、モースーラー・・・・・ 


 5 予言の時


 私が意識を取り戻したのは、査察船のベッドの上であった。
 3ヶ月ぶりにやってきた査察船に、私は意識不明のまま、原住民達に運ばれて来たというのだ。
 約一週間ものあいだ、私は意識を失っていたという。原住民達は何も語らず、私をどこで見つけたのかも言わなかった。
 診察してくれた医師によると、体の異常はなにもないらしい。ただ脳の一部に腫瘍が認められると言われた。
 設備がないのでこれ以上のことはわからんが、日本に戻ったらすぐに脳外科に行くようにと勧められた。
 私は船の中でこの手記を書いている。
 日本に戻ったらすぐに中條博士のところに行こう。
目撃したすべてをお話しして、協力をもとめるのだ。
 特生自衛隊、防衛庁、国会、マスコミ・・・いや話を聞いてくれるならば、誰でもいい。
 そしてこの手記もできれば多くの人に読んでもらいたい。どんな形でもいい、発表できれば。
 そうだ。

 急がなければ、悪魔が東京を灰にする前に・・・・


 了


 あとがき

 「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」は、まさに燃える作品でした。
 「モスラ対ゴジラ」のオマージュと3式機龍とゴジラの戦いを絶妙のバランスで組み合わせ、どうだ!と言わんばかりの監督の心意気がビシビシと感じられる作品でした。
 特にモスラが素晴らしい。あの『モスラ』や『モスラ対ゴジラ』を凌ぐかと思われる演出と造形。
 そしてCGとアナログ特撮の融合。
おおっ!とスクリーンにくぎ付けになるショットが、一体いくつあったことか。
 ただ、モスラの映画に関してはいつも不満に思うところがあります。
 それはインファント島のシーンです。考えて見てください。こんなに魅力的な島がほかにあるでしょうか?
 ジュラシックパークの島に比べても数倍、魅力的な島だと思いませんか(笑)
 もっとじっくりとインファント島を舞台にした冒険物語が見たい。この作品には、そんな私の想いを詰め込んであります。
そうそう。
この後、主人公は東京で誰にも信じてもらえず、病院送りになってしまうのです。
ううっ、悲惨だなぁ(笑)
只今、拝読させて戴きました。

モスラやゴジラ等の特撮モノが上映されていた頃、私はまだ幼稚園にも通っていませんでした。
多分。
其れ位昔の出来事ですので、この小説を拝読した時、
こういう筋書きだったんだ、と、驚きました。

宗教とは、人間の心が勝手に作り上げたものです。
また、宗教とは、常に戦争の火種です。
最も有名なのが、中世の十字軍ですね。
聖地奪還の名目の下に、戦争が仕掛けられました。
しかし、回を重ねる毎に、唯の略奪軍に成り下がってしまいました。
悲しいかな、現代社会に於いても、戦争やテロリズムの口実ですね。

あとがきにある様に、主人公は、その恩師である中條博士にも信じて貰えなかったのでしょうか?
それを考えると、何か悲しいですね。
>>[3]
いつも読んでいただきありがとうございます。

この作品ですが、第3期ゴジラシリーズ(ミレニアムシリーズ)の第5作。

 「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」の事件が起こる前の話になります。

以下 解説をコピーしました。

本作は前年に公開された『ゴジラ×メカゴジラ』の直接の続編である。前作で主人公を演じた釈由美子も少し登場するが、本作の主人公は金子昇が演じる3式機龍の整備士となる。
本作の日本は、前作でも作中で語られたように1961年の映画『モスラ』と直接つながった世界である(共通人物として小泉博が同じ中條信一役で出演している)。モスラが卵、幼虫、成虫でそれぞれ登場し、メカゴジラとモスラは共に「ゴジラシリーズ」での再登場の多い怪獣だが、本作で初共演となる。

モスラは東宝の人気怪獣ですが、その生態は謎に包まれています。
私は「モスラ」の原作を見つけまして、そこにあるインファント島の伝説から、この話を思いつきました。
「永遠の命モスラ」・・・なぜ永遠なのか。
「平和の使者モスラ」・・・なぜモスラは人類の味方なのか。
そしてインファント島とは、なんだったのか。
その答えを、この作品では提示してあります。

ちなみに中条博士にも信じてもらえなかったというのは、ないです。
戻ったときには、もうゴジラが出てきてて、博士は、それどころじゃなかったというのが真相です(笑)

良かったら「モスラ」 それと「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」を見てください。
面白いですよ。ほんと(笑)

それと、宗教についてですが、
作中でアイレナに「人が作った神の名などすべて無意味です。」
と語らせていますが、これは私が宗教を否定しているわけではありません。
俗にいう「宗教戦争」によって多くの人命が失われ、数多くの弾圧が加えられてきました。
それはイデオロギーの紛争と合わせて、人間とって大変に不幸なことだと思います。

だけど信ずる神があるというのは、素晴らしいことです。
宗教は殺しもするが救いもする。
戦争も、悲惨なことですが、反面科学の進歩を促し、人類の交流を深めてきました。
もしかすると戦争は人類にとって「必要悪」だったのではないか。
などと考えてもしまうのです。

ホーガンの有名なSF小説「星を継ぐ者」3部作

よみやすいところでは、最近アニメにもなった「まおゆう」(魔王と勇者)
これはマンガにもなってます。

これらの作品をおすすめします。とっても興味深く、面白い作品ですよ。
はじめまして。
原作の発光妖精とモスラを踏まえた(小美人が四人という設定、アジゴといった神々?の存在が出てくる)作品に御目にかかれて大変嬉しく、そして楽しんで読ませて頂きました。

モスラのことを調べ、原作では放射熱線?吐いたり、ラストは半宇宙に飛んでいくという結末だったり、その押し絵?がなかなか恐い姿で驚いたりもしましたが、モスラについて知るのが、一つの趣味でもあります。

>>[6]
作者のメトロン星人こと桜井です。
読んでいただきありがとうございます。
モスラ、大好きな作品です。
でもモスラもインファント島も、謎が多い作品でもあります。
私は原作を読み、足りない部分は想像で埋め合わせて、自分なりのモスラを書いてみました。
すこしでも興味を持っていただけてうれしかったです。
よろしければ、他の作品も読んでみてください。

今年の夏コミは「ゴジラ」について書いてみました。
コミケが終わったら、こちらにも載せておきます。
ありがとうございました。

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